ウズタマ

著者 :
  • 小学館
3.88
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本棚登録 : 618
感想 : 121
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864879

作品紹介・あらすじ

青春小説の旗手が挑む、アタラシイ家族小説

松宮周作(28歳)は、シングルマザーの紫織との結婚を前にしたある日、父親から見たこともない預金通帳を手渡される。父親の様子から、今までまったく知り得なかった人物が自分の為に大金を振り込んでいたことに感づいたが、親戚づきあいもない周作には全く心当たりがない。謎を知る唯一の人物、父親はその後脳梗塞で倒れ、昏睡状態のままだ。その人物が誰なのかを突きとめるうち、初めて、父親のこと、自身のことを全く知らなかった自分に気づき、愕然とする。
大金を自分のために用意した人物を探し始めたことにより、次々とわかっていく父親と自分の過去。そして、自分達親子が、25年前に起こったある傷害致死事件の被害者家族だとわかる。その被害者は、自分の母だった。そして、その加害者は、18歳の少年だった・・・・・・・。



【編集担当からのおすすめ情報】
ある一冊の通帳の話をしていたとき、血のつながり、家族、といった話題へと話はふくらみ、そこからこの小説は始まりました。とある一冊の通帳。そこには、過去だけではない<何か>で繋がっていたい、という熱い想いがあるのではないだろうか。色々なものが変化してきている現代、<家族>というものも、カタチを変えてきているのではないだろうか。
青春小説の旗手として、人気も実力も兼ね備えた著者が、今回は敢えて「青春小説ではない、新しいもの」に挑戦しました。旧くて新しい、イマの家族小説を、どうぞご堪能ください。

感想・レビュー・書評

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  • 感想を書こうとすると印象が二極化してしまった。ついて良い嘘とついてはいけない嘘がある。周作の母親が死んだ理由について真相を偽装することにより、周作に対するメリットはあるが、周作に対し嘘を永遠につき続けなくてはいけない。今回は偶発的な事故だった!と戦うことの方が周作、皆瀬、父の3人がさらに団結できたのではないか?ただ、皆瀬の生い立ちを考え、周作の幸せを考えると皆瀬の主張も理解はできる。が、納得はできない。人生、生きる中で多々困難はある。だからこそ周作と皆瀬には正面切って立ち向かってほしい!幸せのために。③

  • 家族

    預金通帳
    サッポロ一番塩
    ウズラの卵

    血のつながりとか関係ない家族の物語
    冒頭、「ミステリー?」と思いましたが、人と人とのつながりが描かれた泣ける話でした。

    幸せなクリスマスが訪れますように。

    図書館本

  • いきなりのネタバレだとしたら大変申し訳ないけれど、ハッピーエンドでよかった❤️
    ホッとしたというのが、正直な感想です。

    法律よくわからないけど、過失みたいなことにはならなかったのかしら??
    わたしが浅はかすぎでしょうか?

    でも何はともあれよかった‼️

  •  分かりやすい文体で、あっという間に読める。時間はかけたくないけど、感動できるお話を探している方にお勧め。

     哀しい描写はあったが、読後感がとても良い。微笑ましさを感じつつ、泣ける。そんな家族の物語。

     血の繋がりを超越した家族の姿に感動し、野菜ラーメンが物語を優しく包んでいて、ほっこりする。

     ラストは、私的には意外な方向へお話が進んだので、心から安堵できた。

  • ★4.5

    周作・28歳は、シングルマザーの紫織との結婚を控えたある日、
    唯一の肉親である父親から、謎の通帳を渡される。
    <誰か>が自分のために振り込みを続けてくれていたことはわかったが
    全く心当たりがない。
    唯一の真相を知る父は、脳梗塞で昏睡状態に。
    そうなって初めて、父の過去や自分の過去も詳しく知らない事に気付く。
    その<誰か>を探し始めた周作は、25年前のある傷害致死事件に行きつくのだが…。

