満天のゴール

著者 :
  • 小学館
4.18
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本棚登録 : 318
レビュー : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864800

作品紹介・あらすじ

人の生と死に希望をもたらす感涙医療小説

奈緒(33歳)は、10歳になる涼介を連れて、二度と戻ることはないと思っていた故郷に逃げるように帰ってきた。長年連れ添ってきた夫の裏切りに遭い、行くあてもなく戻った故郷・京都の丹後地方は、過疎化が進みゴーストタウンとなっていた。
結婚式以来顔も見ていなかった父親耕平とは、母親を亡くして以来の確執があり、世話になる一方で素直になれない。そんな折、耕平が交通事故に遭い、地元の海生病院に入院。そこに勤務する医師・三上と出会う。また、偶然倒れていたところを助けることになった同じ集落の早川(72)という老婆とも知り合いとなる。
夫に棄てられワーキングマザーとなった奈緒は、昔免許をとったものの一度も就職したことのなかった看護師として海生病院で働き始め、三上の同僚となる。医療過疎地域で日々地域医療に奮闘する三上。なぜか彼には暗い孤独の影があった。
一方、同じ集落の隣人である早川は、人生をあきらめ、半ば死んだように生きていた。なんとか彼女を元気づけたい、と願う奈緒と涼介。その気持ちから、二人は早川の重大な秘密を知ることとなる。
隠されていた真相とは。そして、その結末は・・・・・・・。



【編集担当からのおすすめ情報】
著者の藤岡陽子さんは、長年看護師として働き、人の生と死を常に見つめ続けてきた方です。今回、この本の執筆にあたり、実際に京都の丹後地方で僻地医療に奮闘されている医師の方を取材し、物語に厚みとリアリティと熱が注入されました。
33歳、夫に棄てられ故郷に戻り、看護師として働き始める女性。その母親を一番近くで支える10歳の涼介。父親の入院をきっかけに出会った、孤独と寂しさを抱える35歳の医師。そして、人生をあきらめ、死を待っている72歳の女性。この4人が出会い、物語を動かしていきます。
誰もが心に傷を抱え、辛いことや悲しい思いを乗り越えて、生きていく。この物語は、それぞれの成長譚であると同時に、もっともっと根本的な、生きること、死にゆくことに思いを巡らせるきっかけを与えてくれます。人のすべて。人生のすべてを温かく、小さな小さな希望ととらえることができるようになる、そんな一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • 人生は実にままならない。なかなか思った通りには進まないものですね。まるで神様が意図的にデザインしたみたいにすれ違っていく。東京で大きな心の傷を負い、京都府の北部の過疎地帯へやってきた主人公と息子、そしてそこで出会うおばあさんと病院の先生。それぞれが重い過去を背負いながら、それぞれを想いあう気持ちがとても温かい。最後50頁で一気に点と点が結ばれ、心震えるエンディングに思わず頬から涙が溢れ出してしまう。私も強く思う。死んだ後、自分も誰かに星空を見上げなら思い出してもらえるような、そんな人生のゴールを決めたい。

  • 奈緒(33歳)は、10歳になる涼介を連れて二度と戻る事はないと思っていた
    故郷に逃げる様に帰って来た。
    長年連れ添ってきた夫の裏切りに遭い、行くあてもなく戻った故郷・京都の丹後地方は、
    過疎化が進みゴーストタウンとなっていた。
    結婚式以来顔も見ていなかった父親耕平とは、母親を亡くして以来の確執があり、
    世話になる一方で素直になれない。
    そんな折、耕平が交通事故に遭い、地元の海生病院に入院。そこに勤務する医師・三上と出会う。
    また、偶然倒れていたところを助けることになった
    同じ集落の早川(72)という老婆とも知り合いとなる。
    夫に棄てられワーキングマザーとなった奈緒は、
    昔免許をとったものの一度も就職したことのなかった看護師として海生病院で働き始め、
    三上の同僚となる。
    医療過疎地域で日々地域医療に奮闘する三上。なぜか彼には暗い孤独の影があった。
    一方、同じ集落の隣人である早川は、人生をあきらめ、半ば死んだように生きていた。
    なんとか彼女を元気づけたい、と願う奈緒と涼介。。
    その気持ちから、二人は早川の重大な秘密を知ることとなる
    隠されていた真相とは。そして、その結末は・・・・・・・。

