神様のカルテ 3

著者 : 夏川草介
  • 小学館 (2012年8月8日発売)
4.25
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863360

作品紹介

「医者をなめてるんじゃない?自己満足で患者のそばにいるなんて、信じられない偽善者よ」。美しい信州の情景。命を預かる仕事の重み。切磋琢磨する仲間。温かい夫婦の絆。青年医師・栗原一止に訪れた、最大の転機。

神様のカルテ 3の感想・レビュー・書評

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  • 休日すら犠牲にし、病棟に詰め、患者に寄り添うこと。目の前の患者に向き合うのが最重要事項である・・・。世間の人々が思い描く良い医師といえば、現場主義のこんな医師ではないだろうか。引きの栗原一止は健在。最愛の妻とのコーヒータイムもそこそこに病院に駆けつける彼は患者想いの仕事熱心な男である。

    対して、普段の仕事ぶりは完璧なのに特定の患者についてはろくに診察もせず放置する小幡先生。患者よりも研究会を優先するかのような彼女の言動に、栗原先生激おこ。

    しかし「医者っていう仕事はね、無知であることがすなわち悪なの。」「医者をなめてるんじゃない?自己満足で患者のそばにいるなんて、信じられない偽善者よ」医療は日進月歩、目の前の患者に時間を割くことももちろん必要だが、研究会や学会に積極的に参加し、常に最新の知識に触れることもまた、医師としての本分なのだと気づく・・・。必死で生きようとする患者にはこちらも全力で向き合うが、甘えて過ちを繰り返す患者に割く時間はない、という小幡先生。

    ハルさんといい、小幡先生といい・・・いい女すぎる。大狸先生やタツ、砂川先生も相変わらず・・・

    もうね・・・これは、シリーズで買い揃えても良いのではないかしら。一気読みしたいです。

  • " 正解はない。それが医療というものの難しさであろう。"
    " 医者っていう仕事はね、無知であることがすなわち悪なの。"

    『神様のカルテ3』はエンターテイメントではなかった。
    映画化されたタイミングも考慮にあったのかわからないが、読者に対して、背筋を伸ばしたくなる問いかけをこれでもかと突きつけてきた。

    ” 正解はない ”

    だからこそ、対峙している相手に対して、対峙している時に対して、今立っている場所を考え、” 自分と向き合い ” 納得のゆく解を出さなくてはいけない。

    命を預かる医者はまさに厳しい解を求められる。
    医者でなくとも、そうであるはず。

    冒頭にたびたび出てくる以心伝心の風景に安らぎを感じた。
    以心伝心という高コンテキストを共有しない前提に立たねばならないビジネスの場におく身において、小説の中で展開される風景に懐かしさを感じた。
    しかし”正解はない”世界では、以心伝心に逃げちゃいけない、知らない中で出した決断によって致命的な影響を相手に与えてはいけない。
    そんなことを小説後半に考えさせてくれた。

    「第五話 宴」胸が熱くなった。
    想いを強く持ちなおした。

    目指す姿を追い求める原点を振り返ることができた小説でした。
    そして改めて以心伝心で伝わる人間関係を築くことの大切さも感じさせる小説でした。

    やるべきこと、やりたいこと、できること。
    続けよう。

  • 栗原先生は、間違いなく理想の医師のひとつの在り方だと思う。
    けれど、理想と現実の乖離というところをついてきています。
    患者にとって理想の医療とは何か、医師の使命は何か、医師としての矜持は何か、そういうものをずっと問うて来ていますが、栗原先生も一つ上のステージに上がっていくのですね。
    無我夢中で目の前の患者さんと向き合ってきた今までとは違う責任の重さから、目を逸らさないで挑もうとしていく姿には、心がぐっと掴まれます。
    林檎と最先端医療を常に手にする小幡先生、わたしはもしかしたらこういう先生の方が、うーんとなんていうか、尊敬?信頼?共感?できるかもしれない。
    小幡先生、もちろんそれだけのものを背負っているのですが、そうでなくても医師の中の医師という感じ。

