霧 ウラル

著者 : 桜木紫乃
  • 小学館 (2015年9月24日発売)
3.66
  • (22)
  • (52)
  • (53)
  • (7)
  • (0)
  • 本棚登録 :305
  • レビュー :60
  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864206

作品紹介・あらすじ

今日から海峡の鬼になる。記念碑的傑作誕生

舞台は、国境の町・根室
男の屍を越えて生きてゆく女たち。
北海道最東端・根室は、国境の町である。戦前からこの町を動かしてきた河之辺水産社長には、三人の娘がいた。長女智鶴は政界入りを目指す運輸会社の御曹司に嫁ぎ、次女珠生はヤクザの姐となり、三女早苗は金貸しの次男を養子にして実家を継ぐことになっている。昭和四十一年の国政選挙で、智鶴の夫・大旗善司は道東の票をまとめ当選を果たした。選挙戦を支えたのは、次女・珠生の夫で相羽組組長の相羽重之が国境の海でかき集めた汚れ金だった。珠生は、大旗当選の裏で流された血のために、海峡の鬼となることを誓う。



【編集担当からのおすすめ情報】
桜木版『ゴッドファーザー』であり、
桜木版『極道の妻たち』であり、
桜木版『宋家の三姉妹』!
2015年11月7日(土)映画公開の
『起終点駅(ターミナル)』(小学館文庫)と合わせて、
大々的に宣伝展開予定です!

霧 ウラルの感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 最近、桜木さんの本、よく読んでるなぁ…

    王様のブランチで紹介されていたので、メモしていたところ、日本人会図書館で発見!
    早速、借りてきました。

    帯に書かれていたのは
    桜木版『ゴッドファーザー』であり
    桜木版『極道の妻たち』であり
    桜木版『宋家の三姉妹』!
    これだけで興味津々!

    昭和30年代の北海道根室が舞台。
    地元の名士、河之辺家の三姉妹。
    その次女珠生は家を嫌い、花街で生きる。
    珠生が恋に落ちた相手は羽場組組長。
    姉の知鶴、妹の早苗、三人三様に家や夫に翻弄され…

    桜木さんの作品で描かれる女性はどこか哀しい。
    でも、とても強い。
    その哀しさに胸が締め付けられることもあり
    その強さに惹きつけられるのだが…
    この本に登場する女性たちには感情移入できなかった。
    読み進むにつれ、どんどん気持ちが離れていった感すらあったかな…

  • 「今日から海峡の鬼になる」帯にも書かれていたせりふですが本文で、物語の中でその言葉に出会ったとき、ぞわりと震えが来ました。いやもう、主人公にこのせりふを言わせたいがために書かれてきたような話だよ、と思いましたね。

    こう言っては何ですが、もう相羽さんは出てきたときから「この人死ぬな」という空気が出まくってます。もう夫婦になった辺りから何か起きるよという空気がずーっと通奏低音のように流れています。
    舞台設定や人物の背景設定がもう「何か起きないわけがない」ですもの。

    近代日本の文学の中で「土地」に纏わる物語は、日本の中ではあらかた書きつくされたと言われ、後は書けるとしたら「北海道と沖縄だ」それと「失われた土地である」と言われてきました。
    文体や物語自体は目新しくは感じられなかったとしても、桜木さんは本作で自身大きなチャレンジをされたのだと感じます。その意味では北方領土の話自体はちょっと惜しかったというかもったいなかったように感じました。そちらの方の話ももう少し描いて欲しかった。
    まぁ、でもそれだと本筋から外れてしまうのかもしれませんね。そしてこの物語を書くには昭和中期でなければならなかった。
    これまでの作品とは一味二味違う読み応えを感じました。

    最後にちょっと下世話な感想。たくさん出て来る着物の描写が素敵。
    そしてやっぱりこういうタイプの男が書いていて楽しいのね、と思ってしまいました。や、悪だけどいい男は読んでいても楽しいです。実際だったら大変だけど。
    男と女はいつの時代もほれたモン負けですね。

  • こんな姉妹いるのだろか?仲が悪かった訳でもなさそうだし。最初の方は、なかなか読み進まなかった。途中から面白くなったが、これで終わりって感じ。そこまでは予想がついたが、そこからタマキがどう復讐するのかなと思いながら読んだから、少し残念だ。

