エアー2.0

著者 :
  • 小学館
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864220

作品紹介・あらすじ

完璧な市場予測で資本主義をリセットせよ!

新国立競技場の工事現場で働く中谷は、そこで不思議な老人と出会う。老人は見るからに肉体労働には向いておらず、仕事をクビになるが、彼は大穴馬券を中谷に託していた。老人が去った直後、工事現場では爆破事件が起こり、翌日馬券は見事的中する。
多額の現金を手にした中谷の前に再び老人が姿をあらわし、彼が進める壮大な計画を手伝うよう依頼される。実は老人は感情をも計算して完璧な市場予測をはじき出す「エアー」というシステムを開発しており、高級ホテルのスイートルームでエアーを操り、瞬時に巨額の富を生み出すのだった。
老人から代理人に指名された中谷は、日本政府にエアーを提供する交渉の窓口として政治家や官僚たちと会うことになる。政府が持つ、より大きなデータをインプットすることでエアーは最強になり、市場予測は完璧なものに近づく。その力に気づいた財務省の若手官僚・福田はエアーの導入を推進するが、中谷が要求してきたのは、福島の帰還困難地域を経済自由区として、自分たちにその運営を任せよというものだった。
現代日本の難題をつまびらかにし、圧倒的なスケールで展開する、一気読み必至のネオサスペンス小説。


【編集担当からのおすすめ情報】
著者は長らく映画界に身を置き、数々の映画のプロデュースや自ら脚本を書き監督もつとめてきました。その映画づくりのなかで、ずっとあたためていた物語がこの作品です。当初、脚本として書かれ、それを自らが小説として執筆、映画的発想に支えられたスケールの大きな物語となっています。もともと文章力には確かなものがあり、文学に関しても造詣の深かった著者だけに、本作品は小説としてもスリリングで読みごたえのある作品となっています。最新の経済知識も導入し、未来の理想社会とはどんなものなのか、読む者をしてしばしそんな思索に駆らせるエンタテインメント小説です。

感想・レビュー・書評

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  •  圧倒的なストーリー。
     扉をこじ開ける力の強さよ。

  • 世界の振る舞いを計算できてしまうコンピュータ。そんな計算機があったらいいな、と思った人は少なくないだろう。本作品は、デジタル化されたあらゆる情報を取り込んで、経済学者が考え出した経済モデルを越え、人間の曖昧な気持ちまで汲んで未来を予測する、そんなコンピュータ(エアー)がある世界を描いている。

    ストーリーは面白い。難しい単語は出てこないのですらすらと読める。軽い作品のように感じるかもしれないが、この作品で語られることは非常に重い。現在の資本主義をぶち壊して新たな経済を構築しようとする試みなのだ。

    作品の時代背景は、現在(民主党政権から自民党政権に戻った安倍晋三政権時代)をベースにしている。このリアルな時代背景を理解していないと分かりにくくなる。なので、この作品は今だからこそ読んでおくべきだ。今だからこそ楽しめる作品になっている。

    社会主義が崩壊し、資本主義全盛の現在であるが、現在はその資本主義でさえ閉塞感がある。それを突破するための方法をSF作品として表現しているのは見事。最後が少し物足りない感じがするが、物語を終わらすための必然だったのだろう。そこも合わせて素直なエンタテインメント作品として楽しめばいいと思う。

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