サラバ! 下

著者 : 西加奈子
  • 小学館 (2014年10月29日発売)
4.11
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  • 本棚登録 :5030
  • レビュー :639
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863933

作品紹介・あらすじ

本年度最大の衝撃と感動。

一家離散。親友の意外な行動。恋人の裏切り。自我の完全崩壊。
ひとりの男の人生は、やがて誰も見たことのない急カーブを描いて、地に堕ちていく。
絶望のただ中で、宙吊りにされた男は、衝き動かされるように彼の地へ飛んだ。

サラバ! 下の感想・レビュー・書評

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  • 言葉の選び方の良し悪しだとか文章のうまさだとか構成がどうこうとかそんなことどうでもいい。
    読んでいる間じゅうずっと胸が震えて、先を読むのがもどかしくて。今まで知らなかった小説の新しい世界を体感している不安と喜び。
    ああ、これだから読書ってやめられない。
    素晴らしい作品。

    全編に通じる躍動感。
    荒削りな文章で描き出す圧倒的な世界観。
    異文化、宗教、天災、友情、家族。
    さまざまな要素が織りなす物語は生きることを強く肯定し私を励ましてくれた。

    どんなに辛い出来事が私達を襲っても、世界中で人々が理不尽な争いを続けていたとしても、目を逸らすことなくきっと乗り越えらる。
    今だからこの本を一人でも多くの人に読んで欲しい。そして感じて欲しい。
    久々に読書の醍醐味を感じた本でした。

    • vilureefさん
      nejidonさん、こんちには♪

      おおっと、西さん大好きなのですね~(*^_^*)
      私はこの作品が初です!
      今「白いしるし」を借りてきているのですが、他にもお勧めがあったら是非教えてください。

      私は直木賞候補になる前に既に予約をしていたのでそれほど待ちませんでしたが、今は大変な事になっていますよね。
      ラッキーでした。

      西さん、勢いのある方ですね。
      これからが楽しみです。
      2015/02/23
    • nejidonさん
      vilureefさん、こんばんは♪
      す、すみません。
      コメントを入れたつもりで読みに伺ったら何もなくて・・(涙)
      またもや「投稿」をクリックせずにいたようです。申し訳ありません。
      西さんの本はどれも面白いのですが、vilureefさんには「きりこについて」がおすすめです。
      たぶん、図書館にあるかと思います。
      気に入ってくださると良いなぁ。ドキドキ・・(笑)
      2015/02/26
    • vilureefさん
      nejidonさん、こんにちは♪

      ハハハ、ありますよね。そう言うこと。
      しかもブクログ動作遅いし・・・(^_^;)

      「きりこについて」ですね( ..)φ
      猫が表紙のだー!見たことある!
      西さんの作品、タイトルだけはどれも聞いたことがあります。
      毎度毎度評判になっているのでしょうね。
      なぜか手に取る機会がなくて。
      これからゆっくり読んで行きたいと思います。

      ありがとうございました♪
      2015/02/27
  • 私が、本を読み続けている目的。
    それがこの物語で明らかになりました。
    私は、確実に自分の『サラバ!』を探しているんだと。

    私の本を読むきっかけは
    資格試験のうっかりミスをなくす為だったのですが…。
    その資格試験も、読書しようと思ったことも
    少しずつでも読書を続けてきたことも
    この本『サラバ!』に繋がっていたんですね。

    ここは通過点ではなく、
    何かが意識的に変わるであろう分岐点です。

    貴子や歩をみていれば、容易に手に入るものではないのはわかってます。
    私はまだまだ信じきることができていません。

    胸にストンとおちて、急にピントがあったように
    はっきりとわかる日まで、
    自分の思うがまま、選ぶがまま、
    これからも読書を続けたいと思います。

    ああ、こんな読書体験もあるのですね。
    自分の後ろには自分が読んだ本たちがつながっている。
    本だけではなく、今までのありとあらゆるものが
    うねるように流れている。

    私が私を連れていく次の場所。
    横道だろうが、遠回りだろうが躊躇せず
    自分に任せて直感で選んでみようと思わせる一冊です。

    こうありたいと願うものが、ここにありました。
    西加奈子さん、私も私だけの『サラバ!』を探しはじめます。

  • 圧倒されました。

    砂漠の熱波を浴びたような感じ…
    深いところから湧き上がってくる熱いもの…
    心が震えるというのは、こういうことなんだと…。

    言葉で上手く表現できないのがもどかしいんですが、
    言い尽くせない”何か”がありました。

    姉の奇行、家庭内の”不穏”、父親の転勤を諦観という形でやりすごすうちに、
    感情を抑え、空気を読むことばかり上手くなってしまった歩。

    父親の転勤…
    友達との別れの繰り返しに、
    泣きはらした顔で「絶対また会おうね!」って。
    でもどこかであきらめていた自分を思い出す。

    だからよけいアユムとヤコブの再会のシーンに、胸がいっぱいになりました。
    言葉は通じなくても、深く深く解り合えていた二人。
    再び会えた感激と、そして二人の間に流れた時間にも…。

