本を守ろうとする猫の話

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 1444
レビュー : 194
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864633

作品紹介・あらすじ

『神様のカルテ』シリーズ外、初の長編!

「お前は、ただの物知りになりたいのか?」
夏木林太郎は、一介の高校生である。夏木書店を営む祖父と二人暮らしをしてきた。生活が一変したのは、祖父が突然亡くなってからだ。面識のなかった伯母に引き取られることになり本の整理をしていた林太郎は、書棚の奥で人間の言葉を話すトラネコと出会う。トラネコは、本を守るため林太郎の力を借りたいのだという。
痛烈痛快! センス・オブ・ワンダーに満ちた夏川版『銀河鉄道の夜』!

【編集担当からのおすすめ情報】
300万部超のベストセラー『神様のカルテ』著者、
初のファンタジー長編!

感想・レビュー・書評

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  • あなたにとって「本」とは何ですか。
    と問いただされたような気がしました。

    書店の主だった祖父が亡くなり、
    空ろな日々を過ごしていた林太郎の目の前に、突然現れた一匹の猫。
    「本を救ってほしい」というトラに連れられて、
    迷宮に入り込んだ林太郎が見たものは───


    ”本には大きな力がある。けれどもそれはあくまで本の力であって、お前の力ではない。
    いくら知識を詰め込んでも、自分の足で歩かなければそれはただの借り物。
    お前はただの物知りになりたいのか。”
    林太郎の祖父の言っていたことが、深く胸に突き刺さる。

    一冊々、大事に読もうと心がけてはいても、
    読みたい本がありすぎて、毎日新しい本を読むことに追われ、
    めったに一度読んだ本を読み返すことがなくなった。
    大切な一冊を、何度も読み返しながら、ゆったりと物語の世界に身を置く。
    そんな読書ができたらいいのに。
    そして、そのひざの上に柔らかいモフモフちゃんがいてくれたらもっといいなぁ。

    ちなみに、本に囲まれちょこんと座っている表紙のネコちゃん。
    この子があの何やら生意気なトラ?
    ちょっと可愛すぎ?
    トラ、ごめん!(笑)

  • 今月は何冊読んだか?感想書いた割合は?そんな事を気にしつつブクログをつけているオロカモノの自分には、かなり突き刺さる内容である(仕事柄沢山の本に触れるべきだとは思うのだが)。

    とにかく沢山読みたい!古典は手を出したが途中で挫折したから要約本やネット検索で決着!ベストセラーが大好き!…こういった人は自分も含め結構いるだろうし、別にそれでも構わないと思う。
    けれど、「違う本との向き合い方もあるよ」、「そんなにガツガツした消化不良の読書ばかりが読書ではないよ」と教えてくれている気がする。
    時間に追われる現代人だが、本を読む時くらい追われるようにしなくてもいいのかも。2019.8.15

  • 祖父を亡くした少年の前に現れた、人間の言葉を喋る猫。
    この猫に導かれ、少年は本を救うために迷宮へと足を踏み入れていきます…

    期待していたよりも、ライトな内容だったので☆2つ。
    著者が本に抱いている想いは伝わってきたけれど、その部分を強調するがゆえに描かれた本の力が限定的になっているようにも感じてしまいました。
    登場する文学作品も海外のものばかりで、日本の文学も入れてほしかったな…、と少し物足りない読後感。
    でも、本書をきっかけにして、中高生が文豪の作品にも挑戦してみよう、と思ってくれるのであればうれしいです。

  • 私にはなかなか難しい、本に関するファンタジー小説だった。

    読みたい本が沢山ありすぎて、どこまで1冊の本に真剣に取り組めてるのか、なんとなく後ろめたい気持ちに。

  • 本は・・・好きに読めばいいんじゃないかな?w
    なんでもそうだけど、バランスが大事なわけで。

    愛し方って人それぞれだからね。
    全部を同じように愛するのは無理だし、熱烈に愛し合って蜜月を過ごすのもいいし、あちこち浮気して歩いた末に穏やかな関係にたどり着くのもいいし、深入りせずとも友好的な関係を持続させるのもいいし、みんな素敵で選べなくてどれもこれも追っかけちゃう!ってのもいいしw

    好きな時に好きなだけ、必要な時に必要なだけ、手に取りさえすればいつでもスッと寄り添ってくれるのが本だもんねぇ?

