西原理恵子月乃光司のおサケについてのまじめな話 アルコール依存症という病気

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  • Amazon.co.jp ・本 (104ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093878647

感想・レビュー・書評

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  • アルコール依存性になったらその先は一生、一滴のお酒も口にしてはいけない。家族は依存されている間、イネーブラーになってしまうことで、結果として患者を甘やかして症状を悪化させてしまいがち。抗鬱薬を服用しながらの飲酒はアルコール依存性になる可能性をも上げてしまう。

    離婚という選択肢は突き放し、見捨てるようだが一番有効なのかもしれない。飲みニケーションという言葉があるように、飲酒は人間関係の潤滑油と思う人は多いが、依存性になれば家族や大切な人をとことん傷つけ、その人らしい長所さえ奪う。

    吐くほど飲む、記憶を無くす、同じことを繰り返し話す。酒癖が悪い、では済まされない。依存性の危険性を広く知る必要があると感じた。

  • アルコール依存症の人の、家族が読むのになにかいい本ありませんかとお尋ねをうけて、私で思いつく本をあげてみたほかに、元同僚さんに聞いてみたら、このサイバラ本をおしえてもらった。読んだことがなかったので、図書館で借りてくる。

    サイバラの元夫のカモちゃんが、アルコール依存症を患っていたことは、うっすら知っていた(映画「毎日かあさん」でも、カモちゃん役の永瀬がずいぶん暴れていた)。サイバラの他の本にも、そんなカモちゃんのことが、時々出てきていた。

    カモちゃんは、アルコール依存症という病気から生還したのだが、もう一つの病気・ガンもあって、半年の陽だまりのような思い出をのこして、亡くなった。42歳で。いま自分がもう42を過ぎたこともあって、若い、若すぎると思う。

    幸か不幸か、サイバラ自身が稼いで生活できていたので、カモちゃん放り出すまで、6年間もガマンしてしまった、そのことを一番後悔しているとサイバラは書く。皮肉なことに、ガマンしてガマンし続けたサイバラが離婚を決意したことで、カモちゃんは心底から「お酒をやめる」と言い出した。

    ▼専門用語では、「底つき」と「気づき」というのですが、これ以上最低最悪の自分はない、というふうに底をつき、「お酒はやめなきゃ」と本人に気づかせることが、アルコール依存症の治療の第一歩だそうです。…自分で決めて、自分の後始末は自分でするしかないということに本人が気づくまで、周囲は放っておいてやらないといけないんです。(p.22)

    でも、そのときに、依存症についての知識や理解のない医者にかかってしまうと、とんちんかんなことを言われかねない。「本人にとってはいのちに関わる病気なのに、怠け者だ、意志が弱い、などと攻撃されるケースが多い」(p.23)。

    必要なのは、社会的制裁にさらすことではなく、専門の病院へ連れて行くこと。
    そして、家族は、本人を放り出さないといけない。世話を焼いて、結局は飲み続けられる環境をつくることになっていたりする。
    本人が「底つき」と「気づき」を迎えるまで放っておく間に、家族だけでも専門の医者に話を聞きにいくことが有効で、その後の道しるべにもなる。

    ▼この病気は、つまりは家族が割に合わない病気なんです。だれかに相談するにしても、家族の悪口を第三者に話すことになってしまう。家の中のことだから、だれに助けを求めていいかわからない。家族の悪口を言って、一体それが何になるんだろうってことですよね。(p.20)

    サイバラ自身も、あまりにひどかったカモちゃんの症状のために、もともとカモちゃんがどんな人だったか忘れていたという。酒を飲んで、暴れて、卑怯なことばかりする姿ばかりおぼえていて、病気になる前のカモちゃんがどんなだったか忘れていた。アルコールを断って帰ってきたカモちゃんを見て、働き者で元気で明るい、子ども思いで家族が大好きなカモちゃんを、やっと思いだすことができたのだと。

