怨霊になった天皇

著者 :
  • 小学館
3.45
  • (8)
  • (18)
  • (24)
  • (3)
  • (3)
本棚登録 : 193
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093878272

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 崇徳天皇を中心として話が展開される。結構ライトな読み物。非科学的な怨霊が中心なので、若干著者の論理に飛躍が入っていても楽しく読める。一人ひとりの天皇・親王に、これくらいの分量が費やされた読み物があっても面白いなぁ。■四条天皇については…、ごめんなさい、トリビア的に使わせて頂きます。

  • 怨霊とされたほど、怖ろしいほどの格を持っているのが、天皇の威厳ということなのだと思う。
    天皇に対して「恐れ多くも」と枕詞をつけて表現するように。

    筆者が言うとおり、怨霊というのは生きているものが作り出した存在である。
    心理学的にいうと、道真や将門についてもしかりだが、
    「(罪もないのに)罰してしまった」ケースについて、時の人々が持った罪悪感が作り出した幻影とも言える。

    ほかの筆者の本でも感じたのだが、ユング心理学でいう集合無意識が作り出す世界共通の神話が、日本の天皇や皇室感にもあるように思うのだが、あえてユングをとりあげないのは、筆者の意図なのかどうか・・・?

    他書と比べて惜しいのは、筆者が伝えたいメッセージが感じられない。
    崇徳天皇の怨霊を恐れてなのか?腰の引けた感じがする。

  • 怨霊は実在するよ。という本ではなく、
    「確かに実在はするが、人が作り出している」といっている本。
    とても興味深い。
    歴史に詳しくなくてもサクサクと読める。

    一読して損はない

  • ずっと読みたかった本。
    怨霊は生きている人間が作り出すもの。
    歴史は「勝者」側の物語…。
    教科書では教えてくれない「日本」が見えてきます。

  • タイトルが仰々しいので、どんなホラー本かと思ったら(笑)

    日本の「許す文化」というのには「なるほどな」と思いました

  • 怨霊については、他の本でも読んでいたが
    それだけにとどまらず、日本史の勉強にもなった。
    日本史の教科書を読もうと思っています。

    後半が特に良い。

    あわせて、岩井志麻子氏の「雨月物語」を
    読むといいかも。

  • 著者の別の本がおもしろかったので。
    ただ今回は、怨霊になった人がひたすら描かれていて、
    たくさんの天皇が出てきて分かりづらかった。
    次から次へと○○天皇、△△天皇などでてきたけれど
    あまり印象に残らない人ばかりで。

    内容も無理やり怨念の力に見せたいのか
    人の死や天変地位も全部怨霊のしわざかも…という設定にはちょっと疑問が。

    崇徳天皇のことをメインにはしていたけれど
    前作がよかっただけに、残念だった。

  • ★筆者は元皇族・竹田宮家の出身。崇徳天皇を中心に怨霊となった天皇・皇族の話が核。終章で兄弟間の争いと和解の歴史について語っている(それも弟が勝つことが多い、と)のは、次期あるいは次々期皇位についてを念頭に置いたものと思われる。

  • この本は、「怨霊」を肯定した日本の裏歴史に
    ついて書かれている。
    …ばっさりとこう書いたが、事態はもっと
    複雑である。なので、詳しく書こうと思うと
    自分で迷路から出て来れなくなりそうなので
    ばっさりと書こうと思う(いいのか。。。;)。

    主に、保元の乱で後白河天皇に敗れ讃岐国へ
    配流された崇徳天皇を中心に物語は進んで行く。
    崇徳天皇をはじめ、憤死を遂げ怨霊とされてしまった天皇達を
    見つめ、日本人がいかに「許す文化」を培ってきたか、
    また今の世の中に足りないものは何かを探る。

    以下、『怨霊になった天皇』より

    …しかし、鬼や天狗、怨霊などがいる世の中は健全である。
    相手は全てを見通す力を持つだけでなく、生きる者の命を
    奪う事もできる。生死を握られているほど恐ろしいものはなく、
    これを認識すれば、見えないものに恐れを抱かざるを得ない。
     そのような人間の力を超越した存在が認識される社会は
    むしろ健全に違いない。

    〜中略〜

    「お天道さまが見ている」と思えば悪いことはできないものだ。
    昔から日本で語られてきた妖怪談は子供たちへの教訓の意味が
    強かった。怨霊が語られたことも、「人を許しなさい」という
    教訓を与えてきた。
     ところが、今の日本社会には鬼や天狗、そして怨霊や
    妖怪も見当たらない。畏まるべき存在を見出せない者が
    多くなっているように思えてならないのだ。

    〜中略〜

    そしてそれは死者と大自然への畏敬の念が
    足りない事にほかならない。


    少し話はずれるが、私は世の中の摩訶不思議な
    出来事が、全て科学現象で説明出来てしまったら、
    それはつまらないし、寂しい気がする。
    怖いけれど、何か不思議な存在の作用だと
    しても、それはそれでありうると思う。
    多分、この「怖い」という気持ちも大事なんだろう。

    百人一首に収められた崇徳天皇の御製

    「瀬をはやみ岩にせかるる滝川の
           われても末にあわむとぞ思ふ」

    …川の瀬が早いので、岩にせき止められる滝川の水が、
    二つに分かれても後にまた合流するように、
    私たちも一度は仲を引き裂かれたとしても、
    必ず再び一緒になれると思いますよ、という意味だそうだ。
    この本を読み終わって、この歌の意味を
    しみじみと感じる事が出来る。
    著者の竹田氏が書いているように、この歌を心に留め置き、
    同時にこの歌が世界に広まれば良いな、と思える一冊でした。

全23件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

昭和50年(1975)、旧皇族・竹田家に生まれる。明治天皇の玄孫に当たる。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。専門は憲法学・史学。作家。平成18年(2006)に著書『語られなかった皇族たちの真実』(小学館)で第15回山本七平賞を受賞。令和3年(2021)には第21回正論新風賞を受賞。著書はほかに『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』『日本人はなぜ日本のことをよく知らないのか』『日本人はいつ日本が好きになったのか』『日本人が一生使える勉強法』『アメリカの戦争責任』『天皇は本当にただの象徴に堕ちたのか』『日本の民主主義はなぜ世界一長く続いているのか』(以上、PHP新書)、『現代語古事記』(学研プラス)、『決定版 日本書紀入門』《久野潤氏との共著》』、『なぜ女系天皇で日本が滅ぶのか《門田隆将氏との共著》』(以上、ビジネス社)など多数。

「2023年 『日本のどこが好きですか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

竹田恒泰の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
あさの あつこ
竹田 恒泰
和田 竜
中野 京子
湊 かなえ
山本 兼一
万城目 学
中野 京子
中野 京子
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×