たんぽぽの日々: 俵万智の子育て歌集

著者 :
  • 小学館
4.39
  • (59)
  • (41)
  • (13)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 368
感想 : 56
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (120ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093881142

作品紹介・あらすじ

歌人・俵万智の我が子を想い、慈しむ母の歌50首

この本は歌人の俵万智さん初の子育てをテーマにした短歌+エッセイ集です。月刊誌eduに現在も連載中の『俵万智の子育て短歌エッセイ たんぽぽの日々』の単行本化です。「たんぽぽの綿毛をふいて見せてやる いつかおまえも飛んでゆくから」 連載の第1回の冒頭に俵さんが自分の息子を詠んだ歌です。
いつかは産み育んだ自分の手の中から外の世界へ旅立ってゆく息子、それを送り出す日が確実に来ることを知っている母親の、切なくも誇り高い気持ちが、31文字に凝縮されています。歌集のタイトル「たんぽぽの日々」もここからとりました。
実力、人気ともに認められている女流写真家・市橋織江さんの美しい写真と、俵万智さんの子育て短歌とその背景を綴ったエッセイを組み合わせた連載は、読者の人気投票の上位を常に占め、子育て中の母親の高い支持を集めています。
2010年春に小学校に入学する長男を持つ母親でもある俵さんは、まさに子育ての真っ最中。連載の短歌+エッセイには、子育てにとまどい、悩みながら、子どもの成長に喜び驚いている等身大の母親の姿がにじみ出ていて、もらい泣きする読者が続出するのではと心配しています。


【編集担当からのおすすめ情報】
文学者としての俵さんにとって、子育てをテーマにした短歌とエッセイは、新境地・新分野といえます。今回の歌集で俵さんは新しい世界を得て、のびのびとその才能を発揮しています。ぜひ俵さんと一緒に笑い、怒り、とまどい、悩み、うなずき、共感して涙を流して欲しいと思います。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 俵万智さんの子育て歌集。
    一つ一つの歌にその歌ができた背景がエッセイとして書かれています。

    この歌集を読むと俵万智さんのとてもいいお母さんぶりがうかがえます。
    その例として、歌はありませんが「あとがき」からお母さんぶりを引用します。

    (前略)
    「もしかしたら、幼稚園のお友だちとは、だんだん会わなくなるかもしれないけど、お友だちだったことは消えないんだよ。お別れするのが寂しいような、いいお友だちに会えて、よかったね。会えたことの積み重ねの上に、今の自分も、これからの自分もいるんだよ」
     そんなことを、ゆっくり話してやると、息子は涙をぽろぽろこぼしていた。はじまったばかりの人生で、これが初めての、意識する「別れ」なのだなあと思う。
    (後略)



    特に気に入った歌を以下に載せます。

    ○たんぽぽの綿毛を吹いて見せてやるいつかおまえも飛んでゆくから

    ○自分の時間ほしくないかと問われれば自分の時間をこの子と過ごす

    ○あの赤い花がつつじでこの白い花もつつじと呼べる不思議さ

    ○みどりごと散歩をすれば人が木が光が話しかけてくるなり

    ○ぶらんこにうす青き風見ておりぬ風と呼ばねば見えぬ何かを

    ○ぼくの見た海は青くなかったと折り紙の青持ちて言うなり

    ○子の声で神の言葉を聞く夕べ「すべてのことに感謝しなさい」

    • riyumomさん
      まことさんが気に入った句を読んで興味をそそられました。私も子育て中なので共感したりしなかったりで読めるところが楽しそうな気がして。
      ぜひ、...
      まことさんが気に入った句を読んで興味をそそられました。私も子育て中なので共感したりしなかったりで読めるところが楽しそうな気がして。
      ぜひ、探して読んでみます。レビューありがとうございました。
      2023/10/02
    • まことさん
      riyumomさん、初めまして♪

      コメントありがとうございます。
      この歌集は、見開き一頁に一首ずつ歌が載っていて、他は写真と俵万智さんのエ...
      riyumomさん、初めまして♪

      コメントありがとうございます。
      この歌集は、見開き一頁に一首ずつ歌が載っていて、他は写真と俵万智さんのエッセイという、とても、読む人に親切な歌集です。
      是非、探してみてください。
      2023/10/02
  • 図書館に寄るとき、普段は予約本を受け取ってさっと帰ってしまうんですが、先週雨降りの平日、時間もあったし殆ど人がいなくて、久しぶりに書架の間をのんびり見て歩きました。やっぱりこういう風に何気なく本を見て回れるのは至福の時間♪

