スヌスムムリクの恋人

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093862202

作品紹介・あらすじ

苦しみ続けた人が報われようとする時、僕はいつも思うんだ-そうさ、やっぱり世界はまんざら捨てたもんじゃない。稀代のヒットメーカーが問う、究極の愛のかたち。ドラマ「高校教師」から15年、「聖者の行進」から10年-。今年最大の話題作「薔薇のない花屋」の感動をふたたび。

感想・レビュー・書評

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  • スヌスムムリクの恋人=スナフキンの恋人。スナフキンは英語圏の名前で、原作のスウェーデン語ではスヌスムムリクです。

    女の子に対して八方美人な直紀、男らしい哲也、成績優秀な清人と、性と体が一致せず苦しむ望。4人の幼馴染たちの友情と愛情の物語です。

    望がどういう選択をし、直紀が望の想いに応えるのか、いや、望ははじめから直紀と恋人になることはあり得ないと思っているような気がするけれども…と、切なくなります。
    壊れていく望。子どもの頃のセリフで「ヘーキ」と片仮名で何度か書かれていたせいか、美術の先生とひと悶着あったあとに直紀が「ヘーキだよ」と言った時に、子供の頃の関係性に戻ったんだと、読んでいて嬉しくなりました。望の幸せのために全力を尽くす3人が青春を感じさせてくれます。

    2008年初版なので、時代を感じるところありますが、脚本家の野島伸司氏らしく色々な展開と葛藤があり、所々泣きそうになります。

  • 性同一性障害を抱えるノノと、幼なじみとして密な関係で育った直紀、清人、哲也。苦しい思いを抱えながら成長するノノと、そんなノノを救おうと奮闘する幼なじみたちの物語。

    直紀が結局のところ、男女間の恋愛という意味ではノノの気持ちに応えられないことが、この物語の最も重要なポイントだと思う。もしこれが「性同一性障害をもつ恋人と僕のラブストーリー」だったら、ノノはもっと幸せな青春を送れただろうけど、逆にどこか特殊な人たちの話になってしまって、「生きるってなに、愛ってなに」という普遍的な話には広がらず、こじんまりしてしまうと思う。
    友情物語と成長物語と社会問題と作者の伝えたいテーマが独自の世界観にきれいにおさまってる。

    初読のときは気付かなかったけど、作者の意見や考え方が透けて見えるところが(本筋とは関係ない部分でも)多くて、こういう批判を恐れずに自己主張できる人だからこそ、こういうデリケートな話題を果敢に扱えるのだろうなと。

  • 読み終わって涙が止まらなかった。でも良い話だった!って泣くんじゃなくて、さーって流れていく。
    「生きるってなに?」とか「なんのために生きるの?」という問いかけには頭で考えてはだめなんだな。他人に答えを聞いても、他人の答えを聞いてもだめなんだな…

  • 生まれた時から一緒だった幼なじみの少年達、知的な清人・熱血漢な哲也・八方美人な直紀、そして女の子のような外見をした望は、心も女の子だった。
    4人の少年の恋と友情の物語。ただの青春モノではなく、美しくて残酷な、野島伸司ワールド…。
    久しぶりの野島ワールドにどっぷりとはまり、一気読み。話が進むにつれ痛々しさが増していくけど、終わり方に救われた。良かった。
    タイトルの「スヌスムムリク」とは、ムーミンのスナフキンの本名。スナフキン好きだから、嬉しい。
    『“ねぇムーミン、分かるかい?”苦しんだ人が報われようとする時には、ホラこんなにも水面はキラキラと揺れて、風車は夢のようにカラカラと回転する。そうさ、やっぱり世界は満更捨てたもんじゃない』

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99105970

  • なんか良かった。4人の友情?せつない。苦しい。言葉にできないほどの心のつながり。みんな幸せになろう。

  • 幼なじみ4人のお話。友情っていいなと思える作品

  • 綺麗な話 性別と心が題材になってるので色んな考えや感情が書かれていて読んでいて考えさせられることばかりだった 伏線回収の仕方がスマート

  • 読む前はナオキってしっかり者のイメージがあったけれど、読み始めたらそのイメージは変わりました。

  • YA的な青春小説で読みやすい文体だった。重たいテーマながらどこか軽い感じがとっつきやすかった。
    村上春樹文体で少女漫画のNANAを読んだような気分。

    タイトルの意味を知っていたので惹かれて手に取ったものの、やや無理やりとってつけたように感じられて残念。

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著者プロフィール

1963年、新潟県生まれ。88年脚本家デビュー。数々の話題作を手がける。

「2015年 『お兄ちゃん、ガチャ(2)<完>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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