のぼうの城

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 7160
レビュー : 1415
  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093861960

作品紹介・あらすじ

時は乱世。天下統一を目指す秀吉の軍勢が唯一、落とせない城があった。武州・忍城。周囲を湖で囲まれ、「浮城」と呼ばれていた。城主・成田長親は、領民から「のぼう様」と呼ばれ、泰然としている男。智も仁も勇もないが、しかし、誰も及ばぬ「人気」があった-。

感想・レビュー・書評

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  • 最近さかんに映画の宣伝をしていて、そういえば未読だったと思い、映画で観る前に読了しようと読んでみました。(笑)本の帯には「2011年全国東宝系公開!」とありますが、確かあのシーンがあれを連想させるということで、公開が今年に延期になったんでしたっけね。
    小説の方はまあ面白かったです。戦国時代を舞台にした上質のエンターテインメントといってよいでしょう。だんだんページをめくる手も早くなってきて、次のシーンがわくわくしました。(笑)
    ただ、自分としては内容的には少しビミョーで、だいたい歴史小説の場合、前知識が邪魔をしていろいろ気になるのを目をそむけて楽しむようにしているのですが(笑)、ストーリー的にもなぜか割と中途半端なような気もします。主人公の「のぼう様」が、西郷さんのようなキャラ立ちの掴みどころがない人物設計のためか、最後まで人物の中心点がいろいろな人に散在していたせいかもしれません。全体的に感じるふわふわ感もあるのですが、作者が司馬ライクに史料をうまく合い間合い間に挟んで抑えてようとしているのが印象的でした。
    物語の出だしとして、全体から部分へ、そして周囲の人から次第に主人公へと描写していく過程は、見事な演出だったと思います。そして、合戦を軸とする前後の物語の展開も良かったのではないかな。
    清々しい正義感の石田三成と、魔人・正木丹波の描かれ方はなかなかよくできていたと思います。そして、ちどり。(笑)もう少し、甲斐姫の恋愛話は進展させて欲しかった。(笑)

  •  戦国末期、豊臣秀吉の天下統一の総仕上げと言うべき小田原征伐。その小田原征伐における忍城(おしじょう)の攻防戦を描いたのが本作。
     主人公は「でくのぼう」を略して「のぼう様」と領民に呼ばれている城代・成田長親。不器用で、表情にも乏しく、背が高いだけの大男で馬にも乗れない。だが、そんな長親は領民にやたら慕われているのである。

     前半の見せ場は、長親が石田三成軍二万を相手に戦を選択するところだろう。
     傲慢な軍使・長束正家が城主の娘・甲斐姫を秀吉に差し出せと言ったことで、長親の堪忍袋の緒が切れた。
    「いやなものはいやじゃ」
    「二万の兵で押し寄せ、さんざに脅しをかけた挙句、和戦いずれを問うなどと申す。そのくせ降るに決まっておるとたかを括ってる。そんな者に降るのはいやじゃ」
    「武ある者が無なき者を足蹴にし、才ある者が才なき者の鼻面をいいように引き回す。これが人の世か。ならばわしはいやじゃ。わしだけはいやじゃ」

     だが、この事態を期待していたのは、実は軍使を遣わした総大将・石田三成。三成は、ある思惑があってわざと忍城を威嚇し、傲慢な長束正家を遣わしたのである。

     初戦で大勝利をおさめた忍城勢。
     しかし、石田三成はそれも計算に入れていた。彼が本当にやりたかったのは、秀吉が毛利攻めで見せた高松城の水攻めである。
     高松城のときよりも壮大な堤防を築かせ、湖に囲まれた忍城を水没の危機にまで陥れる。
     窮地に追い込まれた忍城では、城代・成田長親が「鬼になる」と言い捨て、決死の奇策に打って出る――。


     最近は、『天地明察』などもそうだが、ラノベタッチというか、かなり読みやすい時代小説が登場しているように思う。時代小説ファンにすれば味気なさを感じたりするのかもしれない。
     が、それはあっさりした飲み口から重厚な味の赤ワインと色々あるように、好みの問題としていいように思う。むしろ、時代小説の裾野が広がることで、今まで池波正太郎や藤沢周平を手に取らなかった読者層が新規開拓されることだって考えられる。「古典落語はかくあるべし」みたいな教条主義的思考で排斥するのではなく(実際、そうやって貶すレビューも散見される)、時代小説の間口の広さ、懐の深さとして歓迎すべきだと個人的には思うところである。

     ただし、本作に関しては少しスッキリしない部分があるのも確かである。石田三成は、生来の潔癖さと、水攻めをやってみたいという欲望の虜になっている部分で齟齬があっても構わないが、成田長親のキャラ設定にはちぐはぐ感が残ったように思う。小田原陥落により全ての戦が終わった後、冷静に振り返ってみると「結局、こいつは何がしたかってん?」と思わざるを得なかった。長親の心情は作品内では明示的に語られることなく、そのほとんどが正木丹波の推測として語られるのだが、読者視点であるはずの正木丹波が納得するシーンで「?」となるところもあった(特に最後の甲斐姫の処遇について、あそこで納得するんだったら、領民・家臣を苦しめても開戦に踏み切ったときの正当性って翻ってどうなるの? 結局は「城代の気分」で戦争したってことにならないか?と何かひっかかりを感じた))。
     あと、少し冗長な印象も受けた。上下巻合わせて400頁ほどだったが、もう少し削れるところを削って引き締めた方がテンポが出て、ダイナミックな展開になったと思う。

