教場

著者 :
  • 小学館
3.36
  • (104)
  • (420)
  • (574)
  • (126)
  • (26)
本棚登録 : 2540
レビュー : 480
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863551

作品紹介・あらすじ

君には、警察学校をやめてもらう。

「こんな爽快な読後の悪さは始めてだ! 警察学校が担う役割とはなんだろうか。篩にかけられた友もまた、警察官を育成するために必要なものだったのだろうか。校庭のすみに育てられている百日草が示すものが、警察組織を守るための絆ではなく、市民を守るための絆であることをただただ願いたい」
――さわや書店フェザン店・田口幹人さん
「復興を続ける警察小説ジャンルから飛び出した、突然変異(ミュータント)。警察学校が舞台の学園小説でもあり、本格ミステリーでもあり、なにより、教師モノ小説の傑作だ。白髪の教師・風間は、さまざまな動機で集まってきた学生それぞれに応じた修羅場を準備し、挫折を演出する。その『教育』に触れた者はみな――覚醒する。もしかしたら。この本を手に取った、あなたも。」
--ライター・吉田大助さん


【編集担当からのおすすめ情報】
長岡弘樹氏は、2008年に第61回日本推理作家協会賞(短編部門)を選考委員満場一致で受賞、「歴代受賞作の中でも最高レベルの出来」と評された短編「傍聞き」で知られるミステリー作家です。同作を収録した文庫『傍聞き』は、現在39万部に達しています。本書は長岡氏初の本格的連作長編にして、好事家をもうならせる、警察学校小説。
2013年ミステリーナンバーワンを射程に入れた勝負作です。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 警察学校を舞台にしたスリリングな話。
    教場とは、警察学校の教室のこと。
    緊密な出来で、読み応えがあります。

    「職質」
    警察学校では、職務質問の想定実習を何度もやらされる。
    刑法犯は、職務質問で摘発されるケースが4割と多いので、重要なのだ。
    宮坂は雪道での事故にあったとき警察官に救われて、警察官を志した。
    新しく来た風間教官に、憧れているようでは駄目だと指摘される。見回りで気づいたことを報告しろと言われ‥

    「牢門」
    仕事を辞めて警察官を目指すことにした26歳の女子学生しのぶ。
    花粉症を抱え、厳しい訓練に苦労しつつも、二つ年下の沙織とは仲が良かった。
    しかし‥?

    「蟻穴」
    耳がいい鳥羽は、白バイ警官を目指していた。
    警察学校では、日記を書かされる。嘘を書いたら退校になるほど厳しい。警察官は決して嘘の報告をしてはいけないから、その心得を叩き込まれるのだ。
    教場で親しくなった稲辺のことで、問いただされたときに‥

    「調達」
    元プロボクサーの日下部は年長なので級長をやっているが、成績はあまり良くない。
    なんでも金次第で調達するという樫村が接近してきて‥?

    「異物」
    由良は体格がいい一匹狼タイプ。
    コンビを組む安岡は小柄。
    運転技術の実習で起きたことに由良はこだわるが‥
    風間教官は「小学生か」と、皆お見通し。

    「背水」
    卒業が近づくにつれ、緊張が高まって来た都築。
    大きな失敗はなく来れたのだが、目指す成績をあげるにはまだ足りない。
    卒業文集に何を書くかも悩んでいた‥
    挫折を知らない人間は警察官には向かないと風間教官が指摘する。きっちり挫折を経験したほうが良い警察官になれると。

    なんて恐ろしい教場!
    と思うのが最初のほうのエピソード。
    わずか半年ほどの期間、一つのクラスにこれほどの確執が渦巻き、生徒間で犯罪まで起きてしまうとは?
    個々の事件はともかく、警察学校独特のやり方は、事実に基づくのでしょう。
    身につけなければならないことをガッツリ叩き込むだけでなく、向いていない人間は容赦なくふるい落とす。
    警察官とは将来、それだけ厳しい試練にさらされることになるのですね。
    警察官になった同級生のことを思い出しました。何年も良いおまわりさんだったと思うのですが、ついに病気になったとか。

    予想外の展開で読ませます。
    一部だけどホラー並みに怖いので、どなたにでもオススメというわけにはいかないかなぁ‥ということで、★4.4ぐらい。
    結城中佐の「ジョーカー」ものが好きな人にはオススメ。

  • これってイヤミス?

