トヨトミの世襲 小説・巨大自動車企業

  • 小学館 (2023年11月30日発売)
3.79
  • (38)
  • (79)
  • (55)
  • (9)
  • (1)
本棚登録 : 660
感想 : 59
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • 本 ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093867009

作品紹介・あらすじ

衝撃の巨大自動車企業小説、ついに完結!

「99%が真実」という噂で書店から本が消えた!?

気鋭の経済記者が「覆面作家」となって、初めて書くことができた「世界一の自動車メーカー」禁断の真実。あまりに詳しすぎる内部情報や関係者しか知らない極秘ネタを小説に偽装したノンフィクションではないか……そう噂され、発売と同時にベストセラーとなった超問題作『トヨトミの野望』と続編『トヨトミの逆襲』。その「完結作」がついに発売!

世界中を襲った未曾有のパンデミックのなか、巨大自動車会社トヨトミも待ったなしのEV(電気自動車)シフト転換を迫られていた。しかし、販売ディーラーの相次ぐ「不正事件」や持ち株比率たった2%の創業家の「世襲問題」など暗雲が垂れ込める。カギを握るのは“トヨトミの母”と呼ばれる元女優の謎の老女。彼女がひた隠す「豊臣家の秘密」とは──。

「本書の内容のどこまでが事実でどこまでがフィクションなのか。これについて、巨大自動車企業に極めて近い経営者は99%が事実と私に言い切った」(夏野剛氏、『トヨトミの野望』文庫版解説より)綿密な取材をもとに描き、経済界を震撼させてきたトヨトミシリーズ。

その“衝撃のラスト”を見逃すな!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • トヨタ自動車の内部を暴くトヨトミシリーズの第3弾。
    「野望」、「逆襲」に続き、今回は「世襲」。
    その言葉通り、本作のメインは、トヨタ自動車(トヨトミ)における豊田章男(統一)から息子の大輔(翔太)への世襲、そして、モデルが定かではないが、自動車モーターの製造メーカーである織田電子における創業者の織田善吉から息子の歳三への世襲という2つの世襲が軸となる。
    この二軸を元に、2020年夏のコロナ禍から2023年春の会長逝去、社長交代までの期間、トヨタ内外で実際に起きた出来事が、生々しく描かれる。

    私はトヨタ関係の会社に勤めているが、全チャネル併売、クレド、不正車検に関してのことは全て自分が知っていることと矛盾しておらず、ほぼ事実と言って間違えないと思う。
    上記3つは自業務に密接に関わっていた事案で、会社内にいると自然に受け入れてしまえていたが、改めて小説として俯瞰で見ると、かなり酷いことをしている会社だなと思わずにはいられない。殿様商売にもほどがある。
    加えて章男の女性関係のだらしなさ…。こうした部分は普段働いていても見えてこない部分であり、自分の目で見て確かめたわけではないので真偽の程は定かではないが、他の信憑性が高いから信じてしまいそうになる。
    そして、衝撃的だったのは新太郎(亡くなった豊田章一郎会長)と佳代の愛人関係、佳代と清美(章男の妻で豊田裕子)の母娘関係。章男からしたら、自分の父との愛人関係にあった人の娘が自分の嫁ということになる。歌舞伎の世界レベルで複雑。世襲って改めて怖い。(事実かはわからないけれど)

    内部の人しか知らないことも含まれているので、改めて覆面作家の正体が気になるところ…。
    次回作が待ち遠しい。

  • 巨大自動車企業、トヨ・・・トミ、という架空の会社を舞台にした、「小説を偽装したノンフィクションではないかと噂された」という「トヨトミ」シリーズの完結編。会社の本好きの先輩からお借りして読了。
    このシリーズ3作品目では、ニデック(本著内では織田電子)まで巻き込んで謎のリアリティある展開を読ませてくれます。永守さん行きつけの神社は九頭竜大社ですが、本著では「九十九龍大社」と。宮司さんが永守さん(本著内では織田さん)を軽くウザがっているかのような描写をしているように読めましたが、現実の宮司さん的には良い迷惑でしょうね(笑

    しかし本著、読んでいてここまで酷いニュースあったっけ…とネットで検索すると確かに史実として実在する模様。まぁ多少の脚色はされてるようでしたが。。
    本著の最後に明かされる出生の謎は、そこまであり得るのかしら…という突拍子もないモノですが、これだけ史実に基づく話を展開してきて、最後のヤツだけフィクションでした、というのはどうにも考えにくいなぁ。

