- Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093863261
作品紹介・あらすじ
青天の霹靂で日本初の女性首相になってしまった霧島さくら子。稀代の財政家・高橋是清に学び、経済政策を成長路線へと大転換。次々と大胆な政策を打ち出す…。果たして日本は復活できるのか。泣いて笑って、日本と世界の経済の仕組みがストンと分かる、人気エコノミストによる傑作小説。
感想・レビュー・書評
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マクロ経済を理解している人間なら早く読めるが、その面白さは不変であると思う。この本は経済学を知らない人でも面白く、感動しながら、国民経済(マクロ経済)について学ぶことができるだろう。
ちょっと大ヒットの予感がするな。これを多くの人が読んで、国民経済について理解を深め、選挙の際にダメな人間の当選を減らし、有能な人間の当選を増やすことを祈る。
高橋是清はケインズと同じぐらい偉大な人間だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
会社の同僚より。高橋是清の時代の経済情勢が本当に今とそっくりで驚いた。
・1914年の第一次世界大戦勃発時には、日本の政府負債は26億5000万円に達し、しかもそのうちの15億円は対外債務であった。当時の日本の国民所得は40億円であったため、現在に換算すると、約180兆円もの対外債務を政府だけで抱えていたことになる。
・モノ不足ではなく、所得不足により、市民が飢える。これこそが、デフレエションという問題の本質なのだ。
・企業や政府を含めた国民全員が貯蓄をすると、翌年の国民所得すなわち国内総生産は、その金額分だけ減る。これを毎年続けていると、瞬く間に国民全体の所得が減っていく。
・デフレで国民がお金を借りず、所得が増えないときには、政府は日銀に買い取らせてでも国債を発行し、所得となるように支出しなければならない。政府が国債や通貨を発行し、投資や消費をしていけば、そのうちに民間の企業が金を借り始める。そうなると金利や物価が上昇し始めるだろうから、政府はそれまでの政策を止めねばならん。さもなければ、金利高騰で民間企業が迷惑を被り、インフレエションで庶民が酷い目に遭うことになる。民間の投資が活発化すれば、後は政府は何もせんでも国民が働き、国の富みも増えていく。そうなれば、放っておいても増収になるわけだから、財政も均衡に向かうことになる。 -
満開の 桜の下の 時の狭間で 達磨蔵相 国を語れり
平成の今の世の中とよく似た大正、昭和初期に大蔵大臣として日本を引っ張った高橋是清卿が現代日本の新米女性総理に国民経済を教え、デフレ対策や自由貿易の在り方を導いて行くという話です。今の世の中とよく似た時代があったこと、政治家とはかくあるべしと素直に尊敬できる信念の人がいたことにびっくりし、もっと高橋是清卿を知りたいと思うようになりました。 -
大正後期から昭和初期と、現代がこんなに似ているのは驚きですね。
物語は、霧島さくら子首相の現代と高橋是清の時代がうまくリンクして進みます。
これがすごくわかりやすいです。
たださくら子と周囲の人々とのやりとりなどは、ライトノベルチックでとても軽ーいですが、三橋氏は小説家ではありませんので仕方ないかという感じ。笑
個人的に笑ったのは、官邸医務室に「藤井医師」とその助手の「中野医師」が居ることですかね。 -
【経済小説】
ストーリーとしては結構好きです。
読んでみてください。 -
これは、経済エンターテイメント小説とでもいうのだろうか。今をときめく著者による本書は、昭和の「高橋是清」と、現在・平成の架空の女性総理との会話のドラマなのだが、その内容は、マクロ経済をわかりやすく解説した内容でもあり、読んでも面白い。
「高橋是清」は、昭和20~30年代に活躍した政治家であるが、当時デフレを脱却するための政策を推進した著名な政治家である。
本書は、当時と現在の日本との共通点「バブル崩壊、デフレの深刻化、やってはいけないデフレ下の緊縮財政、大震災、東北の津波、政局の混乱、ほとんど1年ごとに変わる総理、アメリカのバブル崩壊、世界的な恐慌」を指摘し、それから脱却するためには、当時「高橋是清」が行った政策を現在も行うべきだと本書で主張しているのだが、それが「高橋是清」と若い女性総理とのドラマ仕立てで、教師と生徒との会話のように進行するところが、面白い。
マクロ経済を扱ったエンターテイメント小説というのは、あまりないとは思えるが、このような本が面白く感じられるところに現在という時代が見えると思えて興味深かった。
思うに、本書は世の中に「デフレを脱却するためには、財政政策と金融政策のパッケージが必要」という認識を一層広めて、反デフレ派・リフレ派の主張が力を増すことに影響を与えるのではないか。
本書は、マクロ経済と現在の政治経済や昭和20~30年代の歴史の勉強にもなる良書であるが、このように楽しみながら「反デフレ・反消費税増税」という政治的主張が浸透するような本が出てくることは、世の中が変わる先駆けではなのかとも思えた。本書は、面白くかつ興味深い書であると思う。 -
最近台頭し始めて来た若手保守派のいう事は一理も二理もある。
そう思っている人は楽しく読めると思う。
ひょんな事から総理大臣になってしまった、さくら子という女性が、これまた偶然にも大昔にタイムスリップ?して高橋是清と出会う。高橋から国民経済とは何か。を学びながら、現在のデフレ不況を乗り切ろう!という感じで物語が進む。
事実をもとにしたフィクション。 -
4月、鳴り物入りで新人女性首相が誕生した。以前は弁護士として働いてはいたものの、経済のことには疎かった彼女、さくら子。今後首相としてどうすればいいのかわからず、困り果てて官邸の庭にある桜の樹の下のベンチで休もうとしたところ、見慣れない老人と出会う。彼こそはダルマと呼ばれ、大蔵大臣、そして第20代内閣総理大臣を務めた高橋是清、その人だった。
物語は二人の政治の話で進むものの、さくら子と是清との話の中盤にかけてまでは両者の話の食い違いで進んでいく。
例えばライオン宰相と言われて、さくら子は小泉純一郎、高橋是清は濱口雄幸のことを思い浮かべるなど。どちらも国民の人気が高かったということも同じで、こう考えると作中での2010年代と是清が生きた時代1900年代あたりは非常に似通っていたのではないだろうか。
二人は桜が咲いている時期、官邸内の桜の樹の下のベンチにて1年に一度だけ会うことができた。
感想としては、どうしてもっと早く読まなかったのだろう、ということ。
いや、今読んだからこそ理解できたのであろうか?もし若い頃に読んでいたら、これをただのつまらない経済小説として済ませていただろう。
そう言う意味では今読んで良かったと思える。
もっとも私に知識や興味があればなにも問題がなかったのだが。
もちろんこれだけを読んで知ったふりをしてはいけない。最後の是清からの手紙にもあるように
”将来の日本国民の皆さん、特に若い世代のみなさん、学問をしてください___ただ学校の教科書を雨天鵜呑みにしただけでは、わたっていけるものではありません。___”
と彼も言っているのだから。 -
中身はしっかりと経済について学べる。
学生向けかなと思う。