    本屋大賞にノミネートの話題の作品ということで読んでみたけれど、後味が悪すぎる。
    警察学校が舞台というのは新鮮だし、登場する人物描写も個性があって面白かった。

    でも実際の警察学校というものがどういう場所なのかまったくわからないだけに、
    「警察官の卵って、こんな人ばっかりなの?」
    と、思い込んでしまいそうな自分が怖かった。

    まあ、現場は思っている以上に過酷なんだろうなとは思うけど・・・。
    私には絶対無理(-_-;)

    やっぱりなんだかんだいっても、かっこいい正義感溢れる警察官が見たいし、読みたいのだと気付かせてくれた作品。
    おまわりさん、ご苦労様です。

    • vilureefさん
      nejidonさん、再訪問大歓迎!
      とっても嬉しいです♪

      「薔薇の名前」、全く存じ上げませんでした・・・。
      ちょっと調べてみたら、...
      nejidonさん、再訪問大歓迎!
      とっても嬉しいです♪

      「薔薇の名前」、全く存じ上げませんでした・・・。
      ちょっと調べてみたら、面白そう!だけど難しそう(^_^;)
      西洋史を知らなくても楽しめますか?
      前々からひそかに(?)思っていましたが、nejidonさん博学ですよね~。
      ブクログにはそんな面々がわんさといて、私の知識のなさに凹むこともしばしば。
      開き直るしかありません(笑)

      私、ブクログを始める前は本に対する自分の評価って割と絶対的だっと言うか。
      でもブクログを初めて、私が面白いと思う本も評価が低かったり、逆もしかりで、なんというか目から鱗?
      そんな評価の差が面白いなって。
      なので、正直につまらなかったって書いてあるレビュー好きなんですよ(*^_^*)

      nejidonさんのように、良かった本だけでたくさんの本棚もまた素敵ですよね☆
      でも、個人的にはnejidonさんの裏本棚を覗いてみたい気もする。
      表舞台に出られなかった本たちを (≧ω≦。)
      これこそ悪趣味だ~(笑)
      2014/02/19
    • nejidonさん
      vilureefさん、こんにちは♪
      調子に乗ってまたやって来てしまいました(笑)

      【薔薇の名前】は、とても出来の良いDVDもあります...
      vilureefさん、こんにちは♪
      調子に乗ってまたやって来てしまいました(笑)

      【薔薇の名前】は、とても出来の良いDVDもありますので、そちらでざっくり輪郭を掴んでからでも良いと思います。
      と言うのは、私がその流れだったからなんです(笑)
      原作はかなりペダンティック臭があり、キリスト教の流れを知らないと辟易してしまう恐れがあります。
      知っていればフムフムと読めるのですが、難解な部分は飛ばしてしまえばいいやと考えていると、結局何故こうなったかもつかめない、実に面倒な大作なのです。
      読後の満足感は、かなり深いんですけどね。
      他には、(かなり違う傾向ですが)ジョン・アーヴィングも好きで、ずいぶん読みました。
      vilureefさんにもお読みいただけたら、嬉しいなぁ。

      いやぁ、私は知ってることと知らないことの落差がすごく激しいですよ。
      たぶん身近でお付き合いさせていただいたら、vilureefさんの開いた口が10年くらい塞がらないと思います。えへへ。

      そうですねぇ、豊富な知識を持つ方って大勢いらっしゃいますよね。
      そういった方々との出会いも含めて、ブクログの楽しさがあるのでしょうね。
      vilureefさんの選書とレビューはとても好きなので、どうかこれからもスタイルを変えずに続けてくださいませ!
      私の方こそ、いつも色々勉強させてもらってますよ。

