モンタナ・ジョー: マフィアのドンになった日本人

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093875370

作品紹介・あらすじ

日系二世としてアメリカ・カリフォルニア州で生まれた衛藤健ことモンタナ・ジョー。天才的なカード捌きが、イタリアン・マフィアにみとめられたことから東洋人の仲間と共にシカゴの暗黒街に乗り出していく…。そして1960年代、ファミリーの大幹部にまで登り詰めていく。だが、抗争の渦に巻き込まれ、裏切りの銃弾が彼の頭に打ち込まれた!-長期間にわたり、その足跡を追った在米日本人作家、入魂のノンフィクション。

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  • 日系2世として生まれ、10代で勘当されて博打を覚え、第2次世界大戦下には有名な2世部隊に所属して凱旋帰国。戦後は博打のテクニックを買われて、イタリア系の純血を重んじるマフィアの一員となり、大幹部にまでのぼりつめた。しかし仲間の裏切りから狙撃され、家族を守るために大統領諮問委員会の証言台に立ってマフィアの内幕を暴露し、国家公認の「匿名の存在」となってふっつり姿を消した。


    これがモンタナ・ジョー。伝説の人物となるための舞台装置が、いくつもいくつも用意されているようだ。わたしが彼を知ったのは、昔のテレビ番組。それ以来、興味を持っていたのだ。


    ジョーは現在、「匿名の存在」でどこで生きているのか、いっさい情報は明らかにされていないし、生きているかどうかもわからない。だがそのわりには、この本ではジョーの子ども時代からの足跡がしっかりたどられていると思う。ただ、ジョーの足跡を追えない部分は著者の想像で補われているわけで、著者がジョーに思い入れがあるのは仕方ないとしても、ちょっとカッコよく、きれいに書きすぎているような気がしないでもない。マフィアの幹部として上り詰めたぐらいだから、汚いこともしていただろう。まあ、したかどうか定かではないことを書くわけにはいかないけれども。


    海外の日系社会には、中国系やイタリア系などのように、裏社会をとりしきる組織の存在が伝わってこないことを、以前から不思議に思っていた。この本を読むと、そういう組織もないわけではなさそうだけど、もしかしたら日系人は、ほかの民族の組織にもぐりこむことが多いのだろうか。


    アメリカで生まれ育ったのに、アジア系はその風貌から、アメリカ社会に入り込めないとよく聞く。ジョーがその点にジレンマを感じているところが、もっとも印象的だった。


    本に挿入された写真を見ると、ジョーの姿は小柄で、まさにそのスジの人、という雰囲気。でも病院から出てくる時の格好はピーコートを着て、ちょっとシャレていた。それはともかく、ジョーが生きていたら今年86歳。来年にはハリウッドで映画化されるらしい。これを機に、彼の生存が明らかにされるかも。

  • 日系二世としてアメリカ・カリフォルニア州で生まれた衛藤健ことモンタナ・ジョー。天才的なカード捌きが、イタリアン・マフィアにみとめられたことから東洋人の仲間と共にシカゴの暗黒街に乗り出していく…。そして1960年代、ファミリーの大幹部にまで登り詰めていく。だが、抗争の渦に巻き込まれ、裏切りの銃弾が彼の頭に打ち込まれた!―長期間にわたり、その足跡を追った在米日本人作家、入魂のノンフィクション。

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