- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093867016
感想・レビュー・書評
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ダムに沈んでしまった瑞ノ瀬村。そこで生きた祖母、母、娘の三世代の物語。
物語は現代の娘の話からスタートして、章ごとに遡っていくスタイル。
それぞれの生きる時代背景や性格がわかりやすく、入っていきやすかった。
全体を通して「ままならなさ」が感じられると同時に、家族愛だったり郷土愛が溢れていて、なんとも切ない気持ちになる。
メインで描かれていているのは女性三人だけど、それぞれのパートナーがバラバラのタイプでありながら、すごくいい味わいを出している。こっそりそこもポイントが高かった。
それにしても、最後のお祖母ちゃんは悲しい…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ダム建設反対運動に命をかける母と、子育てを蔑ろにされた娘…どちらの気持ちも分からなくはない。親子の絆をも引き裂く「ふるさと」って一体何だろう、と考えさせられる物語。枕草子の一節からとったタイトルが郷愁を誘う。
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心の奥の柔らかい部分に触れてくる素晴らしい話でした。
私の家族にダム建設の地質調査をしている者がいます。
ダムを作る側から言わせれば、それが正当なことかもしれないけれど、そこにはかつて自然があって村があって生活していた人がいるという事実を忘れがちです。
佳代と孝光が、描いていた未来が戻ることなく、悲しい結末を迎えてしまったこと、残念で悔しくてなりません。
『瑞ノ瀬の人間は、故郷を愛していた。先祖を敬い、大地に感謝し、山に与えてもらった恩を返そうとする心を忘れなかった。
俺たちは皆、その小さな幸せを分かち合い、融通しあい、ささやかながらに誇りを持って暮らしてきました。』
あの世で佳代と孝光が再会して幸せでありますように。
著者プロフィール
辻堂ゆめの作品






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