      そうそう、本棚はこれからもあのポジションでやらせてください。
      お話ボランティアのお仲間さんたちも読んでおりますので・・・
      裏本棚なんて開設したら、誰も一緒に組んでくれなくなりますよ~(笑)
      2014/02/20
    • vilureefさん
      nejidonさん、こんにちは。

      今日の真央ちゃんご覧になりましたか?
      胸がいっぱいで眠れなくなりました。
      おかげで寝不足です(笑...
      nejidonさん、こんにちは。

      今日の真央ちゃんご覧になりましたか?
      胸がいっぱいで眠れなくなりました。
      おかげで寝不足です(笑)

      あ、全然話がそれましたね。
      私、どうも翻訳ものが苦手で(^_^;)
      アーヴィングもカーヴァーもアップダイクも全然読んでません。
      食わず嫌いですかね。
      良い翻訳者の本だったら違和感なく入れるのでしょうか・・・。
      今後の課題ですね。

      ブクログやっていると、次から次へと読みたい本が増えて(とくに新刊)、なかなか文豪作家の作品や翻訳ものに手がまわりません。
      あー、ゆっくり本を読む時間が欲しいです(T_T)
      2014/02/21
  • 警察学校で起こる教官と生徒、生徒同士の静かなる争いのお話。

    これはフィクションなのかノンフィクションなのか?
    嫌な事件が起こる、起こりすぎる。

    読後感が悪かった。

    特に蟻の話がおぞましい。

    ミステリーかホラーの味付けが増えていると味わいある読後感になった気がする。

  •  書店にて、新刊チェックをしている際に出会った一冊。平積みされているこの本の帯が、ことさらおおげさで、
    「すべてが伏線!一行も見逃すな!」とある。

     ページをめくってみると短編で、いやいや、すべてが伏線っていうほど複雑になるのかぁ?あ、これは、あれだな。きっと最後の章で、全てのカラクリが回収されるわけだなーってアタリ付けて読みました。

     結果といたしましては、最後にどんでん返しのような大きいものはなかったけれど、一章一章のコンパクトな伏線の回収は良かったかなと。

     警察学校の生徒たちの恨みつらみを仲裁していく風間教官。とはいっても、生徒さんたちは、風間先生に悩みを相談するわけじゃない。風間教官が、勝手に、生徒さんたちの暗部を、勝手に、見抜いていく。勝手に。
     鉄拳さんがいたら、「こんな教官は嫌だ」でネタを書いてくれそう。
     というよりも、こんな警察学校が、嫌だ。

     職務質問のテクニックが面白かったな。初対面の民間人をいかに懐柔するか。職務質問コンテストとかもやると書いてあって、へえーっと思わせられた。こういう勉強をして、お巡りさんはお巡りさんになっていくのか。

     読後、帯に書かれている「お巡りさんに対する見方が変わる!!」というやつには、かなり共感しました。

  • 読みやすい文体でするりと入ってくる言葉たち。それが徐々に身体の中で不協和音を奏でる。何と恐ろしい小説か。隣にいるのはライバルなのか、敵なのか。一つ残らず回収される伏線に、教官の人柄に、爽快感は覚えるものの何ともスッキリしない読後感。実に不気味な小説の誕生だ。…もちろん良い意味で。

  • 2014このミス第2位。いくらなんでも警察学校で事件が起こり過ぎ・・・と思いながら読んだが、最後の最後で爽やかに幕引きされて、どんでん返し的に好きになった。

  • 警察学校ってここまで厳しいの?
    そうでなくっちゃ、仕事になってから困るよね。
    教官が怖い。

  • 警察学校を舞台にした『傍聞き』のような連作ミステリー。どこか謎めいた警察学校教官の風間公親が生徒たちを指導しながら、彼らの本質を暴くといったストーリー。エピローグで風間の謎の正体が明らかになる…

