がいなもん 松浦武四郎一代

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 111
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093865104

作品紹介・あらすじ

“北海道の名付け親”を描いた決定版小説!

明治16年。齢60を過ぎても矍鑠としている松浦武四郎は、絵師の河鍋暁斎の家にやって来ては、暁際の娘の豊に昔語りを始めるのだった――。
武四郎は、文化15年に伊勢国、今の三重県松阪に生まれた。早くから外の世界に興味を持ち、16歳で家出する。その後は、蝦夷地をはじめ日本全国を歩いた冒険家として、また“北海道の名付け親”として知られる。
蝦夷地は6回も訪れ、アイヌと親しく交わり、9800(!)ものアイヌの地名を記した地図を作り、和人による搾取の実態を暴いて公にしたため、命を狙われた。そして、〈北海道〉は最初の提案では、〈北加伊道〉だったという。そこにはアイヌの人々に対して籠められた武四郎の思いがあった。蝦夷地通として、吉田松陰や坂本龍馬にも相談に乗っていた。
ただ、武四郎の凄さはこれだけではない。
古銭をはじめとして一流の蒐集家であり、古希の記念に富士登山をしたり、葬儀の一部始終を記した遺言状を作ったり、一畳敷の茶室を自分の棺にしようとしたり、〈終活〉にも達人ぶりを見せていた。
武四郎老人が自らの生涯を振り返るという形式で、「傑物にして奇人」であった全貌に迫る伝記小説。


【編集担当からのおすすめ情報】
今年(2018年)、生誕200周年事業が三重県松阪市で行われ、北海道150年記念事業のなかでも、キーパーソンとして北海道のホームページでも詳しく紹介されています。涙と笑いのエピソードが盛り込まれ、しんみりと心に響く長編小説です。

感想・レビュー・書評

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  • 北海道大好きで、松浦武四郎の話を読んでみたかったから嬉しかった。
    もうちょっとアイヌの人たちとの話しが読みたかったな

  • 詳細は、こちらをご覧ください
    あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート
     → http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1352.html"

  • 2024.1 下町物語なんだけれども登場する人物が歴史上の有名人物ばかり。松浦武四郎の名前は伊能忠敬を超える北海道第一人者であったことは知っていたけれど勉強になりました。特にアイヌの位置づけと立場は軽いタッチで描かれつつも、アイヌ差別の本質を少しだけ学ぶことができた気がする。

  • 河鍋暁斎の娘に自分の来し方を語るという形に、正直最初はまどろっこしくて。でも、読み進めるうちにハマった。

  • 松浦武四郎の人柄と
    「北海道」の始まりが
    とても分かりやすく面白い

  • 読み応えあり。

    アイヌと武四郎の関わりだけにフォーカスした続編を望みます。

  • 「がいなもん」とは彼の生地伊勢の方の言葉で、(ネタバレかも知れないけど)途方もないヤツとか、とんでもないヤツとかいう意味だそうだ。そのタイトル通りの、破天荒な生涯を綴った一代記である。

    16歳で、奉公先の主人の頭巾を無断で換金したのがバレて出奔。以来の、あきれた行動力、収集癖を始めとする奇人っぷり、市井に収まらない大きな魂といったものが、小説形式で痛快に描かれる。

    小説は、絵師河鍋暁斎と娘の暁翠(お豊)が一種の狂言回しとなっていて、これが物語に文字通り彩りを添えている。河鍋以外にも、龍馬、海舟なども含む豪華な交友関係も読みどころだ。

    蝦夷地に3度も渡り、アイヌ語地名9,800を収集したというのが物語のハイライトではあるが、蝦夷地をくまなく巡り、アイヌたちとの交流を深めるにつれ、やがて松前藩の暴虐や無責任に気が付き、アイヌ政策を巡る軋轢が表面化してくる。

    “この幽玄な大地は、(和人ではなく)神とアイヌのものではないか。”・・・単なる探検、冒険ではなかったのである。

  • 20181223読了

  • 蝦夷地を探検し、北海道の名付け親となった男をえがく。
    昔語りという形式なので、ひとつひとつのエピソードを抜粋しながら、軽快に進む。
    その行動力と功績だけでなく、一風変わった一面がおもしろかった。
    幕末の志士や、新政府の要人、芸術家に商人。
    ほんとうに多くの、そして幅広い有名人との交流があったことに、驚かされる。
    松前藩の仕打ちは知っていたものの、改めてそのひどさに憤りを感じる。

  • 「北海道の名付け親」として知られる松浦武四郎の伝記的小説。
    晩年の松浦武四郎が「北海道人樹下午睡図(武四郎涅槃図)」と呼ばれる大作の絵を発注していた絵師の河鍋曉斎の娘・豊に武四郎が昔語りをするというスタイルで話が進んでいく。この小説の構成も、なかなか巧みであると感じた。
    子の小説を読んで、松浦武四郎の「がいなもん」ぶり、敬愛すべき「変人」ぶりがよく伝わってきた。また、当時のアイヌの人々への松前藩をはじめとする和人の扱いの酷さ、アイヌの人々に寄り添いながらも、そのような酷い状況を改善することについての無力さに打ちひしがれる武四郎の姿に心が痛む思いがした。

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