本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
本 ・本 (290ページ) / ISBN・EAN: 9784093867337
作品紹介・あらすじ
孤独死って、案外、幸せなんじゃない?
逗子の実家に独りで暮らす駒田世津子は小説家。20年前、自身の作品『ウバステ』がTVドラマ化された縁で、元TV局プロデューサーの小野坂哲子、シナリオライターの舘川信代、女優の千田友枝、監督の妻だった谷崎寿々の5人で食事会を続けている。世津子の還暦パーティから三年たった冬、寿々が千駄木のアパートで孤独死したという知らせが入った。謎多き死に一同は憶測をめぐらす。年が明けると、寿々の元夫である梶谷も不審死を遂げた。食事会のメンバーにはそれぞれ、2人から遺書めいた年賀状が届いていた。
2人の死に疑問を覚えた世津子は、ほかの仲間に引きずられるように、寿々のアパートに向かう。そこは、世津子が若かりしころ付き合っていた梶谷が住んでいた部屋だった。過去の記憶がフラッシュバックする。そのときから世津子の体調は異変を示し始めた。やがて真相に迫るうち、『ウバステ』のモデルとなった高級老人ホーム「ユートピア逗子」と、世津子自身の出生の秘密に触れることに……。
“イヤミスの女王”が新たに描くミステリーの裏テーマは「老いと死」。昭和歌謡をBGMに「おひとり様の老後」「幸せな最期の迎え方」を描き出す、著者の新境地。
【編集担当からのおすすめ情報】
自分の死を、どのように迎えたいか。一度は考えたことのある問いではないでしょうか。本書に登場する女性たちは、それぞれの人生にもがきながら、意見を戦わせます。彼女たちがどのような決意を胸ににするか、読者であるあなたはどの選択をするのか。ミステリとしての楽しみはもちろん、自らの生き方に目を向けさせてくれます。真梨流「終活ノート」の付録つき。幸せな最期を迎えたい方、ぜひご活用ください。
感想・レビュー・書評
-
小説家・駒田世津子の家の固定電話に丑三つ時に鳴る音…気になるが睡眠導入剤を飲んで効き始めたところで動けない、動きたくも無い…。
ラストでこの場面が、プレイバックする。
これは怖い。
63歳の世津子は「おひとり様」で『ウバステ』の小説を書き、それがドラマになったのが縁で年齢の近い女たち5人が集まる。
そのうちの1人が不審死を遂げ、その謎を探るうちに自分の出生の秘密に触れる。
それと並行して病気や加齢、老いていくことの不安や死についても否が応でも直面していくことになる。
思い出とともに昭和の名曲が流れる。
・木綿のハンカチーフ
・22才の別れ
・ガンダーラ
・夢一夜
・まちぶせ
どれも懐かしく、詩が哀しくて切なくて…。
夢一夜の中では、さだまさしの『防人の詩』の「おしえてください、この世に生きとし生けるものの、すべてのいのちに限りがあるのならばー」は、孤独と死を感じてしまう。
避けられない、迫り来る「老い」や「死」をストレートに描いていて、いろいろと考えさせられた。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
仕事仲間の不審死、家族との確執や健康問題などについてテンポ良く話が進む。だが、終盤に「ウバステ」と呼ばれる老人ホームを舞台に、一気に不穏な雰囲気に。。終活ノート、まだまだ先と思いたいが、今のうちから整理しておけば、後が楽かも。
-
タイトルだけを見ると、よくある、おひとり様の
老後のあるある話だと思っていた。
女同士の毒のある会話から始まり、実の弟との相続の壮絶バトルやら、人がどんどんイヤな亡くなり方をするやらで、話についていくのが精一杯。
後半はこれまた、怒涛の展開となる。
主人公は、自分が脳梗塞で倒れ、意識朦朧としているうちに、弟に、有料老人ホーム「ユートピア逗子」の別館(別名ウバステ)の劣悪な環境の場所に入れられていたことを、成年後見人制度を契約する際にお世話になった弁護士の先生から知る。結果、
