つばさものがたり

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 1133
レビュー : 269
  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093862844

感想・レビュー・書評

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  • 大切な人を失う事は、
    哀しみ以外の何でもない
    と、信じていた頃は

    『フランダースの犬』の主人公ネロは
    (かわいそう…)な子でしか無かった。

    あの時、流した涙は
    単純に不幸な死に対する抗議の様なものであった、と思う。

    『つばさものがたり』の主人公小麦ちゃんは若くして不治の病に侵されてしまった。

    パティシエとして懸命に働く彼女ではあったが、その命は風前の灯。息も絶え絶えで体は限界なはずなのに、何故か眩しいほどの強い光を放っている。
    彼女が放つ柔らかい光は、
    どこまでもどこまでも拡散してゆき、彼女を見守る人だけじゃなく、異世界のもの、果ては私が手にしているこの本までも、を包み込み、

    私は何故か
    ネロが死の間際に見たルーベンスの絵を照らした光の本当の正体を見た様な気がした。
    あの光は、
    死に打ち勝つ光。

    いや、勝ち負けじゃないか。
    読後感じたこの満ち足りた気持は、勝利して得た満足感とは、全く違うものだったから。

  • 浮世離れしていると言われようと、いい歳して甘すぎると言われようと
    好きにならずにいられない、この物語。

    古書店で買った本の中に挟まっていた栞に印刷された
    書籍広告をきっかけに手に取った本なのですが、
    栞をはさんだまま売りに出してくれた誰かに「ありがとう!!」と最敬礼したいほど♪

    天使が見えるだけではなく、会話までできてしまうはにかみ屋の少年、叶夢(かなむ)。

    人間のおいしいオーラを食べるくせに、叶夢以外の人間には毒舌をふるい
    りっぱな天使になるために飛ぶ練習に余念のない、天使と妖精のハーフのレイ。

    「オーラがくさい」とこきおろされながらも、自分の目には見えないレイに
    小さな翼で遠くまで飛ぶための練習メニューを準備し、コーチする代二郎。

    軒先で天使が羽を休めるパティスリー。

    ヒロイン小麦が病をおして完成させる、ホワイトチョコレートの翼に
    サイコロ状のシフォンケーキが詰められた、ファボリ・ダンジュ(天使のお気に入り)

    森の中の野原で行われる、レイの「エンジェルテスト」につきあい
    叶夢の実況中継を聞きながら、見えないレイを声を枯らして応援する大人たち。

    「ファンタジーなんて」と見下す人にはけっして読んでほしくないし
    ただの「泣ける話」と一括りにしてほしくない、
    私の好きなものがいっぱい詰まった、
    小麦の作るファボリ・ダンジュのような物語です。

    • nobo0803さん
      「クローズノート」を読んで、雫井さんが気になり、今までサスペンスしかないのかな??と思ってた自分が恥ずかしい・・・で、ふと古本屋で「つばさも...
      「クローズノート」を読んで、雫井さんが気になり、今までサスペンスしかないのかな??と思ってた自分が恥ずかしい・・・で、ふと古本屋で「つばさものがたり」の表紙が目にとまり買わずにいられずに即購入。
      次の出番を待っていたところで、まろんさんのレビュー!!早速読みますね。
      同時期にまろんさんと同じ本を手にしていたなんてうれしいな♪
      2012/09/28
    • まろんさん
      おお!noboさんも今、この本が手元にあるだなんて、またまたうれしい奇跡です♪
      レビューにもちょこっと書きましたが、この本とめぐり合わせてく...
      おお!noboさんも今、この本が手元にあるだなんて、またまたうれしい奇跡です♪
      レビューにもちょこっと書きましたが、この本とめぐり合わせてくれたのは
      古書店で105円で買った『ちょんまげぷりん2』にはさまっていた、小学館の栞だったのです。

