- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093864800
作品紹介・あらすじ
人の生と死に希望をもたらす感涙医療小説
奈緒(33歳)は、10歳になる涼介を連れて、二度と戻ることはないと思っていた故郷に逃げるように帰ってきた。長年連れ添ってきた夫の裏切りに遭い、行くあてもなく戻った故郷・京都の丹後地方は、過疎化が進みゴーストタウンとなっていた。
結婚式以来顔も見ていなかった父親耕平とは、母親を亡くして以来の確執があり、世話になる一方で素直になれない。そんな折、耕平が交通事故に遭い、地元の海生病院に入院。そこに勤務する医師・三上と出会う。また、偶然倒れていたところを助けることになった同じ集落の早川(72)という老婆とも知り合いとなる。
夫に棄てられワーキングマザーとなった奈緒は、昔免許をとったものの一度も就職したことのなかった看護師として海生病院で働き始め、三上の同僚となる。医療過疎地域で日々地域医療に奮闘する三上。なぜか彼には暗い孤独の影があった。
一方、同じ集落の隣人である早川は、人生をあきらめ、半ば死んだように生きていた。なんとか彼女を元気づけたい、と願う奈緒と涼介。その気持ちから、二人は早川の重大な秘密を知ることとなる。
隠されていた真相とは。そして、その結末は・・・・・・・。
【編集担当からのおすすめ情報】
著者の藤岡陽子さんは、長年看護師として働き、人の生と死を常に見つめ続けてきた方です。今回、この本の執筆にあたり、実際に京都の丹後地方で僻地医療に奮闘されている医師の方を取材し、物語に厚みとリアリティと熱が注入されました。
33歳、夫に棄てられ故郷に戻り、看護師として働き始める女性。その母親を一番近くで支える10歳の涼介。父親の入院をきっかけに出会った、孤独と寂しさを抱える35歳の医師。そして、人生をあきらめ、死を待っている72歳の女性。この4人が出会い、物語を動かしていきます。
誰もが心に傷を抱え、辛いことや悲しい思いを乗り越えて、生きていく。この物語は、それぞれの成長譚であると同時に、もっともっと根本的な、生きること、死にゆくことに思いを巡らせるきっかけを与えてくれます。人のすべて。人生のすべてを温かく、小さな小さな希望ととらえることができるようになる、そんな一冊です。
感想・レビュー・書評
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『人の命が消えていく時の状態、わかりますか?まず飯が食べられなくなって、そうなればあと一週間くらいです。それから呼吸が緩やかになっていって、最後は喉がゴロゴロといい出すんですよ』。
人がこの世に生まれたからには必ず死を迎える瞬間がおとずれます。それはいつか、それはどこで、そしてそれはどのように…その瞬間は誰にもわかりません。しかし、死を迎えるということだけは確定しています。
『高齢者が亡くなる状況は大まかに三つある』のだそうです。『ひとつめは癌。二つめは心臓や腎臓、肺などの内臓疾患。そして三つめは徐々に症状が進む認知症や老衰』。誰にもわからない死の瞬間とはいえ、こんな風に大別されると随分と見通しが良くなるのを感じます。しかし、そんな瞬間を私たちはどんな環境で迎えるのでしょうか?
