夜行

  • 小学館 (2016年10月25日発売)
3.36
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784093864565

作品紹介・あらすじ

僕らは誰も彼女のことを忘れられなかった。

私たち六人は、京都で学生時代を過ごした仲間だった。十年前、鞍馬の火祭りを訪れた私たちの前から、長谷川さんは突然姿を消した。十年ぶりに鞍馬に集まったのは、おそらく皆、もう一度彼女に会いたかったからだ。夜が更けるなか、それぞれが旅先で出会った不思議な体験を語り出す。私たちは全員、岸田道生という画家が描いた「夜行」という絵と出会っていた。
旅の夜の怪談に、青春小説、ファンタジーの要素を織り込んだ最高傑作!
「夜はどこにでも通じているの。世界はつねに夜なのよ」

【編集担当からのおすすめ情報】
春風の花を散らすと見る夢は
さめても胸の騒ぐなりけり
--西行法師

みんなの感想まとめ

不思議な体験を通じて、過去の仲間との絆を再確認する物語が展開されます。失踪した仲間を思い出し、十年ぶりに集まった六人の学生たちが、それぞれの旅での出来事を語り合う姿が描かれています。物語は、彼らが共通...

感想・レビュー・書評

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  • ━━━━━ 「世界はつねに夜なのよ」


    不思議な世界に入り込んでいたような気分です。
    自分自身が生きている世界、次元までを疑い始めてしまうような作品。
    序盤は疑い深くこの世界に入り込むのですが、特に終盤は一気に世界観に引き込まれていってしまいました……

  • かつて仲間が失踪した経験を持つグループが10年ぶりに再会して宿泊先の宿で、離れ離れになった期間に起こった不思議な体験を一人一人語る物語。
    修学旅行でみんなでそれぞれ怖い話をするような感じです。
    それぞれの章ごとに語り手が変わります。ただ、それぞれの話が一貫して「夜行」という作品群との関連があるのですが、それぞれの話に少しずつ納得いかない箇所があり、あまり没入できませんでした。
    「夜は短し〜」や「四畳半シリーズ」とはテイストも文体もだいぶ違います。
    好みが分かれる作品のように感じました。

  • この中の世界のことを何と表現すればいいのか?不思議な世界にどっぷり浸りました。

  • 【短評】
    「鞍馬の火祭」の最中、一人の女性が忽然と姿を消した。
    十年後、再び京都に集った嘗ての仲間たちは、誰ともなく、ぽつりぽつりと不可思議な旅の思い出を語る。奇妙で幽玄で曖昧模糊とした「思い出」に確かに共通する要素は、早逝した銅版画家・岸田道生(きしだみちお)による連作銅版画「夜行」だった。
    「夜行列車の夜行か、あるいは百鬼夜行の夜行かもしれません」

    阿呆大学生の物語と並行して綴られる幻想文学的な方の森見登美彦である。
    考えれば考えるほどに良く分からなくなる類の一冊。一昔前の若い時分ならば、こういう奇妙な物語に雰囲気からして高得点を付けていた気がするが、最近は分からんものは分からんと思うようになった。老成なのか耄碌なのか、私には分からない。

    由来は分からないが、読んでいて少し悲しい気持ちになった。
    それが、底深い夜に灯る燈によるものなのか、闇を軋る電車の音によるものなのか、儚い空気を纏った少女によるものなのか、今以て判然としない。
    『押絵と旅する男』を例に上げるまでもなく、不思議な絵というものは物語を匂い立たせるものである。モチーフは嫌いではない。各話に漂う不穏な空気とバニシングに関する静かな恐怖感はなかなかのものだった。バチンと切れる結末の余韻もなかなかに上手い。他方「結局どういう話だったのだろう?」という疑問符は消えない。幻想文学であるからして、仔細を言葉にする必要はないと思うが、断片的に語られる描写が分かりにくすぎて、想像を拡げる邪魔をしている気がした。

