つばさものがたり

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093862844

感想・レビュー・書評

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  • つばさものがたり
    著作者:雫井脩介
    発行者:小学館
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    天使が絆ぐ家族の絆と優しい感動をくれる癒やしの物語。

  • 有名なパティシエの元、見習いパティシエールとして働いていた小麦は、ある事情で実家のある街に戻り、家族と共に自分の店を持つことにした。

    前半、あまりにも我慢をし、無理をし続ける小麦に共感出来ませんでしたが、家族に事情を話さざるを得なくなってからは、小麦の健気さ我慢強さに胸を打たれました。

    彼女の身に降りかかった出来事が、彼女の運命を変えることになってしまったけれど、最後まで戦い続けた小麦はきっと幸せでしたね。

    叶夢くんとレイのエピソードも絶妙で、ファンタジーにならない配分で良かったと思います。
    叶夢くんが大きくなって、いつか小さい時の友達としてレイを思い出す、そんな日が来るのでしょうね。

  • 家族の絆を描いたものだけど、叶夢が天使と妖精のハーフの子であるレイを見る事ができるというファンタジー要素もある。だけどレイの存在は小麦の最期に繋がっているし少し現実的ではないにしても、家族の絆がとてもよくて感動的。ラストはウルウルきちゃいました。

  • 最後のほうで店の経営がうまくいくあたりは、急ぎすぎた感じがしたが、店がうまくいかない時、修行時代の話は主人公の苦しさが伝わってきて、感情移入できた。

  •  雫井脩介の筆力にはいつも脱帽。

     ミステリ作家として注目したはずなのに、『クローズド・ノート』という女性小説で凄腕を発揮して見せた。映画化に当たって沢尻エリカの「別に」会見でこの作品が超有名になってしまったことは置いといて。

     今回は女性小説というよりはホームドラマなのかな? わかりやすく言えば、いわゆる癌との闘病小説でもある。余命いくばくもないヒロイン小麦と、彼女を取り巻く家族たちの物語というタイプだ。

     作品のごく最初の方で、ヒロイン小麦が癌に侵されている情報は、読者にだけ明らかにされる。小麦は放射線治療を受けていることも、癌細胞が転移しておりもう治療のすべがないことも、家族に言わず自分の中に抱え込んでいる。さてこれからの彼女の残りの人生はどうなるのか? 家族との今後の生活はどうなるのか?

       それだけ書くととてもありきたりなのだが、本書はその後の過程が、タイトルでも表されている通り、いわゆる普通ではない。雫井という作家がありきたりの作品を書くわけがないのだ。

     ヒロインの甥っ子に当たる叶夢(かなむ)ちゃんとこの子だけが見ることのできる天使レイの存在がこの物語のポイントなのである。天使と言ってもレイは妖精とのハーフらしく、天使として人間のなかで生きるか、妖精として森に生きるかを、これから決めてゆかねばならないらしい。天使として人間のなかで生きることを希望するレイは、翼を使っての飛行テストを志願するらしい。

     叶夢ちゃんを通して、家族は天使レイを実在するものと仮定し、小麦は病気を隠したままパティシエールとしての道を歩み出す。夢を叶えるという名前の甥っ子と、残された日々を夢に向かってせいいっぱい歩き出す小麦とのクロスロードこそがこの物語を秀逸で唯一のものにする核の部分だ。

     小麦の新しい日々は、順風満帆とはとても言えず、治療により味覚を失った小麦はケーキ作りにおいて挫折を見たり、家族や仲間とのデリケートな距離づくりそのものが、悩みにつながったりもする。雫井脩介のペンは、それらの機微を拾いながら、全体ではしっかりした起承転結というかたちでストーリーテリングをしてくれるので、どちらかといえば一気読みを余儀なくされる、いわゆる夢中になって読める小説に仕上がっている。