この国では少子高齢化が思った以上の速さで進んでいます。65歳以上の高齢者が50%を超えた『限界集落』と呼ばれる地域が全国に2万か所以上にもなったという統計が発表されてもいます。そんな場所に今も暮らす人たちにとって、死の瞬間のイメージは過去にはよもや思わなかったものになっているのではないかと思います。しかし、
『自分が一番自分らしく生きられる場所で生を終えるというのは、やはり幸せなこと』
そんな思いは万人にとって共通だと思います。
『自分の死をゴールと捉えれば死ぬまでの時間、自分がなにをすべきかがわかるのかもしれない』
そんな思いはどこに暮らしていても同じことなのだと思います。
さて、ここに、そんな『最期の時間』へとそれぞれの時を『限界集落』に暮らす人たちの命を支える医療従事者の姿を描いた作品があります。『医師が僻地で暮らす人たちの生活を知れば、患者への対応も変わってくる』という思いの中に、患者さん一人ひとりに向き合っていく医師、そして看護師の姿が描かれるこの作品。それは、『自分の死』というゴールに向かう人たちの尊い生き様を「満天のゴール」という言葉に見る命の物語です。
『この町に戻ってくることは、二度とないだろう。そう決めて出た町に、十一年ぶりに帰ってきてしまった』というのは主人公の内山奈緒(うちやま なお)。そんな奈緒は、『涼介を連れてマンションを飛び出したものの、疎遠にしている実家しか行くあてがない』とため息をつきながらも『丹後半島の北端にある』実家へと向かいます。そんな中、携帯を取り出し『夫の不倫相手、篠田響子のブログを開』く奈緒は『高校時代からの友人』に、『ネットで寛之さんの写真、見つけちゃったの』と言われた時のことを思い出します。『初めのうちは、まったく信じていなかった』夫の不倫。『結婚してからの十一年間』、全く考えたことさえなかったものの『疑惑の写真を』発見してしまった奈緒。そして、そのことを寛之に問いただすと『離婚してくれ。実はもう一緒に暮らし始めてるんだ』と開き直られてしまいました。そして、『平気で家を空けるようになった』寛之。そんな寛之のことを思い出していると、『大変だっ。道路でばあさんが倒れてるっ』と涼介が手を引きます。『大丈夫ですか』と手を貸す中にタクシーが到着し、老女はお礼を言って去っていきます。そんな老女のことを『知っている』と思うもはっきりと思い出せない奈緒。そして、実家へと到着した奈緒は『今年で七十三歳になる父』耕助と結婚式以来に再開します。『お母さんとお父さんがいま一緒に住んでいないことは絶対に内緒にして』と涼介に言い含める奈緒。一方で涼介は『じいちゃんと外行ってくる』とすぐに打ち解けた様子。しかし、程なくそんな涼介から電話が入り、耕助が交通事故にあったことを聞き、飛び出します。ちょうど通りかかった『海生病院の医師だ』という三上にその場を救われますが耕助は入院を余儀なくされてしまいます。そんな入院先の『海生病院』の名前に『母にまつわる辛い記憶』を思い出す奈緒。一方で夫の愛人である篠田響子の電話を受けた奈緒は、寛之は『あなたとやり直すことはありません』と断言されてしまいます。そんな中、寛之からも電話を受けた奈緒は『おれ、子供ができたんだ』、『もう猶予がなくなった。すぐにでも離婚届にサインと判子を押してくれ』と詰め寄られます。『もう、寛之の気持ちを変えることはできないのだろうか』と思う奈緒。そんな奈緒に涼介が『お母さんて、看護師の資格持ってんの?』と突然訊きました。耕助が三上に話しているのを聞いたという涼介は『免許取ったのに、なんで看護師にならなかったんだよ』と詰め寄ります。『どうして自分が看護師にならなかったのか』を正直には説明できない奈緒は、『私はいつからこんなに弱くなってしまったのだろう』という今の自分を思います。しかし、『寛之と復縁し、また家族三人で暮らす。その望みはもう絶たれた』と冷静に考える奈緒は『涼介と二人で生きていくこと』を決意し、看護師として『海生病院』で働くことを決めました。そして、『看護学校を卒業して十二年も経つ、まして一度も臨床経験のない主婦』である奈緒が旧姓の『川岸』という名の下、看護師として働き始める中に、過去に隠されたまさかの真実の扉が開いていく物語が始まりました。
“舞台は星空が美しい医療過疎地。人生どん底のシングルマザー、人生に責められ続ける医師、人生をあきらめている老女、3人の出会いが、人生を変えてゆく ー 希望をもたらす、人間味あふれる医療小説”と内容紹介にうたわれるこの作品。”私が育ったのは京都市内ですが、車で1時間半ほどで行けるくらいの場所です”と語る藤岡陽子さん。そんな藤岡さんは”最近、医療過疎の状態になっていて、以前から気になっていました”と続けられます。藤岡さんというと、看護師免許を持ち、実際に看護の現場にも立たれながら小説を執筆されていることでも有名であり、その内容は必然的にリアルな医療現場が登場することが多くなります。数多の作家さんには自分の得意とされる舞台というものがあると思いますが、本物の看護師である藤岡さんが描く看護の現場は兎にも角にもリアルさの中に強い説得力が伴うのが魅力の一つでもあります。
