さよなら、田中さん

著者 :
  • 小学館
4.21
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本棚登録 : 715
レビュー : 135
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864848

作品紹介・あらすじ

14歳スーパー中学生作家、待望のデビュー

田中花実は小学6年生。ビンボーな母子家庭だけれど、底抜けに明るいお母さんと、毎日大笑い、大食らいで過ごしている。そんな花実とお母さんを中心とした日常の大事件やささいな出来事を、時に可笑しく、時にはホロッと泣かせる筆致で描ききる。今までにないみずみずしい目線と鮮やかな感性で綴られた文章には、新鮮な驚きが。
友人とお父さんのほろ苦い交流を描く「いつかどこかで」、
お母さんの再婚劇に奔走する花実の姿が切ない「花も実もある」、
小学4年生時の初受賞作を大幅改稿した「Dランドは遠い」、
田中母娘らしい七五三の思い出を綴った「銀杏拾い」、
中学受験と、そこにまつわる現代の毒親を子供の目線でみずみずしく描ききった「さよなら、田中さん」。
全5編収録。


【編集担当からのおすすめ情報】
この秋、出版界の話題をさらう新人作家がデビューします。その名は、鈴木るりか。平成15年生まれの中学二年生。小学館が主催する「12歳の文学賞」史上初3年連続大賞受賞。その際、あさのあつこ氏、石田衣良氏、西原理恵子氏ら先生方から大絶賛を受けましたが、すごいのはその先です。受賞作をもとに、連作短編集に仕上げるため書き下ろし原稿を依頼したのですが、その進化がめざましく、3編の素晴らしい原稿が上がって来ました。
著者14歳の誕生日に、待望のデビュー作を刊行します。
是非、この新しい才能を感じてください。

感想・レビュー・書評

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  • 恥ずかしながら、オバサンは泣いてしまいましたよ、中学生の書いた小説に。一番胸にしみた一篇は、小学四年生時の作品を改稿したものらしい。はあ~。才能とはこういうものかとしみじみ思う。

    なんだか評判だけど、さてどんなもの?と若干斜めな気分で読み出したのだが、あらまあ、すぐにスーッとお話しに引き込まれていき、気がつくと花実ちゃんに思いっきり肩入れしながら読んでいた。笑えるところがちょくちょくあるのに、何だか目頭が熱くなってくる。ストーリーがどうとかいうのではなく、こういう空気を醸し出せることが稀有な書き手の証ではないかな。

    お母さんをはじめとして、大家のオバチャンや担任の木戸先生、スーパーの店長などなど、出てくる人がみんないい。変人なんだけど。ちょっとしたエピソードに真実味があって、なんかもう根本の所で「物語る人」なんだなあと思わされる。

    「Dランドは遠い」の切なさたるや…。きっぱり決意する花実ちゃんが健気で、胸が締め付けられる。誰でも小学生の頃、これとちょっと似たようなことに心当たりがあるのではないかと思うが、自分はこういう勇気を持てただろうか。自分の子どもを、こういう強さが持てるように育てただろうか。そう思わずにはいられなかった。

    これ、当然続きがあるよね?ね?続篇熱烈希望。

  • 16歳までは普通作家にはなれないものだが、例外が出た…。
    というより、ここも三年早くなったのか?
    すんばらしくうまい!
    はじめから完成されてる。

    でも、主人公は確かに子どもだけど、うーん、これは児童文学なんだろうか、大人の小説なんだろうか。

    でもなんでかあんまり取り沙汰されてないね。
    うますぎる子どもはお嫌いですか?
    って感じ?

    でもって、小学生や中学生がこれを読むかっていったら、それもうーん、だな。

    なので
    ぜひ!!
    次の芥川賞を彼女にあげて欲しい。

    2018/02/23 更新

  • 筆者は14歳の女子中学生。
    小4~小6まで、小学館の「12歳の文学賞」史上初3年連続大賞受賞。

    フレッシュで、爽快感を感じる。
    実際に読んでみて、「実力も十分。」と感嘆しました。

    まず、文が生き生きしている。
    志賀直哉好きというのもうなづけるような短文の積み重ねに好感が持てます。
    そして構成がきちんとしている。
    主題に対して伏線もあり、物語の最後に回収され、主題を際立たせる効果を発揮する。

    主人公の花実は小6なのだけれど、筆者が同世代であるという強みをいかんなく発揮している。
    小学生といえば親や先生など世界が狭いがその狭いながらに世界が広がっていること。「大人」が書く小学生と違い、子供目線の確かなリアリティが感じられる。

    そして出てくる物語はすこし悲しく、基本的には明るい。ここからフレッシュなパワーをもらえる。
    これはパンクロックを若い人がやってこそ、その疾走感をリアルに感じられるのと同様なのでは。

    ねじれていない力、はち切れるパワーを感じる。
    自分の小学生時代を思い出すような、メランコリック時代に突入する前の、春の時代のような。

    ベースにあるのは、主人公を含めた登場人物たちの優しさ、そしてポジティブな気持ちだと思う。貧しい中にも、あっけらかんとおかしく生きていくお母さん。
    それぞれの登場人物の背景やキャラクターが上手くまじりあっている。
    そして、男の大人たちがすべて優しい。

    そして、会話により主人公たちの関係が生き生きと描き出される。
    大家さんの子供と、距離感が知事待っていく様子。これはこの会話をみただけで、信頼感が増していく様子が手に取るようにわかる。

    文章自体も最後の、「さよなら田中さん」は、最後の方にかかれたのか、明らかに文章の流れがきれいになっている。視点も男子に変更されていて、一段スキルが上がっている印象。