      この『つばさものがたり』、ヒロインは小麦で、もちろん小麦の物語も胸打たれるのだけれど
      小麦の甥の叶夢と、天使をめざすレイのエピソードが、信じられないくらい私好みだったので
      noboさんも気に入ってくださるといいなぁ♪
      レビュー楽しみにしていますね(*'-')フフ♪
      2012/09/29
  • よかったです。すごく良かった。
    病に侵されながらも、最後までパティシエとして限界まで働く小麦ちゃん。
    小麦ちゃんのお話もよかったけど、それよりも私は天使を見ることができる叶夢くんと、天使と妖精のハーフである「レイ」とのお話が好き。

    天使が見える叶夢くん、父、代二郎はなかなか受け入れられなかったけど、「レイ」のエンジェルテストのコーチをすることで、叶夢との絆を深めていく。
    エンジェルテストのとき、叶夢にしか「レイ」は見れないのだけど、代二郎、小麦が必死になって応援してるのがよかった。

    最後、「レイ」が小麦ちゃんを迎えに来た時、涙がとまらなかった。

    叶夢くん、純粋で心のきれいな優しい子。
    この本を読んで、叶夢くんに私の心まできれいにしてもらった、そんな気分にさせてくれる素敵な本でした。

    • まろんさん
      noboさ~ん!うれしいです、noboさんもこの本を好きになってくれて♪

      絵に描いたようなハッピーエンドじゃないし
      天使が出てきても、小麦...
      noboさ~ん!うれしいです、noboさんもこの本を好きになってくれて♪

      絵に描いたようなハッピーエンドじゃないし
      天使が出てきても、小麦の病気が治るというような劇的な奇跡は起こらないけれど
      奇跡なんか起こせないレイが、小さな翼で懸命に飛ぶ練習をしたり
      それを叶夢が大人たちまで巻き込んで必死に応援したり
      そういうエピソードがとても素敵で、大好きでした!
      毒舌天使なのに、ちゃんと小麦との約束を守って
      最後の瞬間に間に合わせて小麦を迎えにきたレイに、私も泣かされました。
      同じ時期に、同じ本を、素敵と言ってくださって、
      ほんとに感激です!ありがとうございます(*'-')フフ♪
      2012/10/02
    • nobo0803さん
      まろんさんのお勧めもあったし、わくわくしながら時間も忘れて読みふけってました。おかげで寝不足になりましたが・・(笑)
      でも眠たさを感じさせな...
      まろんさんのお勧めもあったし、わくわくしながら時間も忘れて読みふけってました。おかげで寝不足になりましたが・・(笑)
      でも眠たさを感じさせないくらい素敵な本でした。
      私も、自分が「レイ」を見れてるような幸せな気分をあじわえました。
      ほんとに、同じ時期に、同じ本に感動できるっていいですね♪
      2012/10/02
    • kuroayameさん
      早速読んでみたい本に登録させていただきます(^O^☆♪。
      早速読んでみたい本に登録させていただきます(^O^☆♪。
      2012/10/27
  •  久しぶりに本を読んで泣いた。
     もっとまわりの人を頼ったり、真実を打ち明けたりしたらいいのにというはがゆい思いと
    それをできないことがわかる気持ちとが綯い交ぜになりながら読んだ。

     そんなにひとりで抱える必要がどこにあるのかと訊きたい。
    けれど、そうしてしまうのが人間なのだろう。がんばりすぎて痛々しい。
    甥っ子が場を和ます重要な位置にいた。天使が見えるのも大人では話が違ってくる。
     後半から登場の中川くんがいい存在感だった。

     兄妹のつながりがあったかいし、家族間の絆がいい。
    兄嫁ー義母・妹との距離も場面的にあるので、現実感が増してひきこまれる。

  • なんかふわっと柔らかいシフォンケーキのような物語。
    半分天使が見える不思議な少年とその家族の話なのか(しかもキラキラネームやし…)と思いきや、その叔母に当たるパティシエール小麦ちゃんの切ないほど必死な思いの詰まったお話でした。