そんな医療現場も時代に合わせて状況は変わってきています。少子高齢化が叫ばれるこの国では一方で、地域の過疎化も深刻さを増してきています。この作品の舞台となる『海生病院はこの周辺では唯一の総合病院』、『病床は四十七床で、すべて混合病棟』という『地元の砦』のような存在です。しかし、『求人広告に看護師から反応があったのは二年ぶり』という厳しい医療の現場。そんな『海生病院』で看護師として働くことになった奈緒の目線で『医療過疎』の厳しい現実が描かれていきます。そんな現実の問題をさまざまな切り口から描いていく藤岡さんですが、三つの視点を取りあげたいと思います。
まず一つ目。過疎地に暮らす人々の現状をこんな風に説明します。
『診療所が閉鎖され無医地区となった地域にも、人は暮らしている。そのほとんどが高齢者で独居の人も多く、バスに乗って病院まで行くのは難しい。そうした人たちを孤立させないために往診をしている』
街と違って家々が点在する山村ならではの物理的な障害に直面する高齢者という構図。コミュニティバスのようなものも増えているとはいえ限界があります。それに対応するために『往診』という考え方が登場します。この作品では、外来や当直、そして手術の合間を縫って、地域で暮らすお年寄りの元へと車を走らせる医師・三上の姿、そして藤岡さんらしく『訪問看護師』の重要性にも光を当てていきます。次に二つ目は、一人暮らしとなっているお年寄りの家族との関係性について、なるほどという説得力のある描写が登場します。
『離れて暮らしてる子供に限って、親になんかあったら病院のせい、医者や看護師のせいや言うてくる。普段は年老いた親の家に年に一、二回帰省したら十分親孝行みたいな顔して、介護もなにもかも他人に任せてるくせに、いざ今日みたいなことになったら文句言い出す』。
この作品では、普段は他人任せにして親との十分なコミュニケーションもない子供たちが、病院に難癖をつけてくる様が描かれていきます。これもさもありなんというリアルな描写。こんな中で疲弊していく医師や看護師の姿は、地道な取材もあってのことなのだと思いますが、『どんなことしてでも延命してくれ』と迫る子供たちの姿には『老親の年金あてにしてる』というその裏側にある暗い感情の描写が現代社会の闇を感じさせもします。そして、三つ目は、これらの問題な状況を一つひとつ受け止めていかなければならない医療スタッフを見やる視点です。
『お医者さんも、こんな山奥で働きたくない』
誰しもが想像するであろうそんな言葉の先にある現実です。それが、
『都会の病院は症例も豊富だし、ベテランの指導医に指示を仰ぐこともできるから働きやすい。僻地だと医者の絶対数が少ないから、休暇も取れない上に責任だけは増す』
そんな『医療過疎』が増えざるをえない厳しい現実です。どんな場所でどんな暮らしをしていようとも私たちの健康が害されない場所などありません。僻地と呼ばれるような場所であっても、そこに暮らす人がいる限り医療はどこまでも必要です。また、必要とされる医療のレベルだって本来は同じであるべきでしょう。しかし、メリット・デメリットを天秤にかけるという以前にはっきりしてしまうその働く側の深刻な現実には、この先も厳しい環境が増え続けるのは目に見えて明らかです。この作品では、そんな厳しい環境における医療の現場がリアルな表現の中に描かれていました。しかし一方で、『この山全体がホスピスなのだ』と、無理な延命治療を拒否し、自宅で『穏やかに迎える最期』を選ぶ人が増えているという状況と、それがどういうものなのかをリアルな中にも穏やかに見せていく藤岡さんの筆致もあって、そこからは誰もが迎える『最期の時間』をどう捉えたら良いのかについての一つの答えを見せてくれる、そんな作品に仕上がっているとも感じました。この辺り、やはり看護師でもあられる藤岡さんの絶対的な知識の強みが見事に生かされていると感じました。
そんなこの作品は、帯に”3人の出会いが、人生を変えてゆく”と書かれている通り、主人公の奈緒、医師の三上、そして奈緒の実家の近くに一人暮らす老女・早川の三人が運命の出会いを果たすことで、それぞれの人生が大きく変わっていく様が描かれていきます。”家族に恵まれなくても、家族以外の誰かがいたから生きていける、というメッセージを書きたかった”とおっしゃる藤岡さん。そんな藤岡さんがこの三人の背景に描いたのは、それぞれに不安定な今を生きるそれぞれの姿でした。夫のまさかの不倫と開き直りによって、息子の涼介と自らの生まれ故郷でゼロからのスタートを余儀なくされた奈緒、物心ついた時から父しかいなくて、祖母が母親代わりという幼少期を送るもやがて父も亡くなり、児童養護施設に逃げ込んだという過去を持つ医師の三上、そして、『ひとりと一匹ね』と犬と過ごす老女・早川は、かつて東京で暮らしていたらしい過去を持つも身寄りのない一人暮らしの今を過ごしていました。