ロマンシエ

著者 :
  • 小学館
3.52
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本棚登録 : 1367
感想 : 204
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864237

感想・レビュー・書評

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  •  「楽園のカンヴァス」から入り、「ジヴェルニーの食卓」に続き3作目を読了。
    これまでの2作と毛色が違った。
     美大生の美智之輔を中心に描かれるパリが舞台の青春小説。主人公が20代前半という設定なのだが、セリフ言い回しや回想が50代以上に思えてしまい、どうも違和感を覚えた。これは読破するのが厳しいかもと思いながら読み進めた。
     一体どう決着するのだろうと思いながら、読了。願っていたのと違うカップルが出来上がっていたが、せめて小説やドラマの中では「幸せな結末」を見たいので満足した。
     リトグラフに対する著者の考えは、なるほど!そうだなと思わされた。読破できないかもと不安を感じつつ結局読了させられた、パリをまた旅したいと思わせてくれた1冊。
     

  • 初めて読む作家さんだった。でも、なんかすごく読みやすくて、主人公に感情移入してしまった。



    美大生の美智之輔は、小さい頃から男の子と遊ぶよりは女の子とシルバニアファミリーで遊ぶほうが好きな男の子だった。そんな美智之輔が、卒業制作で作った作品が、パリへの留学できる賞に選ばれた。卒業後の進路は決まっておらず、尚且つ有名な政治家である父親から次期総理大臣といわれている政治家の娘(美智之輔より一回り年上)と結婚させられるはずだった美智之輔は渡りに船とばかりにパリへ向かった。
    憧れのパリで、カフェでバイトを始めた美智之輔の前に、おかっぱ頭にベース顔でブランド物をファストファッションのように着こなす女性が現れた。彼女は、持ち込んだノートパソコンにダダダダダとすごい勢いで打ち込んでいく。
    彼女との出会いが、美智之輔を変えていく。



    他のレビューの方も言っていたけど、実写化するならハルさんは絶対に片桐はいり!じゃなかったら、たぶん無理だと思う。
    そして、できる女のムギさんがもたいまさこだったなんて…ちょっとショック。



    だけど、ずっと本当の自分を隠して生きてきた美智之輔が、パリで本当の自分になれて、ハルさんやムギさんやサキちゃんなどさまざまな人に出会って、本当の自分の居場所を見つけられて良かったな。
    まだ、日本だと偏見な目で見られちゃうしね。美智之輔にとっては、パリは本当の自分になれるとこなんだ。


    パリ行ったことないけど、すごくオシャレな街なんだなとも思った。そりゃ、みんな憧れるわ。


    2017.4.23 読了

  • 美大の卒業制作最優秀をもらいパリの美術学校に留学する権利を手にした美智之輔。同級生の高瀬君への恋心を秘め、パリへ行ったが留学先は名門のフランス国立高等美術学校ではなく民間の美術専門校。ボザールに実力で留学しようとカフェでバイトしていると、いつもノートパソコンを使う常連のマダムにフランス語について質問されー

    ◆背中にシャークのタトゥーの「暴れ鮫」の愛読者バザメンとか妄想乙女なミッチ、ベタすぎるラブコメにイマイチのれず…。

  • 代々政治家の血筋に生まれた美智之輔は、美大に通うトランスジェンダーな男子。カミングアウトできないまま同級生の高瀬君にひそかに思いを寄せている。高瀬君は、そんなことはつゆ知らず、親友として美智之輔の才能を信じている。
    美智之輔は卒業制作で大学のパリ留学を勝ち取り、あこがれのパリに行くが、留学先は、外国人相手の専門学校。正規の大学を目指しアルバイトをしながらパリの国立の美大を目指す。

    原田マハのラブコメディ。ジェットコースターのようなストーリー展開と、まさに笑ってしまうような急展開。でも、基本は明るく、そんな馬鹿な…と言いたくなるほどのハッピー展開。
    主人公の女の子願望が、今時っぽいけれど、あまり深刻味を感じさせないハッピーなお話でした。
    めでたし、めでたし!

