漫画ひりひり

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 72
レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093865340

作品紹介・あらすじ

平成のトキワ荘、漫画家青春群像活劇

平成元年2月9日、主人公・歩は、夢への一歩を踏み出すべく大分にある鳥羽デザイン専門学校漫画コースの入学試験に挑む。漫画家になりたいと希望に満ちて入学した生徒達は、平成31年を迎えて、どんな大人に成長したのか。夢を叶えて大成功した者、夢破れて地に足着けて生きる者、嬉しいことも、思い通りにならないことも、全て大人への通過点。30年という振り返れば長く、思えば短い年月を、懸命に生きてきた少年、そして今、中年を迎えた男たちの感涙必至の漫画家青春群像活劇。

【編集担当からのおすすめ情報】
発売前に連載していた文芸誌きららでも大反響だった作品。風カオル先生が、漫画家志望だっただけあって、描写がとてもリアルで、夢を追い続ける少年達の思いが真に迫ってくる。漫画に興味ある人もない人も、漫画家を見る目が変わるかも。是非ご一読ください!

感想・レビュー・書評

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  • ひりつくような熱い青春もの。

    平成元年。
    宮崎勤の事件などもあり、漫画=オタク=犯罪者予備軍というような風潮もある中、漫画家を志し漫画専門学校に入学した歩と黒田と宇治山。
    彼等の友情と、漫画家デビューを目指す過程を描く。

    主人公・歩が漫画家目指して半年の元野球少年、という設定のおかげで漫画ってどうやって描くの?ってところから入っていくので分かりやすかった。
    あと、平成の風俗や事件やファッションが懐かしく、ああ、これあったよねえ、とか、思い出しながら楽しく読める。
    文字も大きく、平易な言葉遣いで、ひらがなも多め、すらすら読めるので読み応えないかと思えばいやいや、どうしてなかなか。魅力的なキャラクター(滝先生好き!)とそうそう、これこれ!なストーリー展開で心地よく浸れた。

    大分が舞台なのでそちら方面にゆかりのある方なら、さらに楽しめそう。

    • やまさん
      5552さん
      こんにちは。
      いつもいいね!有難う御座います。
      5552さん
      こんにちは。
      いつもいいね!有難う御座います。
      2019/11/09
    • 5552さん
      やまさん、こんばんは。
      こちらこそ、いいね!をありがとうございます。
      やまさん、こんばんは。
      こちらこそ、いいね!をありがとうございます。
      2019/11/09
  • 1989年の2月9日、手塚治虫が亡くなった日に細川歩は大分県の専門学校の漫画コースの面接を受ける。平成が始まった頃の漫画家志望の青年たち3人の群像を、テンポよく描いた小説である。当然ラストの場面は、平成31年の2月9日前後になる。

    私は漫画家になりたかった。細川歩は18歳で漫画家を志したけど、私は18歳前後で諦めた。ジャンプで鳥山明の連載が始まって、私には才能はないと早々に思ったからだ。実はそのあとマンガ編集者になりたいと思って、その頃の(私基準の)主要連載漫画約100作品を全て(立ち読みや喫茶店で)チェックするという事も4年以上は続けていたけど、いつしかその習慣もなくなった。平成元年のこの年、『ドラゴンボール』『寄生獣』こそはチェックしていたが『ベルセルク』『SLAM DUNK』『幽☆遊☆白書』は、もう読む事もなかった。だから、漫画家志望青年たちの夢も挫折もいろいろと共感する。だから、漫画家志望青年たちの技術の高さやマーケット感覚を重視する姿勢には、それよりも大切なことがある、とつい思ってしまう。

    漫画を好きでいるためにけじめをつける。佳奈さんもそうだった。みんな漫画が好きで、それだけはどうにもならなくて、ちがう道を歩き出す。(180p)

    そうなんです。好きだから嫌いでいたくない。だから諦める。だから私も時々傑作に出会いたくて、未だいくつかの漫画をチェックしている。漫画が大好きだから。「ひりひり」するような痛さと心地良さと。

    細川歩くんは、たった一年で劇的に変化する。細川歩くんも「それよりも大切なこと」を未熟ながら掴む。大分という東京から見たら田舎の、小さな専門学校という普通成功しないところで、それでも此処は日本なんだ、才能は開花するのだ、というメッセージがとても気持ちよかった。
    2019年4月10日読了

  • なるほど、こんな切り口の青春小説もなかなか面白いしヒリヒリしますね♪
    たまたまの動機で漫画家の道を選択した元 高校球児が悩み苦しみもがきながらも、ひたすら挑み続けるリアルで熱い様子に共感を覚えながら読了。
    舞台も馴染みある大分や別府なので共感度合いも増幅(笑)
    漫画家を目指す世界の大変さもよく分かり臨場感も伝わってきて一気に読みました。

  • 漫画好きにとっては傑作。
    この題名の本を読みながらダラダラと涙を流す私を見て、家人ドン引き。でも本当に感動したし面白かったです。
    挫折した高校球児が偶然手に取った手塚治虫作品に感銘を受け、漫画家を目指す物語。
    体育会系から漫画家なんて斬新だと思ったけど、想像以上にしっくり馴染むからもしかしたら漫画家も体育会系なのかもしれません。
    私は漫画が大好き。ぐるりと見渡しても私ほどの漫画好きは知人に3~4人(あれ結構いるな)。
    泥を噛むように漫画家を目指し、血を吐きながら漫画を描いてくれる先生方には感謝しかない。

  • 爽やかで、まっすぐで、読後感がとても良かった!
    漫画家になる夢に向かう男の子たち。
    友情。先生との深い絆。
    何度も胸が熱くなりました。