そんな三人はそれぞれに謎を秘めています。主人公の奈緒は『二十一歳で看護師免許を取り、だが看護師として働くことなくこの町を出た』という過去を持ちます。『母の死をきっかけに看護師という職業に不信感を持ったまま十二年が過ぎてしまった』という謎を秘める中に今を生きる奈緒は、生活のために看護師としての人生をスタートさせます。医師の三上は『施設にいた大勢の子供たちの中からぼくにある光を見つけてくれた』という里親との出会いによって医師として生きる道が開けましたが、『医療過疎』の現場にどうして自ら積極的に身を捧げているのかという謎を秘めています。そして、その全てが謎に包まれた老女・早川は『もう読み返すのも最後だと思って、暇な時に時々開いているんですよ』と語る日記、一度は焼いて処分してしまおうと試みたその日記に隠された過去の秘密が匂わされます。この三人が物語の展開によって鮮やかに結ばれていく、その過去に秘められたまさかの赤い糸によって繋がっていく、この作品では藤岡さんの緻密な構成と絶妙な伏線によってそんな三人の関係の先に感動的な結末を見る物語が描かれていきます。そこにあるのは、藤岡さんがおっしゃる”家族に恵まれなくても、家族以外の誰かがいたから生きていける”という言葉を体現するものです。人の優しさに触れることのできるこの作品。人の温かさに触れることのできるこの作品。そして、人と人が繋がる先に生まれる奇跡を見るこの作品。「満天のゴール」という書名のまさかの意味と共に、この国の医療に携わる医師、看護師の皆さんの懸命な働きの中に私たちの暮らしがあることに改めて感じ入りました。
少子高齢化が進み、過疎化によって失われていく山村の暮らし、この作品では、『医療過疎っていう言葉知ってる?』という、『限界集落』にひっそりと暮らす人々の命を支えるために人知れず奔走する医師や看護師の姿が描かれていました。そんな物語に登場する人々はそれぞれに生きる支えとなるものを持っています。
『自分の頑張りに星をくれる人がいる。それだけで人は生きられるのかもしれない』。
人は弱い生き物です。見た目に幾ら強気を見せても何かしら人は不安で寄る術を求めています。この作品で描かれた「満天のゴール」に見るささやかな喜び。しかし、そんなささやかさの中に人は生きる術を得ています。”世の中には苦しいこともいっぱいあるけれども、そこにとらわれるのではなく、いいこともあるんだと信じて自分も生きていきたい”とおっしゃる藤岡さんの温かく優しい眼差しを強く感じるこの作品。
どうしても暗くなりがちな『医療過疎』の現実を、”3人の出会いが、人生を変えてゆく”という感動的な人と人との繋がりを絶妙に組み合わせながら描かれるこの作品。看護師の目だからこそのリアルさ光る藤岡さんらしい作品だと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんか不思議な感じ
主人公奈緒が全く応援できない
それでもって文体がすごく読みづらくて序盤はちょっとイライラしたんです
それが感動のラストを迎える頃には文体も気にならなくなってたんです
あれ?作中で微妙に文体変えてる?って思ってちょっと読み返してみたら同じでした
きっと奈緒が変わっていったからそんな風に感じたのかもしれません
そして日本語っていいなと思ったりもしました
満天と満点
うんいいな-
近藤史恵さんも気になってるんよなー
だけどさっき読み始めたジェフリー・ディーヴァーなんて単行本500ページで上下段あって…たいへんなんよ
...近藤史恵さんも気になってるんよなー
だけどさっき読み始めたジェフリー・ディーヴァーなんて単行本500ページで上下段あって…たいへんなんよ
みんみんのおかげで読みたい本ばっかり増えて困るわw
しばらくみんみんの本棚見ないようにしようかと真剣に検討中2022/08/23 -
2022/08/24
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2022/08/24
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主人公の奈緒
旦那に浮気され当てつけのように子供を連れて11年ぶりに実家に戻るところから始まる。
限界集落である実家には年老いた父親がリウマチの持病を抱えながら1人で暮らしている。
まず出たしからこの奈緒が気に入らない…
ウジウジして浮気旦那に未練タラタラ(´Д` )
旦那がもう最低!
「誠意って何かね…」
菅原文太ならカボチャぶつけるわƪ(˘⌣˘)ʃ
藤岡さんの主人公っていつも応報したくなる人じゃないか?もしや子供の涼介が主人公か?
この涼介が素晴らしい!
小学4年の明るくて強くてもう頼りになる‼︎
この涼介に励まされ、自分と子供の生活の為に前向きに頑張っていくんですよ。゚(゚´ω`゚)゚。
そして浮気旦那の話は序章に過ぎない
ここからもう涙涙の本題に入ります‼︎
さすがの藤岡陽子です。
内容は省きます…
ぜひ読んでこのタイトルに涙して欲しい!