    医療過疎地を舞台に、33歳夫に捨てられ故郷に戻り、
    看護師として働き始める奈緒。
    その母親を一番近くで支える10歳の涼介。
    孤独と寂しさを抱える35歳の医師・三上。
    人生を諦め、死を待っている72歳の女性・早川。
    この4人が出会い物語を動かしていきます。

    大好きな藤岡さんの新作。
    やっと読めるーとウキウキと読み始めた所…。
    冒頭は暗い流れからのスタートで何て腹立たしい夫と不倫相手なんだ。
    そんな夫にしがみつこうとしている弱すぎる奈緒にとっても気持ちがいらだった。
    どうしたの?藤岡さん…?って思っていましたが、
    読み進めるに従って流れはぐっと変わっていった。
    僻地医療や限界集落に取り残されるように暮らす高齢者の問題。
    看取りの問題などぎゅっと詰め込まれていました。
    社会問題の提起もしっかりと伝わってきた。

    読みながら何度涙で文字が見えなくなっただろうか。
    人それぞれ人生は違っていてそれぞれが苦しい事・辛い事・
    心に傷を抱えながらも生きている。
    その苦しみや悲しみを乗り越えて前に進んでいる。
    どんなゴールを迎えるかは、その人次第なのかな。
    ずっしり重いテーマを含んでいますが、決して暗い気持ちにはならなかった。
    藤岡さんらしい心の琴線にふれる素敵な言葉が沢山散りばめられていた。
    人が人と関わり続ける限り、相手を想う気持ちがうまれる。
    そうですよね(*´ `*)

    生きる事、死にゆく事への思いを巡らすきっかけを与えてくれました。
    私も今を一生懸命に生き、自分が亡くなったあとも「誰かの星」になる
    そんな人生になると良いなぁ。
    「満天のゴール」を迎えて欲しいし、迎えたいです。
    文章力がなく心に響いた事を上手く文字として表現できませんが

  • なかなか読み心地よい作品でした♪
    今の時代が抱える僻地医療や高齢化社会や過疎化の進行や母子家庭の増加などなどを問題提起しながらも、良心的な配役陣で悲惨になることなくストーリーが展開するので気持ち良く読了しました。とりわけ小4の涼介が小粒ながらもピリリと効いた役どころですね♪

  • 歳を取って来ると、自分の親との別れが身近なものとして感じられてくる。いつか必ずくるその日が怖くて怖くてしかたない。そんな日が来なければいいと思ってしまう。
    そんな不安は多分いつになっても消えることはないだろうが、でももしかすると不安の種類は変えることはできるのかもしれない。
    人生の中で誰かと出会い、その関わりの中でその誰かを大切に想う気持ちが生まれる。そんな想いがあれば最期のときも心穏やかに過ごせるのかもしれない、というこの物語がそんな恐怖を少し和らげてくれた。
    そしてこの物語は、誰からも大切にされない救ってもらえなかったという思いの中で過ごしてきた人を、小さいけれど確たる光で照らしてくれるだろう。救ってもらえなかったのなら救う人になればいい、その一言は暗闇の中でもがいている人たちへのよく頑張りましたというキラキラ輝く星のシールとなる。
    地域医療、過疎の町、高齢化社会、そしてシングルマザー。たくさんのどんよりとしてしまう社会問題がつめこまれてはいるけど、この一冊には光がある。温かく足元を照らしてくれる光がある。
    あふれる温かい涙がこんなに心を満たしてくれる物語、藤岡さんにしか描けない。