    ”巻き貝のタカコ”
    とてつもない芸術家になるんじゃないかって、
    勝手に想像していたから、少しもったいない気も…。

    貴子が歩に、両親の人生を知るべきだと言ったとき、
    子供は親の人生すべてを受け入れなければ前に進めないのかと、正直思いました。
    でも、父と母は彼らなりの人生を生きたのだということ。
    そして、貴子と歩の命名に、両親の想いを知ることができて良かったです。 

    また、西加奈子さんというと期待するのは、猫ちゃん登場。
    なんて愛おしい、おばちゃんのお釈迦様の入滅のごとき最期。
    そしてなにより、衝撃のサトラコヲモンサマ~!
    「ぶぶぶって震えるねん。それが可愛くてなぁ。」うふふ。

    それが取るに足らないものであっても、
    その人にとって「なんでもどうでもよくなるんよ」と思わせるもの。
    自分の信じられるものが何かひとつでもあれば、
    それが心のよりどころになるんだと。

    「自分の信じるものを他人に決めさせてはいけないわ」名言! 
    私にとっての”サラバ!”って何だろう…。 

    必ずまた読み返したいです!
    心から、本が好きで良かったと思います。 

    • koshoujiさん
      こんにちは。
      これは、出会えて良かったと思える数少ない傑作でしたね。
      夏バテしていませんか?
      杜の都は昨日あたりから、最高気温が26度と、一気に秋の気配が近付いて来ました。
      まあ、もう一度くらいは暑さがぶり返してくるでしょうが。
      このまま夏が終わってしまうのは何とも切ないので。
      高校野球はお好きですか?
      昨日の決勝戦は声を枯らして応援しましたが願いは叶いませんでした。
      東北の夢の実現はまだ遠いようです。
      それでは、お体ご自愛ください。
      2015/08/21
    • koshoujiさん
      追伸です。
      「あのとき始まったことのすべて」に花丸をいただいたので、レビューを読み返したら、
      今ブログに書いているようなことをこのレビューの中で書いていたのですね。
      知らなかった(笑)。
      切ない想い出です。
      あらためて「secret base~君がくれたもの~」の歌詞が心に沁みわたります。
      教えてくれてありがとうございます。
      2015/08/21
    • 杜のうさこさん
      koshoujiさん、こんばんは~♪
      花丸とコメントありがとうございます!
      『サラバ!』最高に熱い本でしたね!
      大切な一冊になりました。

      育英…本当に残念でした。。。
      今度こそ、東北に!って願ってたんですが。。。
      高校野球は大好きです!
      たしか瞑想の松から林の中を歩いていくと
      東北高校のグラウンドがありましたよね。
      甲子園であの校歌が流れると懐かしくて~
      「三百余年、名君の~♪」歌えちゃいます(#^^#)
      ブログも楽しみに読ませていただいてます。
      西公園のプール、もうないんですか…
      プラネタリウムがなくなったのは、友達に聞いてたんですが。。。

      暑さは苦手で、本読みのペースがますます遅くなっています。
      koshoujiさんも、お体ご自愛くださいね。
      2015/08/22
  • 鬼の巨きな手で
    ぎゅうううう、と捻られているかの様に苦しかった。

    絞られた体からぽたぽたと
    滴り落ちてくるのは
    それまでの自分を形作っていた中味。

    つかの間の若さ、
    孤独を遠ざけてくれる友情、
    いてくれれば安心な恋人、
    誰よりも充実している人生だと信じる根拠なき自信。

    そんなものが出てゆくだけで
    たちまち干からびてしまう体。

    ぞっ、とした。
    これは歩(主人公)の事。
    物語の中の作り話の中の人の事。

    などと、傍観していい立場に私はいなかった。
    私の心も又、カラカラに干からびていきそうになったから。

    他人が自分をどう見るか?
    他人から見た自分がいかに輝いているか?
    どれ程幸福そうに見えるか?

