- Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093866996
作品紹介・あらすじ
圧倒的な「いま」を描く、著者史上最大巨編 千葉県富津市の清掃会社に勤める町谷亜八(ハチ)は、過去に傷害事件を起こし執行猶予中の身だ。ようやく手に入れた「まっとうな暮らし」からはみ出さぬよう生きている。唯一の愉しみは、祖父の遺したアウディでアクアラインを走ることだった。ある日、血の繋がらない姉・ロクから数年ぶりに連絡が入る。二人の弟、キュウを脅す人物が現れたというのだ。 キュウにはダンスの天賦の才があった。彼の未来を守るため、ハチとロクは、かつて、二人の人物を殺害していた。折しも、華々しいデビューを飾り、キュウは一気に注目を集め始めたところである。事件が明るみに出ればスキャンダルは避けられない。弟のため、ハチは平穏な日々から一歩を踏み出す。 一方、キュウをプロデュースする百瀬は、その才能に惚れ込み、コロナ禍に閉塞する人々を変えるカリスマとして彼を売り出しはじめた。<Q>と名付けられたキュウは、SNSを通じ世界中で拡散され続ける。かつてない大規模ゲリラライブの準備が進む中、<Q>への殺害予告が届く――。 抗いようのない現実と、圧倒的な「いま」を描く。世界をアップロードさせる著者渾身の一作。 【編集担当からのおすすめ情報】 直近の三作品が直木賞にすべてノミネート、2022年発売された『爆弾』でミステリランキングを席巻。著者の最新作は、圧倒的なスケールとスピードをはらんだ傑作となりました。発売前から書店員さんのあいだで話題沸騰。2023年、最大の注目作です。
感想・レビュー・書評
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鬼★5 不条理な世の中に抑圧された若者の咆哮と乱舞、ダーク&セクシーさに酔える傑作 #Q #呉勝浩
■きっと読みたくなるレビュー
これ文学賞とらないとウソだと思うわ。
人がめっちゃ書けてて、スケールがおっきく迫力満点、最後にはじんわりと胸を突く。作品全体からダークな雰囲気が漂ってきて、吐き出される台詞はクールでセクシー。不条理な世の中に抑圧された若者たちの咆哮と乱舞が力強く、もう完全体。痺れっぱなしです。
映像化されたら、それはもう美しくインパクトのある内容になるでしょう。でも原作の文字だけで十分じゃない?そして原作レベルの表現は無理じゃない?というほど、圧倒的に「強い小説」だと思いました。
〇キャラクター
睦深、亜八、侑九、健幹、他にもたくさんの登場人物がいますが、全員がカッコイイ! ひとりひとりが全く違う魅力を持っていて、こんな風に生きられたらな~と憧れてしまう。
メインの三姉弟がイケてるのは分かるんですが、一見普通のキャラたちも素晴らしいんです。チョイ役のような存在や、むしろ嫌な奴ですら、惹きつけられてしまいました。
特に推したいのは健幹。Qに関わったことで、どれだけ人間としてランクアップできたか。ひょっとすると彼の成長が本作一番の読みどころかもしれません。そのくらいイイ。
三姉弟については、あまりに良すぎてもう語れない。心情描写が深い深い、底なしに深い。心に染みるレベルがエグすぎんのよ。どんなにキツイ障害があっても立ち向かっていく様子にもうマジ泣ける。読者としてはただ読み進めることしかできなくなっちゃう。Qのダンスを見たときのように、完全に行動が奪われてしまいました。
〇ダンス&アクションシーン
文章からグルーヴが伝わってくる、まるでその会場にいてダンサーを見ているかのようなんです。軽快なリズムで織りなす文字列に酔っちゃう、この筆致はすげぇ!ドキドキ感がハンパないです。もちろん私は全く踊れませんが、もし若かったら挑戦したくなったかしら…と、安易に思ってしまうほどカッコ良かった…
〇日本の病気
2020年に蔓延したコロナ、世の中で発生した様々な影響。本作ではこの時代を舞台に進行していく。しかしこの病原体だけでなく、日本経済や格差社会、貧富の差が強烈に描かれているんです。良いところもいっぱいある日本ですが、醜く汚く、隠れた癌も存在する。子どもや若い世代のためになる社会づくりを願わずにはいられません。
〇物語の終盤が鬼エグ
