蜜のあわれ

著者 : 室生犀星

• 小学館 (2007年6月12日発売)

感想・レビュー・書評

[あんみつさんの感想 · 2019年5月28日]

金魚ちゃんがとにかく魅力的。
読んでいたらほろ酔い気分になってしまうような心地よさ(語彙力…)
作者は、ほんとうは死ぬところまで書こうと思っていたのだったっけ。それはなんとなく感じるし、承知した上で紡がれる日常が愛おしい。

金魚ちゃんがお店で飼われている金魚の世話を焼くシーンが好き。

人を好くということは愉しいことでございます。

[さつまいもさんの感想 · 2023年5月21日]

好き！

[紺さんの感想 · 2020年10月22日]

『文豪どうかしてる逸話集』で紹介されてて面白そうだったから読んでみた。
エロくないのにエロい。
世界観が楽しい。

[nekoteaさんの感想 · 2020年7月24日]

おじさまと赤子たちの会話だけでお話が進みます。
言葉がていねいでちょっと真似したくなりました
赤子はじゆうで可愛らしくて、そのまますきに泳いでいてほしいな

[saaaaさんの感想 · 2018年11月6日]

おじさまと金魚と幽霊による三角関係。ぬらぬら、きらきら、ひんやり。

[ryokutya87さんの感想 · 2016年10月7日]

映画がすごく良かったので読んでみたけれど、正直、よくわかんなかった。金魚が女性になって傍らにいる、っていう発想はすごいな、と素直に思うけれども。
この原作からよくあの映画を作ったな。逆にすごい。
ところどころにはさまってくる金魚の写真はすごくきれいで、文章と相まってイマジネーションを刺激するけれど、なぜか使われていた女性の写真はそのものずばりで、刺激されたイマジネーションをしぼめる効果しかなかったと思う。

[生駒ビブリオ倶楽部さんの感想 · 2016年9月13日]

2016年8月30日に開催されたビブリオバトルinいこまで発表された本です。テーマは「ペット」。チャンプ本！

[happioukokuさんの感想 · 2016年6月12日]

金魚って、昔から人の憧れのようなものだったのかな、と感じました。確かに金魚が赤いひれをゆらゆらさせながら水の中を漂う様子は魅力的。
近代にこのような作品が書かれたことに驚きました。
文体や登場するものごとは幻想的であり現実的であり、大変面白かったです。

[マッピーさんの感想 · 2016年4月1日]

「あたい」と「おじさま」の会話で作られた物語。
幼い少女のような「あたい」の言葉が、なぜかとてもエロティックで、人気作家であるらしい「おじさま」を翻弄している様が何とも言えずよい。

実は「あたい」の正体は金魚なのだが、時折人間に化けて歯医者に行ったり作家の講演会に行ったりしている。
で、結構お金に汚いのである。
それはもう、生々しいくらいにお金に細かい。
金魚なのに。

金魚屋のおじいさんには正体がばれている。
ばれてることを承知の上で、人間のなりで金魚のエサを爆買い。

繊細な小説なんだけど、なぜか読後感が愉快。
なんかくせになりそうです。

月のお小遣いに5万円を要求したら、1万円に値切られた「あたい」
“「こまるわ、一万円じゃ。じゃね、クリイムだのクチベニのお金は時々別の雑費として出していただけます？」”
「あたい」は金魚である。
そしてこの作品が書かれたのは、昭和34年。
昭和34年に5万円要求。
どうれだけゴウツクなのよ、この金魚。

エロスの方は、実際に読んでみてください。
会話のやり取りが何ともいえない怪しさです。妖しさです。

[すいさんの感想 · 2015年12月25日]

「でも、おじさま、人を好くということは愉しいことでございますという言葉は、とても派手だけれど、本物の美しさでうざうざしているわね。」

美しい少女になれる金魚と老作家の話。
あらすじだけを読んで、わぁ…と思ったのだけど、読んでみるといやらしさ（性的というより人格的な意味で）はあまりない。
全編会話文のみで、はっきりしたものがなく、ふわふわしている。
独特の言葉選びがとても綺麗。
添えられた写真も合っていた。

著者プロフィール

詩：詩人・小説家。本名、照道。金沢生まれ。北原白秋・萩原朔太郎らと交わり、抒情詩人として知られた。のち小説に転じ、野性的な人間追及と感覚的描写で一家を成す。「愛の詩集」「幼年時代」「あにいもうと」「杏つ子」など。


「2013年 『児童合唱とピアノのための　生きもののうた』 で使われていた紹介文から引用しています。」