国会議員村長: 私、山古志から来た長島です

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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093877497

作品紹介・あらすじ

震度7の大地震が過疎村のリーダーを国会へ送り出した。最後の山古志村長、疾風怒涛の1000日。

感想・レビュー・書評

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  • はじめに
     プロローグ
     第一章 孤立
     第二章 全村避難
     第三章 オモダチの家
     第四章 最後の村長
     第五章 国会議員村長
     山古志からの手紙
     あとがきにかえて

    中越大震災で被害を被った新潟県山古志村。本書は最後の
    村長である長島忠美と災害復興の物語である。
    内容はとても重いのであるが、全体的にすらすら読め読み
    やすい。

    土曜日の夕方、震度7の地震が中越地方を襲い、山古志村
    も甚大な被害にみまわれる。長島は何とか役場に登庁しよ
    うとするが、道路が寸断されており辿りつくことが出来な
    い。携帯電話で県庁に連絡がとれたのは夜の11時頃だっ
    たという。(震災による混乱もさることながら携帯電話の
    電波塔が倒壊していた。)
    長島は長岡市在住の企画課長に連絡をとる。村外で震災に
    遭い村に帰れなくなっている職員を集め県の振興局にかけ
    込むよう指示する。(これにより村役場の機能の一部を比
    較的安全な長岡市に移す事ができ、結果的にその後の避難
    活動をスムーズなものとした)

    翌朝、中学校のグランドに到着する。
    長島はグランドに避難していた役場の職員3人に対し、災
    害対策本部の設置を宣言する。たった4人の対策本部であ
    ったという。
    箇条書きするとこのような感じであるが、この間、長島が
    的確に指示していることがわかる。やがて長島は全村避難
    (避難指示)を決断する。

    避難指示は大変重い決断である。長島の腹のくくり方は見
    事といえ、なかなか真似の出来る事ではない。胆力を求め
    られる。今回の震災において「もうお手上げです」という
    声明文を用意させた総理大臣とは大違いである。比較して
    も詮なきことではあるが、対比させる事で見えてくるもの
    がある。行政は放棄することを許されない。ろくでもない
    選択肢しか無くても、どれかを選択しなくてはならない。

    大災害に遭遇するという体験はなかなか無い事である。
    しかしながら「震災は忘れた頃来る」。体験談を読む事で
    万分の1でも知る事が出来るのは貴重である。本書は政治
    家や行政関係者には必読と言えよう。
    復興後のカラー写真がいくつか収録されているが被災時の
    写真が無いのは残念なところである。

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