ドラえもん短歌

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (124ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093875998

作品紹介・あらすじ

歌人・枡野浩一の呼びかけに全国からぞくぞく集まった、新・短歌ジャンルの傑作選。

感想・レビュー・書評

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  • 枡野浩一さんの「かんたん短歌blog」によって投稿を募った「ドラえもん短歌」の数々。
    「サザエさん」「ちびまる子ちゃん」「水戸黄門」「刑事コロンボ」などのお題のなかで、ドラえもんが一番面白い作品が集まったそう。

    ドラえもんが心底だいすきなわたしですが、ここに応募された短歌もこれでもかと言うくらいドラえもん好きがひしひしと伝わります。

    なんとも言えないせつない気持ちになったり、泣きそうになったり、クスッと笑えたり…
    それはまるでドラえもんの漫画を読んだり映画を観た時のあの感覚とおなじでした。

    巻末に「ドラえもん短歌コンテスト」の応募用紙付きです。
    締切は2005年12月末日ですが。

    自転車で
    君を家まで送ってた
    どこでもドアが
    なくてよかった

  • ドラえもんを下敷きにした投稿短歌集。いいです!とてもいい!表紙からして泣けちゃいますよ。


    枡野浩一さんがNHK「スタジオパークからこんにちは」の中で「サザエさん」「ちびまる子ちゃん」「水戸黄門」「刑事コロンボ」などの有名作品にまつわる短歌を募集したことからできたこの短歌集。

    一番面白い短歌が集まったのが「ドラえもん」だったってわかるなぁ。
    だって、「ドラえもん」って、夢と悲しみが同居しているホント、優れ物のコミックだと思うもの。

    私は漫画は全部読んでます。アニメも今は見てないけど、若いころは毎週楽しみにしてたんだよね。
    特に予備校に勤めていたころ、休み明けの勤務が辛くて(色々あったんですよ)、でも今日仕事を終えて帰ったら「ドラえもん」があるじゃない!なんて、自分を励まして自転車をこいでいたことを思い出します。あのころは月曜日に放映だったんだなぁ・・・・・。


    で、ドラえもん短歌なんだけど、

    「ちょっといい気になってたな 忘れてた 私のくせに のび太のくせに」
    「のび太くんみたいに泣けば君がきて 助けてくれると思ってたんだ」
    「失恋をグウで殴ってもう決めた 私今日からジャイアンになる」
    「目の前にどこでもドアがあったなら それを理由に会いに行きたい」

    等々、うんうん、わかるよぉ~~~!と言いたいものばかり。

    「ドラえもん」世界のお約束がみんな共通のものとしてあるだけに、31文字の短歌がとても奥行きを持って語りかけてくるんだよね。
    特に私は「ちょっといい気になってたな   ・・・」の短歌が切なくて、切なくて。
    今、大人になってしまっているからなんとか毎日平気な顔をして生きているけど、10代のころは私なんてどこかに行ってしまえばいいんじゃないか、と思ってたくらい自分が存在することに自信がなかった。でも、時には、もしてして私は案外・・なんて気分が高揚したりして、その後にやってくる、あぁ、いい気になってたな・・という恥ずかしさ。そうなんだよね、私のくせに、のび太のくせに、だったんだ・・・。

    ドラえもん短歌が切ないのは、ドラえもんがいない世界を自力で漕いでいかなければならない私たち、が根底にあるからなんだろうね。

    その他、好きな短歌を引用します。
    「君とした「ひみつ道具でどれが好き?」みたいな話ばかり思い出す」
    「青空の入道雲はそれはもう配色としてドラえもんです」
    「ドラえもん 話を聞いて そばにいて ひみつ道具は出さなくていい」
    「大丈夫 タイムマシンがなくってもあの日のことは忘れないから」

    • じゅんさん
      >シン様
      おぉ、シンさん、お元気でしたか?(*^_^*)
      ドラえもん観、私は結構アバウトに考えているような気がします。その折々の自分の状...
      >シン様
      おぉ、シンさん、お元気でしたか?(*^_^*)
      ドラえもん観、私は結構アバウトに考えているような気がします。その折々の自分の状態によっても違うとも思えるし。

