狗賓(ぐひん)童子の島

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 262
感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (555ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863445

感想・レビュー・書評

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  • 歴史の勉強を兼ねるならいいのかも。ページ数の割にはストーリーの起伏が少なくてエンターテイメントとしては少し物足りなかったかな……。

  • 面白かった、、、久々にわーっと読みました。いやほんま、飯島本にハズレないですねぇ。先日諏訪で雷電像を拝見したときに、『雷電本紀』を思い出して再読したいなぁ、とアマゾってたらこちらが出てきました。主人公は大塩平八郎の挙兵に連座した父・西村履三郎の長男で、当時6歳だった常太郎は以後9年間親類宅でいわゆる自宅禁固後、15歳で単身隠岐へ遠流。思想的一揆的な物語になるかと思いきや、実は江戸末期医療ドラマ。常太郎が隠岐で大切にされ、地元の人々と良いコミュニケーションをし信頼関係を築きながら医師となって、最後は明治維新の新政府恩赦で河内に向かう(島を出る)ところまで。特に島(密室)でのコレラや麻疹(赤もがさ・はしか)アウトブレイク、それに天然痘の予防接種牛痘の啓発事業などの医療ドラマ部分がものすごく面白い。が、残念なことに全てのエピソードが完結せずに中途半端なところで場面が変わって行くのがちょっとモヤモヤした。大変な歴史の動いた時期で隠岐でも色々と興味深いことがたくさんあったのだろうが、全部並列的に書き込まれているところがもったいないところ。そこらへん差っ引いてもものすごく面白かったです。できたら河内で弟と母と再開し、最後死ぬところまで描き切ってほしかったです。どうもスッキリ感が少ない。

  • 幕末期の隠岐島。そこに暮らす人々は、島の風土を大切に生きている。しかし人々が時代の流れにのみこまれて変化していく姿がすごい。

    全く知らない事ばかりだったのでとても勉強になった。またいつかじっくりと再読したい。

  • 2016.8 いや長かった。でも幕末はこんな腐敗した奴らばかりだったんだろうか。大塩平八郎の乱は言葉しか知らなかったけれど見直してしまいまさした。芯のある小説でした。

  • 常太郎が6歳のときに父が大塩平八郎の乱に加担したため、15歳になるのをまって島に流刑にされるところから話が始まる。

    江戸時代の終わりの民の生活が力強く書かれていて、中盤まで一気読み。流刑者である常太郎と島の人たちの関わりがとても心地よかった。ここまでなら★5?
    途中までは主人公は常太郎だと思い読んでいたが。。。

    途中から誰が主人公かわからなくなってきたくらいからが長かった。歴史に裏づけされた松江藩と島の人たちの混乱のところが、登場人物が多いし、ちょっとしんどかったです。
    動乱の時期を島民目線でかかれているので、この時代のことが違った目線でみることができ,
    そういったところは、さすがだなと思いました。

    最後は、あっけなく。
    勝手な想像で最後は狗賓童子が現れるのかと思ったりしていたので・・・。

  • この人の作品は、力がある。「生きる」と言うことを真剣に考えている登場人物に心動かされているうちに読み終わった。
    江戸の姿を借りているが、現代でも同じことは言えると思う。生きることを考えたい。

  • 一人の流罪になった青年(流罪になったときは十五歳と少年である)が医術を学び信頼を集めて、その間維新が起きて云々~というお話。
    農業の描写とか医術の描写とかすごく調べたんだろうなあと尊敬したけど物語としては特にそこまで好きではなかったかも。
    お初の生き様は好きでした。
    文字を頑なに拒む女性。

  • 常太郎は豪農の庄屋の家に生まれますが、6歳のとき父が大塩平八郎の乱に加担したことで、15歳まで待って隠岐に流刑されます。赦免されるまでの22年間わたる隠岐での幕末の様子を緻密かつ丹念に書き込まれています。大塩平八郎の乱のディテールがわかって興味深いのと、漢方医になってコレラと戦うまでは熱かったですね。地方から見る幕末というのは「夜明け前」を思い出しました。550頁余りの大作ですが、エンターテイメントではないので、心して当たるべき作品です。

  • 著者の新作を読める時代に生まれていて本当に幸せだと思う。しかし、本書は発売と同時に購入したものの、この休みまで読むことができなかった。著者の作品は片手間では読むことができない。それほど詳細かつ重厚だからだ。
    著者の作品の殆どは圧政に立ち向かう人々の姿を描いているが、本書はその中でも特に完成度が高いと思う。デモクラシーとは衆愚政治と直訳するそうだが、為政者が最もの望んでいるのが衆愚であると本書は訴える。言いえて妙だと思う。

  • 幕末の隠岐の島を舞台に,流人と島民,何より庄屋達の生き様を描いて重い.

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著者プロフィール

小説家。1952年山形県生まれ。1983年「プロミスト・ランド」で小説現代新人賞を受賞しデビュー。88年「汝ふたたび故郷へ帰れず」で文藝賞受賞。(上記の二作は小学館文庫版『汝ふたたび故郷へ帰れず』に収録)2008年に刊行した単行本『出星前夜』は、同年のキノベス1位と、第35回大佛次郎賞を受賞している。この他、94年『雷電本紀』、97年『神無き月十番目の夜』、2000年『始祖鳥記』、04年『黄金旅風』(いずれも小学館文庫)がある。寡作で知られるが、傑作揃いの作家として評価はきわめて高い。

「2013年 『STORY BOX 44』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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