  • 少し漫画的かなとは思うけど、主人公が今までの作品にはなかったキャラで面白かった。リトグラフについても全然知らなかったので、これを読んで興味が湧いた。

  • 遠明寺美智之輔は幼い頃から女性として振る舞う方が楽で,美術学校に進学し,高瀬君と油彩コースを履修していたが,作品に惚れた学長の推薦でボザール賞をとり,パリに留学することになった.実際の留学先は本物のエコール・デ・ボザールではなく,アトリエ・デ・ボザールという私塾だった.バイト先で妙な日本人グループに会い,彼らを追ってきた男たちから救うことになり,リトグラフ工房idemとの関わりができた.そこのオーナーのパトリス,従業員で日本人のムギさん,サキさん,その他フランス人の連中と打ち解ける関係になった.idemの3階に居るハルさんと称する人物が世界中で人気の小説<暴れ鮫>の著者 羽生光晴(高橋春子)であり,マネージャーのジンジン(神野仁)の追っかけから逃げている.当初の留学先のボザールに不合格となった美智之輔はidemでリトグラフを本格的に習得するべく努力をしながら,ハルのおもり役も務めることになった.様々な事件が起きてドタバタする話が続くが,ジンジンらから逃げて避暑地のレ・ヴァプールに遊ぶ場面が楽しめた.ハルも美智之輔も男と女の行動がミックスして混乱しながら読んできたが,随所のフランス美術のうんちくが散りばめられていて,著者の知識の一端を垣間見た感じだ.

  • 2016.11.28
    今まで読んできたものと作風が全然違ってとっても楽しく読んだ。驚きだ!こういうのもかけるのか!

    舞台はやっぱりパリ。そうパリ。
    いつものように、原田さんのアートに対する愛も感じられるけれど、全体を通して読んでみると恋愛小説。
    主人公のミッチが愛らしい。

    内容がとても軽いから、ゲルニカやカンヴァスのように緊張感をもって読むことがないから、ルンルンと読んだ。そう恋する乙女のようにルンルンと読める。

    けど、やっぱり原田さんの書く、アートを主題にして芸術家がこんな人だったのかな、こういう生活してたのかななんて思わされながら読む本が好きだな。

  • オネエの織り成すラブコメって、こいつは辛いなあ。ミシェルがハルさん以外の仲間にはとうとう素を見せないから、どうにもあの乙女の心理描写が馴染めなくって。ミシェルの才能は皆が評価するところだけれど、具体的な技術なり作品なりでそのことが伝えられないからピンとこないし。ようは我われ世代のおとっつぁんを対象に書かれていないんであって、読む人が読めばきっと楽しい作品でしょう。

  • 乙女な心を持つ美術系男子のラブコメディ!
    有名政治家を父に持つ遠明寺(おんみょうじ)美智之輔(みちのすけ)は、子どもの頃から絵を描くことが好きな乙女な男の子。恋愛対象が同性の美智之輔は、同級生の高瀬君に憧れていたが、思いを告げることもないまま、日本の美大を卒業後、憧れのパリへ留学していた。ある日、アルバイト先のカフェで美智之輔は、ぼさぼさのおかっぱ髪でベース形の顔が目を惹く羽生(はぶ)光(み)晴(はる)という女性と出会う。凄まじい勢いでパソコンのキーボードを打つ彼女は、偶然にも美智之輔が愛読している超人気ハードボイルド小説の作者。訳あって歴史あるリトグラフ工房idemに匿われているという。過去にはピカソなどの有名アーティストが作品を生み出してきたプレス機の並ぶその工房で、リトグラフの奥深さに感動した美智之輔は、光晴をサポートしつつ、リトグラフ制作を行うことになるが……。
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    今まで読んだ原田マハの作品たちとは全然違う軽快な感じでアートに疎い私にも読みやすく、美智之輔のキャラがすごく面白くてクスリとしちゃう。せつないこともあってジーンとウルウルしたり。原田マハらしい表現が素敵でパリやノルマンディに行きたくなった。

  • ちょっとうまくいきすぎ感あり。パリの生活はそんなに楽ではない…

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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