- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093864602
感想・レビュー・書評
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急逝した祖母の遺言状には母の名前だけ書かれていなかった。その理由を知るために、祖母が遺影を撮った写真館へと向かう。
ひょんなことから遺影撮影専門の写真館で働くことになった『ハナ』の目を通して描かれる、家族の物語。
故人の本心を解き明かすことは出来ない。行き違ったまま別れてしまったとしたら、尚更悔いが残るだろう。終活やら遺影撮影などというのは何だか縁起が悪いように思えてしまうけれど、逝く方も残された者にとっても悔いを残さないためにはあんがい大事なんじゃないだろうかと思えた。
タイトルから心温まる話を想像したのだけれど、他の作品が頭にあったので少しドキドキしながら読み進めた。一作目はほっとしたものの、二作目はやはりちくりと刺さるものがあった。全体的には柔らかいのに、小さなとげが刺さって抜けない・・・これがこの著者の味なのだろうか。 -
元美容師で二十九歳の傷心のハナが出会った遺影専門写真館の女性店主、似非関西弁のカメラマン見習い、無礼なカメラマン。クイズ好きの祖母の遺言、息子の奇妙な絵、過去の妊婦写真、二人の女性との二撮影。拗れた家族間をそっとほどいていく様子に安心感があり、疑惑を覆す誰もが傷つかない真相達にもぐっと引き込まれた。
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ミステリーなのか!?
またまた会社の方から頂いたので、事前情報ゼロで読んでみることに。。。
有名美容院で働くハナ。そこへ客として現れる高井伸雄。
四年間付き合い結婚かと思いきや、彼は妻帯者だった。
彼の「もう俺、絶対ハナと結婚する」という言葉と安物とわかるイミテーションダイヤの指輪に騙され、勤めていた美容院をやめてしまう。
ひょんな出来事から雨利写真館に採用され、、、
私の苦手な短編集ではあったが、登場人物がコロコロ変わるわけでなく、割りと読みやすかった。
写真館を訪れるお客様それぞれのドラマと雨利写真館のスタッフが関わっていくのだが、なかなか個性的なメンバーで楽しく読み終えることができた。
ミステリー好きではなくても楽しめる一冊ではないかな?と思う(*^^*) -
面白かった!
遺影を撮るっていうテーマが他には無かったし、主人公が抱えてたものがお客さんの問題と上手くリンクして解決していくのが良かった。
婚約者が既婚やったってのはおいおいおい!ってなったけど。笑 -
連作短編。
ちょっとありそうな謎を解明していくのだけど、
真相はありきたりではない。
そこがいい。
その意外性に、ありえないとか、ファンタジーとかの要素もなく
ちゃんとストンと腑に落ちる。
そしてタイトルにもある雨利という人がカメラマンで、
真相に近づく鍵を見つけるのがいつも彼なのだけど、
主人公はハナ。
ハナは祖母を亡くしただけでなく、恋人も失い、仕事も失って
傷は深い。
そんな彼女が写真館でスタッフとして働き始めて
ほんの少しだけ前向きになる過程が良かった。
どんな悲しみも後悔も消えることはないけれど、
少しずつ癒えていく、
内面を細やかに描き出してくれて、
優しい気持ちになれる。
二話と四話でちょっと泣けた。 -
遺影専門写真館が舞台の短編集。
勝手な偏見で、短編集はサラッと軽く読める分、内容は希釈されたものが多いよなあと、あまりに期待していませんでしたが思いの外良かったです。
それぞれの短い物語のなかにそれぞれの形の温かい想いがあって、この本の性質上それはどれも大切な人の、「死」とリンクしています。
喪失を前提とした物語はやはり読者の心を揺さぶる王道だし、だからこそ類似したテーマの物語はいくらでもあって、パターンも出尽くしている感がある。
でもこの写真館で出会うストーリーには、ありきたりだったり容易に展開が読めてしまってしらけるものがありませんでした。
奇をてらっているような違和感がないのに、いちいち胸のどこかがザワザワしたりジンワリしたりグッときたりするのは、スタッフや故人、死を待つ人、遺族や遠くない未来に遺族となってしまう人達にきちんと血が通っているからだと思います。
ただ雨利さん、いいキャラだしキーポイントには絡んでくるけど存在感薄い。まあ、タイトルは「雨利さん」じゃなくて「雨利終活写真館」だからこれくらいのさりげなさがいいのか。 -
遺影専門の写真館での奇妙な短編。
なかなか奥深い話もあり…胸にせまる話もあり…。