    唯一の肉親である父親が昏睡状態に陥り、目覚める気配がなくなり。
    シングルマザーの紫織との結婚を控えていたが、血の繋がらない紫織の娘の
    父親となる自信が全くないことを痛感している周作。
    最初の方は、周作の孤独・寂しさ・不安…胸が押しつぶされそうな感じだった。
    本当の家族って何だろう…。
    血の繋がりって何だろう…。
    人と人の繋がり・優しさや温かさや絆や愛情。
    人は孤独では生きていけないって凄く感じさせられました。

    少しずつ明らかになる過去の真相に引き込まれて、読むのを止められなくなりました。
    優し過ぎて、家族を想う心が温か過ぎて涙が止まりませんでした。
    血の繋がりがなくても、家族になる事は出来る。
    色んな家族の形があっても良い。
    心が温かくなって、とても幸せな気持ちになりました。

    読み終えて、改めて表紙を見ると、成程なぁって(*'-'*)エヘヘ
    タイトルもね。

    今迄、額賀さんは青春物語ってイメージでしたが、
    この作品は家族の在り方を問う、とても素晴らしい作品でした。

    大切にしたい誰かがいて、大切にしてくれる誰がいる

  • 表紙の感じからほんわか癒し系のお話かと思ってたけど、いきなり殺人事件の場面で少し戸惑う。

    昔あげたなんでも券をずっと大切に持っていてくれた皆瀬さんを思ったら、可哀想過ぎて、これが警察物の小説だったら、奥さんと皆瀬さんの不倫が怪しまれて、犯人は誰かの事を庇ってるに違いない!みたいな展開になるんだろなー、とか余計な事を考えたりしてしまったけど、まぁこれはこれで◎。


  • 号泣した。

    『俺さ、親父が倒れてからずっとずっと怖いくらいずっと、寂しかったんだ』
    世界に自分だけ取り残されたような気分だった、仕事でどんな人と会っても、紫織も話をしても、真悠と一緒に過ごしても、常に1人でいる気がした。

    『そんなの、誰だって考えることだ』
    きっと、そうだ。魔が差してしまうことは誰だってある。それを責めるのは簡単だけど、自分の心に魔が差すことを、そのとき自分がどうなるのかを、その人は考えていない。あっという間に自分が当事者になり得ることを。

    大きな大きな温かさを宿す。

    自分には、家族がいる。大切にしたい誰かがいて、大切にしてくれる誰かがいる。

  • 父の死の直前に渡された通帳を機に、自身の不自然さに気づく。記憶の底に沈む男子大学生との絆に涙する。

  • 父が脳梗塞で倒れ、母がいない周作は、この世で1人きりと感じ、いいようのない寂しさを感じる。シングルマザーの紫織との結婚を控え、自分の過去、実の母や父の事など、何一つ分からず、このままでは、紫織と家族になる覚悟ができない自分がいた。
    母、父、そしてベビーシッターをしていた大学生とに何があったのか。
    家族とは?涙腺崩壊する非常に良い小説です。

  • 初めましての、額賀澪さん。図書館で表紙とタイトルに惹かれて何気なく手にした、額賀澪さん。とっても、とっても、とっても、良かったよ。【皆瀬悟。周作の中に、彼が降りてきた。】【『周作』名前を呼ばれた。今日何度目だろう。何度、この人に名前を呼ばれただろう。】もしかしたら、母親を殺した人なのかもしれない。でも、どうしても信じられてしまうんだ、温かな記憶がどうしても【母を殺した犯人に思いを馳せている。】切なくて心臓をギュッとつかまれた。そして皆瀬さんと周作がまた重なる日々を迎えられて良かったよ。ウズラのタマゴ食べたくなっちゃうぞ。

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著者プロフィール

1990年、茨城県生まれ。日本大学芸術学部卒業。2015年、「ウインドノーツ」(刊行時に『屋上のウインドノーツ』と改題)で第22回松本清張賞、同年、『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞を受賞する。著書に、『ラベンダーとソプラノ』『モノクロの夏に帰る』『弊社は買収されました!』『世界の美しさを思い知れ』『風は山から吹いている』『沖晴くんの涙を殺して』、「タスキメシ」シリーズなど。

「2023年 『転職の魔王様』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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