壮大なスケール、パワフルかつ緻密、グルーヴ感満載で超高速スピーディ。ひっ迫した場面展開とキャラクター交錯が激しく、これはどうなってしまうんだ?!と心が乱される。こんなにも大迫力の文章かける作家先生は少ないと思います。このシーンは控え目にいって必読ですよ。
はー、すごい作品だった。もう年末も近いですが、今年のトップレベルですね。ちなみに初版限定のスピンオフ掌編も、色んな意味で気が効いた作品です。本編を読了してから読みましょうね。
■ぜっさん推しポイント
睦深と亜八、タイプはまるで違うけど、侑九を想う気持ちがどっちも本気すぎるのよ。こんなにも総毛が立つ純愛は久しぶりに見ました。東野圭吾先生の『白夜行』以来かもしれない。
私は誰が何と言おうが睦深を推したい。行動だけみると狡猾でしたたかな女性にも見えますが、自らのすべてを犠牲にする覚悟を胸に秘め、ただ前に進んでいくんです。この魂をかけた真面目さと、人生を懸けた勇気のある判断に、すっかり虜になってしまいました。
薄暗い世の中であっても、若い世代みんなが輝きを放ってる、味わいが深い素敵な作品でした。 -
これは駄目だ…私の乏しい表現力ではこの作品の素晴らしさを1mmも伝える事は出来ない。
読み終えて早々に諦めましたが、星で言うと10をぶち抜いています。
しかし自称呉さん布教委員会の私『Q』で言う所の彼を信望する『アンサーズ』の一員としては少しでもこの作品の魅力をお伝えしたいので尽力してみようと思います。
当初は恋愛物語にする予定だったらしい本作。ご自身も「あれ、これは恋愛物語にならないな」と思われたそうですが結果的にジャンルを超越した文学作品に変貌を遂げています。
ですが根底にはずっと愛の物語があると感じました。
663ページもの大作なので流石に今回はプロットを作ってらっしゃるだろうと調べた所、やはり作っていらっしゃらなかった!!嘘だろ…。
ダンスの才能と恐ろしい程の美貌を兼ね備えたQこと侑久を中心に、異様な情熱に浮かされた人々が神を崇めるように己の答えを彼に求めて集い始めます。
そしてそれはQと共に複雑な青春時代を過ごした腹違いの兄妹、睦深と亜八も同様です。
Qの為に人生を捧げても良いと確固たる信念の元に生きている睦深と、ただ日常を守りたいジェンダーの亜八。それぞれが違った形でQという甘い毒に侵されています。
そして本作1番のキーパーソンと言っても過言では無い本庄健幹。睦深と同棲しているサラリーマンなのですが、Qと出会ってからの思考と行動がナチュラルに読者をもQの信者へと変えてしまいます。
気付けば私もQのダンスに魅入られ、彼を神へと昇華させようとするスタッフ達の作り上げる唯一無二の世界観に魂をごっそり持って行かれそうになり、やらなければならない勉強をすっかり忘れていました。(夢から醒めた今、冷や汗をかいていますが一先ずご飯を食べる事にしました)
とにかく麻薬のような作品です。クールでパンク、セクシーな呉さんの圧倒的な筆力に最初から終わりまでずっと酔わせて頂きました。
特にBTSのダンスを参考にしたというQのダンスシーンは圧巻で中毒性が高く、それだけずっと読んでいても良いと思った程。
毎回言ってますが今回も言わずにはいられない…。呉さん、どこまで進化すれば気が済むんですか?!
池井戸さんにボコボコにされた人とは到底思えません!(面白すぎてずっと擦ってしまいます)
『爆弾』をたまたま手に取って呉さんに出会えて本当に良かったです。
またもや呉さんへの愛をブクログの片隅で叫ぶだけの感想になってしまいましたが、やはりどう足掻いてもこの作品の凄さが表現出来そうにないので、本作を最も表していると個人的に思った一文を置いて終わりにしたいと思います。
「ほんとうの夢を見たいなら、惜しみなく現実を捧げなくちゃ駄目なんです。」
そう、夢を見たいなら、勉強を捨てなくちゃ駄目なんです(どうしよう)-
2023/12/05
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国宝級の変態でドMのユッキーさん、お疲れ様です!w
暖まったら外に放おり出してやるー!
(ノ`Д´)ノ彡┻━┻
もちろん全裸で!
ドMだから...国宝級の変態でドMのユッキーさん、お疲れ様です!w
暖まったら外に放おり出してやるー!
(ノ`Д´)ノ彡┻━┻
もちろん全裸で!