    ただし、基本的には紙の本を推奨しますがww

  • もしかしたら、じいちゃんによる『二代目認定試験』だったんじゃないかと疑っている。
    そして、本を読み終わって閉じた後の、この物語の明日からをとても楽しく想像してしまう。
    高校生にして、古書店の店主・夏木林太郎。
    とっても素敵じゃありませんか!?
    ビジュアルが、さえない眼鏡というのがまたそれらしくて良い。

    早朝、朝ごはんを済ませると店の格子戸を開けて店内に風を通し、入り口の掃き掃除と、書棚のはたき掛け…
    それが済むとお茶を淹れ、しばらく読書をする。
    時間が来れば登校し、始業ベルの少し前に、吹奏楽部の朝練を終えた柚木沙夜が教室に入ってきて、林太郎の姿を見つける。
    「よろしい、今日もちゃんと登校したわね」と、声には出さず頷くのだ。
    本を巡る状況は、相変わらず厳しいけれど、本に囲まれてそんな毎日を過ごすのはうらやましいなあ、と思う。

    しゃべるトラ猫に頼まれて、本を救うために迷宮の中に赴く林太郎。
    そこに描かれているのは、現在、本や出版業界が直面している危機であり、本の読まれ方に対する痛烈な皮肉であったり。
    自分も少し反省をしたり、日ごろの思いを代弁してくれて溜飲を下げたりしたのであった。

    序章 事の始まり
    第一章 第一の迷宮「閉じ込める者」
    第二章 第二の迷宮「切りきざむ者」
    第三章 第三の迷宮「売りさばく者」
    第四章 最後の迷宮
    終章 事の終わり

  • 喋るトラネコ、店の奥にあるはずの無い通路、そこを抜けた先に広がる奇妙な世界。どこかにありそうな話ではある。しかし、物語の中では、現代の本離れ、本を取り巻く現状をどこかユーモラスに、かつ丁寧に描かれている。林太郎は3人と対話し、本を救い出すことに成功する。ここで終わりではなくて、その後を書いているところがよかった。各々やり方を変え、地位を失ってしまった3人。
    思いだけではどうにもならない。“世界で一番読まれた本”は、林太郎にそう告げる。それでも林太郎は言う。本は、人を思いやる心を教えてくれるものではないかと。
    よく言った少年、と一人目は言う。自信を持ちなさい、と二人目がいう。三人目は、思いだけでは変わらないと意見され、こう返す。「それでも、やってみようとは思わないかね?」
    私たちが今も本を読めるのは、こんな人たちがいるからなのだ。現実にいるたくさんの人たちが、こんなに大変な世の中でも、それでもやってみようと思いを繋いで、ここまで本を届けてくれている。私はちっぽけな一読者に過ぎないけれど、本を大事に読む人間でありたいと改めて思った。

  • 【図書館】これは…素敵な本でもあり、考えさせられる本でもありました。そして心に響く言葉がたくさんあり、付箋がいっぱいになりました。本が好きな方にはぜひとも読んでほしいし、本を読むこととはどういうことなのか…考えてほしいと思いました。これは手元に置いておきたいな。

  • 本好きの「ただの物知り」となりつつある少年。

    「本には大きな力がある。けれどもそれは、あくまでも本の力であって、お前の力ではない。[...]
    ただがむしゃらに本を読めば、その分だけ見える世界が広がるわけではない。どれほど多くの知識を詰め込んでも、お前が自分の頭で考え、自分の足で歩かなければ、すべては空虚な借り物でしかないのだよ」(47 ページ)

    ただただ本を読むのではなく、
    本を通して、自分の頭で考えて、人の心を感じて知っていく。

    「人を思う心」を知り、成長していく少年の物語り。

    ---

    本を通して、ただ「知る」だけじゃなく、
    人の心を「感じる」大切さを思い出させもらった物語り。

  • とっても面白かった!たまたま手に取った本だけど、出会えて良かった。

    祖父の死によって身寄りがある人が叔母だけとなり、夏木書店で引きこもりがちになり、不登校になった林太郎。
    そんな彼のもとに訪れる学級委員長の柚木、秋葉先輩、そしてトラネコたちが本で繋がり彼を少しずつ変えていく──

    実はトラネコのいる本が夏木書店のどこかにあるんじゃないかな、なんてね、考えたんですよ。

    本に関して正しい答えを出しにくい真実と向き合いながら、良い読書とは何か、読書家とは何か……林太郎が自分の言葉で少しずつ少しずつ本への愛を紬ぎ、迷宮の人々、そして私たちに教えてくれる。
    人と本のつながり、そして人と人との繋がりを大切にしていきたい、そんな気持ちにさせてくれる話だった。さりげない青春シーンも見逃せない。

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著者プロフィール

夏川草介(なつかわ そうすけ)
1978年、大阪府生まれの医師・小説家。信州大学医学部卒業後、医師として勤務。そのかたわら2009年に『神様のカルテ』で第10回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。同作は第7回本屋大賞2位となり、2011年、2014年に深川栄洋監督、櫻井翔主演で映画化される代表作となった。

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