虫娘

著者 :
  • 小学館
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感想 : 43
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863834

感想・レビュー・書評

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  • 始まりから女の子が死んでいて、その子の目線で語られる。変わった設定で時間も視点も行ったり来たりの構成で面白いんだが、ミステリーではなく荒野さん定番の人が生きてく難しさを描いていた。

    微妙なバランスで成り立っているシェアハウスの住人達がひとりのバランスが悪い女の子のせいでどんどん堕ちてゆく。
    腐った蜜柑理論。

    死んでしまった子が死にたくなかった、どう生きるべきか気づいてももう手遅れ。
    おざなりや捨て鉢に生きるのを選んでいるふりをしてても虚しいばかり。やはり真面目に生きなくてはね。

  • シェアハウスで変死した照が幽霊になって色んな人について回る。シェアハウスの人もみんなおかしい。元夫婦なのにシェアハウスで暮らしたり…横領したり…とにかく壊れてる。というより井上荒野の本に出てくる人ってどこかしら壊れてる。ラストでは死にたくなかったと切に願うところがよかった。

  • 死者というものは生者のために相対するものとして在るのだとしたら、死者視点の独白というのはひどく奇妙だなあと。
    死んだあとも生きるというのは、哀しいし、やはりそれは蛇足なのだ。

  • すっきりしない後味を残し、主人公・照の涙で終結。自分の人生に100%満足している人間なんて早々いないんだろうということを思わされる本でした。誰しもが誰かに嫉妬心を燃やし憎しみをもって見えない何かに捉われているなぁと。最後に照が死んでいるように生きていたことを後悔することによってさらに報われない感じに。表紙は照かな?

  • わたしは厭だ。


    死んでるように生きるんじゃなく
    生きてるように生きたい。

    死にたくっても悔しくって死ねやしない。

  • 井上荒野は人間のドロドロした部分を書くのがうまいなぁ。はっきり言って登場人物誰にも共感は出来ない。照が死んだのも結局自業自得でしょって思っちゃう。

  • シェアハウスの住む樅木照は、死後も魂はこの世を彷徨う。自由奔放に自堕落に生きた娘は、住人との乱交パーティーの末に、亡くなったことがわかる。住人たちの嫉妬と悪意が、彼女に死をもたらしたのか?

  • 人間って怖ーっ((((;゚Д゚)))))))という気持ちにさせられた。なんつうか…人間関係が病んでて恐ろしい。でも実際こんなもんかも❓

  • 「生きることは淋しいに似ている」死んでも尚シェアハウスや不動産の食品曳田に寄り添うように見守る主人公照(ひかる)のつぶやいたひと言が身に染みた。

  • +++
    あの日、あたしは生き返らなかった――。
    シェアハウス〈Bハウス〉には五人の住人がいる。樅木照(ヌードモデルをしながら体を売っている)、桜井竜二(イタリアン・レストランのオーナー・シェフ)、妹尾真人(売れない俳優)、碇みゆき(フリーライター)、鹿島葉子(銀行員)、それにハウスを管理する不動産屋の青年・曳田揚一郎。
    照の謎の死が、それぞれの人物に新しい光と影を投げかける。照はその死後も彼らの頭上を浮遊している。
    +++

    樅木照(もみのきひかる)の目を通して語られる物語なのだが、当の照はすでに死んでいる。Bハウスという凝っているのか投げやりなのか判らない名前のシェアハウスの住人たちに何があったのか。あのパーティーの日に。そしてそれまでの日々に。照が生き返らなかったあのパーティーの日からの日々は、Bハウスの住人たちにとって、それまでとは全く別のものになった。照から解放されたようでいて、がんじがらめに絡めとられているような。そして照自身さえ恨んでいるのか妬んでいるのか、心残りがあるのか、どうなりたいのかわかっていないように見える。ミステリのような心理劇のような一冊である。

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著者プロフィール

井上荒野
一九六一年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。八九年「わたしのヌレエフ」で第一回フェミナ賞受賞。二〇〇四年『潤一』で第一一回島清恋愛文学賞、〇八年『切羽へ』で第一三九回直木賞、一一年『そこへ行くな』で第六回中央公論文芸賞、一六年『赤へ』で第二九回柴田錬三郎賞を受賞。その他の著書に『もう切るわ』『誰よりも美しい妻』『キャベツ炒めに捧ぐ』『結婚』『それを愛とまちがえるから』『悪い恋人』『ママがやった』『あちらにいる鬼』『よその島』など多数。

「2023年 『よその島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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