主人公は、遺言書のおかげでいろいろと助かる事になり、巻末にある「おひとり様終活ノート」が、
なぜついているのか、ここで納得。
しかし、ラストはそれだけでは終わらない。
なに、これ‥プレイバック? こわ‥
今回、イヤミス(読んでイヤな気持ちになるミステリー)の女王、真梨幸子氏の作品を初読。
評判通りのイヤな読後感‥しかし、なんだろう‥
イヤな感じだけど、癖になりそうな‥
彼女の作品を圧倒的に支持する人達の気持ちも、
分からないでもないような気がしている。 -
著者初読み。
イヤミスは嫌いなので避けてきたのですが、なぜかタイトルと同年代に近いお話ということでかなり惹かれて。
うん?イヤミスじゃないじゃんと思ってたところ、最後の章がコロッと変わって確かに、確かに・・・。
なんかしっくりこないような。けど、これがイヤミスの女王なんだな。 -
#読了 #ウバステ #真梨幸子
TVドラマ『ウバステ』の関係者のひとりが不審死を遂げた。世津子は、その謎を探るうち自身の出生の秘密に触れ…
明日はどうなるかわからない。そんな老いの恐怖を感じて少し怖かった。年が幾つでも大事かも。 -
小説家・駒田世津子。20年前に書いた「ウバステ」がドラマ化された縁で出会った5人で女子会を続けていた。その中の1人が不審死したと聞き。
おひとり様の老後そのものがサスペンスですね。自分もだんだんその年齢に近づき、怖いかぎりです。老後の幸せは金次第。 -
主人公の駒田世津子は、高校生の時に心を奪われた元彼を慕い続け、還暦を過ぎてもお一人様で作家活動を続けていた。
世津子が20年前に綴った「ウバステ」がテレビでドラマ化され、その時の縁でお付き合いを続けている5人の女性が絡む物語となっている。
しかも監督には世津子の元カレが指名され、人間のドロドロとした関係が存在していた。
「ウバステ」は、世津子が若い時に住んでいた近所に誕生した介護施設「ユートピア逗子」を舞台に、老人問題を取り上げていた。
「ウバステ」ドラマの女性仲間5人が会うと、年金、相続、延命治療、お墓問題、そして最期の迎え方という年齢に見合った話題となる。
その仲間達が不審死を迎える事態が連続して生じてしまう。
その辺りから駒田世津子は体調を崩し、その結果、介護施設「ユートピア逗子」に自らが入所することになる。
6章からなる物語には昭和に歌われたちょっと切ない6曲をなぞらえて、世津子の心理描写が綴られる。
世津子を中心に、仲間5人の高齢を迎えた女性達の心の持ち様を通して、人生の終着駅への辿り着き方を考えさせられた。 -
ユートピア。理想郷。それは誰にとっての理想なのか。あらゆる人の理想を掛け合わせれば、それらがぶつかり合っていずれ地獄と化す。
自分が人生を終える時のことなんて正直、さほど興味がない。無縁仏として扱われるならそれも別に。寧ろ、墓を持てば遺された誰かがそれを管理していくという事を考えると、忍びなくなる。誰か適当に散骨でもしてくれ、なんて気持ちも生まれるが法律が簡単には許してくれないだろうし、人生の仕舞い方を考えるのは難しい。と、簡単に言えてしまうのは自分の死を現実的に見据える年齢に至っていないからだろうか。
高齢社の孤独死、おひとり様問題。施設の問題。現代社会が抱える闇とも言える部分に、真梨さん節炸裂のイヤミスで斬り込む。そして真梨作品に欠かせない女の怖さ、陰湿さ、煩わしさがてんこ盛りなのも、本書の面白さを際立たせる重要な役割を担っていた。
-
前期高齢者の本格的な老後の不安の本?おひとり様…他人事ではない!
と、気負って読み進めるけど、割合冗長な感じ。
主人公の自分はまだお年寄りではないと言う足掻きがみっともないなぁ。と思うのは彼女の年齢まで20年もないからだわね。自分も同じようになりそうで、悪い見本を見ている様。
そんな感じでグダグダして終わるのかなぁ。
だと思っていたのに。
最後の章で急転直下。
嫌〜な終わり方だった。
余談ですが。
ガッツリ昭和の人間なのに、各章のタイトルの昭和歌謡がガンダーラしか分からず…Youtubeで確認した。
著者プロフィール
真梨幸子の作品