    さて、3巻目である本著のテーマはもちろん「世襲」で、後継者問題で揉めている織田電子が出てきたのはそのせいかと。
    本著内では、トヨトミも織田電子も後継者問題は片がついたのですが、現実の方はむしろニデックの方がまだ微妙な感じで、日産から招聘されたCEOはとっくにおらず、ソニー出身のCEOが就任する人事を発表したところ。株価もその間に下がってしまい、さてどうなることか。
    トヨタの方は株価も美しい右肩上がり。中期的な電動化の流れの中でどうなるかはまだ見えてませんが、ウーブンシティも今年オープンなんですかね。モビリティ企業への変革を見守っていきたいところです。

  • 3部作目。
    トヨタと日本電産を軸に展開。
    前半は実際の出来事を含めて読み応えありだが、
    後半は少し飛躍したためあまり内容が入ってこず。
    一旦終了かと思うので
    違う企業でも見てみたい。

  • どこまでが現実でどこまでが虚構なのか読んでいたら分からなくなってきた。
    シリーズ3作目で小説らしくなったけど逆に個性が無くなったように自分は思える。
    次はあるのかな。

  • <問>
    一体この小説は何がこうも面白いのだろう。中身は世の中で既に起きたことを企業や人の名前を少し変えて只面白おかしく書いているだけなのだが。似非筆者が可笑しみのある文書力を持っているのだろうか。それとも読者の思いとして 大半はある程度知っている事実ばかりなのだがそれに加えて時々 ああ そうかそういう事もあったのか,と未知の事柄も書かれているのに惹かれたりするのだろうか。うーん 図らずもシリーズ全作読んでる僕はどうなのだろうなぁ。自分でも分からないのだ。

    僕らの世代は若い頃(1970-80年代)自動車に夢中になってカッコイイ車に乗っている事が一種のステータスであって女の子にもてる必須項目でもあった。(まあ 必須項目なのであって 十分条件ではなかったのだがw) なので割と車の事は知っている。メカニズムとか性能とかその車にまつわるエピソードとかを少しは知っているのだ。この本を読んでいるとそういう自分が持っている知識と比べて時々おや?と思う事も書かれている。まあ所詮似非筆者作品だからどうでもいいが。

    志があって文筆業をやっている作家達は,例えば「後世に残る作品を書きたい」とか思っているのだろうが,本作似非作者GW(ゴーストライター)梶山にはそんな思いは微塵もないのだろう。いわば日銭稼ぎの日雇労働者ってところか。いやけなしていない褒めている。素晴らしい才能だと。後世に残ったところでその時は鬼籍に入っている本人には所詮分からぬ事なのだから。それより今 面白おかしく人生を生きる方が良いに決まっているではないか!GW梶山あっぱれ!

    でも似非筆者の金儲けの為だけに 有る事無い事色々書き散らかされている企業やそのトップにとっては これ程侮辱的な本も無いのだろう。いやはや表現の自由とは恐ろしいものである。 ところで本書の奥付には実は梶山は 覆面作家 と書いてあって,GWとは僕が勝手にそっちの方がしっくりくるだろうと思ってここに書いているだけなので念のため。(そういえば梶山ってのは現役 経済記者だ って前巻には書いてあったか。でも 経済記者 などという職業は多分無くてGWとしか僕には思えない(笑))

    246ページに至って 突如難しい漢字や熟語が多く登場している。「圭角」「女丈夫」「蝟集」等。先に書いた様に本書は決して文芸書では無いので なるべく簡単な言葉だけを使って読者が苦労せずに楽しく読める事を第一の目的にしていて,事実そのページまでは難しい言葉はほとんど使われていなかった。それが突然どうしたのであろう。結論:GWといえども少しは語彙のストックがあるのだぞと云う事を見せておきたかった。あっれーいとおかしw。

    ところで本書,最初は講談社から単行本が発行されているのに 本書を含むその後の二冊は小学館からの発行に変わっている。調べると最初本の文庫化を小学館が担当した後の二冊目単行本が小学館から発行されたらしい。すわっ講談社は Tヨタに何か弱みを握られているのだろうか,などという事を考えてしまう。ま,だからどうだって事は僕には何も無いが 結構売れたらしい本の発行出版社が変わる しかも大手から大手へ というのは珍しいのではなかろうか。僕は他には知らない。