    長岡弘樹の作品は考えられた伏線とプロットには驚かされるのだが、どうにも登場人物の姿が見えて来ない。『傍聞き』のような短編であれば、それも気にはならないのだが、連作となると非常に気になる。主人公の風間公親は横山秀夫の『臨場』の倉石に匹敵する魅力的な主人公となり得るはずなのに…勿体無い。

  • こんな(一見)理不尽な学校見たことない!
    ヒトを育てる場所ではなく、ヒトを篩にかける場所だなんて…
    でもよく考えたら、警察官になるための学校なんだから、そりゃちょっとやそっとの「教育」ではだめなわけで。
    警察官となるために、何が必要で、何が不要なのか。
    善人であることではなく、正義の人であることでもない。じゃあ、いったいなんなんだ!
    無理だ。私には無理だ。いや、来てくれなんて言われないだろうけど。
    と言いつつ徐々に変わっていくこの学校の印象。これにやられる。

  • 説明
    内容紹介 (Amazonより)
    君には、警察学校をやめてもらう。

    「こんな爽快な読後の悪さは始めてだ! 警察学校が担う役割とはなんだろうか。篩にかけられた友もまた、警察官を育成するために必要なものだったのだろうか。校庭のすみに育てられている百日草が示すものが、警察組織を守るための絆ではなく、市民を守るための絆であることをただただ願いたい」
    ――さわや書店フェザン店・田口幹人さん
    「復興を続ける警察小説ジャンルから飛び出した、突然変異(ミュータント)。警察学校が舞台の学園小説でもあり、本格ミステリーでもあり、なにより、教師モノ小説の傑作だ。白髪の教師・風間は、さまざまな動機で集まってきた学生それぞれに応じた修羅場を準備し、挫折を演出する。その『教育』に触れた者はみな――覚醒する。もしかしたら。この本を手に取った、あなたも。」
    --ライター・吉田大助さん



    木村くんで映像化と聞き 読み始めました。
    読み始めて 何度も目にする〝白髪〟という文字に シルバーヘアの画像は見ていたんですが 木村くんとはあまりにもマッチしなくてなかなか想像しづらかったです。
    それにしても風間教官の観察力や洞察力は本当に鋭いです。その鋭い教官と生徒の話なのか...となんとなく思っていましたが エピローグの『片手の人差し指を、右の下目蓋の中へ挿し込んでやる。そのまま視線を下へ戻すと、義眼の外れる感覚があった。』って部分を読んだ時 衝撃過ぎて無意識のうちに「ゲッ...キモっ」と言葉にしてしまっていたみたいです。
    子供に「お母さん、本にツッコんでんの?」と言われるまで 自分が発したことに気がつきませんでした。
    この役を木村くんがやるのか...と思うと急激に映像化が楽しみになりました。
    サイトには“謎に満ちたヒール”に挑みと書かれてあるけど それだけではない印象なんだけど...

    本の内容については 警察学校のことを調べて書いてあるのだろうと思うと なんだか警察が怖くなりました。



全480件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

長岡弘樹(ながおか ひろき)
1969年山形県生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒業。2003年『真夏の車輪』で第25回小説推理新人賞を受賞。2008年「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。2013年に刊行した『教場』がベストセラーとなり『週刊文春ミステリーベスト10 2013年』にて第1位に、『このミステリーがすごい! 2014年版』にて第2位、本屋大賞で6位をそれぞれ獲得し、続編も刊行された。2020年フジテレビ開局60周年を記念し、『教場』が木村拓哉主演でドラマ化され、期待が高まる。2019年6月7日、『119』を刊行。

教場のその他の作品

教場 (小学館文庫) 文庫 教場 (小学館文庫) 長岡弘樹
教場 Kindle版 教場 長岡弘樹

長岡弘樹の作品

教場を本棚に登録しているひと

ツイートする