- Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093864176
感想・レビュー・書評
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学生時代の苦く苦しい時を思い出した。学生特有の劣等感と優越感、嫉妬、友達を失わない為に自分の気持ちよりも友達の意見を優先する気持ちがありありと目に浮かんだ。
でも、読んだ後不思議な高揚感に包まれた。
一人でいる人には、本人だけが知っている理由があって、他人が揶揄ったり馬鹿にするのは良くないと改めて感じた。
主人公が最後、自分が一人になるきっかけとなった出来事を肯定し、あの出来事があったから、人を嘲笑ったり馬鹿にしたりせずに済んだと前向きに捉える所が良かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一人でいることが平気なヒトリコ。
小学生時代の、ある出来事がきっかけで、日都子はヒトリコとなる。
茨城県の田舎町。ヒトリコととのクラスメートたちが、小学生から高校生になるまでの、心の中の物語。
すごく嫌な描写や、暗い場面も多いけど、読後感はそんなに悪くない。
すごく暗いところを歩いてくると、ほんの少しの明かりでも、とても明るく感じられるように。
屋上のウインドノーツの明るさとは少し違ったけど、これも青春小説。 -
★3.5
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思春期の揺れ動く心情が、よく表現されていて、自分の中高時代や合唱祭のことが思い出された。
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小学五年生の日都子。生き物係だが、毎日の金魚の世話がとっても嫌い。同じく生き物係の冬希に世話を任せていたが、冬希望が転校した後は、自分でやらざるをえなくなる。
ある日、金魚が死んでしまう。日都子は、まよわず金魚をゴミ箱に捨ててしまう。金魚は死んだの?殺されたの?先生は、きちんと調べもせず、ろくに話も聞かず、犯人が日都子だと断定。その日からクラスのみんなからのいじめが始まり、日都子はヒトリコになった。
日都子は、とても強い。
いじめられる中で、自分と外の世界との間に壁を気付き、その中で生きていく。「関わらなくていい人とは関わらない」というのが日都子の信条となった。
その後、日都子は、冬希との再会を経て心を開くようになるのだが、過去を振り返った言葉が印象的。
「もし金魚がしななかったら、私は多分、すごく嫌な奴になったと思う」
日都子が、このような思いにたどり着くまでに、どれだけ辛い思いをしたのだろうと思うと、胸があつくなる。 -
皆が自分の事しか見てない様がとても生々しくてリアル。
ヒトリコの日都子が痛々しくも凛々しく、辛い状態でも曲がらずに成長して行ってるのが素晴らしい。 -
毅然とした日都子が格好良かった。反面、淡々と学校に通い続ける様子に、ほどほどに頑張ると口では言っているけれど本当にほどほどだろうか、人間そんなに強くはなれないんじゃないだろうかと過っていたら、案の定戻してしまうシーンが来てやっぱりと思った。でもその後もまた淡々と頑張っていたから、友達もいなく只はぶかれることは例えば積極的ないじめより緩やかなものなのかな。元々普通だった子でもこんなこともあるんだなあ。。冒頭の卒業式の日の「みんなそう。自分の幸せや感動に都合の悪いことは、きっと忘れている」が刺さるようだった。
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ヒトリコになった女の子のお話。
何かひとつのことがきっかけで、まわりの環境はがらりと変わってしまうのだろうし、同じくらいのことでまたそれも変わっていくんだなと思った。
2018/8/26 -
主人公の日都子がある事件をきっかけに、「関わらなくてもいい人とは関わらない」ヒトリコになり、日都子に戻る道筋を描いた作品。
この作品で描かれている日都子はあまりにも強すぎてリアリティーに欠けるけれど、似たような経験をしている人は多いのではないかと思う。主人公だけがクローズアップされるのではなく、彼女を取り巻く同世代の子ども達の気持ちのゆらぎも見逃せない。 -
出だしの日都子の描かれ方、とりわけ金魚をごみ箱に捨ててしまう感覚が引っかかって、ヒトリコになる過程もなってからも理解と共感が難しかった。むしろ大都嘉穂に感情移入した。重要なエピソードであるものの、片岡さんの言動が極端すぎて合唱コンクールのくだりがぴんとこない。激昂した女子の言動にも驚く。
終盤、冬希が戻ってからの日都子の変化は、読後を清々しいものにした。心に響く言葉やセンテンスはあちこちに散りばめられている。