    当事者、家族など周りの人間、どちらにも「気づき」があって、関係は修復されうる。

    サイバラの話のあとには、依存症当事者だった月乃さんの過去・現在・未来の話がある。そのあとの二人の対談の最後の言葉に、それぞれの思いが集約されていると思う。

    ▼西原─しかしこの病気は、みんなに嫌われる病気だからね。嘘ばかりついて大暴れして、多くの人にさんざん迷惑をかけて。それが病気の症状だから許せと言われても、なかなか納得できません。本当に人じゃないんですよ。本人の心根や性格には関係なく、こんなに悪質なことができるのかっていうようなことをするんだから…。旦那を治すよりも旦那を替えたほうが早いかもしれない。
     でも、エイズもうつ病も、病気の理解が広まって、その地位が上がったんだから、この病気の身分も上げなければね。そうすることで、家族の中に憎しみが生まれないようにしてほしいというのが切なる願いです。
     月乃─今の世の中で生きづらさを感じている方が、お酒以外の気晴らしの方法や人生の楽しみに巡りあえて、一人でも多く幸せになってくれればうれしいです。(p.91)

    この次は、カモちゃん自身の本『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』を読んでみるつもり。

    (8/9了)

  • アルコール依存症は意思が弱い人がなるものだと思ってた。けどそうじゃない。老若男女起こりうる立派な病気。とくに、成人男性の50人に一人が依存症者っていうのには驚いた。そんなに多いんだなあ…。病気だからこそ、正しい理解と治療が必要なのだと思いました。

  • アルコール依存症は「家族が割に合わない病気」と言っているのに共感した
    また苦しんでる家族は多いのだなとも感じた
    アルコール依存症がこの世からなくなってほしいと思う

  • たかが酒だと思うかもしれないが、アルコール依存症は、立派な病気。しかも、一生治ることはない。もっとちゃんと認識がひろまればいいと思う。

  • アルコール依存症はお医者さんの助けを必要とする病気です。この本でひとりでも多くの患者さん、ご家族が救われますように。

  • アルコール依存症は家族が憎しみ合う病気なんですね。

    お酒に苦しめられた人・家族はもちろん、
    すこしでもお酒を飲む人は読んだほうがいいです。
    いつ片足を踏み入れてもいいように。

    酔って記憶をなくすのも「問題飲酒」のひとつだと知って
    笑って済ませるものではないと気づけました。

  •  正直言って、おもしろがって読み始めた、という感じに近い。なんといっても、あの漫画家西原さんである。が、読み終わって、すごく失礼な手の取り方だったなって思う。

     解説の本というよりも、啓蒙の本である。病気とか、ある種の状況に対する対処というのは、気持ちの持ち方で全然違うことになる。たとえば、不登校の問題だって、「さぼり」としか認識していないのとそうでないのとではまったく異なった対処になるだろう。

     そういう風にアルコール依存症を考えた時、ずいぶん見方が変わる。正直、どちらかといえばアメリカのソフトボイルド小説の中に、一番アルコール中毒というものをリアルにイメージしていたのだが。

     僕自身、アルコールには浸り込んでいる方である。手に持ったグラスを、しみじみと眺めてしまったのである。

     が、そんな甘ったれた気持ちで向かい合ってはいけない本なのだということがひしひしと伝わってくる。未だにふわふわした気持ちで振り返っている僕は駄目だな。

  • 西原さんが対談の中で
    「アル中の旦那に耐えてる奥さんを見ると、子供に影響を与え続けてるという点では貴女も加害者ですねって言いたくなる」
    みたいなことを言ってたのが印象に残っている。

    アル中の旦那から目を背けている奥さんも子供から見れば加害者。
    子供の頃ロクでもない義父と暮らしていた西原さんらしい言葉だと思った。
    自分が我慢できてるからって子供が我慢できてると思ったら大間違いなんだよね。

  • 元夫がアルコール依存症だった漫画家と昔自身がアルコール依存症で現在アルコール依存症患者のサポートに従事する支援者が、それぞれの過去を振り返って書いたパート2章と対談部分1章から成る本。すんなり読める。

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