野村ノート

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093876049

作品紹介・あらすじ

ヤクルト、阪神、そして社会人野球のシダックスの監督として、選手の育成、チームの改革を果たしてきた野村監督。その指導力は誰もが認めるところですが、選手の指導にあたり、みずから記した『ノムラの考へ』を基にしているのは、球界では有名な話です。本書はその『ノムラの考へ』をベースとして、具体的な試合や選手の例を挙げながら、配球術から采配、選手の育成法など、多岐にわたって解説、指導者のあり方を説いていきます。ヤクルト・古田と巨人・阿部の違いとは? 清原の打撃に抱く疑問とは? 西武・松坂が打ち込まれる理由とは? 阪神・遠山が松井を抑えられた理由とは? ―野球ファンには野球の奥義が、サラリーマンには管理者として部下を指導する際の心得が学べる1冊です。

感想・レビュー・書評

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  • (audible)
    野村監督の野球に対する考えをまとめたものです。
    野球話はのぞいて、人生において役に立つ話しもありました。
    人間教育が大事であると言ってました。
    そこは栗山監督と被る印象がありました。
    特に印象に残った言葉
    「原理、原則を知れば、心が穏やかになる」
    「先入観は罪、固定観念は悪」
    「決断は賭け、責任が必要、そして包容力、判断は頭で考える」
    「中心がいないと組織が成り立たない」
    「自己中心は致命的」
    大変勉強なりました。

  • 本書を読む目的:マネジメントに活かす

    ■「3年で獲れなければ、幸運がない限りタイトルは獲れない」
    若いころにタイトルを獲ってしまうと、残りの選手人生をゆったりと腰を据えて過ごすことができる。
    若い時にそのような経験がないと、調子がいいときにタイトルのことがちらちらと頭に浮かぶ、マスコミの質問で否が応でもタイトルを意識させられる、新聞のランキング表が気になるなどにより、ここ一番で実力が発揮できない。
    また、若い時に苦労したこと、考えたこと、学習したこと、経験したことは後になって必ず活きる(三つ子の魂百まで)。

    ■「監督は「気付かせ屋」でなくてはならない」
    ・気付かせてあげる
    チームを作るには、まずひとりひとりの選手を作らなくてはならない。人の成長が組織に反映されるのを待たなくてはいけない。人を成長させるには、気付かせるということがポイント。「こうやってみたらどうだ」、「こういう対応の仕方があるのではないか」のように、何かヒントを与えて、選手の気付きを待つ。
    ・思考の枷を外してあげる
    「お前が捕手だったら、この場面でストレートなど投げさせるか?」、「おれにストレートなど投げてくるはずはないとうぬぼれて、思い切って変化球にヤマを張ってみろ」
    ※メンタリングやコーチングで言われていることと同じ。
    ※逆の立場で考えると、何かヒントやアドバイスをもらったら、自分の考えに固執せずに試してみることが重要だと思う。

    ■上司と部下の価値観の共有
    選手に試合を見させるときでも、「ここを見ておけ」というツボ、技術面のコツ、「これだけは注意しろ」という注意点を伝えておく。それを的確に伝えることができれば、あとは放っておいてもその組織はぶれずに良い方向に向かっていく。

    ■「士は己を知る者のために死す」
    監督がチーム優先で考えているのに対して、選手はあくまで個人主義(自分を認めてほしい)である。リーダーから存在価値を認めてもらう(承認欲求が満たされる)ことで、チーム優先の考えに変われる。
    扱いに苦労した選手として江本、江夏、門田が挙げられている。この3人によって人心掌握術や操縦法を鍛えられた。彼らを人として扱い、観察して理解していくなかで、信頼を築き、心を開かせることができた。

    ■後継者づくり
    巨人の川上監督が、「彼はいずれ巨人の監督になるから勉強させたい」という理由で、当時現役の長嶋をトレード交渉に同席させた。そういった継承がしっかりできていたことが、巨人の強さの理由であった。
    ・後任人事が分かれば、いずれ自分が監督になるつもりで過ごすなかで、リーダーシップが身についてくる。
    ・まだ言われていなくても、いずれその可能性があると感じた選手は、将来に向けて計画的に行動すべき。

  • 実に緻密で論理的で、明解。

    例えば、「キャッチャーは捕球したら打者の肩を見よ」という。肩が突っ込んでいるか開いているか、それで待っている球が読めたりする。

    こんな、野球のティップスがテンコ盛りなんである。

    しかもそれだけなら単にテクニック論だけど、事例を挙げ、“なぜ”を説き、応用を語るうちに、話はいつの間にか“考えて”取り組むことの重要さになり、組織の中でどう活かすか(活きるか)、人間としてどう成長させるか(するか)、へと発展していく。野球は分業が発達した“組織”なので、話はいきおいチーム論や経営論にまで及んでいく。

