なぎさホテル

著者 :
  • 小学館
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感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863063

作品紹介・あらすじ

苦悩する若者を温かく受け入れ、家族のような目で見守ってくれた伝説のホテルとその人たち。絶望から再生へ、作家・伊集院静が誕生するまでの7年余りを初めて綴った自伝的随想15章。

感想・レビュー・書評

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  • 作家、伊集院静が誕生するまでの逗子のなぎさホテルでの生活を描いた自伝的エッセイ。これまで氏が山口県防府の出身とは知らなかったから同じ瀬戸内海に面した街に住む者としてシンパシーを感じた。何より老支配人が素晴らしい。

  • 荒んだ生活だが、安らぎと優しさが感じられる場面がある。誰かに支えられて生かされている時がある。支配人凄い。出会いがもたらす不思議。たまに心地良い時間が流れる。不思議な人生。こんな事もありなのですね。

  • 逗子のなぎさホテルを舞台とした伊集院静の滞在記.この辺に土地勘がある人はさらに楽しめる.何気ない日常(と言ってもホテル暮らし)を描いていいるのであるが,おそらく同じ経験をしても,このような文章は書けないであろう.日常を切り取る力がある意味作家の力量.小説とは違うエッセイの醍醐味.

  • 同じ県にいながら、このホテルの存在は知りませんでした。著者の自伝的内容になりますが、今の著者を見ると当時の姿が信じられない感じがします。逗子、葉山、鎌倉の情景がいいですね。

  • 1978年から7年余り 逗子なぎさホテルで暮らし、向き合った彷徨と苦悩、見守ってくれた人々との出逢いと別れが綴られた自伝的エッセイ。

    「こうして古いホテルでの日々を述懐しながら、過ぎて行った時間を振り返ってみると、私という人間が、元来のいい加減さや性悪な気質をかろうじてバランスを取って、堕ちて当然の場所でくたばらずに済んでいるのは、私を見守ってくれた人々の情けでしかなかったのがよくわかる。」

  • 2022年3月10日読了


  • 無頼派の何たるかを教えてもらった、厨子のホテルでの滞在記。

    夏目雅子さんとのエピソードや、氏が作家になるまでの自伝的随想。

    宿泊代をとらずに支えたホテルの支配人の人柄に、暖かくなりました、

    【本文より】


    ・人生は哀しみとともに歩むものだが、決して悲嘆するようなことばかりではないということである。

    ・持って行き場のない怒りをかかえて、うろうろと街を徘徊し、人を妬み、裏切り、失望し、大勢の人たちに迷惑をかけて生きていた。

    ・(中略)私という人間が、元来のいい加減さや性悪な気質をかろうじてバランスを取って、堕ちて当然の場所でくたばらずに済んでいるのは、私を見守ってくれた人々の情でしかなかったのがよくわかる。

    ・「タダキ君、自己表現だよ。そのために人は戸惑い、悩み、うろうろするんだ。でもそれでいいんだよ。万歳だよ、万歳だ」

  • すごい廻り合わせで、手元にきた本。読むべき本だったのだろう。初、伊集院静。

  • 泊ったことはないが、「逗子なぎさホテル」若き日の記憶に残っている。読んでいて風景が浮かんでくる。物語に出てくるのは“いい人”たちばかり。読後感がいい。

  • 昔から無頼な生き方に憧れがありました。

    あるとき、無頼に身を委ねようと試みたことがありましたが、そもそもが臆病な自分にはまるっきりダメでした。

    無頼というのは一つの才能のようなもので、そうしようと思ってできるものでもないのだな、と諦めたものです。

    この小説は伊集院さんが実際に7年間暮らしたホテルでの話を書いてますが、とうの昔に諦めた自分の憧れを満たしてくれる小説でした。

    なんともなしに本を開くと、自然と読むことを止められなくなる…この魅力は?と立ち止まってみたら、無頼への憧れを満たしてくれると同時に、この本を読むことが自分にとってのぬくもりと安らぎを与えてくれていたことに気がつきました。

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著者プロフィール

1950年山口県生まれ。’81年短編小説「皐月」でデビュー。’91年『乳房』で吉川英治文学新人賞、’92年『受け月』で直木賞、’94年『機関車先生』で柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で吉川英治文学賞、’14年『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』で司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞する。’16年紫綬褒章を受章。著書に『三年坂』『白秋』『海峡』『春雷』『岬へ』『駅までの道をおしえて』『ぼくのボールが君に届けば』『いねむり先生』、『琥珀の夢 小説 鳥井信治郎』『いとまの雪 新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯』、エッセイ集『大人のカタチを語ろう』「大人の流儀」シリーズなどがある。

「2023年 『ミチクサ先生(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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