  • *国境の街・北海道根室。有力者の娘・珠生が恋に落ちたのは、北の海の汚れ仕事を牛耳る相羽組の組長だったー*
    題名通り、終始霧の中にいるような物語。しかも、相当に濃い。昭和30~40年代が舞台なので、よくも悪くも古めかしく、どの登場人物にも共感出来ず。私には合わなかったようだ。珠生の反撃まで描ききってもらえたら、もう少し違う読後感だったかと。ただし、圧倒されるほどの筆力は健在。

  • 本当に物悲しさの中に女のしたたかさをこめるのがうまい桜木さん。
    男に翻弄されているようでラスト意志を持って生きてく姿が描かれているので絶対女性の底力で何事にも負けないと感じます。

  • 昭和30年代の北海道根室を舞台に、海運業を取り仕切る組長の妻である女性を描いた作品。連作短編集の得意な作者だが、長編となるとさらに圧倒的な筆力を発揮し、底力に唸らされる。

    惚れ込んだ男のために自分の感情を押し殺し、与えられた役割に徹する主人公。男の行く末も、身勝手な振る舞いも、冒頭のシーンからすでに想像はつく。でも、どれほど苦しい思いをしようとも、厄介な男についていくことを止めようとはしない彼女の真っ直ぐな生きざまは、息苦しいほど哀しい。
    泣き叫んでもいいのに、一度でいいから感情を爆発させてほしかった、とも思う。

    任侠ものとメロドラマ、一歩間違えれば安っぽい世界に転がりそうな設定にもかかわらず、紙一重で奥行きのある、胸に響く作品に仕上がっている。
    大人のための小説だと感じた。
    ひとつだけ、表紙の絵は演歌っぽくて、ちょっと残念。

  • 哀しいお話でした
    桜木さんらしく、暗く流れるような文章が
    懐かしいような、息苦しいような気持ちになり
    それでも、力強く本の世界に引き込んでいく
    音楽を聴いているような読書時間
    物語の後の珠生が、力強く生きていってほしいと
    心から願ってしまいました
    いい本でした

  • 戦後、北海道根室地区の権力と北方領土から渡ってきた人たち。

    河之辺水産の三姉妹。
    長女は政治家狙いの運送会社に嫁ぎ、
    次女の珠生はヤクザものの土建屋へ
    三女は信金の息子を婿に予定している。

    協力して長女の夫の政界進出を応援していきながらも
    もう同じ家族とはいい難くなってきた目に見えない壁を
    珠生はうすうすと感じながら、緊張感漂う日々を送る。

    男たちと、女たちの
    決して入ることの出来ない男女の領域と溝と結束。

    珠生の夫、相羽の最後。
    組合員に殺された夫と妾、残された珠生と相羽組と、妾の子。

    流れていった命、愛した夫の血を引き継ぐ妾の子、渦巻く思い。

    激動の時代。
    女は強いね……。
    切なく、力強い。

  • 桜木氏の作品を初めて読みました。極道ものと思って読み進めましたが、見当違いでした。

    戦後の道東の状況を知ることが出来、いわゆる北方領土からの引揚者が多くいたこと、非合法な形で旧ソ連とやり取りがあったという現実が分かる。

    時とともにすれ違いが生じる家族・兄弟、女性ならではの情感が生々しく描写されていて、男性の私も感情移入しつつ読むことが出来た。野付半島にはいつか行ってみたい。

  • 根室を舞台にここまでドラマが描けるのかと。
    海峡と異国。漁業基地、経済基盤とその衰退・・地理的歴史的な面でみると確かにモチーフは揃っているんですね。

    「隣国育ちで過酷な幼少期を持つ人物設定」ってところだけ、五條瑛作品を想起しました。

全60件中 1 - 10件を表示

霧 ウラルのその他の作品

霧 ウラル Kindle版 霧 ウラル 桜木紫乃

桜木紫乃の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
朝井 リョウ
柚木 麻子
森 絵都
東山 彰良
東野 圭吾
辻村 深月
東野 圭吾
米澤 穂信
湊 かなえ
角田光代
又吉 直樹
西 加奈子
恩田 陸
湊 かなえ
米澤 穂信
桜木 紫乃
桜木 紫乃
有効な右矢印 無効な右矢印

霧 ウラルを本棚に登録しているひと

ツイートする