極卵

著者 :
  • 小学館
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863872

作品紹介・あらすじ

食品の安全神話を深くえぐる問題作登場!

天使の卵か悪魔の卵か……。
吉祥寺にある有名自然食品店で売られている卵は、極上の味、『極卵(ごくらん)』と呼ばれて大人気の商品だった。しかし、この極卵を原因とする、食中毒事件が発生。時間がたつうちに幼児の感染者が次々に死亡していく。餌、衛生管理は完璧だったはずなのになぜ汚染されたのか。
疑惑を追い始めた元新聞記者の瀬島桐子。桐子の同級生だった野々市純子の長男も中毒患者のひとりに。純子はカリスママダムといわれブログ上では著名な存在だった。被害が拡大していくなか、過激なまでに業者を糾弾していくモンスター消費者の広告塔に祭り上げられる純子。話題性抜群と、事件を煽る新聞、テレビメディア各社。そして事件の裏には遺伝子組み換え食品を手がける大企業の影が……。
偽装食品、遺伝子組み換え食品など時代を揺るがす事件が多発する現在、食品の安全とは何かを鋭くえぐる社会派ミステリーの登場。「これは、私の最高傑作」と言い切る医療ミステリーの旗手仙川環が二年に渡って執筆した傑作書き下ろし作品。

感想・レビュー・書評

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  • 安全安心を売りにする自然食品の店で販売された高級卵「極卵」を食べた人達が次々と食中毒を起こし、死者を出す大事件となった。
    汚染の原因は驚くべきもので、その裏には様々は思惑が隠されていた。

    するすると進んで非常に読みやすい。
    でもごめんなさい、篠田節子の「ブラックボックス」の二番煎じの様な気がしてイマイチだったかな。
    読む順番の問題かもしれないけど。
    あ、あと「震える牛」もあったね。
    食品偽装をテーマにするのも悪くないけれど新鮮味がないかな。

    黒幕が意外と言えば意外で、そんなにうまく話が運ぶかどうか疑問。ちょっとご都合主義的かな。
    賠償問題がどうなったのか、重症患者たちはどうなったのか、色々気になるところもあり。もうちょっと丁寧にまとめてほしかった。
    この手の小説を読んだことがなければもっと楽しめたと思います。

  • 読むのを止められないほど一気に読んでしまった。
    奇跡の卵から食中毒が。フリーの記者、食の安全を追及するカリスマブロガー主婦、怪しい食品衛生団体、そしてマスコミ。
    いったい何が原因なのか・・・養鶏場や研究所、いろんな憶測が飛び交う。
    読み進めてる間中、集中していたけど、最終結果に私の頭はついていけなかったかも。ふ~んって感じだった。

  • 最近、図書館をよく利用するので、どんな内容かも分からずタイトルと表紙のデザインだけで選んだ作品

    鳥の飼い方(平飼い)や餌にこだわった卵「極卵」のポツリヌス菌による中毒事件を発端とした、養鶏場、研究所、マスコミ、自然派人気ブロガーなどなどによる犯人探しや隠蔽のお話

    スラスラ読めて面白かったです

  • 吉祥寺にある人気の自然食品を扱うお店『緑の食卓』
    売り出された卵は、極上の味がキャッチフレーズの
    四個入り千円の『極卵(ごくらん)』
    相模地方で江戸時代に飼われていた地鶏を
    地方の研究機関が復活させ、誠実な若い養鶏家が
    平飼いで大切に育てて売り出した。
    安心・安全だっはずなのに猛毒による食中毒が発生する。
    餌や衛生管理は完璧だったはずなのに何故汚染されたのか…。
    極卵の紹介記事を書いた元新聞記者の瀬島桐子。
    疑惑を感じ、事件を追い始めた…。


    真相を追う桐子の姿は、周りの情報に惑わされずとっても良かった。
    食中毒事件を取り上げる、マスコミ…新聞・テレビ・週刊誌…。
    報道の危うさ、ネットでの拡散、煽られる人々…。
    過激なまでに業者を糾弾して行くカルト的な消費者団体の盲信や、
    自分の考えに囚われて、他人の声が全く届かない人の姿が、
    とっても怖かったあせあせ(飛び散る汗)
    そして、自然食品を盲信するセレブって言われてた消費者にも
    共感は出来なかったなぁ…。

    遺伝子組み換えは野菜とかだけだと思っていたけど、
    家畜にもあるんだって、初めて知りました。

    結末には、本当に驚かされた。
    全く予想も出来なかった。

    現実に、食品偽装や産地偽装・毒入り事件・異物混入
    海外での腐った肉での製造や、考えられない程
    悪い衛生状態での製造の実態の映像が記憶に新しい。

    国の発表、様々なメディアでの情報でしか知る事が出来ない私達。
    ただただ、安全な食物を口にしたい!それだけです。

    読んで行く内に、怖くなったり、不気味に感じたり、
    不愉快になったり、心があったかくなったり色んな感情が入り乱れました。
    読み易くて、面白い作品でした。

  • また一人これから楽しみな作家見つけました。医療ミステリーですね。伏線全部回収出来たかや細かな所弱い部分もありましたが、最近とても重要に感じるのがストーリーがきちんとしていて次のページ読むのが楽しみな展開です。例えば淡々と複数の何気ない事象が少しずつ集約する様なストーリーあったりしますが最近これが辛くなったりします。
    そういう意味でも読ませる力は楽しみでこれからも作品を期待したいです。

  • 高級卵「極卵」の中毒事件に端を発する一連の騒動が描かれた社会派ミステリー。昔は情報が少なすぎて困ることが多かったのですが、今は逆に多すぎて困る時代。何事も中庸が肝要なんでしょうけど、それが一番難しいのかもしれません。それはともかく、鶏卵を生食できる日本に万歳。

  • たまたまラジオで書籍紹介を聞いて手にとった1冊。はじめましての作家さんでしたが、とても繊細なテーマをわかりやすく、読みやすく、おもしろい。他の作品も読んでみよう。
    2021/4/12読了

  • んー。
    なんだろ。なんかイマイチ薄い気がする。
    視点は興味深いんだけど、深さが足りない。
    この人のはもういいかな。

  • 59エキセントリックな健康信仰者と生産者、そして経営の拡大を狙う経営者。よくあるパターンでしたが、ストーリーは面白かったです。津田と大浦、石黒のバックグラウンドをもう少し紙面を割いて書いて欲しかった。

  • 初読みの作家さん。
    医療系ミステリーと聞いて読みきるか心配だったけれど読みやすかったです。
    遺伝子組み換えや食の安全について考えさせられる話でした。

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著者プロフィール

せんかわ・たまき
1968年東京都生まれ。大阪大学大学院医学系研究科修士課程修了。大手新聞社在籍中の2002年に書いた小説『感染』が第1回小学館文庫小説賞を受賞し、作家デビュー。その後執筆活動に専念し、医療問題を中心に社会性と娯楽性を兼ね備えた作品を発表する。著書には『転生』『繁殖』『誤飲』『疑医』『鬼嵐』などがある。本作は『幸福の劇薬』に続く「医者探偵・宇賀神晃」シリーズ第二弾!

「2020年 『偽装診療 医者探偵・宇賀神晃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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