とある飛空士への追憶

著者 :
  • 小学館
4.11
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本棚登録 : 363
感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863094

作品紹介・あらすじ

話題の映画原作本、新装版で一般発売!

傭兵飛空士・シャルルは、流民上がりである自分が未来の皇妃ファナを本国まで送り届けるという荒唐無稽な指令に我が耳を疑った。圧倒的攻撃力の敵国戦闘機「真電」が、シャルルたちの搭乗する複座式水上偵察機「サンタ・クルス」に襲いかかるなか、ふたりは無事本国まで辿り着けるのか? そして、飛行中に芽生えたシャルルとファナの恋の行方は――!?
蒼天に積乱雲がたちのぼる夏の洋上にきらめいた、恋と空戦の物語。

ライトノベルとして2008年に発売した直後から口コミで話題となり、2008年Amazonエディターランキング1位、2008年Amazon売り上げランキング6位、2009大学読書人大賞2位など、すばらしい評価を受け続け、ついに今秋アニメ映画として全国ロードショー。
『サマーウォーズ』『時をかける少女』などで名高いマッドハウスが制作をてがけているこの映画も大いに評判をよんでいます。

感想・レビュー・書評

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  • 私は基本的にハッピーエンドが好きだから
    ハッピーエンドではない事が残念ではあるけど、
    もしこれがハッピーエンドだったらきっと他のありきたりな
    物語に埋もれて思い出しもしなかっただろうな。


    借りて読んだ本だったけど、いつかちゃんと自分で所有したい本。

    • daisy-bellさん
      私が抱いた感想と寸分違わず同じでびっくりしましたΣ(´Д` )

      私は図書室で借りて読みました。

      リアルの本棚にも置きたくなっちゃいますよ...
      私が抱いた感想と寸分違わず同じでびっくりしましたΣ(´Д` )

      私は図書室で借りて読みました。

      リアルの本棚にも置きたくなっちゃいますよね!
      2012/12/21
  • 少し遅い夏休みに、改めて新装版を読んでの感想。

    6年前に文庫版を読んだ後に新装版も購入したものの、再読すると初めて読んだ時の感動が薄れてしまうような気がして、そのまま書棚の肥やしになっていた。

    しかしどうやらそんな心配は無用だったらしい。改めて、名作は時が経っても名作だと感じた。

    世界観やストーリーはどこか既視感があり、取り立てて奇抜ではないものの、ページを繰る手が止まらなくなるのは著者の筆力のなせる技だろう。世俗から離れてただ物語を楽しむという読者の醍醐味を堪能させてもらった。

    作者自身が語る通り、ラピュタとローマの休日からインスパイアされて書き上げた小説だそうだ。願わくば同じように、世代を越えて愛される作品になってほしい。




  • 物語は素敵だけど、言葉の方は…どうかな。
    でも、本当に楽しめました。一気読みしてしまったので、次の日は眠くて眠くて(笑)

    ラストは、「まあ…そうなるよなあ…」という感じ。
    「予想のできるラスト」と一蹴することもできるけれど、どちらかというと、「そうなってしまうんだろうけど…わかってるけど…!」と、大どんでん返しを願わずにはいられない。でも、そうならないからこそ、このファンタジーにリアリティが増すのだろうと思います。

    「空のなかでは身分なんて関係がないから」
    この一言の中にすべてが詰まっています。

  • 切なすぎる…

    こういう系統にありがちな、無理やりハッピーエンドみたいなのが無かったのが良かったと思う反面、無理やりでもいいからハッピーエンドだったら良かったのにと思わずにはいられない…

    描写も透明感溢れるかんじですっごい好み。

    涙無しには読めない…

  • 『エリア88』『紅の豚』『スカイ・クロラ』。空戦ものは好きだ。どの作品においても自由と飛行機乗りはきっても切れない。
    もともとライトノベル装丁での出版ということが自分にとって壁となり、読みたいと思いながら恥ずかしさが先行して本屋で手に取れなかった。その後、小学館から新装丁で出版されたことを知り、やっと購入。特にライトノベルをどうのこうの思っている訳ではないが、どうしても気恥ずかしい。ヤンマガの『みなみけ』は別に堂々と買えるのだが……。

    作品の内容としては非常に稚拙で、プロットも使い古されたもので、なんら目新しさはない。架空の戦争にリアリティを持たすための戦略描写なども一切ない。
    描かれるのは無能な王子と、そこに嫁ぐ聡明な令嬢、絵に描いた権威主義の貴族。下層民出身のパイロットが次期王妃である令嬢を乗せ、単機敵中突破し王子のもとへ飛ぶ。苦楽を共にするうちにパイロットと令嬢は身分違いの恋心を抱く。
    おとぎ話のような戦争だ。
    だが、それがいい。
    世界観を説明する序盤では「そんなわけないだろ……」とつっこみを入れたくなる箇所が多いが、読み進めていくうちに小難しいことは必要ないのだと気づく。おとぎ話だからこそ、余計なことを考えずに、一場面、一場面を映画を観ているように読み進めていける。
     作家の描写力は非常に高い。空戦の迫力を出すため、夏の空、海に沈み、昇る日の美しさを伝えるため、少しずつ心を開いていく令嬢の心を描くため、とにかく作家は言葉を尽くしている。

