- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093864985
作品紹介・あらすじ
2018年上半期最大の衝撃と感動
骨格標本が発掘されたことを報じる地元紙の小さな記事を見つけた家具職人・豊は、数十年前の小学生時代、仲間数人で山中に骨格標本を埋めたことを思い出す。
しかし、それは記事の発掘場所とは明らかに異なっていた。同時に、ある確かな手触りから「あれは本当に標本だったのか」との思いを抱いた豊は、今は都内で広告代理店に勤務する哲平に会いに行く。
最初は訝しがっていた哲平も、ふと、記憶の底に淀んでいたあることを口にする。
リーダー的存在だった骨格標本埋葬の発案者・真実子の消息はわからないまま、謎は思いも寄らぬ方向に傾斜していく。
感想・レビュー・書評
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ある日四国の地方紙に「堤防から白骨が…」という記事が載った。その後白骨は骨格標本と判明して人騒がせな珍事件だと解決した。
記事を見た豊は小学生の時に仲間たちと学校から盗んだ骨格標本を埋めた事を思い出し、その時の骨は本当に標本だったのだろうかと疑問を持つ。
何故なら自分達が埋めた場所は全く違う場所だったからである。真実を知る為に今はバラバラになった幼馴染5人に連絡をし調べ始めるのだか…
とまあこんな出だしで始まるミステリーです。
読み進めるうちに何か思ったのと違うぞ⁇⁇となって、もう気になって気になって一気読み‼︎
大人になった5人は当時の事を思い出すことで、あの頃仲間達と過ごした日々や無くなってしまった故郷がいかに大切だったか気づいていきます。
真実がわかったラストはスッキリ‼︎
そしてさらに嬉しい真相が⁇
またまた気になる作家さん発見です\(//∇//)
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堤防の土中から人骨があると通報を受けた。警察が調べた結果、これは理科の教材や医療機関の見本などに用いられる骨格標本であることがわかった。
小さな地方紙の記事を目にした、豊は29年前のあの日の出来事を思い出した。
四国の田舎に住む幼なじみの5人。いつも本を読み誰よりも大人びていた真美子が立てた計画。子供らしくない発言や突拍子もない行動をする真美子だったが、それはいつの時も幼なじみの我々をわくわくさせる物だった。
大嫌いだった担任の鼻を明かす為に、研究授業の前日に理科室の骨格標本を盗みだす。
それをリュックに詰めてバスに乗り、山の中に埋めたのだ。
その時も真美子が造ったという「骨を弔う詩」を唱えた。
その地方紙を見た時に、何故だか本当はあれは人骨だったのでは無いか?と思った豊はいてもたってもいられずに、東京に住む哲平に連絡をとる。
哲平との再会をきっかけに、震災で家族を津波で亡くし1人宮城に暮らす正一、議員の妻になった京香の元を訪ねて29年前の記憶をたどっていく。
今更どうして、何の為にと仲間や自分自身も自問自答しながらも、どうしても諦めきれない豊。
そんな時京香から真美子は19歳で病死したと聞かされる。
豊と再会した事で、忘れかけていた四国での懐かしい思い出に、自暴自棄になっていた正一や、夫のDVに耐えていた京香、結婚から逃げていた哲平のそれぞれが自分を見つめなおし始める。
まるで亡くなってからも、真美子に物語の結末に導かれているように。
幼なじみが皆憧れていた、年上の琴美。隣の家に住む優しい老夫婦の徳田家。当時、イノシンの肉を大量に放置し異臭騒ぎとなった徳田家。民生委員であった豊の父はその片付けに借りだされた。あんなに優しかった徳田さんが荒れた生活をし皆と距離をおくようになった時期、琴美の働く競輪場でお金の管理をしていた原口という男が、金を持ち逃げして行方をくらませた。
あの時期に一体何が起きていたのか・・・
真美子が伝えたかった真実とは・・・
私は地元を離れて、幼なじみと言える友人とは久しく連絡はとっていない。
両親が亡くなり地元に帰ることもないので余計に疎遠かも知れない。
それぞれ家庭を持ち、遠くに暮らしたり、バラバラになり新しい付き合いがはじまり、あの時の感覚で話してみたら何か物凄い違和感を感じたりして。
中年4人があの時の骨を探しに山へ行くくだりは羨ましくなった。
アナグラムの伏線もあり最後まで楽しめた。
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『いけ好かない担任を困らせるために骨格標本を盗み出し、山奥に埋めた』
小5の仲良し男女5人が、リーダー格の佐藤真実子の計画の元、バラバラの骨をリュックに入れ、ちょっとした小旅行でも楽しむようにバスを乗り継ぎ山奥を目指した。
29年の時を経て、骨格標本が発見されるという新聞記事が掲載され…
その記事を見た豊が当時の仲間を訪ね、当時の話を聞いていく中で点と点が繋がっていくあたりは、読んでいて引き込まれるものがあった。
ただ、作者「宇佐美まこと」の名前を作中に出してしまうのは、急に現実に引き戻される感じでどうもな〜とは思ったものの。
それがキーポイントになるとは、、、
ラストはちょっと無理がある気がしたが、嫌いではないです。
四国の方言がとてもかわいくてよかった!