    そればかりを気にし、
    自分で自分を見ようとしない人。

    それまでずっと自分を蔑ろにしてきた事に
    気付きもしない人…。

    あ、私もそうだ。
    空っぽかも。私。
    それで、ぞっ、とした。

    『サラバ!』
    読んでよかった。
    本当に読んでよかった。

    非情な鬼に
    ヒラヒラにされてしまった体だが、まだ生きている。
    全て失い、空っぽになった心が
    その心だけが
    (本当はどんなもので自分を満たしたかったのか…。)
    答えてくれる事を知ったから。
     
    鬼は
    木の様に硬い人も捻ろうとした。
    でも、
    (こいつぁ、無理だな。)
    と、言って速攻諦めた様だった。(^^;

  • 阪神淡路大震災との遭遇。
    サトラコヲマンサマと離れた姉は“自分で、自分の信じるものを見つける”ために、父と一緒にドバイへ。
    大学入学をきっかけに上京した主人公歩は、チャラい大学生になって女の子と片っ端からやりまくり、野生が理性を凌駕した最初の一年を過ごす。
    二年生になり、映画サークルに入部し、下半身が奔放な鴻上との出会い。
    父と姉の帰国。
    姉の奇妙な行動。
    父の出家。
    母の再婚。
    姉の唯一の心の支えであった矢田のおばちゃんの死。
    三十代になった歩に起こった肉体的異変。
    歩はそれまでいろいろなものから逃げていた自分に気づく。
    葛藤、自戒。
    そんな中での須玖との運命的な再会は大きな希望だ。

    父と母の離婚の本当の理由を知ることになる歩。
    毅然とその話をする姉は、昔と同じような自分勝手のようでありながら、どこか違っていた。
    そして、生涯の伴侶を得てサンフランシスコに住む姉から届いた手紙。
    274P
    “ そして歩、あなたの名前は、歩よ。
     歩きなさい。
     そこにとどまっていてはだめ。あなたの家のことを言ってるのではない。分かるでしょう。
     あなたは歩くの。ずっと歩いて来たのだし、これからも歩いてゆくのよ。
     お父さんに会いなさい。話を聞きなさい。
     そして、また歩きなさい。自分の信じるものを見つけなさい。
     歩、歩きなさい。”

    自分は何がしたかったのか?
    何をしたいのか?
    家族に何を望んでいたのか?
    そして、これから何を信じて生きていけばいいのか?
    自分の周りで起こる事件に出会う度、歩は葛藤し、もがき、苦しみ続ける。
    そんな歩の最後に向かうべき場所は───。

    341P~342P
    “ 僕は禿げていた。僕は無職だった。僕は34歳だった。
     僕はひとりだった。
     信じるものを見つけられず、河を前に途方に暮れている34歳の僕は、きっと幼い頃の僕よりも、うんと非力だった。
     僕が手放したものは、どこへ行ったのだろう?
     輝かしい僕の年月は、どこへ行ったのだろう。
     涙は止まらなかった。”

    345P
    “ 僕は生きている。
     生きていることは、信じているということだ。
     僕が生きていることを、生き続けてゆくことを、僕が信じているということだ。
    「サラバ。」”

    この二カ所を引用しただけで、私は再び涙が止まらなくなる。
    私たちは何かを信じて、生きることを諦めてはならない。

    今、生きることや、人生に問題を抱え悩んでいるすべての人々にこの本を読んでもらいたい。
    ここには、今後そういう人たちに優しく手を差し伸べてくれる何かがきっと詰まっているはずだ。

    直木賞受賞作は数多あれど、これほどの傑作は類を見ない。
    読んでいる間、特に後半に進むにつれて胸が震えた。
    読み終えるのが残念だとさえ思った。
    こんな素晴らしい小説に出会えた私は幸せものだ。

    私の読書人生の中でも三本の指に入るほどの心に残る名作。
    これほど素晴らしい作品を書いてくれた西加奈子さんに感謝したい。
    ありがとう───。

    • chineseplumさん
      花まる、ありがとうござます!私も、出会えてよかったなと思う作品でした。
      2015/03/04
  • 主人公の姉の言葉。
    「あなたの信じるものを誰かに決めさせてはいけないわ」
    にいいようのない感動を覚えた。
    たぶん人生で何度でも思い出すと思う。

    夢中になって読んだし、大泣きもしたがひねくれた自分には「ああ、こんなに素晴らしい友人達がいるんだからあなたも素晴らしい」って結論ね。と若干?嫉妬をした。
    一理あると思いますが。
    でも‘完璧な’友人達側からみたら世界は見え方が変わるのかもな、と思った。

  • 直木賞受賞作。
    怒涛の後半。
    前半ではわからなかったことが明らかになるので、上巻だけでやめちゃダメですよ!(笑)

    両親が離婚した圷家。
    姉の貴子は強烈な性格で、学校では浮いてしまい、それを見て育った弟の歩は、目立ちすぎず人に好かれるように、そつなく生きていきます。
    お似合いに見えた両親が離婚し、歩には理由が知らされないまま。
    実は結婚のいきさつから問題があり、父はそれを気に病んでいたのでした。

    歩は両親のいいとこどりの容姿に恵まれ、大学では奔放な生活に。
    美人の恋人も出来ますが、姉の貴子が巻貝アーティストとして注目を浴びたときに、とんでもないことに?