     当然、こちらはクライマックスに備え、滂沱の涙だけは防ぐぞと、身構えているわけだが、予測どおりというか、『クローズド・ノート』の雪辱も叶うことなく、作者の術中に陥り、まんまと涙腺をやられてしまうのだった。これは駄目だ、とぼくは諦めました

     本当に素晴らしい小説である。この作家の文才にはいつもながら惜しみなき賞賛を贈りたい。

  • 暖かい人達、勇気のある人達のお話しで読んでいて心地よかった。

    チャンスがあっても、与えられた体によって
    挑めないことが世の中には沢山起きてるから。
    自分も挑戦出来ることは、もっとしていきたいなって思いました。



    家族が一生懸命希望に向かって羽ばたいていて。
    一生懸命だけど、子供達の存在でほわわんとした雰囲気も。
    子供って本当素敵な存在だなって思いました。
    この本を貸してくれた人が、このお話し好きなのが嬉しくなるような
    そんなお話しでした♪

    • nori-blueさん
      そう思います。
      まだまだ可能性とチャンスが
      この先にたくさんあるよ!きっと
      ほら!おいしそうなオーラが見えます(^^)
      そう思います。
      まだまだ可能性とチャンスが
      この先にたくさんあるよ!きっと
      ほら!おいしそうなオーラが見えます(^^)
      2013/03/14
    • 373akikoさん
      ノリさんもですよ!

      生き残る人はね、強い人でも賢い人でもなく
      変化できる人なんだって♪
      ダーウィンさんが言ってて、私もそう思います。
      これ...
      ノリさんもですよ!

      生き残る人はね、強い人でも賢い人でもなく
      変化できる人なんだって♪
      ダーウィンさんが言ってて、私もそう思います。
      これからも、いーっぱいチャンスと可能性を見つけてゲットして
      もーっともっと進化して1000年くらい長生きして下さい^^
      2013/03/14
  • 雫井さんの話なので、題名だけ見て飛行機に関する話だと思って読みました。
    ところがどっこい、いい意味で大きく裏切られました。

    悲しくて、切ないけれど、出てくる人たちがみんなとてもきれいで、優しくて、暖かい話でした。
    現実はもっと冷たくて、厳しいものかもしれないけど、人の純粋な想いに助けられたり、救われたりすることはたくさんあると思うから。

  • 映画を見ているような感覚でスラスラ読めてしまいました。
    登場人物の視点の切り替えがすごく良いです。自然なタイミングで行われていてさすが雫井さんだと思いました。オムニバス映画的な感覚です。

    人と人のつながりが本当に素敵な小説です。それぞれがそれぞれをきちんと思いやって、衝突もするけれど、皆が真摯に向き合って前に進んだり振り返ったりする様子に心が温かくなります。

    何より、大人たちが叶夢の言う「天使」について耳を傾ける姿勢が好きです。「ちょっと変わった男の子」としか表現されていませんが、だからこそ小麦も、代二郎も、道恵も、そして私たちもすんなりとそれを受け入れられたのかもしれません。

  • 温かい話でした。ケーキと天使が好きなのでなおさら♪

  • 以前読んだ「犯人に告ぐ」のような警察ものを想像していたが、全く違った。ケーキと家族と天使のお話。
    電車の中で何度か涙が出そうになって堪えた。
    死に直面するところを、天使を絡めて軽妙な語り口でグイグイ読ませてくれたのは、作者の力量か。もう少し重い方が個人的には好みだけど。
    ケーキ食べたくなった。

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著者プロフィール

1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年、第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』で小説家デビュー。04年に刊行した『犯人に告ぐ』で第7回大藪春彦賞を受賞。他の作品に、『火の粉』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『殺気!』『つばさものがたり』『銀色の絆』『途中の一歩』『仮面同窓会』『検察側の罪人』『引き抜き屋1 鹿子小穂の冒険』『引き抜き屋2 鹿子小穂の帰還』『犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼』『犯人に告ぐ3 紅の影』『望み』などがある。

「2021年 『霧をはらう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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