すぐ☆のシール買ってください!
そして満天のゴールを決めてください\(//∇//)\
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なんかブクログが執拗に藤岡陽子さんを勧めてくるんだが…
俺の本棚から藤岡陽子さん合ってる臭が出てるか、AIに監視されてるか、今が読み時なのか...なんかブクログが執拗に藤岡陽子さんを勧めてくるんだが…
俺の本棚から藤岡陽子さん合ってる臭が出てるか、AIに監視されてるか、今が読み時なのかどれだと思う?(何この問いかけ)2022/08/15 -
どれもいいけど☆シール買って
夏休み中に満天ゴールしてください\(//∇//)
優しい話書く人なんだよーどれもいいけど☆シール買って
夏休み中に満天ゴールしてください\(//∇//)
優しい話書く人なんだよー2022/08/15 -
わかった!
図書館のホームページでチェックしたらあったから予約したぞ!
近いうちに読んでみるさ〜わかった!
図書館のホームページでチェックしたらあったから予約したぞ!
近いうちに読んでみるさ〜2022/08/15
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すごくよかったー!!
それぞれの満天のゴール、素晴らしかった。「独居老人の死」と聞くととても不幸な最期だと思ってしまうけれど、こんな風に心穏やかに迎えられるゴールもあるのか。今後の自分の生き方や考え方に影響を与える1冊。 -
始めのうちは、息子の涼介の話し方や態度、別れようと言ってる夫に対する主人公の対応に、うーんって感じだったけど、途中からの追い上げがさすが藤岡さんだった。
いつも藤岡さんの話に出てくる気がするんだけど、人が亡くなる時に反応は出来ないが、耳は最後まで聞こえてますから、、ってとこで涙が堪えられなくなる。
人は皆いつかは亡くなるのだけど、最後満点のゴールだなーなんて思えたら、なんて幸せなんだろうと思う。 -
主人公の性格にすこしもやっとしたけれど、過疎地医療の難しさが書かれた1冊だと思った。
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看護師の免許はありながら、とある出来事により看護師として働くことなく専業主婦となった奈緒。
夫と息子としあわせに暮らしてきた、はずだったが、夫の浮気、そして離婚をつきつけられ、奈緒の平穏な日々は終わりをつげた。
もう何年も帰っていなかった実家へ、息子とともに帰省した奈緒だったが、そこで医療過疎の現実をつきつけられ…
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浮気したのは夫、にも関わらず、離婚をつきつけられた奈緒。
この状況なら、きっと「奈緒がかわいそう」という方のほうが多いのかもしれませんが、本文中であまりにも「わたしは悲劇のヒロイン!」と言うような表現で奈緒のことが書かれていたため、ちょっと受け付けませんでした。
浮気したのは夫。そして高慢ちきな態度で離婚を迫る夫もどうなの、という感じですが、奈緒も奈緒で「こうなっていれば家族しあわせ」という理想を“自分だけで”描いて実現しようとしていた感じを受けました。
ということで、主人公・奈緒にはいまいちなじめなかったものの、奈緒の息子・涼介がめちゃくちゃ素直で自分の考えをもっている行動力ありな子だったので、涼介の言動が気持ちをスカッとさせてくれたため、読み進めることができました。
医師・三上や、早川さん、トクさんとの出会いは、すこしできすぎのような展開もあったものの、過疎地医療の難しさがよく書かれていて、田舎出身のわが身としては、現実とすこしリンクしてしまい、せつなかったです。 -
何度も泣ける医療小説。
僻地での往診。
高齢者の望む最期のありかた。
ひとりひとりに考えがあり、望んだゴールへと向かって、1日1日を生きていく。
否応なく、死とむきあうことになっても、つらく悲しいだけのものではなく、懸命に生きた達成感や、さわやかさがある。
主人公の息子の明るさもよかった。 -
初めて読む作家さん。面白かった。自分らしい人生のゴールを見せてくれたトクさん。医療者の皆さんに温かい心で見守ってもらって、しかも最後は少年と交流して、満天の(この天に意味がある)ゴールを遂げられたトクさんは幸せだ。まだ自分の死は想像できないが、周りに感謝して終わりになりたい。
川西さんが、心で探していた看護師さんと、三上先生が虐待を受けていた時の心の救いとなって探し求めていた人物が同一人物で、しかも川西さんのすぐ近くの家の方とはかなり出来過ぎであったが、それを差し引いても感動の作品だった。表紙も登場人物にぴったりでいい。
三上先生の言葉
「人が人と関わり続ける限り、相手を想う気持ちが生まれる」が心に響いた。