夜行

著者 :
  • 小学館
3.36
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本棚登録 : 3774
レビュー : 533
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864565

感想・レビュー・書評

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  • 2016年下半期直木賞候補作品。
    かつて、英会話スクールの仲間で鞍馬の火祭りを見物に出かけた際、そのうちの一人が失踪してしまう。その後彼女の姿を見た者がいないまま、10年後に再度集まることに。そこで皆は不思議な体験を語るが・・・
    ホラー、ファンタジーと余り得意な分野ではなかったせいか、残念ながら下馬評ほど面白いとは感じなかった。

  • なんとも不思議な物語だった。短編五作でそれぞれ別々の物語としてとらえることもできるが、まとまってひとつの物語となっているともいえる。どの作品も夜の闇とその中に潜む不安感、恐ろしさ等を感じさせる作品だ。また尾道、奥飛騨、鞍馬等歴史がありその歴史を今も感じられる街が舞台になっており、時間を超えたミステリアスな雰囲気を醸し出している。ストーリーを理論立てて理解しようとするのではなく、著者の文章を味わい、読者自身が物語の中に溶け込んでいくことで理解出来る作品なのかもしれない。

  • 永遠の夜と、ただ一度きりの朝。
    連作絵画「夜行」から繋がって反転してまた還ってゆく。
    不可思議な旅路。
    消えてしまった長谷川さん。
    夜はとてもおそろしくて、寂しくて、なのに朝がこんなにも温かくて切ないなんて。
    なんだかとても心細くなってしまったので、モリミーの阿呆全開ワールドな新作が早く読みたい。

  • 不思議な出来事が起きて、解決することはない。
    たとえ小説であろうと、物事をきちんと論理的に整理して理解したいバリバリ理系脳!の方には向いていません。
    物語全体に漂う不思議さ、雰囲気、情景、文体、みたいなものを、ただそのまま味わうような読み方がよいかもしれません。
    「きつねのはなし」のときの不気味でホラーじみたダークな部分が前面に出た話ですが、あまり重苦しいとか怖い感じというよりは、ファンタジックな感じに少しの寂しさがプラスされたような、そんな読後感。

  • 友人が一人ずつ語り、謎が解き明かされていく。が、少々読みづらい。視点が変わるから? でも、不思議話は好き。
    そういうことなの、と思ったら、また最初から読むってのもありだな。

  • ★3.5
    「きつねのはなし」の系譜を持つ、オカルト度高めな不思議本。尾道や津軽等、全国の様々な場所が登場するけれど、やっぱり原点となるのは京都。全てはそこから始まり、そこで終わる。そして、主人公・大橋君の友人たちが語るエピソードが何とも妖しく、気を抜くと夜に飲み込まれそうになる。しかも、それらのエピソードが完結しているようでしていなく、余計に恐怖心を煽ってくる。「最終夜 鞍馬」でこれまでの全てが覆されるけれど、再び朝の光を浴びることが出来て本当に良かった。改めて、闇と光が表裏一体で、暗く眩しいことを知る。

  • 改めて語るまでもないのだけど、森見登美彦には概ね3つの作品のタイプがありますな。
    1.或る阿呆男子の妄想
    2.美しい怪談
    3.両者の混合タイプ

    出世作が1.のタイプなので2.の怪談は世間的には1.の影に隠れているのではないかと勝手に思い込んでますが、より好みなのは2.だったりします。
    2.の傑作「きつねのはなし」「宵山万華鏡」が湛える『夜』のイメージをふんだんに盛り付けたのがこの「夜行」です。何しろタイトルから夜ですから。

    「夜行」というタイトルの一連の銅版画を旅先案内人に語られていく夜話、というコンセプトがまず美しい。
    怪談の話者の意識が混濁していく様も美しく、且つ禍々しい。

    個人的な白眉は3章「津軽」で、話者の夫が言い淀んでいたことを告白するシーン。定型的な怪談であるからこそ、マジで恐かった。

    惜しむらくは表紙ですかね。

  • 結局、よく分からなかった。
    「夜行」の長谷川さんが失踪し、岸田も亡くなっている世界と、「曙光」の大橋が失踪し、長谷川さんと岸田が結婚している世界。パラレルワールドなのか⁇
    それなら、途中な話そんな怖くしなくてもいいのに…と恨めしく思いながらなんとか読了。
    モヤモヤした。

    36

  • 第一夜を読んで、往年の映画「異人たちとの夏」を思い出した。
    夜行はパラレルワールドかとも思うが、この世ならざる者の気配を感じる。

  • 夕暮れ時、見知らぬ町佇んでいると、どこか違う世界に迷い込んでしまうような気持ちになる事がある。
    山麓の学校に営業に出かけた帰り、駅へのバスを待っていた時に、このバスに乗って帰ったらどこか別の世界にに連れていかれそうだなと思ったことが、私にはある。

    夜行列車。人が疎らになったホームに静かに列車が滑り込んでくる。
    乗車駅は、まだ他のホームには沢山の乗客が残っているけど、列車が発車し、停車駅を数えるたびに疎らになっていくホーム。
    そして、うす緑にぼんやり浮かぶ駅の姿を見ていると、やはりどこか違う世界に入り込んで行ってしまうような気持ちに襲われることがある。

    夜行。
    普段見慣れた世界、普通の生活が、いつのまにか違うものになっている。そんな気持ちになる事を思い出させてくれる物語だった。

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著者プロフィール

森見登美彦(もりみ とみひこ)
1979年奈良県生まれの作家で、京都を舞台にした作品が多い。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。2003年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。2006年に『夜は短し歩けよ乙女』で本屋大賞2位、山本周五郎賞などを受賞し注目を集める。2010年『ペンギン・ハイウェイ』で2010年日本SF大賞、2014年『聖なる怠け者の冒険』で第2回京都本大賞、2017年『夜行』で第7回広島本大賞をそれぞれ受賞。2010年に『四畳半神話大系』がTVアニメ化、2018年8月に『ペンギン・ハイウェイ』が劇場アニメ化された。2018年11月に『熱帯』を刊行し、第160回直木賞、2019年本屋大賞にノミネートし、第六回高校生直木賞受賞。

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