    ちょっと辛口になってしまったが、静謐で奇怪な物語には確かな誘引力がある。
    こっち系の森見は口に合わないことが多いが、不思議と読み進められる力があった。

    【気に入った点】
    ●夜の旅情のようなものが良く描けていると思う。ポツポツと灯る燈の寂しい温かさや冷たい空気のなかに響く電車の音など、想像するだに美しい。作品世界に飛び込むのが、心地良いような、ちょっと怖いような不思議な感覚だった。
    ●山椒魚の様な顔色、とか。時折現れる森見的な比喩が好きである。遊び心溢れる奥ゆかしく可愛らしい文章がどうしても印象に残る。どうにもこっち系の森見は、そうした「らしさ」を棄却してしまう傾向にあると思うが、それらを融合させることを読者は望んでいるように思う。

    【気になった点】
    ●飽くまで個人的な見解だが、幻想文学は全部が「幻想的」ではいけないと思う。鮮烈なイメージの連続のみで構成された文章は、脳内で物語を紡ぎにくい。本作もイメージや思わせぶりな台詞が先行して、登場人物が何を言っているのか良くわかならない箇所が多かった。確固とした本線が合ってこそ、車窓の景色を堪能できるというものだ。

    幻想的にしようと平素の遊び心を捨ててしまったのが、やはり惜しい。
    「走れメロス」等では奏功していたのだから、出来る筈だ。非凡な空気感を纏うことは出来ていると思う。右か左かに振るのではなく、両者が和合した素敵なダークを私は待ち望んでいる。

  • 終始不穏な雰囲気で、すっきりとした終わり方ではなく、様々な解釈ができる不思議な話だった。独特の世界観なので、合う合わないがはっきり分かれるのではないかと思う。

  • この作家の作品はほとんど読んだ事がなかった
    夜行のタイトルのように夜行列車のイメージで読んでいったが、現実と過去が複雑に絡み合って、そこに謎の女性が
    暗闇しか見えてこない怖い感じの作品だった

  • 曙光と夜行の対になった世界はある銅版画でつながっている。半分ミステリーとも思えるパラレルワールドファンタジーでした。
    不思議なことは不思議なままにして、分からないことは分からないままにして読み終わることにしました。

  • 情景が素敵さもあり不気味さもあって、文章力すごと思った。
    尾道や奥飛騨、津軽、天竜峡、鞍馬、どれも行ってみたい。夜行列車乗って旅館に泊まって温泉入りたい。

  • 刊行後すぐに購入したものの、ホラー要素の強い登美彦氏の作品は覚悟せねばならんぞ…と本棚で温存させてしまった本書。
    ようやく(2年ごし!)チャレンジする心持ちになったので読んでみました。

    学生時代、仲間と出かけた鞍馬の火祭の最中、長谷川さんが姿を消した。
    彼女は見つからないまま10年の月日が経ち、再び鞍馬の火祭に出かけることにした5人の仲間たち。
    禁句のようになっていた長谷川さんの名前が話にのぼり、やがて1人ずつ、10年のあいだに起こった不可思議な出来事を語り始める。
    そして彼らの話にはいずれも「夜行」という名の銅版画がつきまとっていたのだった…

    登場人物たちの語るエピソードは正体不明の不気味さが満ちていてぞわぞわします。
    「なぜ」が語られない不条理な恐怖には、やめたいのにやめられない中毒性がありました。
    怖い怖いと思いながら読んだ先に待っていたクライマックスは、登美彦氏流の1つの救いの形なのかな、と思いつつ読了。

    "今ここ"にいる自分の存在がどうも不確実に感じられる読後感も、少し怖いと思ったり…

  • 初の登美彦氏。はじめは、登場人物が多く話がまとまっていないと思ったが、最後には全ての話が繋がった。
    読み終わると不思議な気持ちになる、ホラー小説。

  • 鞍馬の火祭りに集まった学生時代の仲間達。夕食の席で10年前の火祭りの夜に失踪した仲間の女性を画廊で見かけた話をきっかけに、その画廊で開催されていた個展の銅版画家の連作「夜行」に纏わるとも思われる奇妙な話を仲間が一人ずつ語っていく。尾道。奥飛騨。津軽。天竜峡。舞台となる街の日常の横に潜む闇。それに触れた仲間は以前の仲間なのか。仄暗い闇が知らない間に足首から上ってきそうな雰囲気がなんともいえない。永遠の夜「夜行」とただ一度きりの朝「曙光」語り手が踏み込んだ、そして戻ってきた世界はどちらなのか。自分の足元の曖昧さも感じさせる緩やかな締めがまた不思議な感触だった。