    まわりの人たちの存在感も増してきて、いいコンビネーションが随所で見られるのもいいですね。
    今回は、看護師の東西さんと屋久杉君が特によかったな。
    屋久杉君の、その向こうにもっと大きな世界が広がってるって、最高にエキサイティングじゃないっすか?ってとこがすごく気に入りました。
    井の中の蛙大海を知らず、ってやつだね。
    エキサイティング、いい言葉だ。

    牛のように図々しく進んでいきましょう。

  • 一巻を読んだとき、
    これは私が一生好きな本になる、と確信しましたが、
    毎回すこーしだけ、不安がある。
    別の展開が来たとき、イチさんが、
    私の思っていたイチさんでなくなったらどうしようかしらって。
    ある意味の恋です(笑)
    それでもって、イチさん以上に、
    ハルさんは普遍的な天使だから、
    一点の曇りもなく、恋しています(笑)
    いつ読んでも、ハルさんみたいな女性になりたいって思う。
    そして三巻まで来て、やはり少しもブレはありませんでした。
    イチさんとハルさんに永遠に恋すること、確定。

    「いい医者になりたい」ブレない志。指針。
    そこにたどり着くまでの道や哲学に、
    迷いや修正があったとしても、
    絶対に変わらない芯の部分がある。
    これは、医者でなくとも、誰でも、
    そうありたいと願う理想の姿ではないかと思います。
    何も、常に完全である必要は無いと思うし、
    不完全なのが人間なのだと思うのです。
    今までの医療小説にはあまり見られなかった、
    迷いだらけ、足元は不安定、哲学は揺らぐ、
    そんなイチさんの姿に私は完全に惚れました。

    今回、イチさんは一つの選択をします。
    正直「そうかあ、、、」と、多分、
    言うならば新藤先生に近い顔をしていました。
    私は単純に、ずっとそこにいるんだろうな、と思っていたから。
    でも、絶対に間違っていない。
    彼が他者に言い聞かせる姿に、私も納得しました。
    そして、帰ってくるときには、
    とうとう「スーパー☆イチさん」になっているのでしょうか(爆笑)
    その日がとっても楽しみです。

    その一つのきっかけを作った女医様。
    新藤先生ですら、登場当初は「うお、、、」と、
    よくわからない拒否反応を示したものですが、
    彼女については、それ以上に「うおおお、、、」
    という感じで、ひたすら唸っていました。
    この本は「神様のカルテ」なのだから、
    間違いなく彼女にも抱えているものがあるはずだ、
    ただの悪者が出てくるわけが無いのだ、
    と思いながらも、核心に触れるまでは、
    なかなか受け入れられなかった。
    イチさんが正しいのだ、本庄病院が正義だ、
    半ば意地になっている自分がいました。
    でも、イチさんと同じタイミングで頭を殴られました。
    ぼこんっと。
    私は、人間として本当に未熟なもんだ、
    と少し反省するに至りました。

    イチさんの人間らしさのために惚れたこの本ですが、
    散りばめられている道徳的メッセージは、
    まるで神様からの贈り物のように思うのです。
    夏川さんは聖人なのでしょうか。
    そんな風にすら思ってしまいます。

    最後にまた、新たな物語を感じさせる再会がありました。
    四巻も期待していいのでしょうか。
    兎に角、「おかえりなさい。」

  • 手元にやってきた1冊の本にまたもや感動させられました。
    毎回、神様のカルテを読む中で、著者が一つ一つの言葉を大事にされておられる、そんな風景描写に感動させられます。
    今回も365日忙しい本庄病院に新しい内科医としてやってきた小幡先生。諸問題もありながら、一止先生を中心に馴染んでいかれる姿が微笑ましかった。
    一止の同僚や先輩先生や看護師、島内老人など患者さんにも愛されてるからなんだろうな!いつものハルさんの気遣いも素敵。
    次回は、きっと、大学病院での活躍が新刊となって出てくるでしょうね♪楽しみです♪