  • 何度も泣ける医療小説。
    僻地での往診。
    高齢者の望む最期のありかた。
    ひとりひとりに考えがあり、望んだゴールへと向かって、1日1日を生きていく。
    否応なく、死とむきあうことになっても、つらく悲しいだけのものではなく、懸命に生きた達成感や、さわやかさがある。
    主人公の息子の明るさもよかった。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    舞台は星空が美しい医療過疎地。人生どん底のシングルマザー、人生に責められ続ける医師、人生をあきらめている老女、3人の出会いが、人生を変えてゆく―希望をもたらす、人間味あふれる医療小説



    私も満天のゴールを迎えたいと思いました。
    そう思える人生だといいなぁ...
    読後感の良い作品でした。
    息子の涼介が良い子だ!

  • さわやかで、読み終わった後、前向きな気持ちになれる作品。
    離婚からシングルマザーとして生きていくのを決めるまでは一緒に心を痛め、その後、地方の実家に帰ってからの周りの人たちとの心温まる出会い、交流、そして終末医療について、一気に読ませ、そして考えさせられる一冊だった。
    映画化とかすればいいのに!と思っていたら、既にラジオドラマ化されていました。
    ぜひ映像化も!

  • 夫と別居し、実家のある過疎の街で暮らすことになった奈緒。
    過疎地の医療、死の迎え方、奈緒は様々な問題に直面する。

    夫の不倫から別居に至る奈緒は不幸、という設定が全てと思っていたら、更に過去のある登場人物が次々と現れ、ずっと気持ちをかき乱されました。
    高志くんの境遇が辛い。早川さんだけでなく、何か救いはなかったのか。

    過疎の街での高齢者の死の迎え方に、胸が熱くなりました。
    「全力で生きぬいた先に死があるのなら、死は生きたことの証に違いない。」「死から始まる明るい何かを信じる。」
    医療現場にいた著者の言葉は深いです。
    いい話でした。

  • 丹後半島を舞台にした、生と死を温かいまなざしで綴る物語。私たちは最期をどう生きるか、登場人物ひとりひとりの過酷な人生が、ラストの場面で鮮やかに収束する。重いテーマを、小学生の涼介の存在が和らげてくれる。藤岡氏の作品は、派手な演出がまったくないが、心に響く言葉がたくさんちりばめられている。陳腐な言い方だが、本当に感動した。このような上質な作品を、これからも変わらず創り出していってほしい。

  • 主人公、専業主婦の奈緒33歳は、10歳の息子を連れて里帰りするところから始まるこの話。
    夫の裏切り、不倫相手の妊娠、自分には何の罪も無いのに離婚に応じなければいけないのか、、、

    22歳でナースの資格を取ったけど、自分の母親の死への不信感などから一度も看護師の仕事をしなかった奈緒。が、生活のため、東京の自宅には戻らず、僻地である実家に住み、看護師として働くことを決める。

    資格を持つってすごいんだなぁと思った。

    僻地での訪問看護は、なおさら大変だと思うけど、トクさんのように、自宅で最期を迎えたい人は沢山いるだろう。

    死は生きたことの証になる。
    『死』ではなく『ゴール』。
    その表現がすごく腑に落ちた感じがした。

    ゴールに向かう早川さんの描写がすごかったな。
    さすが看護師さんの書く本だなぁ。


    折り合いが悪くて結婚以来会っていなかった父親との突然の同居が、その後どうなっていったのかが気になっていたけど、後半に全く書かれていなかったな。小説の前半と、半ば以降が、全然違う話になった感じがあったけども、、
    過去にこだわるのではなく、未来(ゴール)に向かって生きていきましょう、ってことかな。

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著者プロフィール

藤岡 陽子(ふじおか ようこ)
1971年、京都市生まれの小説家。同志社大学文学部卒業後、報知新聞社にスポーツ記者としての勤務を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。帰国後に塾講師や法律事務所勤務をしつつ、大阪文学学校に通い、小説を書き始める。この時期、慈恵看護専門学校を卒業し、看護師資格も取得している。
2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。看護学校を舞台にした代表作、『いつまでも白い羽根』は2018年にテレビドラマ化された。

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