  • 何とも不思議な世界観。
    森見作品によくある(?)おふざけ的な展開、思わず吹き出してしまいそうになるセリフは一切なしで、暗く無気味な雰囲気をたたえた夜が永遠と進んで行くような作品です。
    私は『きつねのはなし』や『宵山万華鏡』など、ちょっと不気味さを持ち合わせた森見作品が好きなので、今回も引き込まれるように読みました。
    ただ、最後の終わり方はちょっとモヤモヤが残るものだなぁと。

  • 最初から最後まで不思議な物語だった。雰囲気が似た作品に森見登美彦のきつねのはなしが挙げられるが、それより増した「不思議」が感じられた。

  • 不思議で、それでいて怖いようなどこか懐かしいような何とも言えない話である。恩田陸あたりが書きそうな話でもあるが、ほんの少しの寂しさのような優しさのようなものを感じる。
    それぞれの旅先を舞台にしたホラーのような、怪奇小説のようなお話全てがいい。何かわかりそうで、わからない。わからないようでわかる。絶妙に「この話はどうだと思う?」という疑いのラインを突いてくる連作短編集、楽しかった。

  • ちょっと怖くて不思議な物語。
    登場人物が語る不思議な世界がちょっとずつつながっていく。不思議な余韻が残る本。

    今まで読んできたのと少し雰囲気(語り口)が違う、パラレルワールドストーリーでした。

    普段あまり電車に乗る機会がないので、行ったことない場所に電車で行ってみたくなりました。


  • はっきり言って、面白さや興味、共感を感じることのない本でした。こんな本だった・・・・退屈しました。読み方がいけなかったのでしょうか?
    その人の感じ方次第かも知れませんが。

  • 森見登美彦さんの作品はこれまで何度か挫折しており苦手意識があったが、これは読み終えることができた。

    岸田道生という人の描いた絵画を中心にしたファンタジックでミステリアスなストーリーだ。

    何がいいかというと
    作品の全体的な日本語の美しさだ。
    言葉の選び方や表現が実に上品で美しい。
    以前、森見登美彦さんの作品を手にした時も感じた独特の描き回し。
    それがこの作品の雰囲気と非常によく合っており、全体に透明感と日本語の美しさが流れている。

    しかしながら、内容はないというか
    夜行列車で不思議な世界をサーーーーっとみたような感じの読了感がある。
    何かを見たように思うが、それが手にできないような感じ。

    それがこの作品の良さであり、美しさなのかもしれない。

  • かつて仲間の一人が失踪したグループが、再び鞍馬の夜祭に集まる。一人の画家の連作に関連する不思議な出来事をそれぞれが語り出して‥
    一人一人が旅先での絵と関わりのあるような不思議な出来事を語っていくが、どれもモヤモヤとした感じで、最後もぼやかされるのが、不穏な感じをかき立てていておもしろい。
    ただ、各話で盛り上げた雰囲気が最後の話につなげられていない感じがした。きれいな終わり方と思ったが、それまでの雰囲気と、どうつながっていくか期待していたのもあったので、その点は少し残念だった。

  • 初森見登美彦氏。
    やわらかい文体の中に潜む
    少し狂気じみた雰囲気を纏わりつかせる。
    絵画「夜行」の連作を媒介にした幻想的な短編を
    最終章で美しくまとめた作品。
    ホラーのくくりにしたけど、
    どちらかといえば幻想小説、ファンタジーに近いような。
    こういう物語の進め方終わり方は好みなので、
    他の作品も読んでみよう。

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著者プロフィール

1979年、奈良県生駒市に生まれる。小説家。『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビュー、最新作は『シャーロック・ホームズの凱旋』。好きな食べ物はチャーハン。城崎にて人生初のスマートボールを楽しむ。

「2024年 『城崎にて 四篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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