    歩は、学生時代から始めた仕事を続けますが‥
    頭が薄くなってきて、容姿にも自信を失います。
    再会した姉は、アメリカで自分らしく生きていて、すっかり落ち着いた様子。
    まともに生きてきたつもりの歩のほうは、どこか本気になれずにカッコつけたまま、ずるずると落ち目になってきている有様。
    あいたた‥(苦笑)

    迷惑をかけてでも、全身で体当たりして道を探っていた姉のほうが、確実なものを掴んだということでしょうか。
    弟はこの小説を書き切ったということなので、ある意味、いじいじ悩む性格が活用されたってことなのか??

    自伝的要素がある作品なので、そういう結末にしたのでしょうが、これは嘘かもしれない、と最後に言われても読者としては?
    最初から、フィクションには違いないんですが~‥
    平凡で深く考えない弟の、ありがちな年の取り方。いやこれは、気をつけたほうがいいかも?
    そして、姉がらみの特異なシーンも精緻に描かれ、熱のこもった力作には違いありません!

  • 初の西加奈子。
    巷で大いに話題だったので手にしてみた。

    上巻は冗長で読み終えるのに四苦八苦。ただ、海外生活のくだりは経験者ならでは。暮らしてこその実感で共感するところが多々あった。著者はフィクションとおっしゃっているらしいが、多分に実体験が反映された作品なのは間違いないだろう。
    さて、その肝心のストーリーだが、冗長ではあったがこの物語を語るには前半部分も丁寧に綴る必要があったということだろう。ようやく上巻終盤で怒涛の展開を匂わせ、上巻を読了したところで既に12時を回っていて少しためらいが。どうしよう。でも読みたい!と一気に下巻の真夜中一気読み。こんなことは何年振りか(おかげで寝不足)。

    無駄に思える時を過ごしてもたくさんの回り道をしても、きっといつか自分が何かを見つけられるその時がくる。自分のために生きる、それはそのまま、支え、支えられる、自分を取り囲む人々のために生きること。
    若者の成長物語と言ってしまえば、なんだそんなありきたりな、と思えてしまうかもしれないが、ぜひ若い人に読んでほしい作品。

    そして、京王線やらイザベル・アジャーニやら、ストーリーとは別のところで、懐かしさにも心躍る私であった。

  • 確かにおもしろかった。というよりは、読みやすかった。人気な理由がわかった。
    しかし、満足はできないし所々、人間の描写が雑、だと思ってしまった。
    読みやすい小説、リズムがいい小説がいい小説とは限らない。もっと人間的にこうだという「実感」みたいなのが伝わってこなかった。

    主人公にしろ姉にしろ、その人物をあまり明確に想像できないというのが事実だ。ストーリーはとてもいいと思うし素晴らしいと思う。ただもっと登場人物をこちらにわかりやすく想像させてくれる何か、があればもっといい作品だと思う。
    例えば姉がはじめなぜ気性が荒く突拍子もないことばかりして育ったのか、後半で変わりだす所が唐突すぎて。主人公歩がの髪の毛が抜け出す、以外にもっと描写はなかったのだろうかとか、それをこちらに想像しろといわれればできるのだが、少し投げやりな気もした。
    どうしても姉のはじめの激しい印象が強すぎて後半と一致しない。もう少し繋げる何かがあってもよかったのではないか。

    読みやすい、リズムがある、わかりやすい、
    しかし心を打たれるような動かされるような感動や感覚やそれらはなかった。

  • 歩が高校生から37歳になるまで。…

    終始面白く、興味深く、そして深い。
    最後は泣きながら読み終えました。

    大人になり、自分を見失い、輝かしかった過去に囚われ、瞑想し続けた歩。
    一方、ずっと悩み苦しんでいた姉貴子は、自分の信じるものを見つけ、芯の通ったしっかりした女性になっていく。

    誰かの目を気にし、誰かのせいにして、今の自分がいると思うこと。
    私には大いに心当たりがあることでした。

    そんな自分に、そして将来に悩み進路を模索している息子に、自分の信じることを見つけなさいという言葉をあげたいと思います。

    単純な私、ヨガに興味津々です。

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