読んでいない絵本

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 60
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863124

作品紹介・あらすじ

30年も昔、大学生だった"私"が見た異様な出来事。奇妙な味の表題作など珠玉の短篇小説三篇。愛と幻想と家族を描いた小説と戯曲とテレビドラマ-山田太一の精髄を集めた傑作作品集。

感想・レビュー・書評

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  •  テレビドラマのシナリオライターとなった「私」が、学生時代の下宿で隣人の夫婦に起きた顛末を回想、30数年ぶりにかつての場所を訪れるという表題作「読んでいない絵本」。
    俳優座の全国公演となった舞台シナリオ「黄金色の夕暮れ」。
    著者の住んでいる町の空想から生まれた「川崎へいらっしゃい」のショート・ショート。映画のシナリオを対象とした催しで菊島隆三賞を受賞したテレビドラマのシナリオ「本当と嘘とテキーラ」など短篇小説に舞台やドラマのシナリオという作品構成になっている。

     山田太一作品のドラマは、どちらかというとヒューマンなイメージを持っていたが、最初の短篇小説「あの街は消えた」は、読み始めていきなり本のタイトルとは裏腹な大人のエロチィックな部分も秘められ描かれている。(これは意外だったねっ(^_^;))
     「本当と嘘のテキーラ」はドラマ観たことを思い出した。台詞の前に、動作とか指示とかのト書き(っていうのだろうか?)そうしたのも書かれていて、想像力をかき立ててくれる。「読んでいない絵本」は著者がご自身を投影されたものだろうか?ミステリアスでブラック的な苦さもある。
     新たな発見もあり楽しめる一冊!何かと気忙しい師走・・・心の中でテキーラ!(^^)!

  • 山田太一が好きだ。
    あの独特の語り口が耳につく。
    時々、やけっぱちのように大変身する人間が登場したり、小さな変化を丁寧に見つめてみたりする。
    この本には、短篇小説とショートショート、戯曲にテレビドラマとバラエティに作者の逸品を集めている。
    佐藤浩一の「テキーラ」はやはり見ていた。思い出しながら、読みながら、顔がにやけてくる。
    山田太一は、やっぱり好きだ。

  • 戯曲など作品集

  •  シナリオライターとして、倉本聰や向田邦子とともに名を馳せた著者。作家で、庶民の哀歓を綴る名手でもある。作品のジャンルを自在に書き分ける人にふさわしく、本書には短篇小説、ショートショート、戯曲、テレビドラマの逸品が揃う。

     表題作の短篇は、テレビライターである50代の「私」が、冬の日の午後に学生時代の下宿先を訪ねていく物語だ。下宿のおばさんもその息子も亡くなり、跡には隣家に嫁いだはずの美しい人が、実の母親と2人で暮らしていた。彼女は明るく、居間に掛けられた童画について、自分が描き外国で賞をとったのだと説明する。絵本もあり、文章は母親が書いた。しかし母親は、突然、「誰も私の書いたものなんか分りゃしない」というのだ。たじろぐ娘を前に「ああ、ああ、ああ、ああ」と床にへたりこむ。人を避けるように生き、心を閉ざしていた母親の、胸の奥底の孤独を伝える。

     ほかに、学生時代に年増女から託された卑劣な手紙をめぐる小説。銀行の支店長一家と検察官父娘のドタバタの戯曲。昭和と今の時代の気分がしみ込む。

    (「週刊朝日」 2012/02/17 西條博子)

  • 脚本と短編小説ショートショートと山田太一さんの魅力満載。全篇通じて、男性の悲哀のようなものが感じられる。脚本は山田さん独特の言い回しで、懐かしいような気がしてしまう。もっと活躍して欲しいと願う。

  • 山田太一の小説もドラマも好き。
    この本の中の1つのお話は、ドラマで見た記憶がある。
    本で読んでいても今にもセリフとして耳に聴こえてくるようだ。

  • http://sgk.me/oPRg0k 多彩な作品を1冊にまとめた魅惑の山田太一ワールドです。
    1950年代と現在の東京を往還し幻想的な物語が展開する「あの街は消えた」と「読んでいない絵本」、 さらに老人の白昼夢のような時間を描いた「少し早めのランチへ」など著者の精髄を集めた作品集になっています。

  • 久しぶりに脚本を読みましたが、なかなかいいものですね。芝居やドラマを観てみたくなります。短編と絡めた本作、なかなかよいです。

  •  山田太一の10月末に出たばかりの作品集『読んでいない絵本』を読み終えた

    それまでバラバラで壊れかけている家族が、思わぬ事件によって、急に熱くなってぶつかり合い、
    思わぬ自分や相手の秘めているものを新しく見いだしてゆく瞬間を描き、
    その葛藤を経て、
    今後の関係への希望をかすかに感じさせる・・・いいなあ

    出版社紹介文より
    1950年代と現在の東京を往還し幻想的な物語が展開する「あの街は消えた」と「読んでいない絵本」、
    さらに老人の白昼夢のような時間を描いた「少し早めのランチへ」(以上短篇小説)
    ビジネスマンの一日に流れ込む一瞬の幸福と死を切り取った2篇のショート・ショート。
    全国でロングラン、好評を博した俳優座の名舞台、家族の再生を描いた傑作戯曲「黄金色の夕暮」。
    芸術祭優秀賞、菊島隆三賞を受賞したテレビドラマのシナリオ「本当と嘘とテキーラ」。

  • 舞台脚本に、ドラマ脚本、短編集とバラエティーに収録されていて、読んでいて楽しい。
    黄金色の夕陽は、家族に絆を深めるには、コミュニケーションが大切だということをわからせてくれる。

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著者プロフィール

1934年、東京生まれ。大学卒業後、松竹入社、助監督を務める。独立後、数々のTVドラマ脚本を執筆。作品に「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」他。88年、小説『異人たちとの夏』で山本周五郎賞を受賞。

「2019年 『絶望書店』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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