    翼が小さく空を飛べない天使といっしょに
    叶くんも小麦もみんなみんながんばっていく。
    すぐには飛べないけど、基礎体力や筋力をつけて、イメージを広げて
    少しずつ少しずつ距離を伸ばして、コツをつかめば一気に飛躍できる。
    自転車と持久走とか例がわかりやすい。
    そうなんだよね、積み重ねって大事だよね。
    小麦ちゃんの回りの人もみんなそれぞれの翼を育てていく様子がいいなぁ。
    道恵の決断は、わたしもまだ何か始められる気がしてうれしい。

    主人公が不治の病で余命が限られている、にしては
    闘病の苦しさや死への恐怖を描くのではなく、夢を叶える姿を明るく見せてくれたのはなんかいいなぁと思いました。
    ファボリ・ダンジュ食べてみたい。

    • まろんさん
      妖精じゃなくて、ちゃんとした天使になりたいんだー!と
      一生懸命飛ぶ練習をする天使、というのが素敵でした。
      大好きな物語です。
      そして私も、フ...
      妖精じゃなくて、ちゃんとした天使になりたいんだー!と
      一生懸命飛ぶ練習をする天使、というのが素敵でした。
      大好きな物語です。
      そして私も、ファボリ・ダンジュを食べてみたくてたまりません♪
      2013/01/07
    • tiaraさん
      確か、まろんさんのレビューを見てこの本読んだんですよー。
      ありがとうございました。
      ステキなお話でしたよね。
      確か、まろんさんのレビューを見てこの本読んだんですよー。
      ありがとうございました。
      ステキなお話でしたよね。
      2013/01/08
  • 読み終わって、つばさものがたりっていうタイトルの良さをしみじみ感じました。みんなそれぞれがつばさ持ってるんだなぁ。叶えたい想いがあって、自分で努力して飛べるようになる過程をうまく描いていて、とても気持ちのいい作品です。展開は読めるんだけれども、臨場感があり、かなり好みの世界観に涙腺ゆるみまくりました。レイも叶夢(名前がベタだけどこれが効いてる)もそばにいたら可愛いだろうな。クローズドノートも大好きですが、こちらはレイが印象深いし、時が経っても忘れない本になりました。

  • 東京でパティシエとして働きながらも、実はがんに犯され、それを周りに隠しながら過ごす小麦という女性、小麦の兄・代二郎の息子で天使が見える叶夢を中心に、洋菓子店を地元で家族と共に開いていく物語。

    お店が出来るまで~できてからの流れに沿って、母親、代二郎、代二郎の嫁の道恵、家族それぞれの想いや絆が深まっていく過程の書き方が、とてもリアルでよかったとおもった。
    こういうのが家族愛なんだろうなと。
    叶夢と叶夢にだけ見える天使のレイとの会話に始めは父の代二郎も困惑し息子を病気なのではと思うほどだったが、そのことがきっかけで次第に親子としての愛情を深めていく姿も心があたたかくなった

    終盤は、もう結末はわかっているけど読んでいて涙がとまりませんでした(笑)なぜ天使がでてきたのかもそういうことだったのかと。
    だけどわたしは、代二郎が小麦について最期に思ったところ、いちばん涙がとまりませんでした
    妹を想う兄の愛情のみがそこにあると感じてしまいました

    ありそうで、なかなかない家族愛について書かれている一冊です

  • パティシエとして一本立ちしようとする若い女性を襲う病魔。
    家族の暖かさに支えられ、店を出しますが…

    君川小麦は、故郷に戻って店を出すことにした。
    人気店「ハルタ」で修行してきた小麦。
    都心でスーシェフになる道もあったのだが、3年前に乳ガンを発症し、健康上の不安を抱えていたのだ。

    母と小さなお菓子屋でも出そうというのが亡き父の夢だった。
    母の元気なうちに一緒に店をやろうと決意。
    兄の代二郎の妻・道恵も協力してくれることになる。
    幼い子がいる道恵は販売の手伝いをするぐらいの軽い気持ちでいたので、真剣にケーキ作りを仕込まれることになって驚くのだが。

