「人勢塾」 ポジティブ心理学が人と組織を鍛える

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093878630

作品紹介・あらすじ

一般企業からの参加者を塾生とし、多彩なゲストを招いて開かれた神戸大学発の「組織を元気にする」研究会。人と組織の変革を追体験する書。

感想・レビュー・書評

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  • 「ポジティブ心理学」を組織と人事に応用するための研究会でのやり取りを体験することができる一冊。

    人事は組織の応援団になり、そして、その応援団を応援する人も必要だという考え方に納得です。だれかを応援すること、応援するひと、応援できる力、どれも評価されます。

    でも、「その人が必要とする応援」を得られていないことはよくあると思います。

    つらいことがあるけれど気持ちをポジティブに持ち、明るく乗り越えて自分の成長につなげればよい、といったありがちな考え方に陥らず、だれかを応援しながら自分も苦しくならない生き方を探している人にお勧めです。

    後半の田中京さんとのやり取りの記録が、認知行動療法に興味がある方にもよい事例になると思います。

  • ”ポジティブ心理学を人事・組織開発・人材開発の分野で実践するために…。8/26のセミナーで StrengthsFinder を使ったセッションを体験した関連で読み始めた結果、とても爽やかな読了感が得られた。「前向きな懸念」を活かして、実践につなげたい。

    <読書メモ>
    ・「応援団には応援団がいない」
     「応援団にこそ応援団がいる」
     わたし自身は、人事が働く人の前向きな支援者、つまりチアリーダーであってほしいと思っている(中略)
     人事部が社員を、マネジャーが現場で部下たちを元気づけたい、応援したいと思うときに、彼らのも応援団が必要だ。(p.13-14)
    ★ポジティブ性(positivity)の10形態 by バーバラ・フレデリクソン女氏(p.25)
     喜び(joy)
     感謝(gratitude)
     平静(serenity)
     興味(interest)
     希望(hope)
     誇り(pride)
     楽しみ(amusement)
     鼓舞(inspiration)
     畏敬の念(awe)
     愛(love)
     「ポジティビティ比率3対1」
      前日にネガティブな情緒をもたらすできごとがあっても、この10形態が表すポジティブな情緒が、その3倍感じられていれば、その翌日は快調であるという。
    ・VIA-IS(Values in Action-Inventory of Strengths)
     「人の特性を強みとして測定する」尺度
     http://www.viacharacter.org/
     #やってみた。240問はけっこうきつかった…(^^;)
    ・学習性楽観性(p.46)
     「自分は無力じゃない」ということを学習する
     ⇔学習性無力感 by マーティン・セリグマン
    ・名古屋大学齋藤洋典教授の研究によれば、「快・不快・中間」が「6:3:1」という比率でバランスを保つようになっているようです。(p.50)
     #★blogに載せてみよう!
    ★人事という仕事をしていると、他の人よりは、それぞれの人のプロフィールや会社の歴史を、よく知る立場になります。今回の話を聞いて、「うちの会社にはこんな人がいる」とか「昔、こんなできごとを、こうやって乗り切った」というような、材料を提示するストーリーテラーの役割はできるかなと思いました。(p.60)
     #製薬会社の人事マンの言葉
    ★社員がどう感じていれば組織の業績は上がるのか(p.104-105)
     次のような項目が組織の業績と強く相関していることがわかりました。これらの質問に高い評価をする社員は生産性の高い組織に多く、低い評価をする社員は生産性の低い組織に多いということです。(中略)
     1 私は、仕事の上で何を期待されているかがわかっている
     2 私は、仕事を正確に進行するために必要な、設備・資源を持っている
     3 私は、仕事をする上で、自分のもっとも得意とすることを行う機会が毎日ある
     4 最近、1週間でいい仕事をしたことを、ほめられたり認められたりしている
     5 上司または職場の人間の誰かは、自分をひとりの人間として気遣ってくれている
     6 仕事上で、自分の成長を励ましてくれる人がいる
     7 仕事上で、自分の意見が考慮されているように思われる
     8 自分の会社の信念や目標は、自分の仕事を重要なものと感じさせてくれている
     9 自分の同僚は、質の高い仕事をすることに精通している
     10 仕事上で、最高の友人と呼べる人がいる
     11 この半年の間に、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
     12 私はこの1年の間で、仕事上で学び、成長する機会を持っている

