夜行

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 3770
レビュー : 530
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864565

感想・レビュー・書評

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  • 初森見登美彦氏。
    やわらかい文体の中に潜む
    少し狂気じみた雰囲気を纏わりつかせる。
    絵画「夜行」の連作を媒介にした幻想的な短編を
    最終章で美しくまとめた作品。
    ホラーのくくりにしたけど、
    どちらかといえば幻想小説、ファンタジーに近いような。
    こういう物語の進め方終わり方は好みなので、
    他の作品も読んでみよう。

  • かつて仲間の一人が失踪したグループが、再び鞍馬の夜祭に集まる。一人の画家の連作に関連する不思議な出来事をそれぞれが語り出して‥
    一人一人が旅先での絵と関わりのあるような不思議な出来事を語っていくが、どれもモヤモヤとした感じで、最後もぼやかされるのが、不穏な感じをかき立てていておもしろい。
    ただ、各話で盛り上げた雰囲気が最後の話につなげられていない感じがした。きれいな終わり方と思ったが、それまでの雰囲気と、どうつながっていくか期待していたのもあったので、その点は少し残念だった。

  • 「よくわからなかった」から読んでほしい、と友人に言われ読みはじめた。本当に「よくわからなかった」。いや、わかってきたかも!と思ったこともあったのだが、結局わからず仕舞い。淡い期待は夜に消えてしまった。

    この物語は、読んでいるとどこからか冷気が感じられ、日が陰っていくような気さえしてくる。たまたま台風上陸の日に読んでいたので、自分のどの感覚が本当で嘘なのかわからなくなった。

    物語の内容も似たようなものに思えた。
    夜と朝、闇と光、夜行と曙光。これらの境界が曖昧なのだ。
    パラレルワールドというものなのか。
    それとも、この世のすべては虚構なのか。
    私たちが普段「よくわかっている」と信じて目にしているものは、本当にここにあるのか、本当に「よくわかっている」のか。
    作中の「魔境」と「ガガーリン」のエピソードが印象的であった。

    読了後には「明けない夜はない」という言葉が浮かんできた。
    総じて「よくわからなかった」のだが、夜が過ぎれば朝が来ることへの感謝、喜びのような気持ちは確かに感じた。

  • 不思議が不思議のまま終わるタイプの小説。感覚を楽しむものかもしれないけれど私は苦手なタイプ。頭の中でたくさんのドアが中途半端に開けられたままみたいな「上手く戻ってこられない」感じがしてしまう。
    夜行の世界の中で「だけどみんな戻ってきた」ということになっているけれど、戻ってきた描写がないものもあることが一因かなぁ。

  • 2016年下半期直木賞候補作品。
    かつて、英会話スクールの仲間で鞍馬の火祭りを見物に出かけた際、そのうちの一人が失踪してしまう。その後彼女の姿を見た者がいないまま、10年後に再度集まることに。そこで皆は不思議な体験を語るが・・・
    ホラー、ファンタジーと余り得意な分野ではなかったせいか、残念ながら下馬評ほど面白いとは感じなかった。

  • 友人が一人ずつ語り、謎が解き明かされていく。が、少々読みづらい。視点が変わるから? でも、不思議話は好き。
    そういうことなの、と思ったら、また最初から読むってのもありだな。

  • ★3.5
    「きつねのはなし」の系譜を持つ、オカルト度高めな不思議本。尾道や津軽等、全国の様々な場所が登場するけれど、やっぱり原点となるのは京都。全てはそこから始まり、そこで終わる。そして、主人公・大橋君の友人たちが語るエピソードが何とも妖しく、気を抜くと夜に飲み込まれそうになる。しかも、それらのエピソードが完結しているようでしていなく、余計に恐怖心を煽ってくる。「最終夜 鞍馬」でこれまでの全てが覆されるけれど、再び朝の光を浴びることが出来て本当に良かった。改めて、闇と光が表裏一体で、暗く眩しいことを知る。

  • 第一夜を読んで、往年の映画「異人たちとの夏」を思い出した。
    夜行はパラレルワールドかとも思うが、この世ならざる者の気配を感じる。

  • 夕暮れ時、見知らぬ町佇んでいると、どこか違う世界に迷い込んでしまうような気持ちになる事がある。
    山麓の学校に営業に出かけた帰り、駅へのバスを待っていた時に、このバスに乗って帰ったらどこか別の世界にに連れていかれそうだなと思ったことが、私にはある。

    夜行列車。人が疎らになったホームに静かに列車が滑り込んでくる。
    乗車駅は、まだ他のホームには沢山の乗客が残っているけど、列車が発車し、停車駅を数えるたびに疎らになっていくホーム。
    そして、うす緑にぼんやり浮かぶ駅の姿を見ていると、やはりどこか違う世界に入り込んで行ってしまうような気持ちに襲われることがある。

    夜行。
    普段見慣れた世界、普通の生活が、いつのまにか違うものになっている。そんな気持ちになる事を思い出させてくれる物語だった。

  • 森見登美彦氏の本が好きなので、本を開いたときにワクワクしてしまった。どんな物語なのだろうか。
    森見登美彦氏味は控えめだが、主人公たちの中に、どこか一歩引いた不思議さと言うか、 森見登美彦っぽさを感じる。

    祭りの夜にいなくなってしまった女の子の友人、何年後かにまたその祭りに行ったメンバーで集まり話をすると、画家の書いた連作「夜行」にまつわる失踪事件をそれぞれが体験しており、語られる。このそれぞれ話すストーリーも終わりぶつっと切られ、もやもやするがそれが一層その後の話の不気味さに繋がっているのを感じる。
    ラストの物悲しさも結構好き。

著者プロフィール

森見登美彦(もりみ とみひこ)
1979年奈良県生まれの作家で、京都を舞台にした作品が多い。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。2003年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。2006年に『夜は短し歩けよ乙女』で本屋大賞2位、山本周五郎賞などを受賞し注目を集める。2010年『ペンギン・ハイウェイ』で2010年日本SF大賞、2014年『聖なる怠け者の冒険』で第2回京都本大賞、2017年『夜行』で第7回広島本大賞をそれぞれ受賞。2010年に『四畳半神話大系』がTVアニメ化、2018年8月に『ペンギン・ハイウェイ』が劇場アニメ化された。2018年11月に『熱帯』を刊行し、第160回直木賞、2019年本屋大賞にノミネートし、第六回高校生直木賞受賞。

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