    「さよなら田中さん」の最後のシーン

    ああ、かっこうの声がする。田中さんは、本物のかっこうの鳴き声を聞いたことがあるかな?とてもいい声だよ。森の奥から響いてくるみたいだ。

    というセリフには感動した。

    ただ、技術が増して、感動できるような話が書けるようにどんどんなると思うけれど、初期のような淡々と面白くあっけらかんとしたトーンの中に、ほの哀しいエピソードが少し混じるような、一歩引いたクールな部分をきちんと残しながら、成長していて欲しい。

    きっと、すごい小説家になれると、思います。
    次回作にも期待。

  • 驚いちゃう。文章力、語彙力、ニュースとかもよく見てるのだろうし、新聞もきっと読んでるのかな。
    とにかくとっても面白かったし、感動しました。

    ちょっとした言葉の使い方に本当におばさんは感動しましたよ。

    田中花実ちゃんとお母さんの母子家庭の話なんだけど、1つ1つが本当に素晴らしい。
    最後の表題だけ花実ちゃんの同級生の男の子の目線で書かれてるってところもニクイ。

    将来が本当に楽しみだな~

  • 神童だわ。
    これは神童だ…中学生が書いたなんて絶対思えない完成度…最初から最後までのめり込んだ。
    るりかちゃんは日々何を思って生きているのだろうか?
    どうすれば中学生なのにこんな成熟できるのだろうか…
    個人的には、信也君のその後が気になる。
    死にたいくらい悲しいことがあったらとりあえず飯を食え。その言葉が中学生から紡ぎ出されたことに衝撃を受けた。なんと心強く人を支えて行くのに相応しい言葉なのだろう。
    中学生がこう言うんだ、大丈夫だ!
    そんな気がしてくる

  • 中学生作家のデビュー作
    とても中学生とは思えない表現力に驚かされた

    主人公(小学6年生)を取り巻く環境を一人称視点によって表現している
    主人公の年相応に素直な感性や、小学生ながら大人びた考え方などがうまく表現されており、大人には描けない作品になっていると思う

  • 小説を書くって、ある程度の経験が必要だと思い込んでいた。いろんな感情を自分の中の引き出しに溜めておいて必要な時に取り出して表現するのかと思っていた。語彙力があるのはお勉強で補えるだろうけど、大人も惹きこまれるような感情の表現を一体どうやってその若さで身に着けたの?天才なの?特に表題作は、自分も中学受験の経験者だったので思い出して三上君の境遇に胸が苦しくなった。『悲しい時、腹が減っていると、余計に悲しくなる。辛くなる。そんな時はメシを食え。もし死にたいくらい悲しいことがあったら、とりあえずメシを食え。そして一食食ったらその一食分だけ生きてみろ。それでまた腹が減ったら、一食食べて、その一食分生きるんだ。そうやってなんとかしてでもしのいで命をつないでいくんだよ』このお母さんの台詞に思わず涙が……。これから、いろんなことがあると思うけれど、それも小説の糧にして、このままいい作品を書いて行って欲しいなと思える作家さんの誕生に立ち会えた気分です。

  • 筆者は中学2年生。
    完成度が高くて驚く。
    主人公が小6と、ほぼほぼ実年齢なこともあり、子どもたちの内面が具体的でリアル。
    たくましくて明るい、母と大家さん。
    女子には嫌がられているけれど、味のある木戸先生。
    個性的なキャラがたのしく、卑屈にならず、悲観もせず、明るくテンポがいい。
    花実が見せる、ユーモアのある鋭いツッコミがおもしろい。
    胸の痛むような問題もあり、最後は泣けた。

  • やられたよ。これほんとに今中学生の子が書いたの?
    才能ってなんだろう。なんでこんなのかけるこがポッとでてくるんだろう。

    タイトルは冴えないなあと思ったけど、最終章の目線だけ別の子に変わって、そこが「さよなら」。

    親子の幸せってなんだろうと考えさせらる。貧しさやプライドや、幸せを邪魔するものがあっても、それでも生きていこうとする強さ。生き物としての最低限の、っということもあるけれど、ちょっとだけ笑える明日にするような努力。

    でもどうにもならない現実もあるけど。少しでもね。

    久しぶりに、琴線に直接どんと響いてくるものが読めて、それがなんと作者中学生。
    話題作で、図書館のまちは予約したこととっくに忘れてたやつ。

  • 「お母さんが、カカカカッと笑った。私も笑った。そうだ、笑いとばせばいい。どうにもならないことは笑いとばせ」
    全力で「生きる」ことを教わった。
    小学6年生の花実とその母から。
    中学2年生の著者から。
    「もし死にたいくらい悲しいことがあったら、とりあえずメシを食え。そして一食食ったら、その一食分だけ生きてみろ」
    とてつもなく強力な「生きる」パワーを、読み終えた私ももらった。
    ありがとう。
    ストレートで瑞々しい文章は大人の心を撃ち抜くものばかりで、その洞察力の鋭さに舌を巻く。
    これからも追いかけたい作家が一人増えた。

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著者プロフィール

鈴木 るりか(すずき るりか)
2003年東京都生まれ。史上初、小学4年生、5年生、6年生時に3年連続で小学館主催『12歳の文学賞』大賞を受賞。あさのあつこさん石田衣良さん、西原理恵子さんらが、その才能を手放しで絶賛した「スーパー中学生」。2017年、14歳の誕生日に大賞受賞作を含めた連作短編集『さよなら、田中さん』発表。近年では珍しいローティーンの文壇デビューで、各メディアの注目を集めベストセラーに。

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