     ちょっと気になるところもあるにはあったが、それでも十分楽しめた。浅学にして石田三成の忍城水攻めを知らなかったので、「戦国時代にはまだまだ知らない面白い話があるんだ」と思わせてくれたのも大きい。
     さらっと読めるので、気になっている方には一読をオススメします。

  • 一番良かったのは、戦を経験したこともないのに軍略の天才だと豪語した若武者が、自分の策で見事に敵を打ち負かし、敵の総大将三成から賛辞の言葉を受け、はらはらと泣くシーン。
    思わずもらい泣きしそうになった。
    命がけで対峙した相手からの賞賛の言葉というのは、どれほど価値があるものか。
    のぼうはもちろんのこと、それぞれのキャラクターが生き生きと描かれている。
    戦国時代ってのはこんなにも清々しい男たちが生きた時代だったのだろうか。
    時代小説は現代にない価値観を与えてくれてやはり面白い。

  • 感動した。
    男達の熱き思いに魂が揺さぶられ、最後は涙しそうだった。

    石田三成の二万の軍勢を破った僅か五百の忍城の士。
    ハリウッド映画"300"を思い出した。

    圧倒的な筆力で描かれるのは、大スケールの忍城の水攻め。
    かかんに立ち向かう忍上の武士達。
    帯にあるように、さながらハリウッドの大作でも見ているようだ。

    戦いも終わって、離れ離れになっていく愛すべき将達。
    うー、かっこいい。

    結ばれることの無かった親長と甲斐姫。
    清々しくも切ないエンディングだった。

  • 武力をもったとてつもないリーダーシップという
    武将をイメージしていたが、
    人心掌握というすばらしい方法をもった
    すごい武将がいたことがびっくり!

  • 映画化されるのもうなずけるほど面白かった!本の中の主人公は映画の野村萬斎とは違う大男なのですが、萬斎のキャラクターの方がしっくりくるので読みながら主人公だけは萬斎のイメージで読んでいました。

    歴史にそれほど詳しくはないのですが、それでも楽しめました。

  • 映画化されたことを知らなかったのだけど、キャストを確認してから読み進めると、その情景が目に浮かぶようだった。

    史実に基づくお話ではあるものの、
    「こうではなかろうか」という著者のイメージもきっと織り交ぜてあるのだろうし、現代に住む私たちにもわかりやすい言い回しを用いてくださっていて、歴史小説に馴染のない私でも、あまりストレスもなく読み進めることができた。

    読後がさわやかなのは、主だった登場人物が誰一人欠けなかったからだろうか。
    忍城を守る家臣たちをはじめとする当時の武人たちが皆、礼節を弁え、敵味方が互いに敬意を払っている姿に、現代の日本人が忘れている本当の意味での「大人」を見た。

    莫迦なのか、莫迦ではないのか。
    有能なのか、無能なのか。
    常人には理解しがたい高みに居る気がする「のぼう」
    彼だからこそ、忍城を守りとおすことができたんだと思う。

    DVD、借りてこよう。
    って、あー!
    まだ公開されてなかったのか!!

    • まろんさん
      まだ公開されてなかったのか!!
      ってところがあまりに可愛らしくて、きゅん♪としちゃいました(*^_^*)
      気になってる本なのですが、世界史は...
      まだ公開されてなかったのか!!
      ってところがあまりに可愛らしくて、きゅん♪としちゃいました(*^_^*)
      気になってる本なのですが、世界史は好きだったけど
      漢字がやたらと多い日本史は苦手だった私でも大丈夫かしら。。。
      2012/08/26
    • 永遠ニ馨ルさん
      可愛らしくてきゅん、だなんてそんなっΣ(*ノノ)
      自分のウッカリ具合が恥ずかしいです。
      レンタルショップで「『のぼうの城』ありませんか?」っ...
      可愛らしくてきゅん、だなんてそんなっΣ(*ノノ)
      自分のウッカリ具合が恥ずかしいです。
      レンタルショップで「『のぼうの城』ありませんか?」って訊かなくて本当に良かったです……
      漢字はそこまで多い印象はありませんでしたから、きっと大丈夫だと思います。
      映画が公開される前に、ぜひ読んじゃいましょう♪
      2012/08/26
  • 昔映画のCMを見た(野村萬斎さんやったかな?)+エレカシのタイアップで気になっていた本。
    登場人物のそれぞれの視点で物語が進む中で、読んでいて全く忙しくない。個々のキャラクターが立っていて長親を中心とした展開ではあるけれど、感覚的には短編集を読んでいて結果それらが全部1つの物語でした、という感じ。
    しっかりした人間ドラマ読む気力ないわー、って時に、安心して読めるのか時代ものかもしれないと最近気づいた。

  • 装画オノ・ナツメがきっかけで購入。今も変わらず歴史小説に苦手意識があるけれど、和田竜作品は特別。小説のようで、映画のよう。目に浮かぶような戦のシーンに手に汗握り、登場人物たちの会話はその関係性が手に取るようにわかって読んでて楽しい。私はとにかく長親さまが大好きで、一喜一憂しながら一気に読み終えた。いつか忍城を訪れてみたいと言い続けて何年も経ってしまった。いつか。

  • ストーリー性とキャラクター性が特に秀逸な作品。石田三成が「戦下手」と言われるきっかけになった忍城の戦いが題材。文章も現代的で堅苦しくなくて読みやすいし、時代背景も随所に入れられているので、読み手を選ばない。
    何度読み直しても、新しい発見がある小説

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