    賃料が割安だった店は次々に代替わりしていて、実は場所が良くないらしかった。
    師匠の春田は店を覗きに来て、これでは売れ行きが伸びないだろうと厳しく忠告をして帰る。
    ハルタのレシピで得意なケーキを作っても良いと許されたのだが。
    小麦は体調を崩していて、味覚も厳密ではなくなっていた。
    一度は諦めて閉店しようとし、気落ちしてしまうが…

    店を出す具体的な努力と苦闘。
    お菓子作りのアイデアや苦心も面白いですが、もう一つファンタジックな要素があり、不思議な味わいを醸し出しています。

    兄夫婦の一人息子・叶夢はいささか変わっていて、友達が出来ない。
    天使が見えると幼い頃から口にしていて、天使のレイが唯一の友達。話が次第に具体性を帯びてくる。
    レイがこの店の場所は良くないと言っているという話を信じるようになる小麦。
    新しい場所を探すことに。
    天使のお気に入りという意味の「ファボリ・ダンジュ」という店にして、その名前の新作ケーキを考案するのです。

    レイはまだ天使になるか妖精になるかわからない、テストで飛ぶ成績によって道が分かれるのだという…
    最初はとても信じられずに困惑していた代二郎だったが、いつの間にか目には見えない天使のレイに、飛ぶ指導をすることに。

    ひらがなのタイトルどおりの優しい雰囲気。
    ちょっと哀しいけれど、読後感も良いです。

    • まろんさん
      叶夢にしか見えないレイを、周りの大人たちがだんだん受け入れ始めるにつれ
      どん底だったケーキ屋さんが持ち直し、
      レイがテストに合格して、上手に...
      叶夢にしか見えないレイを、周りの大人たちがだんだん受け入れ始めるにつれ
      どん底だったケーキ屋さんが持ち直し、
      レイがテストに合格して、上手に飛べるようになるにつれ
      小麦の夢もはばたいていく、というのが素敵でしたね。

      「オーラがくさい」とまで言われながらも
      目には見えないレイのトレーニングを引き受け、
      テストの日には大声で応援する代二郎が、いい味出してました♪
      それにしても、ファボリ・ダンジュ、おいしそうでしたね~(*'-')フフ♪
      2012/11/08
    • sanaさん
      まろんさん、
      雰囲気の良いお話でしたよね~!
      まろんさんのレビューで読んでみました、実は♪

      それぞれの立場や思いがいろいろ違ってい...
      まろんさん、
      雰囲気の良いお話でしたよね~!
      まろんさんのレビューで読んでみました、実は♪

      それぞれの立場や思いがいろいろ違っているのを自然に描きながら、叶夢の言っていることを皆が信じるようになっていく…
      小麦のオーラが美味しいとレイに言われたり、テストの日に小麦が元気になったりして、ほのぼのしました。

      代二郎の現実味のあるキャラが「オーラがくさい」なんて言われながら、だんだん立つ瀬を見いだしていくのもホント、いい味出してました!
      ファボリ・ダンジュ、誰か作ってくれないかしら~♪♪♪
      2012/11/09
  • 犯人に告ぐ」等、犯罪を扱うことの多かった作者にしては珍しくファンタジーである。残り少ない人生を自分の夢に賭ける主人公の姿が物語の核であり、核の部分では著者の筆力も発揮されているのだが、物語に個性と彩りを添えるはずの甥っ子と天使の会話や天使から派生する一連のファンタジックな描写でどうしても鼻白んでしまい、今ひとつ楽しめなかった。こうした設定をすんなり受け入れられる感性の持ち主なら素直に感動できるのかもしれない。

  • 天使の見える叶夢君。お父さんの代二郎の不器用な優しさや母の道恵の真面目さ、代二郎の妹の小麦の真摯さ。ケーキ屋さんを開くという夢と、病気との闘い。想いテーマを扱いながらも、暗くならずとても面白かった。お店を手伝うことになる中川君がとってもいい味出していた。

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