    野村野球とは意識付けだ、という。

    組織は意識で変わる。考え方でヤル気も変わるし、目的に対して心が一つになれば、仮に個人の能力が平凡でもチーム力は相乗倍加されるということだろう。

    それができれば監督(リーダー)は勝ちだ。

    ただ、それが難しいからどの組織も苦労する。意識付けといったって頭ごなしに言うだけでは誰もついてこない。「基準と根拠」の確立がキモであり、それが野村流IDなのである。だから楽天はもっと強くなるだろう。

    スポーツチーム、会社、プロジェクト…日本的組織をどう活かすか、その答えがこの本に詰まっている。

  • 20190114野村ノート☆☆☆
    「考え続ける」ことで「指導者」になることができる
    偉大なプレイヤーが偉大な監督ではないのはココ
    1.「選手の人作り」が最重要 教育が第一の使命
     結果至上主義ではなく、仕事のプロセスを理解
     ①人生と仕事は一体
     ②人生論が不可欠 他人の評価が大事
     ③目と頭と感性
     ④技術では、コツとツボと注意点
     ⑤無形の力 情報・観察・分析・判断・決断・先見
     戦い 戦力・士気・変化・心理
     選手に優位意識 先進的・監督ブランド
     データの裏付けのある確率の高いギャンブル
     ギャンブルだと弱者でも勝てる要素がある
    2.管理者は結果論の評価はだめ
     ギャンブルの結果、失敗しても可とする
     逆に考えのないプレイは、結果がでても不可
     ex清原のプレイは× 自分のバッティング
     内角を攻める 壁を崩す リスクを負う
     配球の原点は打者への意識付け
    3.指揮官の決断 根拠・責任
     判断 基準がある
     決断 賭け 頭でやる
     長期のペナントレース、短期の日本シリーズは違う
     短期決戦弱者の戦法
      ①戦力分析②コンディション③選手の決定
      ④どの試合を重視、捨てる
      ⑤無形の力を重視
    4.捕手の役割 グランドの監督
     ①分析②観察③洞察④判断⑤記憶
     データ(事前)と情報(試合)
    5.組織には中心が必要 四番 エース
     仕事に求められる能力
     ①問題分析能力
     ②人間関係能力
     ③未来創造能力
     野球は個人の能力+チームの能力が求められる
     「つながり」が大事 それは相手チームが評価
     cf巨人は四番打者揃いだが、チームとしては×
     野球は「根拠」で成立
     →つながりの強さ
    6.組織はリーダーの力量が上限
     編成の重要性 四番とエースは育てられない
    7.指揮官の仕事は「人づくり」
     「人間性」を教える監督は皆無
     根性野球→管理野球→情報野球
     巨人渡辺恒雄は根性野球・精神野球のまま
     野村野球は「意識付け」データで確率アップ
    8.監督は「人間学」
     監督はチーム優先、選手は個人主義
     「士は己を知る者のために死す」
     リーダーによって、「チーム優先」に変わる
    9.「基準・根拠」
     考えて、説明できる 選手と指導者の違い

  • プロ野球を長年見てると非常によく分かる。完全にマネジメントの本です。著者自身、高齢であるのに現役監督であり、ここ数年の新しい監督が増えているところなので、タイムリーに読んでおくべきだったと思います。
    BO20090527AY

  • 野村監督ってすごいです。日本一4回は伊達じゃない。彼の思想は、野球に勝つことを遥かに超え、人生に克つことに到達しています。彼によって人生が変わったという野球選手が多いのも頷けます。

  • 昔、20代の頃、ソフトボールやっていたとき、買いましたが、息子が高専に入ったとき推薦図書になっていました。

  • 野球は、アタマを使うスポーツだということが、よく理解できます。
    そして普段の生活や仕事でも通じる原則論が満載で、野村さんの博識には舌を巻いてしまいます。
    どんな世界でも実績がある著名人達は、その道を極めるための修練に裏打ちされた自身のポリシーを持っているのだろうなと、あらためて感じました。
    そういう点で、まさに野村さんは"野球博士"です。

  • 人間学、組織学、社会学をじっくり学ぶ
    評価は人が下した評価が、正しい
    頂点に立つということは小さいことの積み重ねだ
    小事が大事を生む
    仕事能力
    ・問題分析能力
    ・人間関係能力
    ・未来想像能力
    不満のない人間はいない=抑制力

  • 2016/03/14

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著者プロフィール

京都府立峰山高校を卒業し、1954年にテスト生として南海ホークスに入団。3年目の1956年からレギュラーに定着すると、現役27年間にわたり球界を代表する捕手として活躍。歴代2位の通算657本塁打、戦後初の三冠王などその強打で数々の記録を打ち立て、 不動の正捕手として南海の黄金時代を支えた。また、70年の南海でのプレイングマネージャー就任以降、延べ4球団で監督を歴任。他球団で挫折した選手を見事に立ち直らせ、チームの中心選手に育て上げる手腕は、「野村再生工場」と呼ばれ、 ヤクルトでは「ID野球」で黄金期を築き、楽天では球団初のクライマックスシリーズ出場を果たすなど輝かしい功績を残した。現在は野球解説者としても活躍。

「2016年 『最強の組織をつくる 野村メソッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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