ミシン2 カサコ

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 926
感想 : 124
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  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093861410

作品紹介・あらすじ

派手なパフォーマンスで人気を集める美少女ヴォーカリスト・ミシンと、ミシンに憧れてギタリストになった鈍臭い私の、友情よりも愛情よりも深い絆の物語。

感想・レビュー・書評

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  • Beau comme la rencontre fortuite sur une table de dissection d’une machine à coudre et d’un parapluie.
    『解剖台のミシンと傘の偶然の出会いのように美しい』。これはロートレアモンの言葉であり、シュルレアリスト達が愛した詩である。だけどね、私達の出逢いは偶然だろうと必然だろうと美しいのよ。
    死は本当に死で交換がきくのでしょうか。私はそうは思わないわ。
    ミシンがあれば何でも作れる時代よ。貴女を縫い合わせ、私が貴女の思いのままになることなんて、ああ容易いわ。だって貴女は美しいミシンですし、貴女は鈍臭い傘子なのよ。貴女は私にMILKのお洋服を譲りました。そしてSUPER LOVERSの背中に私は天まで届く翼を見る。
    私が傷付けていいのは私だけなのよ。いつだって、今だって、貴方が生きない世界に私の生は不要だわ。生は生で交換がきかないの。貴方の代わりなんていないのよ!翼の折れた、ただの少女を見た。パンクだって強がって心底からシャウトしてんだよ!私は私。私は私!
    ミシン、私はこの穢く未来の無い世界で、貴女を見つけた。

  • ミシンも傘子ちゃんもかわいいなぁ

    こんな繊細でパンクな子他にいないと思う
    すっごく可愛くて切なくなる作品だった
    あんなにひたむきにミシンを愛せる傘子ちゃんすき!
    とはいえミシンて名前素敵…

  • 随分前に読んだ本だけど、女の子同士の愛情めいた友情に関しては本当にお上手だなあ、と感心させられる。打算のない純粋な愛情ってこういうものでしょ?って言われている気がする。お笑い成分がない分下妻物語よりもよけいそう感じます。

    あと、思春期独特の、格好つけたくても、つけられなかったり、気持ちの表現がまだまだこなれてなくて、上手に伝えられなかったりする、そういうどんくささが残酷なまでに描かれてるのも本書に限らず嶽本先生の特徴だと思う。そういう意味でも、昔なつかしい友達のような感覚でそばに置いておきたい本。

  • ぷっとんでる!!だが、それが良い!!

  • 頭の中に映像がありありと浮かぶ………

  • まさか『ミシン』を初めて読んだ時、『ミシン2』なる小説が存在するとは思いもしなかったので、ちょっとびっくりしつつも読了しました。嶽本野ばらさんの作品、けっこー読んでますね。

    冒頭、正直蛇足かなーと思いました。だって、『ロリータ・デス』でミシン自身が「今すぐ死んで/そうすれば愛は不変になる」と歌っていて、『ミシン』では傘子のミシン殺しを仄めかすところからも、この『ミシン』はよくまとまってて素敵だなーと思っていたわけで、それがこう運良くミシンが生きていて、嫌々言いながらもどこか楽しそうに傘子と交流を深めていく場面を見せられても……と。

    ですが、物語が後半に進むにつれ、ライブ中の描写が激しくなっていくにつれ、ミシンの脆さと傘子の強さが現れてくるにつれ、もうページをめくりっぱなしでした(笑)。結局ラストまでミシンと傘子は死ぬことなく、希望を持たせたエンドでしたが、それに納得してしまうくらい、涙が出そうになるくらい、心を奪われた物語だったのも確かなのです。こういう、エンタメ的な小説なのに、とても文学的で深い物語、嶽本野ばらさんの他の著作を読んできたからこそ、尚更『ミシン2』での心象には感動せざるを得ませんでした。
    あと、所謂嶽本野ばらさんらしさも全開なので、やっぱり自分のような人間には刺さるのかなと思います。

    なんだよ、結局良かったんじゃねーか! 何が蛇足だよ! 最高だぜ、まったく……!!

  • バンドのセンターのミシンとは対象的に、どんくさくて、愛される要素のないような傘子。
    傘子のミシンに対する愛、
    ミシンの竜之介に対する愛。
    一緒に暮らしても片思いで、
    僕としては傘子に対してどんどん感情移入して読んでた。バンド内の少女の切なさにキュンキュンなりつつ、
    ライブシーンでは迫力がすごい伝わってきました。僕も同じ会場にいれたら、暴力的なパンク音楽に一緒に飛び跳ねているような体感で読みました。
    冒頭で、傘子がどんくさくて、ミシンが死ななくて良かった。

  • 十数年ぶりに再読。
    読後に処分してしまったので、今回は図書館本。

    この人の小説はいきなり読みたくなる。
    いきなり続編からの再読だけど、ミシンたちのストーリーだけを読みたかったのでOK。
    MILKやSUPER LOVERS(LOVERS ROCK)等の洋服ブランドが話に出てくるので、それが結構楽しみでもある。

    この方特有の、読んでるときに「ん?」という疑問符が出てくるのはご愛嬌。
    そこはさらっと流しつつ。

    再読した今回の方が、楽しめた気がした。
    サクッと読めるし、きっとまた読みたくなるのだろうな。

  • でもね、ミシン、今なら貴方が私に何を望んでいたのかが理解できるよ。ミシン-。
    そして、どうして私が貴方をこんなにも好きであるのかも応えられるよ。ミシン-。
    大好きなミシン-。ずっと、ずっと、私は貴方の傍らに、います。

    我儘でめちゃくちゃなライブパフォーマンスをするパンクバンドのボーカル『ミシン』と、彼女を崇拝するどんくさい『傘子』の物語だ。読み始めてすぐ、失敗したかなと思った。なんせ、冒頭からミシンを撲殺(未遂)するシーンなのだ。
    元々、ワザと反抗的なたいどをとったりルールを無視することがカッコイイと思っているような輩は好きではないので、彼女たちに好感は持てない。この作品の良さを理解できたとは思わないけど、二人が本当の強さを持ち立ち上がっていればいいと思った。

  • 滅茶苦茶なボーカルのミシンといつかエスでは満足しなくなるかもしれないという弾けないギタリストの傘子の、二人暮らしや音楽番組やライヴが彩る格好つけない甘い日々。馬鹿で鈍臭い傘子の非道くて優しくなくて高潔なくらい眩しい純愛がとても良い。洗練されていなそうな歌詞まで直に響く。前作が素敵に昇華されていた。

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著者プロフィール

文 嶽本 野ばら
京都府宇治市出身。作家。
1998 年エッセイ集『それいぬ̶ 正しい乙女になるために』(国書刊行会)を上梓。
2000 年『ミシン』(小学館)で小説家デビュー。
2003 年発表の『下妻物語』が翌年、中島哲也監督で映画化され世界的にヒット。
『エミリー』(集英社)『ロリヰタ。』(新潮社)は三島由紀夫賞候補作。
他の作品に『鱗姫』、『ハピネス』(共に小学館)、『十四歳の遠距離恋愛』(集英社)
『純潔』(新潮社)など。『吉屋信子乙女小説コレクション』(国書刊行会)の監修、
高橋真琴と共書絵本『うろこひめ』(主婦と生活社)を出版するなど少女小説、お姫様をテーマとした作品も多数。

「2021年 『お姫様と名建築』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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