ドMだから大丈夫ですよね〜w2023/12/05 -
お疲れ様です、そして気持ち良いー!!笑。温もりから凍えるような急転直下きもちいー!!笑笑
って、流石のドMも変温動物並に死にます!やめてぇ...お疲れ様です、そして気持ち良いー!!笑。温もりから凍えるような急転直下きもちいー!!笑笑
って、流石のドMも変温動物並に死にます!やめてぇー!!笑笑2023/12/05
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読んでいる間ずっとドキドキしていた。暴力と犯罪にドキドキ、一触即発の言葉のやり取りにドキドキ、Qに魅了されてドキドキ、常識を軽く超える仕掛けと真実にドキドキ。危険なものに魅力されて取り込まれ、どうにも未だ物語の中から抜け出せずにいるかのようだ。結局、読み終えてもドキドキしている。コロナ禍が猛威を奮っていた頃の物語でもあるため、この2~3年の現実と重なる。抑圧されてきた現実があるからこそ、ドキドキも強いのかもしれない。
「美が極まった瞬間、言葉は退場を余儀なくされる。映画でも芝居でも、小説や詩でさえも、感動の萌芽と同時にそれは起こる。言葉に出番が残された感動などまやかしということだ。」
文中にこんな言葉が出てくる。この物語についても語る言葉に出番が残されていないけれど、静かに熱狂させられる。過去の罪や現在の社会の描写はどこか薄ら寒く冷たいのだが、Qのダンスや仕草の描写とそこに巻き込まれていく人々の描写は激情的に焚き付けられて熱い。ぬるい温度がまるでなく、ヒリつく感じに翻弄される。 -
無二のスター・Qが躍動するステージを、最前列で見届けているような臨場感。彼を取り巻く強烈な光と音が脳内に立ち昇ってくる。
といってもスター誕生のキラキラした小説というのとも違って、特に前半は、Qのまわりの、裏社会につながってそうなヤバい奴らのヤバいストーリーが展開していき震え上がる。
そしてそんな奴らを良くも悪くも引きつけて君臨するQの求心力…!
約670ページの大作だけど、一歩踏み外せば即破滅を迎えそうなスリル感に一気読み!
本を読んでてこんなに心拍数が上がったのは初めてかもしれない…。
追記:呉勝浩さんとお話しする機会を頂いたので、プロットなしでこの作品を書かれたとあったけどいったいどういうことなのか聞いてみた。
本当に何も決めず、恋愛小説を書こうとだけ思って書き始めたら、いきなり一行目に「どす黒い」がきて、書いても書いても全然恋愛小説にならなかったらしい。
そんなことってある…????
ハチ、ロク、キュウの3人の存在だけが決まってたのかお聞きしても、それもなかったらしく、冒頭のハチのシーンは男のつもりで書き始めたらしい。
信じがたいけど、とにかく全部書きながら出てきたみたいで、そういう書き方なので執筆中ものすごくしんどく終わりも見えなかったと仰っていた。
それでこんなにおもしろい小説ができあがるんだから、本当にすごい。
紀伊國屋書店チャンネルで、仲良しらしい小川哲さんと呉勝浩さんがそれぞれの新刊『君が手にするはずだった黄金について』と『Q』について話してておもしろかった!
https://m.youtube.com/watch?v=IHH3HcNM_IE -
なんと600ページを越える読み応え十分な最新長編。そして「Q」の深い意味を読んで堪能して下さい。すごく印象に残った一文で「わたしが身につけているぜんぶを足してもその指のマニキュアのひと塗りにだって負けそうだった。」ぜひあなたも壮大な物語を堪能して下さい。
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Qは天才だ。
彼のダンスは、彼のダンスを見たもの全てを魅了する、まさしく神として崇めるほどの存在。
本作品はそんなQのために活動し、Qに翻弄される人々を描いたミステリー作品、だと思います。
この作品を紹介するのは正直かなり難しいなぁと思うのと、感想書くのも難しいなと感じている作品。
まず、ヒロイン(というと怒られるかもしれませんが、性別上)、町谷亜八がトランスジェンダー?と思わせる登場人物で、生まれ、育ち、境遇などなかなかアウトローな世界を見せつけてきます。こちらはQの義姉でQに1番近い存在でもあるのにQから徐々に離れていく側。
そして、男性一人称で語られる本庄健幹はパートナーがヒロイン亜八とQの義理の姉である睦深であり、はじめはQ自体とも関わりすらない人物ですが、ある意味、Qの1番近しい人物になる、まさに外から内に近づいていくという側となります。
その、Qを離れて見守っていく側、Qに近づいて見守る側が交錯していくQプロジェクト、これが本作品で描かれているものなんじゃないかと思っています。
本作品の時期はコロナ直前から直後(2021年オリンピック前まで)で、作家先生達、コロナの時期を舞台にした作品、今のうちに書いて残しておきたいのかなと思うほどには、本作もその頃の時期に起こったこともしっかりと書かれています。
そんなコロナ禍で行われるQプロジェクトによるゲリラライブ。果たしてQは神となることができるのか?
