まったく、青くない

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 93
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093865678

作品紹介・あらすじ

YouTuber絶賛!新世代小説家、爆誕

第20回小学館文庫小説賞受賞作。
文学YouTuberベルさん、セゴリータ三世さんら、人気YouTuberもその才能に嫉妬する、新世代の小説家が2020年、爆誕!

天性の歌声を持つギンマと、彼の才能を信じて集まった、同じ大学に通うサミン、ランジ、ハルの4人は、東京の端に建つシェアハウスで共に暮らし始める。男女4人の関係は、美しい均衡を保っているかに思えたが、実はそれぞれが人には決して言えない秘密を抱えていた。差出人不明の白い封筒が、鈍い音を立てて「青春」をゆがませていく。ときに相手を傷つけ、ときに傷つけられ、4人がそれぞれに選んだ道とは――。
侵されたくなかった自分だけの居場所、ぶつけどころのない孤独、信じていたものに裏切られる絶望、抗いがたい嫉妬心、目をそらすことのできない淡い恋心。
青い春とは、いったいなんなのか? 24歳の若き才能が叫ぶように描いた、生々しさが心を貫くリアルな青春小説!!

感想・レビュー・書評

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  • 青い春、と書いて「せいしゅん」と読む。そう、青春は青いはずなんだ。なのに、タイトルで「青くない」と言い切っている。どういうことだ。

    かつては大学四年間というのはモラトリアム期であった。社会に出るまで自由にのびのびと暮らせる期限付きの時間。まぁ、最近は入学した瞬間から就職活動に向けて動く学生も増えているから、モラトリアムなんて存在しないのかもしれないけれど。
    そんな中で、天性の声を持ったばかりに音楽活動に明け暮れ授業も出ず、バイトもせずにいるギンマ。なぜか彼の単位や音楽のフォローを支える仲間が3人、一緒に暮らしている。
    なぜ彼らはギンマの活動を支えているのか。それぞれがそれぞれに苦しみの種を抱えていて、それを消化、あるいは昇華するためにギンマを無償で支えている。そのあたりの動機が一人ずつ語られていく。
    オトナの目から見たら、「それはわかるけど、でも甘いよ」と言いたくなるところもある。でも、彼らはある意味ちゃんと、「まったく、青くない」と自分の青春を見ているのだろう。
    無自覚な甘さには腹が立つけど、わかって何とかしようともがいている姿に見守ってあげようかと思ってしまう。
    ただ、一言いうなら、君たちが「まったく、青くない」というその時間を、いつか「青かった」と思うときがくる、きっと。

  • オリジナル曲を弾き語りで歌って、音楽で飯を食っていこうとする青年と、彼を取り巻く同居者達の群像劇です。
    曲を作って人に聞いてもらう喜び。これはやった人にはわかると思いますが麻薬的な快楽です。特にステージに立って自分の歌を聴きに来た人に聴かせる時、体に満ちてくる喜びはどう言い表したらよいかわかりません。

    本書の見どころは、大学というモラトリアムが作り出す万能感と焦燥感だと思います。
    才能はあるけれども足がかりが見つからないシンガーソングライターと、彼の才能を信じて集った3人。時間が無限にあるならうまくやっていける関係も、終わりが見えてきた時に壊れていく関係・・・。
    一人一人人生があるけれども、若いときは自分が主役って思えないですね。卓越した物を持っている人が人生の主役になると思い込んでしまいますが、年取ると全然そんなことないんですけどね。
    この本読んでいると、若いころ何者でもなかった、吹けば飛ぶように自分を感じていた頃を思い出します。人のせいにしたくて、でも人生を人のせいに出来る期限が迫っている焦り。

    「まったく、青くない」という題名は、青春というにはあまりにも汚れているというような意味に感じられますが、どちらかというと、青春の最中にある人はその青さを感じられない。という風に感じられました。実際青春ですよ彼ら。そもそも青春ってなんだよって話でもあるのですが。

