p.47
『フツー人行進曲』
一
天声
あたしらはみんな
豆腐が好きで
鰹節かけてくう フツー人
全員
あたしらはみんな
刺身が好きで
ワサビ醤油でいただく ただの人
天声
政治のことなどはわからない
その日が楽しけりゃそれでいい
全員
あたしらの夢は
つつましい夢
家内安全 無病息災 極楽往生
つつましいフツー人
二
天声
あたしらはみんな
花見が好きで
酔っ払って上機嫌な フツー人
全員
あたしらはみんな
月見が好きで
団子の串はたべない ただの人
天声
世界のことなどはわからない
その日が楽しけりゃそれでいい
(繰り返し)
全員
あたしらの夢は
つつましい夢
家内安全 無病息災 極楽往生
つつましいフツー人
p.49
耕吉
学問は、まず、世界の骨組みを見つけるために発明された。
この世界はひょっとしたら「正直者はバカを見る」という骨組みの上にできあがっているのではないか。
だから二度とバカを見ないように、法律というものがあり、法律がなければそれをつくらなければならないのだ、そう声をあげて正直者を応援するのが法律を勉強する人間の務めなのではないか。そうすることでこんどは「正直者はバカを見ない」という新しい骨組みの上に世界がつくり変えられ、すこしずつましなものになって行く…理想論かもしれませんが、これが私の考え方の基本です。国と国のあいだでも同じことがいえるとおもっています。
p.60
耕吉
踊らされたといっている人に限って、自分がほかのだれかを踊らせていたことに気がづかない。わたしたちは、みんなで「大東亜共栄圏」だの「テンノーは生き神様」だのいう曲の笛を吹きながら、みんなで踊りを踊っていたんですよ。フツー人の責任はそこにある…。