     高校時代の友人が言っていたことを思い出した。
     言葉で表せないものを音で伝えるのが音楽であり、言葉で表せないものを絵で伝えるのが絵画だ。じゃあ、文芸は?
    文芸は言葉で表せないものを言葉で表すものだ。


     おしむらくは、自分がもう二十を半分以上過ぎてしまったことか。小学生か中学生の頃に読んでいれば、もっと純粋に感動できたはず。

  • ライトノベル特有のくだけた文章ではなく、
    情景や描写を丁寧に描かれていて
    すごく好感が持てた。

    戦闘機のシーンは、私も雲の中や空の上を飛んでいるような
    イメージで読めて、臨場感があった。

    朝焼けや星空のシーンもとても美しく描写されてて
    かといってくどい訳でもなく、
    良書だと思った。


    キャラクターにかんして、
    シャルルが人民階級の最下層に位置する人間なのに、
    現実をみすえ卑屈になりすぎることもなく
    飾らないまっすぐな性格の持ち主であることが本当に嬉しいし


    ”神がかっている”と言わしめるほどの戦闘機の操縦技術を見せたときには
    本当にカッコ良くて誇らしかった。


    ファナも、
    段々とこころを打ち解けて素顔を見せるようになり
    シャルルに我が儘を言ったりするところがいじらしくてかわいかった。


    でも最後にはお互いのたち位置をきちんと見据え、
    明日に向かって行きて行く強さを持って行くところが
    悲しくも綺麗なおわりかたなのかな。。。と。


    ライトノベルならではの大団円も期待しなくはなかったけど
    切なくも素敵なお話でした。

    でもやっぱりふたりが結ばれないのが寂しいため
    ★4つ

  • 描写が美しすぎた。何回も読み返したくなる本。

  • アニメ映画を見て気になったので購入しました。
    書評でアニメ映画がかなり酷評で「小説版を見た人には物足りない」と書かれていたので気になってました。
    小説を読んで酷評の理由がわかった気がします。アニメ映画はそれはそれで好きですが壮大さが全然違うし、タイトルに込められた意味の伝わり方が小説の方が上でした。
    ファナのその後はとても気になっていたのでそう来たか、と驚きました。アニメ映画を見て、買うの悩んでいる人がいれば是非小説版も読んで貰いたい!

  • これがライトノベルなのか!?
    『とある飛空士への追憶』はライトノベルレーベルであるガガガ文庫から出版された。
    それが人気を博し、映画化がなされたことで、加筆修正を行って新装版が出された。
    新装版では、文庫にあったイラストを省き、より一般小説らしい修正等がなされたようだが、「ライト」なんてとても言えない読みごたえがある。

    まず文章のレベルが高い。
    海、空、雲、光の表現はとても美しい。
    時折、同じ言葉・表現が複数回出てきてくどいと感じることもあるが、語彙は豊富でそれを当てはめるセンスもある。
    ファナの美しさを描写するときも、儚げな様子が伝わってくる。

    そして何よりストーリー。
    主人公シャルルはその生まれから、これまで迫害を受けてきた。
    それでも、幼い頃屋敷で出会ったファナの「悲しいときは、空を見上げるんだよ」という言葉を支えにして、飛空士になった。
    時はレヴァーム皇国と天ツ上の戦争の只中にあった。
    戦況により、皇妃となるファナを皇国の皇子のもとへ届けなければならなくなるが、それは敵中の単機翔破が求められるものだった。
    その任務にシャルルが選ばれ、二人は再会を果たす。

    「結ばれないロマンス」は昔からあるが、王道もここまで書ければ最強としか言いようがない。
    1週間にも満たない期間の、一瞬の恋。
    それでも一つ一つのシーンがとても印象的で、身分の違いに悩む二人の心情と、それでも抑えきれない感情にあふれている。

    戦闘機から逃げるシーンはとても細かく、躍動感があって、ハラハラする。
    読者に「吊り橋効果」を起こさせる。
    シャルルとファナと同じ危機を共有し、胸が高鳴り、それはファナに対するものだと錯覚する。
    その後のシーンでファナのキャラクターや心情に共感し、錯覚ではなくなっていく。

    ラストシーンは至高。
    こういう甘いの大好きだ。
    もう、何度二人でこの戦いから逃げてくれと思ったことか。
    シャルルがファナに話した水姫の物語が思い浮かんでくる。

    「たとえ短くて辛いことばかりの人生でも、一生涯のすべての歓喜を圧縮したような、かけがえのない瞬間に巡り合えたなら、その人の人生は幸せなものではないか……」

    この物語はこれで終わりでも、同じ世界を舞台にしたシリーズがあるので、必ず読もうと思う。
    文庫版を手に取るのもいいかもしれない。
    映画も見よう。

  • 最後まで清廉な飛空士シャルルが格好よかった。

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著者プロフィール

1971年生まれ。小説家。代表作に、「とある飛空士」シリーズ、『レヴィアタンの恋人』(ともにガガガ文庫)などがある。

「2014年 『サクラコ・アトミカ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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