  • この文章に慣れてきたのか、1ではそんなにおもしろいかなあと思ってたけど、2では泣かされ、3は面白くてお腹いっぱいな感じです。

    東西主任の過去、小幡先生の登場、島内老人の診断。
    そして随所にでてくるハルとの温かいやり取り。
    こんな温くて、支えあう夫婦でありたい。

    たくさんの素敵な言葉が詰まった一冊。
    新たな道に進む事になった一止の今後も楽しみです。

  • 「医者をなめてるんじゃない?自己満足で患者のそばにいるなんて、信じられない偽善者よ」。美しい信州の情景。命を預かる仕事の重み。切磋琢磨する仲間。温かい夫婦の絆。青年医師・栗原一止に訪れた、最大の転機。
    「BOOK」データベース より

    3作品を通していえることだが、会話がとても小気味良い.
    医師の人の命に対する真摯な態度に、心打たれる.自分は医師ではないけれど、自分の仕事に対して真摯な態度で向き合っているだろうか、新しい地平を追い求めているだろうか、今一度反省する気持ちになる.
    前向きな選択をした栗原医師に拍手を送るとともに、わが身を振り返って一歩踏み出そうと思わせてくれる一冊である.

  • 三冊目もとてもよかった。ハルにないしょでデジカメM9Pを買い、
    それが届いて箱を開けたハルがあまりの驚きに声も出ず、
    そしてそれが栗原先生からの贈り物だと知り、
    腕につかまって甘えるところなんて今までちょっとなかった感じでよかった。
     栗原先生が何も言わなくてもその気持ちを汲んで先回りのできる(それもいつも穏やかに)ハルはすごいなと思う。
     自分は一人で重い機材を抱えて撮影の旅にでられる、その芯の強さ。憧れる。

     東西さんの高校のときの担任の先生が運ばれてきたくだりもよかった。

     乾診療所での集まりも好きだ。東西さんが先にいて(インフルエンザで休んでいたのに)、
    手伝いに栗原先生が行き、東西さんがいることに驚き……、
    一見人とあまり関わらないような栗原先生が
    看護士とも信頼関係が築けていて嫌味なのか苦言なのかわからないような言葉を双方楽しんでいるのがわかるのがいい。
     
     栗原先生の大きな決断があったので、まさかここで終わり?と一瞬ドキドキしてしまった。
     そのことを先にハルに話していたところもいいなと思った。

  • 物語が続くというのは、しあわせなことだ。

    月に一度の雑誌や、数ヶ月に一度の漫画の単行本を、焦れるようにして心待ちにするような、時間の感覚は薄れて久しくて、待ちきれなかった1年一度の新刊も気づけば数冊過ぎているようなこの頃。
    文庫派の自分が、文庫化を待てずに買って読んでしまうのが『神様のカルテ』。

    医療という行為も、生きるという営みも、ただただ凄いなあと感じるばかり。
    悲しさと、幸福感のバランスが上手で、読者に優しい。この物語の展開に関しては、信頼を寄せ切っている。闇雲に、悪いようにはならない。
    屋久杉君の銀河系の話がとってもよかった。

    続編だって丁寧に作れば悪いようにはならないんだ。
    もう、期待して「4」を待つ心地でいる。

  • 医師としての専門性を多忙な臨床の業務の中でどう維持していくかということがひとつのテーマとして提示されている。
    それ以上に、現場で消耗しながら働き続けている医師をはじめとする医療従事者への応援歌としての気持ちが全編を貫いていると思う。
    また、アルコール関連の患者に対する厳しい目を表現しながらも、酒宴や飲み会の場面が丁寧に表現されていて、よほど作者はアルコールを好きなんだろうなと感じざるを得ない。
    3冊のシリーズの中で一番読み応えがあったと思う。
    それにしても、それぞれの場面で表現される風景描写には恐れ入った、小説とはなんたるかを知らしめるものだ。

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