骨を弔う

  • 小学館
3.50
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本棚登録 : 450
感想 : 66
  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864985

作品紹介・あらすじ

2018年上半期最大の衝撃と感動

骨格標本が発掘されたことを報じる地元紙の小さな記事を見つけた家具職人・豊は、数十年前の小学生時代、仲間数人で山中に骨格標本を埋めたことを思い出す。
しかし、それは記事の発掘場所とは明らかに異なっていた。同時に、ある確かな手触りから「あれは本当に標本だったのか」との思いを抱いた豊は、今は都内で広告代理店に勤務する哲平に会いに行く。
最初は訝しがっていた哲平も、ふと、記憶の底に淀んでいたあることを口にする。
リーダー的存在だった骨格標本埋葬の発案者・真実子の消息はわからないまま、謎は思いも寄らぬ方向に傾斜していく。

感想・レビュー・書評

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  • 初読みの作家さん。黒くて暗い表紙に「骨を弔う」という題名。オドロオドロした内容かと構えて読み初めたが、そんな事はなく一気に読みました。宇佐美さんの別の作品も読んでみたいです。

  • 日本版「スタンドバイミー」のようで、とてもとても楽しませていただきました。私も既に人生の3分の2は都会ぐらしですが、生まれてからの3分の1はこの小説の舞台のようなド田舎で育ったので、文章のひとうひとつが身体に染み入るようでした。プロットもよくできており、最後までドキドキしながら読めました。但し、私としては最後の真実子の章は必要なかったのではと感じました。著者の作品にはまりそうです。

  • 世の中なんでもかんでも白黒つければいいってもんじゃないし
    ものの善悪なんて立場が違えば、簡単にひっくり返ってしまう。
    人生に閉じ込められたかのように日々を過ごしていた中年の男女が、
    『昔埋めた骨の謎』を解き明かすために過去を辿り始める。

    彼らが本当に求めていたのは、
    過去の罪を善悪で暴くことなどではなくて
    子ども時代に誰もが感じていた、万能感や希望や友情を再び取り戻すことだったのだろう。

    最後の1ページまでみっちりと読み応えのある物語でした。

  • 大人になり、過去のあやふやな記憶を思い返すとき、虚構であったことが本当にあったように思い出されることって沢山あります。
    子どもの想像力の賜物だと思いますが、人から聞いた話なのに自分が体験したように映像が浮かんで、数十年後にふと「あれって体験した事だっけ??」と分からなくなる事ありますよね。
    スタンドバイミーの元子供たちの今、というテイストの本です。意外とミステリーチックなので何を書いてもネタバレになりそうです。

  • 骨格標本が発掘されたと新聞に載る。それは、小学生時代に自分が仲間と埋めたものだと豊は思い出したが、場所も違うような気がするし、標本であろうかという疑問もあり昔の仲間を訪ねる。
    宇佐美まことで始まり宇佐美まことで終わるって感じね。全体としてどうもアンバランスな感もするけれど一つ一つのお話は、一人一人の暗い心情が重く、重く、読み応えがありました。最後にどどどーっと真相やらなんやらでお重い内容が薄れてしまった感じ。そして、いくらリーダー的存在で知的好奇心が豊富であっても小学生が考えて行動を起こしていたというのは少々無理があるかと。ここのお話が深かった分、少々残念かな。

  • 宇佐美さん、2冊目です。

    骨格標本が発掘されたことを報じる地元紙の小さな記事を見た豊は、
    小学生時代、幼馴染5人で山中に骨格標本を埋めたことを思い出す。
    しかし、それは記事の発掘場所とは明らかに異なっていた。

    じゃぁ、あれは何だったのよってことである。

    なかなか、引っ張る引っ張る、そして
    なるほどぉの後にまだあった、
    という感じ。

    小学生の頃の記憶って、ホントにまちまちで
    同窓会で話して、初めてつながる話も多くて
    驚いたことを思い出した。人の話から「あ、そういえば」
    っていうのはわかるなぁ。

    記憶の断片がきちんとピースとしてはまっていく
    感じは読むスピードが速くなった。
    記憶は概ね辛い話だけれど
    最後は光がさしているようでよかった。

  • 小学五年生の時の「冒険」の本当の意味を大人になってから探しに行く。なぜ。なんのために。
    盗み出した骨格標本を山に埋めた。それは単なるいたずらだと思っていた4人。けれどその「骨」が何十年もたって何かを訴え始めた。
    それぞれの人生を歩いていた4人が、過去に埋めたはずの「骨」を探すことで自分の人生を見つめなおす。骨は何を語ろとしているのか。4人の同級生はあの日、何を埋めたのか。
    鍵を握る冒険の言い出しっぺは若くして亡くなったという。藪の中に埋もれてしまった真実が徐々に姿を表す。知りたくなかったあの日の出来事。そして、まさかの!!びっくりして思わず笑ってしまった。いや、笑うような話じゃないけど。宇佐美まことにやられたね。

  • 過去の隠された事件が徐々に姿を見せる、じわじわとひそかな不気味さ迫りくる読み心地のミステリ。でも全体的な読み心地は爽やかです。
    子供の頃に埋めた骨格標本。だけどそれは本当の骨だったかもしれない。それに気づき、真相を突き止めようとする主人公たち。大人になった彼らのそれぞれの生活や生き方も物語としての厚みを深め、真相に肉薄していく読み心地はスリリング。そしてやはりというかなんというか、事件自体は物騒なものであったわけだけれど。そこにはほぼ悪意がなくって、これは暴かれずひっそりと葬られたままでいいのだな、と思えました。
    登場人物みんなそれぞれに魅力的だけれど。やはり真実子が秀逸だなあ。彼女のしたことはいろいろと素晴らしすぎます。