    この本はそのとき手にとったもの。きれいな山吹色の背表紙、あっ俵万智さんだ!12年前の出版だから、この時点で7歳位の息子さんももう今は成人しているんでしょうね。子育て中の悩み、戸惑い、嬉しさ、歯痒さ…時が経ったら忘れてしまいそうな気持ちを短歌と文章に書き留めておく…貴重です。

    たんぽぽの綿毛のように、いつかはどこかへ飛んで行ってしまう我が子。「あとはただ、風に祈るばかり」うーん、そう、切ないです。

  • 何となく図書館で借りたのにじんわりしみた。

    この本の1番目の歌
    機嫌のいい母でありたし
    無農薬リンゴひとかけ摺りおろす朝

    離乳食を作っている場面との事。
    こどもの環境を考えるとき、大事なことはさまざまあるだろうけれど、「おかあさんの機嫌がいい」というのが、一番ではないだろうか。
    と書かれていた。

    これがホント難しい。
    改めて機嫌良く接したいと思った。

  • 短歌にエッセイがついた、俵万智さんの子育て歌集。

    ・エッセイ:文字数が多いので、共感が前に押し出されてサクサク読める。または、短歌の背景が分かって詩の味わいが深まる場合もある。
    ・短歌:短歌だけを読むことで、詩の奥行きを自分のペースでゆっくり味わうということができる。

    こんな長所がそれぞれあるんじゃないかなと思った。

    もともと別の詩集で読んで好きだったこの短歌がやはり好き。

    10p たんぽぽの綿毛を吹いて見せてやる
    いつかおまえも飛んでゆくから

    初めましての詩の中では、これが一番好きだったかな。

    66p みどりごと散歩をすれば
    人が木が光が話しかけてくるなり

  • 歌とそれにまつわるエピソードを見開きで紹介。
    市橋さんの写真付きで更に歌の世界が広がる。
    親子の素敵な関係が歌でこんなに豊かで自由に表現できるのだなあと感嘆しつつ温かい気持ちになれる。
    『心のシャッターを切るように書いてきたので、リアルであることは間違いない』

    好きな歌

    みかん一つに言葉こんなにあふれおり
    かわ・たね・あまい・しる・いいにおい

    親は子を育ててきたと言うけれど勝手に赤い畑のトマト

    クレヨンの一本一本一本に名前書く時四月と思う

    はじめての波はじめての白い砂はじめての風はじめての海

    振り向かぬ子を見送れり振り向いたときに振る手を用意しながら

  •  お子さんが小学生になる前までの子育て短歌&エッセイ。
     俵万智さんの育児短歌本はこれまでにも何かと読んでいたのでそれほど新鮮味は感じず。近くに住むはずが亡くなってしまった仙台のおじおじ(叔父さん)の話が印象に残った。そして、ここの保育園いいな、って東京から仙台に引っ越せる身軽さにちょっと憧れを抱いたり。

  • ブクログで知った本。とても良かった。図書館で借りたけど、繰り返し読みたい。
    俵万智さんと息子さんの日常が、写真のように色鮮やかに浮かび上がってくるようだった。
    私の子どもたちは小·中学生で、この本の出版当時の息子さんより大きいが、共感することも多く、「『育てる』というのは、子どもが育つのを手助けするという意味」という言葉を忘れずに日々を大切に過ごしたいと思った。あっという間にたんぽぽの綿毛のように飛んでいっちゃうのだから。

  • 子育て歌集ということで図書館で借りてきたんですが手元に残しておきたいなあって思えるほど素敵な一冊でした。子育てを通してだからこそ見えたり気づいたりすることがある。そしてそれはいつまでも続くわけではない。

    だからとても愛おしくて大切な日々なんだなあ。機嫌のいい母であること、すごくだいじ。

  • 俵さんが息子さんについて書いているものを読むと、
    あー、娘にもっと優しくしてやろう。
    もっとゆったりした気持ちで育児を楽しもう。
    なにもいそがなくていいんだ。
    という気持ちになれる。
    俵さんみたいなお母さんになれたらなあ。

  • 今現在たんぽぽの日々を体験中。今この本と巡り会えた事に感謝。 

全56件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1987年の第1歌集《サラダ記念日》はベストセラー。歌集に《かぜのてのひら》《チョコレート革命》《プーさんの鼻》《オレがマリオ》《未来のサイズ》《アボカドの種》、評伝《牧水の恋》、エッセイ《青の国、うたの国》など。2022年、短歌の裾野を広げた功績から朝日賞を受賞。読売歌壇選者のほか、宮崎で毎年開催される高校生の「牧水・短歌甲子園」審査員もつとめる。

「2023年 『旅の人、島の人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

俵万智の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×