    主人公は1970年生まれ。
    平成元年(1989)に漫画の専門学校に入学し奮闘する。
    今からちょうど30年前のおはなし。

    当時の流行りの音楽や漫画やファッションなども
    あれこれ書かれているので、
    平成元年は自分は何してたかな?とか、
    こんな事件があったんだっけ、
    とか、あれから30年たったのかあ。。。
    など思いながら懐かしく、胸が熱くなった。

    大分が舞台というのも、あまりなく新鮮。
    あのころ大分はこんな感じだったのかと
    興味深い。方言も楽しい。

    さいごの章、
    読み終えるのがもったいなくて、
    名残惜しくて、少しずつ、
    ゆっくり読んでしまった。
    この結末で、よかったあ。。。

    続きが読みたいくらい、素敵な小説でした。









  • 平成になったばかりの1989年2月9日、大分の専門学校で漫画コースの入学試験が行われた。その日は手塚治虫が亡くなった日でもある。18歳の歩は手塚治虫のような漫画家になりたかった。

    入学して歩が思い知ったのは自分の画力の低さ。友人になった宇治山と黒田はプロ並みに絵が上手い。
    滝先生の教えを受け、少しずつ成長していく歩。宇治山は早々に漫画家デビューして上京していく。黒田は絵が上手いだけで、漫画を描き上げることができない。
    持ち込みをするためにバイトしたり、親に就職を勧められたりして、もがきながら努力する歩は、まだ画力が足りないものの読者の胸を打つようなセリフまわしを滝先生から褒められる。

    漫画家デビューしてヒット作を出してもなお不安があるという宇治山。
    イラストレーターになるくらいなら就職することを選ぶ黒田。
    夢に向かって努力を続ける歩に感化され、講師を辞めて漫画家に専念することを決めた滝先生。
    運命を賭けた月例賞に応募して大賞を取り、漫画家デビューを決めた歩。

    平成の始まりの1年。彼らはお互いに影響し合い、高め合った。夢を掴んだり、諦めたり、もう一度努力する決心をしたりした。色んな考え方がある。皆が自分の人生を生きていた。
    その時間を青春と呼ぶことは簡単だ。でも、海のなかにいるときに海の広さはわからない。

    それから30年後、平成の終わり。手塚治虫みたいにはなれなかったけど、漫画家として地道に活躍している歩が宇治山や黒田、そして滝先生と再会して当時を振り返ったときにお互いを認めあっていることが何より素敵だった。
    尊敬し合える関係。年齢も職業も時間もすべてを超える繋がり。青春の友情は消えない。

    --------------------------------------

    周りの理解者たちに支えられて歩くんが成長していく様子は、それこそまるで少年漫画の主人公みたいだった。
    階段を一段ずつ駆け上がるようにレベルアップしていく歩くんが純粋だからこそ、読みながら何度も「これはバッドエンドになるんじゃないかな」と思った。

    努力したとしても夢が叶うことのほうが少ない世界。滝先生の言動からは漫画家の苦しみをすごく感じた。黒田くんとその彼女の考え方にもすごく共感した。何かを諦める決心をするのは、だらだらと続けることより何倍も苦しい。

    そんな世界だからこそ、歩くんの夢は叶わないんじゃないかと思ったけど、おじさんになった歩くんは立派に漫画家を続けていた。
    大人になっても続く繋がりって本当に素敵なものだと思う。自慢話でマウンティングするわけもなく、劣等感を持つわけでもなく、当時の友情を保ったまま尊敬し合える関係。
    平成の最初に”漫画”で繋がった彼らの友情は、令和になってもずっと続いていく。

  • 文芸誌きらら2017年7月号〜2018年7月号連載のものを2019年2月小学館から刊行。つい、漫画界を描いた平成の傑作バクマンと比べてしまいました。ぬるい。

  • 漫画家を目指す細川歩が、入学した専門学校で出会った仲間と共に、挫折を繰り返しながらも夢に向かって前進していくという青春小説。ラノベタッチの文体で、スイスイ読める。
    もっと長くして、上下巻、あるいは上中下巻構成にしても良かったのでは。
    努力、友情、勝利というジャンプセオリーを小説でやってみたら、こんな感じかも。

  • 【あらすじ】
    高校時代まで野球少年だった主人公が突如漫画家を目指して、漫画家養成の専門学校に入学。同級生や講師、家族など周囲の人々からの刺激を受けて漫画家としての成長の日々を描く。

    【感想】
    漫画家に限らず自分で創造したもので他人に影響をあたえたいと考えている人すべてに刺さる作品だと感じた。
    同じ専門学校に通う同級生が「「漫画」を嫌いになりたくないから漫画家になるのをあきらめる」という言葉が印象に残った。

    創作活動を生業にする仕事の裏側というか生みの苦しみというものが伝わってきた。
    途中はあまり救いがなさそうな話で、読むのがつらくなってしまったが最後には、きちんとそれぞれの幸せを掴んでいて安心した。

    自分の人生の目標のように感じていたことに挫折したら人はどうなってしまうのだろうと考えることがあるけれど、人はなんとかそういう気持ちに折り合いをつけて生きていけるらしい。

  • 表紙やタイトルの感じから昔がテーマの話かと。
    そんなに好みじゃなさそうと思ったのですが…
    よかったです。熱い。

    「まっすぐだなあ。自分がいやになってくる」
    滝先生と黒田の気持ちよくわかる。
    それこそひりひりするくらい。

    遅くなってしまいましたが献本でサインまで!
    ありがとうございます。
    大事に読ませていただきました。

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