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世の中なんでもかんでも白黒つければいいってもんじゃないし
ものの善悪なんて立場が違えば、簡単にひっくり返ってしまう。
人生に閉じ込められたかのように日々を過ごしていた中年の男女が、
『昔埋めた骨の謎』を解き明かすために過去を辿り始める。
彼らが本当に求めていたのは、
過去の罪を善悪で暴くことなどではなくて
子ども時代に誰もが感じていた、万能感や希望や友情を再び取り戻すことだったのだろう。
最後の1ページまでみっちりと読み応えのある物語でした。 -
初読みの作家さん。黒くて暗い表紙に「骨を弔う」という題名。オドロオドロした内容かと構えて読み初めたが、そんな事はなく一気に読みました。宇佐美さんの別の作品も読んでみたいです。
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日本版「スタンドバイミー」のようで、とてもとても楽しませていただきました。私も既に人生の3分の2は都会ぐらしですが、生まれてからの3分の1はこの小説の舞台のようなド田舎で育ったので、文章のひとうひとつが身体に染み入るようでした。プロットもよくできており、最後までドキドキしながら読めました。但し、私としては最後の真実子の章は必要なかったのではと感じました。著者の作品にはまりそうです。
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大人になり、過去のあやふやな記憶を思い返すとき、虚構であったことが本当にあったように思い出されることって沢山あります。
子どもの想像力の賜物だと思いますが、人から聞いた話なのに自分が体験したように映像が浮かんで、数十年後にふと「あれって体験した事だっけ??」と分からなくなる事ありますよね。
スタンドバイミーの元子供たちの今、というテイストの本です。意外とミステリーチックなので何を書いてもネタバレになりそうです。 -
骨格標本が発掘されたと新聞に載る。それは、小学生時代に自分が仲間と埋めたものだと豊は思い出したが、場所も違うような気がするし、標本であろうかという疑問もあり昔の仲間を訪ねる。
宇佐美まことで始まり宇佐美まことで終わるって感じね。全体としてどうもアンバランスな感もするけれど一つ一つのお話は、一人一人の暗い心情が重く、重く、読み応えがありました。最後にどどどーっと真相やらなんやらでお重い内容が薄れてしまった感じ。そして、いくらリーダー的存在で知的好奇心が豊富であっても小学生が考えて行動を起こしていたというのは少々無理があるかと。ここのお話が深かった分、少々残念かな。 -
宇佐美さん、2冊目です。
骨格標本が発掘されたことを報じる地元紙の小さな記事を見た豊は、
小学生時代、幼馴染5人で山中に骨格標本を埋めたことを思い出す。
しかし、それは記事の発掘場所とは明らかに異なっていた。
じゃぁ、あれは何だったのよってことである。
なかなか、引っ張る引っ張る、そして
なるほどぉの後にまだあった、
という感じ。
小学生の頃の記憶って、ホントにまちまちで
同窓会で話して、初めてつながる話も多くて
驚いたことを思い出した。人の話から「あ、そういえば」
っていうのはわかるなぁ。
記憶の断片がきちんとピースとしてはまっていく
感じは読むスピードが速くなった。
記憶は概ね辛い話だけれど
最後は光がさしているようでよかった。