      うんうん、“野暮な男”がいいですよね。それをのろけとは私、思わなかったけど(*^_^*)確かにそんな受け止め方もありだなぁ、と。

      のび太くんみたいに手放しで泣いても誰も助けてはくれないわけで、1人で涙をふいて立ち上がらなければならない。これは当たり前のことなんだけど、時にはただ泣いて、助けが差し伸べられるのを待っていたい、なんて思ったりもするじゅんでした。
      2011/12/04
    • シンさん
      はい、元気です〜。
      私もアバウトに考えていますが・・・いや、やっぱり狭いのかな。ま、それは今後の課題として・・・。
      あの歌は、野暮な奴と...
      はい、元気です〜。
      私もアバウトに考えていますが・・・いや、やっぱり狭いのかな。ま、それは今後の課題として・・・。
      あの歌は、野暮な奴と寝てしまった、という後悔ともとれますが、
      歌の主が「まったく野暮なんだから」と言っている情景を想像したら、のろけに思えてしまったのでした。解釈の違いって面白いですね。
      これから小川洋子さんのラジオを聴きます。では!
      2011/12/04
    • じゅんさん
      >シン様 ホント、短歌でも物語でも人によって感じ方の違うところが面白いですね。そんな話をしたくて、私、ネットに感想を書いてるような気がします...
      >シン様 ホント、短歌でも物語でも人によって感じ方の違うところが面白いですね。そんな話をしたくて、私、ネットに感想を書いてるような気がします。(*^_^*)
      2011/12/05
  • ドラえもんなら私にも詠めそう!?と思わせてくれる(でも、実際は難しい)。道具への憧れや妄想、登場人物に対するツッコミなど、わかる!という短歌ばかり。やはりどこでもドアやタケコプターが人気。

  • 面白かったものちょこっと紹介。

    寝坊した
    僕の未来の
    言い訳は
    「どこでもドアが
    調子悪くて……」

    ーーーーーー

    タケコプター
    操縦法を
    知らなくて
    ママは空から
    もどってこない

    ※そうパパからは聞かされて育ちました。(天国に)

    ーーーーーー

    その台詞
    本当だって
    確かめる
    ためにタイムマ
    シーンが欲しい

    ーーーーーー

    空港で
    チェックにかかり
    ポケットの
    中身を全部
    出すドラえもん


    ーーーーーー

  • "ドラえもん 話を聞いて そばにいて
    ひみつ道具は 出さなくていい"

  • ニヤニヤしたり、ホロリとしたり。プレゼントにもいいかも。
    ドラえもんを最初からじっくり読んでみたくなりました。

    好きな短歌↓


    青空の入道雲はそれはもう 配色としてドラえもんです

    ドラえもんよりも好きだといっただけ なんでそんなにうれしそうなの

    自転車で君を家まで送ってた どこでもドアがなくてよかった

    「タケコプターは力学的にありえない」 野暮な男と朝焼けを見る

    ドラえもん ビッグライトで胸だけを 大きくしたりできるでしょうか

    ドラえもん 話を聞いて そばにいて ひみつ道具は出さなくていい

    ドラえもん 耳をかじって悪かった 反省してる 好きだったんだ

    遅刻魔にどこでもドアをあげたって 遅刻は減らない方に千円

  • ずいぶん前に、どこだったかこの本の存在を知り、ずっと気になっていたのだがようやく読むことができた。

    「ドラえもん」はもともとは子供向けの漫画だが、なかなかどうして奥が深い。のび太君たちが暮らす子供の世界から、現実の世界が垣間見えるからだろうか。
    ドラえもんをテーマに短歌が詠まれたとき、こんなにも胸を突く世界がドラえもんにはやっぱりあったんだと、改めて気づかされた。

    一番心に残った歌はこれかなあ。じんとした。

    ドラえもん 話を聞いてそばにいて ひみつ道具は 出さなくていい

  • のび太くんみたいに泣けば君がきて助けてくれると思ってたんだ

    自転車で君を家まで送ってたどこでもドアがなくてよかった

    ドラえもん話を聞いてそばにいてひみつ道具は出さなくていい

    失恋をグウで殴ってもう決めた私今日からジャイアンになる


    ドラえもんという作品自体の力を改めて感じてしまう短歌集。

    歌人さんたちの人生の一瞬が見え隠れするのがとても興味深い。
    未来への思いであったり、夢と現実であったり、ドラえもんのあったかさであったり、いろんなテーマと絡めて詠いやすいのは、それだけドラえもんという作品が懐が深いことを表しているのかなあと思いました。

    短歌のいいところって、短い言葉、限られた言葉だからこそ、いろんな気持ちが伝わってくるところだと思います。

    さらっと読めるけれど、奥が深い。

  • 図書館で借りたのですが...いやー、よかった。とっても好き。手元においておきたいので買おうかと思っています。

    ブログにて詳しいレビューしています*
    https://happybooks.fun/entry/2021/01/10/155848

  • 私も作ってみました。
    のび太さん、ドラえもんさん、さようなら。しずかはしずかの道を行きます。

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著者プロフィール

一九六八年東京都生まれ。歌人。雑誌ライター、広告会社のコピーライターなどを経て一九九七年、短歌絵本を二冊同時刊行し歌人デビュー。短歌代表作は高校国語教科書に掲載された。短歌小説『ショートソング』、アンソロジー『ドラえもん短歌』、入門書『かんたん短歌の作り方』、『毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである 枡野浩一全短歌集』など著書多数。目黒雅也や内田かずひろの絵と組み、絵本・児童小説も手がけている。

「2023年 『おやすみ短歌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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