- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093866293
作品紹介・あらすじ
スクリーンは奇跡を映す。観客の人生にも。
銀座のミニシアターで、二年前に亡くなった末永静男監督の追悼上映が行われている。二十一年前に公開された『夜、街の隙間』、上映は一週間だけ。最終日前日、午後四時五十分の回。観客は六人だった。
この映画館で働いていた三輪善乃は、公開当時にチケット売場の窓口にいた。山下春子にとっては、大学の同級生と成り行きで観に行った作品だ。自主映画を撮っていた安尾昇治は、末永のデビュー作でその才能を目の当たりにし、道を諦めた過去がある。沢田英和は、この作品に元恋人との苦い思い出があった。誕生日デートのはずだった川越小夏は、一人でスクリーンを眺めている。映画監督を目指す本木洋央は、生物学上の父親が撮った作品を観に来ていた……。
観客たちの人生と、『夜、街の隙間』のストーリーを行き来しながら、出会いとすれ違い、別れを繰り返す日々の中にある奇跡を鮮やかに描く。
『ひと』の著者が銀座という街とミニシアター、そして映画への愛をも描き切った渾身の人生讃歌。
【編集担当からのおすすめ情報】
デビュー前、シナリオを書いていたこともあるという小野寺史宜さんが、ご自身のシナリオをモチーフとして、スクリーンに映し出される物語とスクリーンの前に座る観客たちの世界を描きます。
『ひと』で2019年本屋大賞第2位に選ばれて以降、精力的に作品を発表される著者が、偶然の出会いの中に起こる奇跡に光を当てた新たな傑作です。
感想・レビュー・書評
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長いこと茨城の夏と言えば「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」通称「ロッキン」だったんですが、今年から千葉での開催となってしまいました
コロナ禍での開催が云々ということが理由とされていましたが、どことどことが揉めた等々噂が噂を呼んで…しかもすぐに「ラッキーフェス」なるものの開催も決まったりして、地元ではわけわからん陰謀説まで出てくる始末
まぁ、どちらも無事開催されて(ロッキンの方は最終日が台風で中止)良かったんですが、やっぱり「ラッキーフェス」ってなんかピンとこないw
『なにがあったの?ロッキン』なんちて
さて『ミニシアターの6人』です
(暑い夏も終わったのでまた張り切ってダジャレっていこうと思ったりしてます。てか何?ダジャレっていくって?)
始まりはかなり退屈でした
うーんこれもしかして最後まで読みきれないかもしれないって思うほど
でもいつの間にかそこにいるような気になってるんだよね、不思議
一つの映画で繋がる6人いや7人の物語
作中に登場する映画『夜、街の隙間』にかな〜り小野寺史宜さんの想いが込められてるような気がしました
小野寺さんがいつも小説に込めてる想いを作中の映画を登場人物たちがどう感じるかで、自ら解説してる
そんな風に感じました詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
亡くなった監督の映画「夜、街の隙間」が、銀座のミニシアターで1週間の限定上映される。
1995年放映だった映画。
平日の夕方で雨、だからか観客席は年齢も性別も違う六人のみ。
そこから話しは始まるのだが、映画の俳優たちのセリフと見ている人の今の気持ち、過去の出来事が交互に織り混ざっている。
スクリーンでは、夜の銀座、静かなのに強烈。
闇に包まれることで生まれる安心感。
夜と街とジャズを解け合わせて、さびしくもあり、愛しさもあり、などが映し出されている。
そして映画を観終わったあと
誰かを愛したくなる映画だと…。
これまでで一番だと…。
観に来て良かったと…。
六人みんながそう思うのだ。
しばらく映画は観ていない。
コロナ禍になってからは、2回だけ。
以前は、週一で観に行っていたが…。
また、映画を観たくなった。
そう、スクリーンで観たいのだ。 -
正直な感想として、難しい話でした。しかし、そんな中にも小野寺氏らしく、しんみりと泣かせる部分も。
年を重ねるにつれ、人に興味がなくなっていく自分がいます。それはそれでとても楽です。けれど、あの人は今は何をしてるのだろうか、と過去を思い出すことは多くなりました。時が経っても、自分と同じように相手にもそういう瞬間があるのだろうかと思いを馳せます。
2021,12/13-18 -
<贔>
なんだかちょっと不思議な感じの物語。でも小野寺の作品らしくすぐにお酒の場面が出て来る。映画館の話なのに随所にお酒が出て来る。別に映画館の座席でお酒を飲むわけではないが。色んな場面で主に男女二人が「飲みに行こう」となるわけだ。小野寺君はお酒がかなり好きだと思う。そして僕も負けずにとても好きだ!
一旦読み終えてすぐにもう一度最初から読もうと思った小説はこれが初めて。そのくらいに僕のココロに響いた作品だった。小野寺史宣はもうすっかり僕の贔屓の作家の仲間入りを果たした。書いてくれてありがとう。
(巻末のプロフによると彼は僕より9歳若いみたい。もし機会が有ったらいっしょに飲みに行きたいものだなぁ。まあまずないか。笑う。)
ところでこの映画は本物=本当にあるのではないのか。もし本当にあるのなら何が何でも僕は観たい。誰か教えてくれぇ~! コロナバイラス禍津が落ち着いたままなら”シネスイッチ銀座”へ行ってみよう。僕は愛知県在住だからまあそんなに簡単には行けないのだけど。あ,すまぬ。 -
登場人物たちが交差するストーリーの映画と、さらにそれをミニシアターで観ている観客たちも交差する。
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【収録作品】記念 三輪善乃(ヨシノ) 六十歳/思念 山下春子 四十歳/断章 丸の内/断念 安尾昇治 七十歳/無念 沢田英和 五十歳/断章 丸の内/雑念 川越小夏 二十歳/一念 本木洋央 三十歳/断章 銀座/再び記念 三輪善乃/午後七時の回
一篇の映画が観客にもたらす何か。受け取り方はひとさまざまだからこそ、面白い。この映画を見てみたくなった。 -
「夜、街の隙間」という映画、見てみたい。
小野寺さんのミニシアター愛が滲み出ていた。
小野寺さんは、人と人を繋げるのがとても上手いと思う。
そこでそう繋がるのね!っていうのがワクワクする。
寂しい映画館なのに、裏の話を知ると温かみを感じる。
2年くらい映画を映画館で見ていないので、映画館に行きたくなった。
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前作あたりから作風がかわってきたなとかんじましたが、今作はさらに奥深く変化を遂げてて困惑してます。