たくさんの思惑を背負ってQは踊ります。
そんな本作品でまず思ったのは、コロナ初期って本当に異常だったなと思います。
当時の感覚は、コロナという謎の感染症があり、死者まで出るという状況で、コロナにかかると感染した人が所属している会社は取引がなくなったり、感染した人の家の周りは慌てふためき、田舎で初めて感染者を出した家は村八分状態、マスクは品切れ、1世帯に2つのマスクは配られ、移動制限のせいでインバウンドが崩壊し多くの失業者、休業者を出したなど、まさに世界は変わりました。
しかし、あれから3年経過した今、そういう状況を読んでみると、異常としか思えないなと思える状態だったなと思います。
でも、私達は、当時はそれが普通だと思っていたし、マスクを求めて朝から入荷されるかどうかわからないドラッグストアに長蛇の列を常識のために並びました。
そういうことがたった3年前のことなのに、それを異常な世界だと思う私がいる。
そして、そういう異常だと思う感覚は実はあとから安全な状況になったらついてくるもので、実は問題に直面している時はそんなことは微塵も思わない、むしろ普通でマトモなことをやっているんだという感覚なんだということを登場人物達を通じて感じました。
そう、実は物凄くアウトローで自分の中で普通じゃない世界が本作品で描かれているように思うのですが、実は当事者たちにとってはその時その時は普通のことをやっている、これが、本作を読む時のキーワードなんだろうなと思いました。
こういうことを感じる作品、今年はよく読むなぁと思いながら。
そして、その異様な状況や不安の中でこそ生まれるバイブルや信仰の対象になるもの。当時はそういう希望になるものを探していたのかもしれないなと思いました。
そんないろいろなものを背負っていたかもしれないQプロジェクト。本作品の残り100ページは圧倒され、私の頭の中にもQが見えました。
頭の中に描くQこそ、実はあなたのアンサーなのかもしれない。 -
最初の20頁くらいで
アラヤダ、これつまんないわ
って憂鬱な気持ちになり
しばらく放置してたのに
突然やる気が湧いたついでにまた読み始めたら
アラヤダ、おもしろいじゃない
ってびっくりした
こんなに偶像にのめりこんだことないので
全員コワイ…って震える
とりわけキュウがコワカッタ
ただただ暴力的な人もコワイんだけど
何考えてるかわからん人も怖い
自分とは無関係のとこにいてほしいと思っちゃう
誰もが目を奪われてる
君は完璧でキュウ極なのかもしれないが
どこかマンガちっくだなぁと感じる
現実でそういう人に出会ったことないんだもん
マンガっぽいけどヤバい人ばっかりで
で、結局誰の手のひらの上なん?
って話だよ、おもしろいよ
家族にそうオススメしたのを
忘れないように書いておく
家族にオススメしたくらいだから
なかなか高評価
星は4つ
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今度のターゲットはエンタメ業界。そこにどうやって、ミステリやらアクションやらの要素が持ち込まれるか、ってのが見どころだけど、さすがお見事。”推しの子”みたく、裏で蠢く黒い影って物語を想像していると、全く違うアプローチでたまげる。特にクライマックス。ど派手な演出効果に、息もつかせぬアクションシーンの連続を絡ませて、頁を繰る手が止まらなくなっちゃう。いやいや、やっぱ凄いな。
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『爆弾』よりもずっと重くてどきどきしながら読んだ。キュウに魅せられた人々が集まって行く様はまるで宗教。世界情勢やコロナなど社会問題も散りばめられていて忘れるなと言われているよう。
ダンスのシーンとか映像でみてみたい気もするけど頭のなかだから良いんだろうなー
ハチとキュウはどうなんるんだーあの関係性好きなんだけどなー
著者プロフィール
呉勝浩の作品






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本当にありがとうございます!
今は音楽を楽しみながら、お大事にしてください^^
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