燃えよ、あんず

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 209
レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093865227

作品紹介・あらすじ

人生、何が起こるかわからない(本当に)

下北沢の小さな書店・フィクショネスには、一癖も二癖もある面々が集っていた。癖の強い店主、筋金入りの「ロリータ」愛読者、大麻合法を真面目に主張する謎の男、大手企業で管理職に就く根暗な美形男性、そして、決して本を買わずに店で油を売り続ける、どこか憎めない女子・久美ちゃん。
そんな彼女に新婚間もなく不幸が訪れる。それから十数年。ある日、久美ちゃんがお店にふらりとあらわれた。同じく懐かしい顔の男を伴って――。

感想・レビュー・書評

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  • なぜこの本をブクログの本棚に加えたのか、忘れてしまったが、タイトルに惹かれ(文学的知識が浅過ぎる為、これが室生犀星の詩からとったものだと全く知らなかった)読んでみたが、正直、予想外に面白かったし、深く心に刺さった。

    初めて読んだ作家さんだったが、自分の読書の幅の狭さを改めて思い知った。
    ちょっと西加奈子さんの描く人間像を思い出した。割とボリュームのある話だと思うが、一気に読んでしまい、家のことはほったらかし…。2019.8.3

  • 愛すべき登場人物たち。みんながポンコツなのに大切な人たちのために奔走する姿が微笑ましくもあり感動すら覚える。本屋さんの店主から見たという設定もなかなか面白い。
    そして謎に包まれた獅子虎さんの章が個人的にはとても好きだった。本編ではどうしようもない人として描かれているだけに彼の背景を知ることで物語に深みが出てきて。
    ドタバタ喜劇のようであった両親対決に
    こういった思いがあったのかと
    妙に納得して、易しい気持ちで読了することができた。
    人を想い続ける易しさにあふれるお話だった。

  • タイトルがどこで効いてくるのかと思っていると、殆ど最後だった。

    あんずよ
    花着け
    地ぞ早やに輝やけ
    あんずよ花着け
    あんずよ燃えよ
    ああ あんずよ花着け ー室生犀星

    「わしはなんの報告があるとも、思てへんかった。久美子がふらーと遊びに来てくれただけで嬉しいんや」
    久美子の義父の言葉を読んだ時、朝日新聞で紹介されていたのを思い出した。
    温かさが滲み出したような、想いが隠せないようなフレーズ。

    私なら由良は許せないし、事故を起こしそうな桃子に運転はさせないだろうし、ましてや初対面の父親を結婚相手に会わせること(人物としても普通じゃないし)も断固やらないけど、それを少しずつ許容することで想定外の幸せも運ばれてくる。そしてクスっという笑いも。
    、、フィクションとはいえ、考えさせられるなぁ。

    でもこんな温かみに溢れた人が多いのに、みんな、自分は友達が少ない、という。何だろうな。

    最後の獅子虎のセリフは、予想はしてたものの締めとしてイイ重しになっている。

    久美子との出会いとその成長を追う書店店主の目線を中心に書かれた物語。途中、会話形式で進む箇所は冗長に感じられたけど、人の温かさがじんわり伝わってくる本だった。

  • うまく言えない。でも読んでほしい。

  • いやあ、面白かった。
    簡単に言えば個性的でかわいい女の子が悲しい出来事を経験して中年になり、苦労してきた若者と恋愛して結ばれるって話で、あらすじだけならごく普通で、なんでこんなに長い小説になるの?と言われそうだけど、必要にして十分な長さなのだ。読み出したら止まらない。
    登場人物全てが生き生きとして魅力的な上、語りが巧み。本当に上手い。読んでいて、登場人物たち、特に久美ちゃんとマサキくんを応援せずにはいられない。
    二人が人間としてちゃんとしていながら、過去のせいで必要以上に世間に冷遇されるのが切ない。そんな中でも二人がおずおずとお互いを知り合い、好きになっていく様子が歯がゆいくらい純情。恋愛小説に特に興味はない私でもグッときた。
    そして何度も言うがキャラクター造形の巧さね。特に獅子虎。こんなに汚くてとんでもない、それでいて愛すべきじいさんは滅多にいないよ。
    中年になって初めて会社勤めした久美ちゃんがエクセルと格闘するシーン、みんながミラ・ジーノに乗り込んで獅子虎に会いに行くシーンは笑える。
    上手い脚本で映画にならないかな。

  • 下北沢の書店を営むオサムは小説を書く。お店に来てくれている久美ちゃんについて。久美ちゃんは結婚をするがまもなく不幸にあい姿を消す。お店の別の客とともに10年後、お店に訪れる。久美ちゃんがマサキくんという男性と結ばれるまでを描きます。そしてマサキくんのお父さんについての章もあり。オサムさんの語り口調もおかしく、楽しく読めました。登場人物はどれも癖のある人たちで物語を盛り上げています。みんな久美ちゃんを応援しているんだという暖かさが伝わってきました。なんだろなあ、本全体で温かさを感じた。お父さんの獅子虎は良かったなあ。カルメンが素敵です。藤谷さんの他の本読みたくなった。

  •  表紙とタイトルがいけない。
     とても、豊かなストーリーの小説じゃないか。全く。
     

  • 登場人物の一人一人に大きな魅力はないけれど、
    それでもいいじゃないか。
    そんな人たちで現実はできてるし、ヒーローなんていないし、善良になりきれない、かといって悪人にもなれない人たちでつくりあげられた世の中なんだから。
    それでも人を幸せにすることはできるよ。
    それでいいじゃないか。
    何だか、ものすごーく大きい話ではないんだけど
    読後、『それでもいいんじゃないか』と思われせてくれる不思議な本でした。

  • 中心人物の久美ちゃんの話ももちろん面白いが、書店店主のオサムと奥さんの桃子さんの関係が好き。はじめはなぜこんなぽんこつ亭主と桃子さんが?と思ったが、久美ちゃんとの会話や運転シーンなどで桃子さんのキャラが面白くて、この夫婦がますます気に入った。

  • 藤谷治さんだった。最後の章が本当に良かった

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著者プロフィール

1963年東京都生まれ。日本大学藝術学部映画学科卒業。2003年、『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』でデビュー。08年、『いつか棺桶はやってくる』で三島由紀夫賞候補。10年、『船に乗れ!』三部作で本屋大賞第7位。14年、『世界でいちばん美しい』で第31回織田作之助賞受賞。他の著書に『燃えよ、あんず』『綾峰音楽堂殺人事件』などがある。

「2019年 『花や今宵の』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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