     これらの質問項目から見て取れるもの。それは、業績に直接関連しているのは組織に対して強い愛着を持ち、仕事に対して強い熱意を持っているということ、つまりエンゲージメントだということです。
     #ギャラップ社の調査結果から得られた知見。★試してみよう!
    ・ライブでないと伝わらない「増田弥生節」とその存在感に興味があおりのかたは、書物でなく、実物の増田さんにお会いください。(p.158)
    ★役職や、専門家という立場を取り去ったときに、私はリーダーとしてどう周囲をわくわくさせ、巻き込み、志で仲間をつくれるだろうかと思ったのです。
     #増田さんの発言。リーバイスを辞めたあとの3年間をふりかえって。
    ・日本人らしさ(p.169)
     日本人的な「それもあり、これもあり」という白黒をハッキリさせない感じが、部屋中の声を均等に吸い上げることがあるので、あらゆる意見が部屋中からでてきて会議が豊かなものになることがあるようでした。
     #リーバイス本社での会議ファシリテーターとして「重宝された」経験をふりかえって。
    ・「本当に心から出た言葉には、人は動く」(p.182)
     #増田節
    ・研修などの形でやっているものも、真剣に変えたいと思っている人だけを集めて、たった一度のオフサイト・ミーティングをやったほうがいいんじゃないか
     #金井さんの発言
    ・トレーニングに使えるセルフトークは何かというと、自分の思考が入っている独り言に気づく、ということから始まります。(p.210)
     #田中ウルヴェ京さんの発言。
     #これって、まさに blog や twitter で実現できること!
    ・ストレスコーピングのせルフトーク(p.215)
     悪魔に抵抗できる天使をつくる
     ?まず、セルフトークをしてみる
     ?出てきた感情に対して、なぜなのかと探ってみる
     ?ストレスになっている原因を見つける
    ・まずは、各部署のオピニオンリーダーになりそうな人たちにストレングス・ファインダーを試してもらうことから始めました。(p.230:就職情報サービス・女性)
    ・社内、お得意様を含め、ふだん仕事でお世話になっている方やピンチを救ってくれた恩人、顔を見るだけで癒され元気を与えてくれる人などに感謝のメッセージを伝える場として社内報紙「Thanks Links」というページを作成、社内啓蒙を行う(p.237 塾生D・塾生E 百貨店・男性)
    ★人勢塾のシラバス全文
     http://www.b.kobe-u.ac.jp/paper/2010_03.html
    ★別の塾生は、資生堂さんの取り組みにならい、新人の研修、初期の組織社会化(会社に入って徐々に適応する過程)に、ポジティブ組織行動の考えを適用された。セリグマンを熟読され、ギャラップ社のストレングス・ファインダーを全新人とその上司となる人に実施した。お互いが相手を、その人の強みや長所(ストレングス)からとらえようとするだけで、会社生活の第一歩がそうとうに前向きになるだろう。(p.247)
     #これ、やってみたい!
    ★この本が世に出るころには、わたしは神戸大学大学院経営学研究科長・経営学部長となる。就任時にこの書籍を、全職員・全教員に配るつもりだ。日本も暗く、大学も暗いときにこの本を。(中略)
     願わくは、人勢塾に永遠の命を授かりますように。
     #おー、鳥肌!
    ★懸念やこだわり = 気づきだけでおわらず実践を!
     ここまで読んでくださった読者の皆さんにお礼申し上げます??皆さんの心に、ポジティブ心理学を実践したいという、前向きの懸念が生まれますように。(p.252)
     #このフレーズ、「あとがき」の冒頭の以下の表現が下敷きになっている。
     どのようないいことも終わりがくる。人勢塾第I期も全8回を終えた。座学、あるいはお勉強ではないので、参加者の心に、よい意味で懸念やこだわりが憩うように希望したい。もちろん、ポジティブな意味での懸念であり、それは、人生塾でふれて、議論し、学び、気づいたことを、自分に、わが社に生かしたいという懸念であり、実践、アクションへの懸念だといってよい。(p.247)”