    このGW(ゴールデンイウイークではないよw)梶山 なぜか 旧帝大 という言い方を好んで使う。今時そんな言い方をするのもめずらしい。旧帝大になにか恨みつらみか弱みがあるのかw。普通に 一流国立大学 とでも書けばいいじゃないか,と思ったが,例えば「京都の国立大学である洛北大学の工学部」とかの記述もあり,どうやらGW梶山には現存の国立大学の名前をちゃんと書けない理由があるのではなかろうか。全くおかしなGWだよな。お願いだからもう 次作品の発表は無し にして欲しい(笑)

  • いい意味で 裏切ら
    想像を超えた内容だった

    マクドナルドで読んでいたが
    危なく 泣きそうになった

  • どこまでが実際のニュースに基づいてて、どこからがフィクションなのか、その境目があいまいなのもこのシリーズの面白さだと思います

    今回はトヨタだけじゃなく、日本電産っぽい企業も出てきて、「こんなことあったんだ」ってあとからニュースを調べるのも楽しかったです

    連載が2021年だったこともあって、企業間の争いが国内で完結しているのが印象的でした

    中国メーカーはBYDっぽい企業しか出てこなくて、今の勢いと比べると数年でここまで変わったことに驚かされます

    本書のテーマになってる「世襲」が今後もできるほど、日本メーカーに余力が残るのか、これからの動きが気になります

  • 帯の表現が正しいなら、全体を通しての暴露本。
    子供が通った小学校は、半分は私立受験するので、公立中学に進学するのは、乱暴に言うと、相対的に勉強のできない子供たちになる。だから、経済的に余裕がある家庭は、こぞって受験させていた。
    いまの日本は、上位1%の人間は海外を目指すが、この円安で上位5%が海外を目指すようになっているかもしれない。あの小学校と同じことが、日本という国で起こらなければと願いたい。

  •  『トヨトミの野望』『トヨトミの逆襲』に続く、トヨトミ・シリーズの完結編。『トヨトミの野望』は既に読三田にも紹介されていますが、知人からも「これ、すごいですよ」と紹介されたものです。今回も「いやぁ~、面白かった」ですが、誰が読んでも「トヨトミ=トヨタ」とわかります。帯には「99%実話の噂」とありますが、恐らくは実話。企業名・人物名は、容易に「ああ、あれね」とわかるよう面白いヒネリが入れてあります。

     『トヨトミの野望』はトヨトミ家の御曹司として将来の社長候補である豊臣統一が美人局にあい、それを柔道でならした当時の社長・武田鋼平(奥田碩?)が救い出すという話から始まります。その後のシリーズで、豊臣統一社長の米国公聴会やEV対応の遅れ、ワンマン経営、車検不正事件、豊臣統一から次の社長への交代劇など、これまでのトヨトミに関する裏話(ほぼ事実?)が満載です。現在、トヨトミ・グループで小型車を生産している会社で不正検査が話題になっていますが、なぜこうした事態が起こったのか、この本を読むと容易に理解できます。

     豊臣統一は米国で働いていた際に、メディアの重要性に気づき、多額の広告費をメディアに投入。一方で、自社に都合の悪い記事を書くメディア・記者を「出禁」にして広告費も投入しないなどメディアを統制。メディア側も頼みの資金源が削減されると困るので、トヨトミに好意的な記事ばかりを書き、世間はトヨトミを礼讃。しかし、これを読むとトヨトミも普通の会社、というかトヨトミ家の完全独裁企業です。

     著者は覆面作家で身元不詳。恐らく、日商新聞(日経新聞?)の記者で、記事にできずに溜まった情報を一気に吐き出したという印象です。ただ、週刊誌的な話題かというとそうでもなく、車検制度やEVの現状、メディアの内情やなぜ中国からEV発となったのかなど、いまの社会動向を理解するのに最適な本とも言えます。自動車関係者ではなくとも、一読を薦めたい一冊です。

  • 昨今の自動車業界がよくわかる一冊。登場人物も肉付けがしっかりされていて、でも良い人にももちろん悪い面もあり... まぁ、豊臣統一さんは徹底的にダメ人間に描かれていますが。世襲がどうなるかと思ったけれど、希望の持てる終わり方でよかった。でもトヨタには頑張って日本経済を牽引してもらいたいなぁ。

全59件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

経済記者、覆面作家

「2016年 『トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業』 で使われていた紹介文から引用しています。」

梶山三郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×