夜行

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 3549
レビュー : 507
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864565

作品紹介・あらすじ

僕らは誰も彼女のことを忘れられなかった。

私たち六人は、京都で学生時代を過ごした仲間だった。十年前、鞍馬の火祭りを訪れた私たちの前から、長谷川さんは突然姿を消した。十年ぶりに鞍馬に集まったのは、おそらく皆、もう一度彼女に会いたかったからだ。夜が更けるなか、それぞれが旅先で出会った不思議な体験を語り出す。私たちは全員、岸田道生という画家が描いた「夜行」という絵と出会っていた。
旅の夜の怪談に、青春小説、ファンタジーの要素を織り込んだ最高傑作!
「夜はどこにでも通じているの。世界はつねに夜なのよ」

【編集担当からのおすすめ情報】
春風の花を散らすと見る夢は
さめても胸の騒ぐなりけり
--西行法師

感想・レビュー・書評

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  • 刊行後すぐに購入したものの、ホラー要素の強い登美彦氏の作品は覚悟せねばならんぞ…と本棚で温存させてしまった本書。
    ようやく(2年ごし!)チャレンジする心持ちになったので読んでみました。

    学生時代、仲間と出かけた鞍馬の火祭の最中、長谷川さんが姿を消した。
    彼女は見つからないまま10年の月日が経ち、再び鞍馬の火祭に出かけることにした5人の仲間たち。
    禁句のようになっていた長谷川さんの名前が話にのぼり、やがて1人ずつ、10年のあいだに起こった不可思議な出来事を語り始める。
    そして彼らの話にはいずれも「夜行」という名の銅版画がつきまとっていたのだった…

    登場人物たちの語るエピソードは正体不明の不気味さが満ちていてぞわぞわします。
    「なぜ」が語られない不条理な恐怖には、やめたいのにやめられない中毒性がありました。
    怖い怖いと思いながら読んだ先に待っていたクライマックスは、登美彦氏流の1つの救いの形なのかな、と思いつつ読了。

    "今ここ"にいる自分の存在がどうも不確実に感じられる読後感も、少し怖いと思ったり…

  • 最初から最後まで不思議な物語だった。雰囲気が似た作品に森見登美彦のきつねのはなしが挙げられるが、それより増した「不思議」が感じられた。

  • 初森見登美彦氏。
    やわらかい文体の中に潜む
    少し狂気じみた雰囲気を纏わりつかせる。
    絵画「夜行」の連作を媒介にした幻想的な短編を
    最終章で美しくまとめた作品。
    ホラーのくくりにしたけど、
    どちらかといえば幻想小説、ファンタジーに近いような。
    こういう物語の進め方終わり方は好みなので、
    他の作品も読んでみよう。

  • 図書館より。

    読み始めたらガッツリ一気読み。
    恐い!けど面白い。
    多分初読みの作者さんだと思うけど、すんなり読了。
    ミステリーとか、ホラーとか、裏表の世界とか?ぶっ飛ばして面白かったです。
    でも、好みじゃないと思う(ごめんなさい)。

  • 「よくわからなかった」から読んでほしい、と友人に言われ読みはじめた。本当に「よくわからなかった」。いや、わかってきたかも!と思ったこともあったのだが、結局わからず仕舞い。淡い期待は夜に消えてしまった。

    この物語は、読んでいるとどこからか冷気が感じられ、日が陰っていくような気さえしてくる。たまたま台風上陸の日に読んでいたので、自分のどの感覚が本当で嘘なのかわからなくなった。

    物語の内容も似たようなものに思えた。
    夜と朝、闇と光、夜行と曙光。これらの境界が曖昧なのだ。
    パラレルワールドというものなのか。
    それとも、この世のすべては虚構なのか。
    私たちが普段「よくわかっている」と信じて目にしているものは、本当にここにあるのか、本当に「よくわかっている」のか。
    作中の「魔境」と「ガガーリン」のエピソードが印象的であった。

    読了後には「明けない夜はない」という言葉が浮かんできた。
    総じて「よくわからなかった」のだが、夜が過ぎれば朝が来ることへの感謝、喜びのような気持ちは確かに感じた。

  • 「夜行」と題された連作の絵画をめぐる奇譚集。

    サスペンス?ホラー?ファンタジー?
    短編のようでいてページがすすむごとにそれぞれが根底で繋がっていく。

    「世界はつねに夜なのよ」

    今この瞬間さえも、世界はくるりと様相を変えるかもしれない。自分がいるのはどちらの世界なんだろうと、考えてしまった。

  • 連なる夜話5話がとある銅版画に関わっていて且つ突然消えた女性にも関わっている。何とも不可思議な気分のままに読み進めたら最終話で謎が解けるのですが、さて私はどちらの世界に居て読書しているのでしょうか? 笑

  • 不思議が不思議のまま終わるタイプの小説。感覚を楽しむものかもしれないけれど私は苦手なタイプ。頭の中でたくさんのドアが中途半端に開けられたままみたいな「上手く戻ってこられない」感じがしてしまう。
    夜行の世界の中で「だけどみんな戻ってきた」ということになっているけれど、戻ってきた描写がないものもあることが一因かなぁ。

  • 2016年下半期直木賞候補作品。
    かつて、英会話スクールの仲間で鞍馬の火祭りを見物に出かけた際、そのうちの一人が失踪してしまう。その後彼女の姿を見た者がいないまま、10年後に再度集まることに。そこで皆は不思議な体験を語るが・・・
    ホラー、ファンタジーと余り得意な分野ではなかったせいか、残念ながら下馬評ほど面白いとは感じなかった。

  • なんとも不思議な物語だった。短編五作でそれぞれ別々の物語としてとらえることもできるが、まとまってひとつの物語となっているともいえる。どの作品も夜の闇とその中に潜む不安感、恐ろしさ等を感じさせる作品だ。また尾道、奥飛騨、鞍馬等歴史がありその歴史を今も感じられる街が舞台になっており、時間を超えたミステリアスな雰囲気を醸し出している。ストーリーを理論立てて理解しようとするのではなく、著者の文章を味わい、読者自身が物語の中に溶け込んでいくことで理解出来る作品なのかもしれない。

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著者プロフィール

森見登美彦(もりみ・とみひこ)
1979年奈良県生まれ。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。
2003年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。2006年に『夜は短し歩けよ乙女』で本屋大賞2位、山本周五郎賞などを受賞し注目を集める。2010年『ペンギン・ハイウェイ』で2010年日本SF大賞、2014年『聖なる怠け者の冒険』で第2回京都本大賞、2017年『夜行』で第7回広島本大賞をそれぞれ受賞。
2010年に『四畳半神話大系』がTVアニメ化、2018年8月に『ペンギン・ハイウェイ』が劇場アニメ化された。
『きつねのはなし』『新釈 走れメロス 他四篇』など、京都を舞台にした作品が多い。2018年11月に『熱帯』を刊行し、第160回直木賞にノミネートされた。

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