  • マズロー 自己実現 ピーク経験
    チクセントミハイ フロー経験
    セルフトーク この塾生は人事系が多いようだ。

  • 日本語で読める文献が少なかったポジティブ心理学も徐々に翻訳書が出始めて、動向をフォローするのも、ずいぶん楽になってきた。

    といっても、その経営への応用という観点では、まだまだ、翻訳書もないねー、というなか、リーダーシップの研究などで活躍される金井先生が、ポジティブ心理学の経営、特に人事関係に応用というテーマで勉強会を開催され、それを本としてまとめたものが本書である。

    ということで、期待して読んだ。

    内容的には、なるほど感が高いものではあるのだが、こちらの期待していたポジティブ心理学を経営にどう応用するか、という議論の最先端が一望できる、というものではないみたい。

    ポジティブ心理学の大きな問題意識を踏まえて、人間のもつポジティブな面にフォーカスしながら、さまざまなゲストのお話を聴いて、参加者がディスカッションした記録をまとめた、という感じ。

    この場に参加していれば、さまざまな気づきがあっただろうなー、人脈が広がるだろうなー、と思うし、自分もこういう勉強会に参加する、さらには開催してみたい、と思う。

    が、やはり活字になってしまうと、それほど面白いものには感じられない。

    多分、人間が話すスピードくらいで、情景を思い浮かべながら読めば、違う印象なんだろうけど。

    コミュニケーションの大部分は、ノンバーバルといわれるが、そんな感想をもった。

  • -----
    金井先生らによる「ポジティブ心理学」に関する研究会。
    企業の人事として自社にポジティブ心理学がどう活かせるのか。
    具体的にはどのように自社に関わっていくのが良いか。
    そして、そこに関わる自分とは誰なのか。
    そこを突き詰めていく研究会だと感じた。
    -----
    印象に残ったのは増田弥生さんと田中京さん。
    「自分は何者なのか?」
    という問いにそれぞれ真摯に向き合いきったからこそ
    語れるのであろう言葉にあふれていた。
    偽らざる自分。見たくない、見るための工程は大変、見るのはしんどい。
    それでもそこに向き合う努力を続けることで、偽らざる自分の
    生き方ができるようになってくる。
    そして、どこまで行ってもゴールはなくてプロセスであり姿勢である。
    -----

  • 「人勢塾」は「ポジティブ心理学を組織に応用するための研究会」とのことです。この本は、その研究会のレクチャーを再録し、加筆したものです。

    ポジティブ心理学という言葉になじみがなくても、以下のキーワードにぐっとくる方にはおすすめできる本かなと思います。
    「ストレングスファインダー」や「フロー」、「学習性無気力」、「マズロー」 etc...

    僕自身「ポジティブ心理学」については学びたいと思いつつも、どうも手が出せていなかったのですが、この本はすごく読みやすく、ポジティブ心理学について理解するためにとてもとっつきやすい本なのかなと思いました。

    詳しくはブログの書評で。

    [書評]人のポジティブな側面に注目する!- 人勢塾(金井 壽宏)
    http://www.tate-lab.net/mt/2010/05/--1.html

  • 本にも書いてあるけども、インタラクティブな講義を本で再現するには、ちょっと厳しいものがあったと思う。
    でも増田弥生さんの章で、リーダーはフィードバックを得ることが大事という箇所がすごく印象に残った。

  • 金井センセのアツい想いがほとばしる

  • これいい。多分、ものすごくいい。
    読んだら感想書きますね。
    全員に読んで欲しい本かも。
    (はっせー)

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著者プロフィール

神戸大学大学院経営学研究科教授

「2012年 『実践知 エキスパートの知性』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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