  • ブグログさんからサイン付きで当たった本。まあ正直自分では買わない本であり、そういう意味で本に出会わせてもらったブグログさんには感謝です。
    さて表題は「まったく、青くない」ということで、シェアハウスで共同生活する大学生という将来への不安や期待の入り乱れ、各々の秘密と葛藤が織りなす物語なのだが、そういったこと自体がまさに青春であり、表題と反しているように思えた。(まあ一般的な青春とは違って、そうキラキラしたものでないという意味では表題どおりなのか?)
    すんなりと読める文体ではあるが、そう感情移入はしにくいのは年のせいなのか。

  • 荒削りだ。ちょっと引っかかるところもある。
    しかし、なにかこう熱量というか、前に進ませる力というか、がむしゃらさがあり、なのに最後の最後で本名を思い出せない、という意外な結末。この話は幻だったのか、それが青春の本質なのか。とにかく、『まったく、青くない』という題名は返す返す考えさせられる。

  • そうそう、若者ってこんな感じ…リアルだなー…と思ったら、本当に若者が書いていました。

    見えるものが全てで、真実かはともかく信じて。
    そう言えば、本名がわからないけれど友達だと思っていたあの人達は誰だったんだろう。

  • 今の時代でもこんなタイプの学生時代があるんだ。って妙に安心しちゃう。

  • 読みました。なんかこのかんじ久しぶりだった…
    青春…。青春というより、人生小説でしたね。まだ大人になる前の、でもほとんど大人みたいな大学生。私は専門学校だったので、大学っていう空間はよくわからないのですが、うーん…

    高校生より大人で、大人であることを求められて、でもまだこどもであることも許されている、曖昧な時間。
    それでもどうしようもなく迫ってくる未来と過去。

    なんかそれっぽいことを言ってしまった。きっと私はこの小説を、高校のありきたりな一日みたいにいつか忘れてしまうけど、読んで良かったと思います。登場人物の名前に慣れるのにちょっと時間がかかったけど!

    最後の、ランジのセリフがすごく好きでした。きっと昔は、そんなわけないと思っていたけど、もう大人になった私たちは、そんなこともあるのを知っている。

  • さらさら読めちゃう小説だった。
    視点がコロコロ代わり、また瞬時に誰の視点なのかわからない部分があって、誰にも感情移入ができないところがあった。
    物語の核である、ギンマの「声」の描写にも、信仰されたり魅せられたりするほどの力を感じられなかった。
    各登場人物の過去や葛藤が、それぞれ分けて1作品ずつ書けそうなくらいの内容なのに、これだけの長さにぎゅっと収まってるから、なんだか物足りなく感じる。

    「来し方」って言葉がちょいちょい登場するのが気になるのだけど、こだわりなのかな。
    タイトル素敵です。

  • 「You Tuber絶賛!新世代の小説家爆誕」というキャッチコピーに惹かれ、この本を手に取りました。

     主な登場人物は同じ大学に通う4人の大学生たち。歌手としてメジャーデビューを目指すギンマの声に他の3人が引き寄せられた形で、4人は一緒にシェアハウスに住むことになります。差出人不明の白い封筒をきっかけに、4人の関係性、それぞれが持つ壮絶な過去、抱えている秘密が明らかになっていきます。

    ギンマは、4人の中で最も非凡な才能を持っているにも関わらず、実は一番平凡な人生を送ってきたことに「この声さえなければ」と悩み、苦しみます。「何者にもなれない自分」を、ギンマはいろいろな人を巻き込みながら、受け入れていくのです。

    登場人物たちが経験するいじめや貧困、親からの虐待など、読むのが苦しい場面もありますが、それぞれが自分の問題と向き合い、過去と折り合いをつけていく姿は、清々しく、そして少し寂しくなるほど後味が軽くて読みやすいです。

    彼らにとっては「青くない」、でもやはり「青い」青春が描かれています。

  • もらったプルーフ読んでたの書き忘れてた。
    オジさん若い頃から青春小説とか苦手やったけど、これは何かすんなり読めた。まぁすんなり読めたってことは良くも悪くも引っかかりがあんまり無かったってことでもあるけど。

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