  • 全体的な印象としては、大人のスタンドバイミーという感じ。
    それに暗さがプラスされている。

    主人公の男性は、河川敷で骨格標本が発見されたという記事を目にし、それは小学生の頃、幼馴染たちと埋めたものではないか?と思う。
    そして、それを機に、幼馴染たちに連絡をとる。
    広告代理店に勤め、気楽な独身生活をエンジョイしている男性。
    県議会議員の妻となり、夫からDVを受けている女性。
    震災にあい、今もその場所で暮らす男性。
    その頃近所に住んでいた美しい女性ー。
    そして、幼馴染たちを先導し、骨を埋めようと言い出した少女ー。
    彼らと会って、見えてきたその時の真相とはー。

    あらかた事件の材料がそろった時に、「こういう事なのかな」と真相は想像できた。
    だから、読み進めるのは真相を知りたいから、というよりも答合わせのような感じで読み進めた。
    すると、もう一つの真相が用意されていた。
    それはどんでん返しというほどのものでもないけど、何となく作者の遊び心が感じられるものだった。

    歳老いて呆けてきて、それでも罪悪感から解放されてない人がその頃の事を話してしまう。
    そんな場面があるけど、何も分からなくなってもそういうのだけ鮮明に覚えているのはつらい事だと思う。
    そういうのを見ると、過去を清算できて前に進む事ができたのはこのストーリーの登場人物たちにとっては良かったと思う。
    タイトルも表紙も暗いイメージで、途中は暗い場面もあるもけれど、最後は希望のもてる、読後感の良い結末だった。

  • インパクトのある表紙、そして「あの『サラバ!』以来の圧倒される作品」という担当編集者の帯に惹かれて購入。

    本作、すごく面白かった!!
    何となくこの先の人生に不安が…
    という、30代半ばの自分に「この世界は、まだまだ捨てたものじゃない」というワードがガッツリ突き刺さりました。

    まず設定がなかなか面白いです。
    骨格標本が発掘されたことを報じる地元紙の小さな記事から物語が始まります。
    主人公は、数十年前の小学生時代、仲間数人で山中に骨格標本を埋めた記憶が…
    しかし、それは記事の発掘場所とは明らかに異なっている。
    そこから「あのときに埋めた骨は本当に標本だったのか…?」という疑問が浮かぶ。
    大人になった主人公が、真実を明らかにするために友人を訪ねていく…というストーリー。

    幼少期の小さな冒険のエピソードって、きっと誰しもが持っているはずです。
    昔の自分なんかも思い出しながら、うっとりと物語に浸ることができました。

    黄金時代とも言えるその冒険を起点にして、今それぞれの登場人物が抱える閉塞感が少しづつ晴れていくという展開がまた素敵です。
    なんだがとっても胸熱です。

    読後、心が温かくなります。
    そして、ものすごくセンチメンタルな気持ちになります。
    旧友に連絡したくなります。
    ウザがられないように注意が必要です。

    <印象に残った言葉>
    ・こいつは人生の目標を失ってしまったんだな、と哲平は思った。でも人生の目標って何なんだ?俺だって明確にそんなものがあるわけじゃない。東京で、何とかやっていけるよう頑張ってはきたが、目の前の仕事を夢中でこなきていたら、ここにたどり着いた感じがする。努力はした。朱里と暮らして、お互いが自己実現できていると思っていた。それで満足していた。籍も入れず、子供も作らず、新しい家族の在り方を実践しているつもりだった。でも、それでいいのか?この先は、どこへ続くのだろう。人生の成功者だと周囲の人々が認めてくれるのか。そもそもそんなものに価値があるのか?何が残る?悦に入った鼻持ちならない男が一人出来上がるだけではないのか?(P39)

    ・もう迷うことはない、とあの時思った。人生の目標だの、生きがいだの、そんなたいそうなことを考える必要はもうないのだ。ただこの子を育てることだけに没頭すればいい。用意された場所に落ち着いた気がした。母という役割を与えられた春の朝。(P80)

    ・口を閉じ、目をつぶれ。(P277 京香)

    ・奇跡はね、それを見る力のある人のとこにだけ来るんだよ—って、昔真美ちゃんが言ってた。(P278 京香)

    ・真実が人を助けるとは限らん。(P285 父)

    ・この世界は、まだまだ捨てたものじゃない。(P318)

    <内容(「Amazon」より)>
    2018年上半期最大の衝撃と感動

    骨格標本が発掘されたことを報じる地元紙の小さな記事を見つけた家具職人・豊は、数十年前の小学生時代、仲間数人で山中に骨格標本を埋めたことを思い出す。
    しかし、それは記事の発掘場所とは明らかに異なっていた。同時に、ある確かな手触りから「あれは本当に標本だったのか」との思いを抱いた豊は、今は都内で広告代理店に勤務する哲平に会いに行く。
    最初は訝しがっていた哲平も、ふと、記憶の底に淀んでいたあることを口にする。
    リーダー的存在だった骨格標本埋葬の発案者・真実子の消息はわからないまま、謎は思いも寄らぬ方向に傾斜していく。

    【編集担当からのおすすめ情報】
    あえてハードルを上げますが、担当作でここまで掴まれ、揺さぶられ、圧倒的される小説は「サラバ!」以来です。本当に、何度読んでも、そう思います。(担当編集者)

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著者プロフィール

1957年愛媛県生まれ。2006年「るんびにの子供」で第1回『幽』怪談文学賞短編部門大賞を受賞しデビュー。2017年『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門を受賞。作品に『入らずの森』『角の生えた帽子』『死はすぐそこの影の中』『熟れた月』『骨を弔う』などがある。

「2021年 『文庫 少女たちは夜歩く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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