- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093864602
作品紹介・あらすじ
遺影専門写真館を舞台にしたミステリー連作
『人生の最期に最愛の人へ最高の自分を贈るために』
巣鴨の路地裏に佇む遺影専門の雨利写真館には、今日も死に向き合う人々が訪れる。撮影にやって来る人々の生き様や遺された人の人生ドラマを若手注目ナンバー1新進気鋭のミステリー作家・芦沢央が見事な謎解きで紡ぎ出す。
人生の終焉を迎える時、人は、本当に大切な物が見えてくる。
ミステリー、なのに心温まる珠玉の4編。
●一つ目の遺言状 ハナの祖母の遺言の謎。そこには驚きの仕掛けが。
●十二年目の家族写真 母の死を巡り、父と息子の葛藤の日々が始まる。
●三つ目の遺品 写真館に遺された一枚の写真。そこに写る妊婦は?
●二枚目の遺影 末期癌を患う男性が撮った二枚の遺影写真。
【編集担当からのおすすめ情報】
発売前に書店員さんや関係者に原稿を読んでいただいたのですが、とにかく各方面から大変な反響をいただいています。『遺影』をキイワードに人間ドラマを描くという、斬新な発想。読み始めたらその世界にぐいぐい引き込まれます。『終活』というタイトルから、年を重ねた方が読者対象を思われるかもしれませんが、若い方にも是非手に取っていただきたい秀作です。
感想・レビュー・書評
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急逝した祖母の遺言状には母の名前だけ書かれていなかった。その理由を知るために、祖母が遺影を撮った写真館へと向かう。
ひょんなことから遺影撮影専門の写真館で働くことになった『ハナ』の目を通して描かれる、家族の物語。
故人の本心を解き明かすことは出来ない。行き違ったまま別れてしまったとしたら、尚更悔いが残るだろう。終活やら遺影撮影などというのは何だか縁起が悪いように思えてしまうけれど、逝く方も残された者にとっても悔いを残さないためにはあんがい大事なんじゃないだろうかと思えた。
タイトルから心温まる話を想像したのだけれど、他の作品が頭にあったので少しドキドキしながら読み進めた。一作目はほっとしたものの、二作目はやはりちくりと刺さるものがあった。全体的には柔らかいのに、小さなとげが刺さって抜けない・・・これがこの著者の味なのだろうか。 -
元美容師で二十九歳の傷心のハナが出会った遺影専門写真館の女性店主、似非関西弁のカメラマン見習い、無礼なカメラマン。クイズ好きの祖母の遺言、息子の奇妙な絵、過去の妊婦写真、二人の女性との二撮影。拗れた家族間をそっとほどいていく様子に安心感があり、疑惑を覆す誰もが傷つかない真相達にもぐっと引き込まれた。
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ミステリーなのか!?
またまた会社の方から頂いたので、事前情報ゼロで読んでみることに。。。
有名美容院で働くハナ。そこへ客として現れる高井伸雄。
四年間付き合い結婚かと思いきや、彼は妻帯者だった。
彼の「もう俺、絶対ハナと結婚する」という言葉と安物とわかるイミテーションダイヤの指輪に騙され、勤めていた美容院をやめてしまう。
ひょんな出来事から雨利写真館に採用され、、、
私の苦手な短編集ではあったが、登場人物がコロコロ変わるわけでなく、割りと読みやすかった。
写真館を訪れるお客様それぞれのドラマと雨利写真館のスタッフが関わっていくのだが、なかなか個性的なメンバーで楽しく読み終えることができた。
ミステリー好きではなくても楽しめる一冊ではないかな?と思う(*^^*) -
タイトル通り、遺影専門の写真館を舞台にした物語。
悪くはないのだけれど、キャラクターが誰も好きになれない。
特に主人公。ものすごく身勝手で自分の都合でしかモノを考えてないように見えてしまう。
寡黙なカメラマンも似非関西弁のアシスタントも商売上手なカウンセラーも、何だかなぁという感じ。
終活というテーマだからこそ、もう少し軽快に描いて欲しかった。 -
『お葬式の話だなんて縁起でもない・・・』
そんな風潮はいつの間にか廃れ
気がつけば世の中には、『終活』なる言葉が流行りだしている。
誰にでもいつかは必ず訪れるその時のことを考えることは
きっと人生を考えることと同じだ。
愛する人が残してくれた、思いを込めたメッセージ、
亡くなった人に言えなかった本当の想い、
そんな少しだけこんがらがってしまった気持ちを抱え、人々は写真館を訪ねて来るのです。
こんがらがった糸を次々と解いていく過程も
たっぷり楽しめる物語です♪